小川高義のレビュー一覧
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エリザベス・ストラウトにやられてしまって(笑)、中毒状態になっている。
なんですか、この魅力!
時を経て書かれた続編なのに、「ああ、ウィリアム」との整合性が見事。ストラウトの小説はどれも断片の組み合わせで全体が描かれているのだが、一冊だけでなく、続編も含めて一つの世界の小さなパズルを埋めていくような描き方。
こんな書き方ができる人は他には思い当たらない。
続編を描くことで、世界が広がる描き方をする作家はいると思う。
けれど、ストラウトの小説は、隙間が埋められていく感じだ。そんなに計算して書いてないようにみえるのだが、なぜこの人がこの時こんなことをしたのか、続編でなるほどと膝を打つような瞬間が -
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果たして幽霊は居るのか?居ないのか?
126年前に描かれた怖い話。純真無垢な子供が
不気味。見えてるの?見えてないの?謎は深まっていく。
両親と死別し、イギリス郊外の古い屋敷に暮らす聡明な兄妹。離れて暮らす伯父に雇われ、赴任してきた家庭教師である「私」。
可愛く従順な子供達と屋敷を仕切る事となった「私」はある日、高い塔に見知らぬ男の影を見てしまう。それは以前勤めていた使用人に似ていた。しかし、その男はすでに死んでいた。
YouTubeで知った本作。ホラー苦手な私はこれなら読めるかもと手に取った。ほど良い怖さで一気読み。いろんな解釈ができる。元祖、信頼できない語り手かも。人が一番恐ろしい。
イ -
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みなさんは海外の作品を読むときに翻訳家というものをどの程度意識されているでしょうか
え?★5付けといてまた関係ない話し始めるの?と思ったみなさん
安心してください
この素晴らしい名作は光文社の他に多彩な出版社から刊行されていて
それぞれに素晴らしいレビューが存在しています
そっち読めばいーじゃん!(清々しい開き直り)
というわけで話し進めますね
翻訳家さんです
翻訳家さんにもっと注目して読書生活を送ってみませんか?という新生活の提案です
かくいうワタクシも、そこまで翻訳家さんを気にしていたわけではないんですが
今回のように気が付くと小川高義さん祭りになっていたりしてあれこれはどういうこと -
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『マイカ・モーティマーのような男は、何を考えて生きているのかわからない。……』
という最初のセンテンスだけを思いついてこの話を書きはじめたそうだ。
一言で言えば、まあ堅物の人付き合いの上手くできない人マイカ。
アパートの管理と、パソコンなどの技術サービスをしている。
運転しているときは、『交通監視システム』に、制限速度を守り、ウィンカーを出し、静かなブレーキ操作をすることをしっかり評価されていると空想しながら。
彼女とはなにかチグハグでうまくいかず、そこに大学時代のガールフレンドの息子がやってくる…
そこから色々なことが起き、そのガールフレンドにも何か言われ…
少しずつ人の心がわかってくる -
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石に刻んだように決まりきった毎日を過ごす43歳のマイカ・モーティマー。
なんだか…わりといそうだよね、こういう人、っていう感じ。「完璧」な暮らしをしていて、自分は何も悪くないと思っていて、なのになぜかうまくいかないことが多くて、人生なんてこんなものって思い込んで、暴れるでもなくヤケになるでもなく静かに暮らす中年男性。まるで自分の父親を見ているかのような気持ちにもなる。
主人公マイカの人生はよくあるごく普通の話だし、しかもこんな地味な中年男性。だけど、物語には彩りがある。なんてことはないのに、目が離せなくてどんどん読み進めたくなってしまう。
ちょっと眉をひそめてしまいそうなマイカの家族の話も、 -
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何回目かわからないぐらい読んでいるけれど、今回は津村さんの世界文学の紹介をきっかけに再読。
フィッツジェラルド節満載で相変わらず文体がカッコいい。そして前回読んだ村上春樹訳とはまた違った味わいがある。こちらの方が読みやすい。
全員がどこかしら一癖ある西部出身の登場人物達が東部ニューヨークの風に馴染めず、それでもしたたかに生きるトム、デイジー、ベイカーに対し、やはり馴染めずに帰郷する語り手のニック、そして過去よもう一度とばかりに不器用ながら純粋に生きるギャッツビー。誰かに感情移入するということはなく、1920年頃の時代の雰囲気を感じることができる。
難しいといえばそんなことはないのだけれど、決し -
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「三分の二は逃げそこなった、と思っている。彼とスーザンは――スーザンには息子のザックも合算して――一家の父親が死んだ日から運命にとらわれた。どうにかしようとは思った。母親も子供のために頑張ってくれた。だが、うまく逃げおおせたのはジムだけだ」
あの日、四歳のボブと双子の妹スーザン、それに長男のジムは車に乗っていた。玄関前の坂道の上に父が車を停め、郵便受けの不具合を直そうと坂道を下りていったあと、車が動き出して父は圧死した。ボブには何の覚えもないが、前の座席にいたので、学校で「お父さんを殺した」と言われ、精神科に通ったこともからかわれた。いつもぼんやりとした不安が心に潜み、弁護士になった今でも法 -
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ネタバレ数年前にも違う訳者さんの本を読んだのですが再読。やはり良いです。
清教徒の多い、宗教と法律がほぼ等しい土地で不義の子を産んだヘスター。ヘスターが名を明かさなかった、相手の牧師、ディムズデール。そしてヘスターの本来の夫であるチリングワース医師。三人を中心に描く、罪と贖罪の物語。
罪を犯し、それを悔やみ、苦しみ、許し、自己を追い詰め、人を憎む、それぞれの心の動きが丁寧に書かれています。
罪を犯し、恥辱の印を身にまといながらも、愛情深く高潔に生きるヘスターも、罪を犯した妻のヘスターではなく罪を隠し生きるディムズデールを追い詰めんとするチリングワースも良いですが、ディムズデール牧師と、彼の罪に押しつ