早見和真のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
何ともジャンル分けし辛い一冊(^ ^;
読み始めて割とすぐに
「人が二人いれば争いが生まれ
三人いれば派閥が生まれる」
という言葉がずっと頭に浮かんでいた(^ ^;
タイトルからも表紙絵からも分かる通り、
お坊さんが主な登場人物。
当たり前ではあるが、「坊主として生まれる人」はいない。
寺の跡継ぎとかで「坊主になるべくして」なる人はいるが、
みなそれぞれの事情や思惑を抱えて、
修行をして坊さんに「なる」ものだ。
そんな、当たり前ではあるが、普段仏教と縁遠い私には
全く意識していなかった現実を見せられるところから始まる。
ある者は(順当に)実家の寺を継ぐために、
ある者は「職業として」安定を求めて、
本山での修行に参加する。
本書は、前半の「本山での修行」パートと
後半の「自分の寺での葛藤」パートに分けられる。
それぞれに、それぞれの人間関係があり、事件があり、
悩み、葛藤し、成長し、時に流され、時にやけになり...
とても「人間的な」ドラマが繰り広げられる。
何となく、坊さんとか「宗教家」というのは、
煩悩から解脱した「聖なる存在」と思いがちだが...
と言うか、私は漠然とそんなイメージを持っていたが、
どうしてどうして坊主の「現実」は生臭く、
「表の顔」では聖人ぶっている分一般人よりエグいくらい(^ ^;
でも、それが現実であり、よく考えれば当たり前か。
本当に修行ばかりしまくって、
それこそ霞食って生きてるような人(それは仙人か)は、
私のような俗物の目に留まることはあるまい。
我々「一般人」が触れる坊さんというのは、
「葬式仏教」と言うくらいで、葬式や法事の時くらいで。
それら「職業坊主」は、仕事として仏事を行っている訳で、
普通に消費税払って買い物してるし、免許の更新もするし、
「生活」は我々と何も変わらない(はずだ)。
まぁ、税金の優遇くらいはあるとしても(^ ^;
...と、本の内容と関係の無い感想ばかり書きたくなる、
それくらい本書の「坊主描写」がリアルと言うことか(^ ^;
ストーリー中に色々なことが起こるが、
不思議と「あらすじ」を書きにくい印象(^ ^;
話の「筋」と言うより、登場人物の心の動きを読む、
そういう本なのだろう、きっと(^ ^ -
Posted by ブクログ
ネタバレ宗教を扱った小説のレビューは難しい。
宗教って個人のメンタルの深部に大きな影響を与えているもんやと思っているので、変に評価すると読む人にとって触れたらアカンとこ不用意に触れてしまう可能性もあるし…
そら、オ○ムみたいに毒ガステロ起こすようなことをする団体は絶対アカンと思うけど…
ってことで、この本も「宗教ってなんなん?」がテーマなんで、そこ触れずにレビューは難しい。でもこの本読んで考えさせられることはいっぱいあった。
ラストは秀逸、せやねん。信心って各自が持っているもんで、自分に直接実害を被ることでもない限り、他人の信心を批判とかしたらアカンもんやと思う。 -
Posted by ブクログ
「スリーピングブッダ」って何だ?
思いつくのは釈迦涅槃図。じゃ、涅槃ってなんだ?
文庫版のカバーイラストと裏表紙の「青春パンク小説」というコメントが誤解を招くのだろう、ネット上の多くのレビューが「前半は面白いが後半はどうも」、であった。
この作品はけっして青春パンク小説ではない。かなり深い所をえぐった宗教観と人生観が詰まっているカバーイラストからは連想できない方向の物だ。
「坊主って安定してる?」という主人公の一人、隆春の言葉が象徴する導入部から前半よりも東北の涅槃寺に入山してからの主人公達とそれを取り巻く人々の生き方の方がこの作品が読者に問いかける部分である。
人を救うというのはどういう事なのだ、宗教とは何なのだ。答えを求めて悩み続ける。答えの無いこの問いに悩み続ける事が修行であるという事はまず間違いないだろう。 -
Posted by ブクログ
早見一真さんの作品は個人的に好きな作品が多いため、本作も楽しみに手に取りました。中学生の成長譚が多く見られ、心温まる作品だったかなと思います。
本作は女子校に努める教師を中心とした物語。その教師は春までの命との余命宣告を受けた中、女子中学生の担任を勤めるという物語。
本作は闘病系の作品には珍しく終始、女子中学生の目線から物語が進み、どちらかといえば先生との絡みも少なめといった内容です。しかし要所で先生の言葉が生徒に影響を与える王道な展開も盛り込まれており、その展開を期待してた自分としては満足感はありました。
ただ、本作はほぼすべての女子中学生の成長譚が描かれているため、登場人物の把握に非常に苦戦しました。振り返ってみると、どのキャラを追えば良いか序盤ではつかみ辛く、感情移入もなかなか出来ずに流れてしまい、ようやく終盤に差し掛かると何となく関係性が掴めたかなという感じでした。
ただ、生徒が自ら考える、「自立」をテーマにしていた本作だからこその構成であるとともに、多種多様な人がいる中でどのような思いとどのような成長をみせるかは人それぞれであるというような真理が本作にはあったのかなと思った作品でした。学生時代は色々なものに流されやすく、そのまま成長してしまった大人の1人である私にはドキッとさせられる作品だったかなと思います。 -
Posted by ブクログ
書店を舞台にしたお仕事小説だと思って読み始めたのですが、想像していた方向とは少し違う読後感の一冊でした。主人公・京子さんの語り口がかなり辛辣で、周囲の人たちへの評価も手厳しく、読みながら「本当にそうなのかな…?」と首をかしげる場面が多かったです。
物語が京子さんの一人称で進むぶん、彼女が見ている一面だけで判断しているように感じられ、描かれる出来事が少し偏って見える瞬間がありました。タイトルから店長のちょっとした天然ぶりをコミカルに描く話なのかと思っていたのですが、実際には京子さん自身の不満や苛立ちが中心で、「店長がバカすぎて」というより「現状の不満にイライラしている自分」というように映る場面もありました。
とはいえ、迷惑なお客さんのエピソードだけは「もし本当にいたらこれは大変だ」と素直に共感。書店員さんが日々どんな人たちと向き合っているのか、現場の空気を垣間見るきっかけにはなりました。
お仕事小説として書店の裏側を知れる内容を期待していたので、その点では少し物足りなさが残りましたが、書店で働く人たちの思いや葛藤に触れられる一冊でした。