小川高義のレビュー一覧
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ネタバレ米文学史の授業で初めてその名を知った、ホーソーンの代表作。
授業でのあらすじの説明から、なんて暗い話を19世紀に書いたのか、疑問でならなかった。
その疑問は解けてはいないが、ヘスター・プリンの強さと、不倫相手の弱さと苦悩を描かずにいられなかったのだろうと推察した。
それにしても、授業であらすじを紹介されていなければ、あの牧師が不倫相手だということになかなか気づけなかったんじゃないかと思う。
授業では、牧師は苦しみ抜いて最後は死ぬが、その死にはまったく意味がないと先生が言っていた。その通りだとも思うし、そこまで言ってはかわいそうとも思ったが、結局は牧師という公職(?)についていながら、近くでへスターを助けるわけでもなく、ただただ自己満足の懺悔をしただけなんだから、やはり先生の言う通りなのだろう。 -
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ネタバレ過去に縛られる男の話といえば、私の中ではやっぱり『秒速』だろうか。男は過去に、女は未来に。そんな二元論が嫌いなのは、それが幾分的を得ているのだという考えが自身の心の中にあるからなのかもしれない。
本作の主人公であろう「ジェイ・ギャッツビー」は、かつて愛した女性に再開したが、彼女にはすでに婚約者がいた。あとはもう当然起こるであろう出来事の連続で、当然起こるであろう結末を迎える。これはもう様式美なのではないだろうかと思うほどに。
主人公の名前だけのタイトル、冒頭の語り手の独白、物語序盤から始まるミステリアスな「ギャッツビー」像がだんだんとなくなってゆき、最後には実直な青年だった彼が現れる物語の運びが本当に上手くて、彼を終始疑問視していた語り手が最後まで彼に付き添うところは心憎い。
過去は取り戻せないと述べる語り手に対し、「できるに決まってるじゃないか!」と言ってのけるギャッツビー。「何言ってんだよ」と思いつつも、語り手のように彼にどこか惹かれてしまうのは、読み手もきっと同じだと思う。
解説では当時のアメリカにおけるこの小説の位置づけについて書かれており、また面白かった。 -
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代表作「グレート・ギャッツビー」で知られるフィッツジェラルドの自選短編集。
数多くの短編を書いたものの、中には良質と言い難い作品もあるようだ。
9編の掌編が収められているが、重々しい作品というよりは、読後に爽快感が感じられる作品が多かった。劇中で発生する出来事によって、主人公が成長するという内容がほとんどであった。
しかし、ヘミングウェイもそうだが、狂騒の20年代と呼ばれる1920年代のアメリカの都市が持つ時代感といったら。現代ではいずれの国も持ちえない空気感ではなかろうか。若干の退廃的な雰囲気を感じさせつつも、未来への明るい展望を感じさせる。 -
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ラスト2~3行の大どんでん返しがあったり、あっと言わせるようなオチが待っていたり。短編らしい短編がたくさん詰まった小説。
「賢者の贈りもの」は昔CMにも使われてた記憶がある。
クリスマスの夜、貧しい夫婦の物語。
妻は夫が大切にしている金時計につける鎖を買うために自分の美しい髪の毛を売り、夫は妻の髪の毛に使う櫛を買うために自分が大切にしていた金時計を売ってしまう。お互いの贈りものは無駄なものになってしまうけれど…というお話。
これを美しい夫婦愛と取るか、馬鹿げた皮肉的な物語と取るかは、読み手に委ねられてると思うけれど。
感動系、思わず笑ってしまうもの、そのオチにただ感心してしまうもの、シニカル系、いろいろあるけれど、訳者のあとがきにあった「落語のような物語」というのは本当にその通りだと思った。
表題作以外なら、「ハーグレーヴスの一人二役」「水車のある教会」「緑のドア」が好き。
短編集は気楽に読めていい。閑話休題的読書。 -
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ネタバレ“今はもう昔のことだが”、このフレーズだけで、あぁルーシー・バトンだなぁと、ストラウトの世界へと帰還する。
ロックダウン、BLM運動そして議事堂襲撃と分断と対立が増してゆくアメリカへ、離れて暮らす家族の問題へとルーシーの心は、あちらへ彷徨い、こちらへ想い悩みと、晴れることはない。
貧困、不確かな家庭環境など、子供時代のバックグラウンドなしに人を理解することはできないし、それでも人は皆それぞれ違った人生を辿るよなぁという、当たり前だろうと言われても割り切る気になれない感じが潮の満ち引きのように寄せては返す。
それでも人はわからないなりに、人生を切り抜けていくしかないという人生訓は、まぁそんなもんだよなぁと同意してみても、もやもやと心にくすぶる。
年を重ねていくと、ルーシーと似たような屈託がいつしか振り払えず身にこびりつくのは、仕方のないこと。雲間から光が刺すように、束の間の真理や天啓が閃めく、世界が変わる、なんて期待することはない。
読み終わって思うのは、ルーシーやウィリアムなどこれまで馴染んでキャラクターが、いかにも口にして、心に浮かべそうな科白とストーリーに、そうだよねぇと相槌を打ちながら付きあったという感じ。
「オリーブ・キタリッジの生活」のように、感情移入していなかった相手にふと心が揺さぶられる瞬間が訪れたり、「私の名前はルーシー・バトン」のように、パズルのピースが埋まって絵が浮かんでくるような、それでも明かしきれない隠された痛みが心を刺すような、そんな読後感はない。
それはそれでリアルな人間模様なのだろう。
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ネタバレ海外小説の何の本だか忘れたけど、その中で紹介された本だったので興味持って読んでみたけど古典サスペンスという意味では面白かった。登場人物がそれぞれ狂人ばかりで読んでいておいおいそれはないだろうって突っ込みをいれたくなるような凶行を犯すのだけど、心理描写も滑稽でワクワクしながら読むんだが、犯行描写もエグイ。昔ならゾッとしただろうけど昨今の小説はそれ以上のもはやスプラッター描写になってしまっているから古典物はほっこりする。
モルグ街の殺人は推理小説の先駆けらしいんだけど、シャーロックホームズよりとんがった推理考察を持ってくるからえ?え?ってなる。そしてその結末があーそう来るかって思わずニヤリ。こういう作品はもっと早く出会っておきたかったと思う。それでも今更ながら出会えたことに感謝したい。
余談がけど、この光文社古典新訳文庫はほんと現代風な和訳がつけられており、かなり読みやすく綴られているから苦手意識の高い古典作品を読むならこのシリーズを選びたい。いつかはカラマーゾフの兄弟かな? -
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アッシャー家の崩壊/アナベル•リー/ライジーア/大鴉/ヴァルデマー氏の死の真相/大渦巻への下降/群衆の人/盗まれた手紙/黄金虫
よくわからない作品が多かった。
前半が怪奇系、次第にミステリー系になる構成で、『黄金虫』の謎解きはよくできていて良かった。読んでいる中で、神経質さ、音への過敏さ、女性に対する思慕?が共通して感じられることが多かった。
きっと自身の経験(妻を失う)を重ねているのだろう。
乱歩が尊敬する人なので私もハマるかと思ったが、細かく神経質さを感じる描写が見られ、おおらかさを感じられない。おそらく乱歩は自分にないものを持っていることに憧れがあったのではないか。前半の怪奇系は女性が死んで生き返る?ようなパターンが決まっており、そちらはそちらで理屈がよくわからないこともあり、腑に落ちなかった。(なぜアッシャー家の妹は生きていたのか、なぜあれほど精神を病んでいるのかなど)