小川高義のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白くないわけがない。
俳優としてあれだけの役をこなした上、監督や制作でも才能を見せつけて、足りないのは「時間」だけ。
有名であるが為、最初から高いハードルがある。何もしなくても既に名声を得ており、その分やや損しているにもかかわらず…。
とにかく、読み進めていくと登場人物がどんどん映像化されていく。
『ようこそマーズへ』や『特別な週末』は、そのままで「少年の成長」ドラマのエピソードとなり、『ヘトヘトの三週間』『アランビーン、ほか四名』『スティーヴ・ウォンは、パーフェクト』は「おかしな四人のオシャレな生活」となる。
『クリスマスイヴ・一九五三年』は映画『プライベートライアン』のようなドラマに -
Posted by ブクログ
作品は1850年に発表されたものだが、舞台はさらに200年も遡ったアメリカのニューイングランド。
そこはピューリタンの町で、当然ながら厳格な信仰が守られているコミュニティだ。
タイトルの緋文字とは、そこで姦通の罪を犯した女性への罰として、その衣服の胸のところに常に着けるように定められた緋色のAの文字のこと。
その女性は、町で尊敬を集めている牧師と関係を持ち子をなしてしまうが、彼女には夫がいたため、罪とされた。一方牧師の方はその関係がバレずにいた。
後から町にやってきた夫は、医師に身をやつし町の中で一定の位置に居座るようになるが、二人に執拗に復讐をしようとしていく。
キリスト教をベースにしてい -
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Posted by ブクログ
トム・ハンクスが小説を書いたと聞いて驚いた。読んでもう一度驚いた。
知名度に寄りかかって奇をてらうではない、正統派の短編小説である。
しかし、驚くことではないのかもしれない。
脚本も手掛け、監督もこなしたことがある。その才は演じることだけに留まってはいないのだ。
真面目で温かく、ユーモアもあり、ちょっぴりシニカル。
作品の手触りはどこか、俳優としての著者の佇まいにも似ているようにも思われる。
ハンクスは相当な読書家であり、タイプライター蒐集家としても知られているという。
本書中の短編にはタイプライターが渋い脇役・重要な小道具としてそこここに顔を出す。
作品の冒頭にタイプライターの写真が出てく