小川高義のレビュー一覧

  • バージェス家の出来事

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    「三分の二は逃げそこなった、と思っている。彼とスーザンは――スーザンには息子のザックも合算して――一家の父親が死んだ日から運命にとらわれた。どうにかしようとは思った。母親も子供のために頑張ってくれた。だが、うまく逃げおおせたのはジムだけだ」

    あの日、四歳のボブと双子の妹スーザン、それに長男のジムは車に乗っていた。玄関前の坂道の上に父が車を停め、郵便受けの不具合を直そうと坂道を下りていったあと、車が動き出して父は圧死した。ボブには何の覚えもないが、前の座席にいたので、学校で「お父さんを殺した」と言われ、精神科に通ったこともからかわれた。いつもぼんやりとした不安が心に潜み、弁護士になった今でも法

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    2022年08月17日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    コレは面白い。読み終わった後に、思わず『おもしれー』と、声が漏れました。いまから190年近く前の作品たちですが、どれもコレも内容は秀逸で、暗くて、怪奇的です。アメリカで発表された時、日本に初めて入ってきた当時の読者の感想や驚きが、今からでは全く想像できません。中でも黒猫、ウィリアム・ウィルソンは素晴らしいですね。モルグ街の殺人はとても有名なので一読したかった作品です。当時のヨーロッパの空気感を感じる素晴らしい内容でした。

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    2022年07月05日
  • 緋文字

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    ネタバレ

    数年前にも違う訳者さんの本を読んだのですが再読。やはり良いです。
    清教徒の多い、宗教と法律がほぼ等しい土地で不義の子を産んだヘスター。ヘスターが名を明かさなかった、相手の牧師、ディムズデール。そしてヘスターの本来の夫であるチリングワース医師。三人を中心に描く、罪と贖罪の物語。
    罪を犯し、それを悔やみ、苦しみ、許し、自己を追い詰め、人を憎む、それぞれの心の動きが丁寧に書かれています。

    罪を犯し、恥辱の印を身にまといながらも、愛情深く高潔に生きるヘスターも、罪を犯した妻のヘスターではなく罪を隠し生きるディムズデールを追い詰めんとするチリングワースも良いですが、ディムズデール牧師と、彼の罪に押しつ

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    2022年06月18日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    じんわりと読む。なんかよくわからないタイトルだなと思っていたけど、そういうことだったのね。書き出しがよい。”交通の神”がよい。「つらい心を抱えた人」そういうことだ。

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    2022年04月07日
  • 老人と海

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    ネタバレ

    大魚に引かれながら身体を痛められながらも、自らの成功がだんだんと無になる様をまざまざと見せられながらも、決して諦めない姿がたまらない



    大魚との戦いのさなかにふと見上げた空に飛行機があって、飛行機から見る景色はどういったものだろうと独りごちる姿にはっとする。
    海や魚との戦いぶりについてはまさに経験豊富で知らぬことなど無く、まるで恋人みたいな理解を示すのに、他の世界に対してはそうではない。
    狭い世界で自分の役割を突き詰めた男の格好良さを表すのになんて秀逸な対比なんだと感動。

    おじいちゃん、かっこよすぎるよ

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    2022年03月02日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    黒猫
    細かい心理描写に背が凍る作品。小道具や言葉の一つ一つが作品を作り出していると強く意識させられた。

    モルグ街の殺人
    推理小説の原点に相応しい作品。ここから歴史は作られたのかと脱帽した。

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    2022年02月22日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    『黒猫』がとにかく秀逸。170年以上前の小説であるとは驚き。
    「訳者あとがき」にもあるが、一般論や抽象論などの「まくら」から本題に入るという流れに、落語と共通した雰囲気が感じられて興味深い。

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    2022年02月13日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    本を読んでいて、心から共鳴する文章に出会い、ページの端を折ってしまうことがある。『オリーヴ・キタリッジの生活』『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』は、何ヶ所もページを折ることになる小説だった。なぜこの物語に惹かれるのだろう。たぶんひとつはオリーヴの人物像、ニつめはエリザベス・ストラウトの歯切れの良い文体(と見事な訳)、三つめは、私自身がある年代に差し掛かったからだろう。「光」という作品が特に良かった。

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    2022年01月29日
  • 緋文字

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    胸が締め付けられる。
    出てくる登場人物の誰もが、少しの悪と、沢山の苦しみと愛を持ち合わせていた。

    それにしても、悔恨が心身にもたらす影響力の強さよ。

    アメリカ(特に田舎)には、素朴さや真面目さが感じられるけれど、それはピューリタンの流れを汲む歴史が脈絡と受け継がれているのだろうと思った。

    ヨーロッパの小説と違い、ヘスターが強い女として描かれているのが印象的だった。
    時に牧師や医者に対し、強い意志やその壮絶で孤独、しかし思考が自由に解き放たれた女として、力強く、優しい言葉を発する。
    ヨーロッパの小説だと、彼女はもっと弱々しい存在として描かれたんじゃないかな。

    最後のラストは薄々感づくのに

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    2022年01月17日
  • グレート・ギャッツビー

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    トムとデイジーが大分クズ。特にデイジーは酷い。当時の恋愛事情がわからないけれどギャツビーと浮気したり、またトムに戻ったりふらふらとしていて好きになれないキャラ。ギャツビーはデイジーとトムの5年間をなかったことにすることに固執してしまったがためにうまく行かなかったんだろうなと思う。また新しく始めようとしていれば違った結果があったはず。あと情景描写がとんでもなく丁寧。

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    2021年11月06日
  • ねじの回転(新潮文庫)

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    『物語の解釈は、あなたに委ねられています』

    幽霊話?心理ミステリー?
    あたかも幽霊の話をするかのような前振り。
    読み進めていくうちに、あれ、何か違うぞ!
    そして、最後の衝撃!
    いったい、この話は、何だったんだ? という解釈が読者に委ねられた古典名作。
    ん?妄想?

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    2021年07月16日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    「オリーブ・キタリッジの生活」の続編。主人公オリーブはさらに年老いて、前回の中高年小説からついには死や孤独という不安にとらわれる老人の小説になっている。だが、ここに書かれる人間関係の葛藤やオリーブの気持ちの変遷は、老人だろうが若者だろうが人間は同じだということを感じさせるもので、むしろ前作よりも普遍的な内容になっている。

    夫の元愛人をこき下ろしたくなる。フレンチ系の住民に対するちょっとした偏見、でもそんな教え子が有名人になっていたらちょっと誇らしく、会ったことをみんなに言いたくなる。一方でソマリ人を差別しちゃいけないという正義感。老人ホームに入っても、一緒に食事する相手や仲良しがなかなか見つ

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    2021年02月28日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    これはすべて私達のストーリーだと思える小説。誰でも少しずつオリーブと重なる経験、後悔や悲しみ、喜びを抱えて生きているし、生きていく、老いていくんだろうと思わせてくれる。

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    2021年02月27日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    自分が老境に差し掛かっているからだろうが、とにかく沁みる。老いが何をもたらすか、余すところなく描かれる。寂しさ、崩れ落ちる自信、人付き合い、子供との関係。沁み渡ったよ。

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    2021年02月25日
  • 緋文字

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    最後まで読み、「辛い」と声が出た。結局、牧師と神との間で交わされる神聖な対話や関係の前では、子供を産んだヘスターは無力だ。森での美しいヘスターも歯が立たない。牧師は、「ヘスターの苦しみを痛いほど知っていた(だからこそ辛かった!)、他人に罪人であることを隠して苦しんだ!、死ぬ前に罪について告白するのだ!(その直前に壮大な説教をして大衆を心酔させている)、ヘスターに自分達は永遠に結ばれないと彼女を戒める!」という論理を展開していく。牧師は、神の采配で、迷いから救われたという。宗教的には勝利したのだろう。でも、ヘスターは。。。神との誓いを優先して、美しい信仰心を讃えて先に死ぬ牧師。残されたヘスターは

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    2021年02月16日
  • 魔が差したパン―O・ヘンリー傑作選III―

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    「魔が差したパン」「ブラック・ビルの雲隠れ」「未完の物語」「にせ医者ジェフ・ピーターズ」「アイキーの惚れ薬」「人生ぐるぐる」「使い走り」「一ドルの価値」「第三の材料」「王女とピューマ」「貸し部屋、備品あり」「マジソン・スクエアのアラビアンナイト」「都会の敗北」「荒野の王子様」「紫のドレス」「新聞の物語」「シャルルロワのルネサンス」を収録。

    訳者あとがきからは、訳者のこだわりが読み取れる。

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    2021年02月07日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    10年ぶりのオリーヴ!とても懐かしい人に会ったような気持ちで読んだ。
    オリーヴの70代中盤〜80代中盤が描かれる。

    いいなあこういうの。まず、安直な癒し話(傷ついて、でも美味しいごはん食べて癒される〜みたいなやつ)じゃないのがいい。過去のぐちゃぐちゃや老いや不満などのいろいろを、抱え込み、受け入れているよね。
    ズケズケ言っているようで結構相手を思いやっていたり、よろけたり漏れたりの老いる己れの身体に驚いたり困ったり、時々どうしようもない孤独や心配に襲われたり。こんな80代、アリだなー。

    『心臓』が最もグッときた。

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    2020年12月25日
  • ねじの回転(新潮文庫)

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    不思議な小説だった。それは、クリスマスイブ、イギリスの古屋敷に集まった男女に向かって、今は亡きダグラスが彼の妹の家庭教師の手記を語った物語。でも、このお話は、それを聞いた私が書写した控えである。そして、その内容は、イギリス郊外の古屋敷に住む男の子マイルズと女の子フローラの家庭教師として雇われた私の体験記である。「私」は、その屋敷に現れる以前の世話係と前家庭教師の亡霊に遭遇するのだが、それが私の内面から書かれているものだけに、亡霊が本当に実在したのかどうか読んでいても分からなくなってくる。印象深い一冊。

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    2020年07月23日
  • 何があってもおかしくない

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    アメリカの田舎の人たちの生き方が丁寧に描かれていた。
    淡々としていながら、クライマックスが訪れたり、少しずつ繋がっていたりする。

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    2019年05月25日
  • 何があってもおかしくない

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    著者の前著「私の名前はルーシー・バートン」のスピンオフのような短編集で,ルーシー・バートンと何らかの繋がりがある人(あるいは,さらにそこから孫繋がりしている人)達9人それぞれが主人公の9つの短編からなる.
    自分もそうなのだが「私の名前はルーシー・バートン」を読んでいなくても全く支障は無い.
    この主人公達は,皆が心に何かを抱えている.それを丹念に,かつ,淡々と綴っているだけ,といえばそれだけなのだが,心を揺さぶられる.仕掛けの一つが,各短編の主人公達が必ず他の短編で少しだけ登場(といっても言及されるだけの場合が多いが)することで,二つの違った角度から「何か」を見ることによって,人物や出来事の造形

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    2019年03月17日