あらすじ
地方への転勤辞令が出た青野雅人は、恋人の佐知子から意外なことを打ち明けられた。付き合い出すずっと前、高校生のときに二人は出会っていたという。彼は、甲子園の常連・京浜高校の補欠野球部員だった。記憶を辿るうち――野球漬けの毎日、試合の数々、楽しかった日々、いくつかの合コン、ある事件、そして訣別。封印したはずの過去が甦る。青春スポーツ小説に新風を注いだ渾身のデビュー作。
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Posted by ブクログ
思っていた以上の以上に良かった。
甲子園を目指す球児たちの青臭い青春といった描き方ではなく、最後は思わずウルっとくるような人間ドラマ。
若い子の夢と友情の葛藤、過ぎた時間と許し、どれも心が動かされた。
Posted by ブクログ
ジュブナイル物でこれまでで最高の小説です。
こんなにも興奮させてくれ、泣かせてくれた本はありません。「ザ・ロイヤルファミリー」を先に読みましたが、読者に気持ちの良い涙を流させる才能が素晴らしいです。
匿名
感動しました!高校時代の仲間達とのやり取りが楽しくて、ほんと青春最高!男の子の友情っていいな。
後悔も沢山あるけど、楽しかった思い出は消えない大切なものとして残るんですね。
Posted by ブクログ
今まで出会った事ない青春スポーツ物語でとても面白かった。
高校時代の描写はグラウンドの風景、仲間達の絆やぶつかり合う姿が目の前に浮かんでくるようで熱くなった。
特にメンバー発表のシーンは雅人の切実な気持ちが胸に響いて、読んでるだけなの緊張したし、補欠目線だからこそ感情移入しやすかった。
高校時代の描写だけでも面白いのに、現代の時間と交互に物語が進んでいき、どんな事件が起きて仲間と決別したのかドキドキしながら読み進められた。
毎日精一杯駆け抜けた宝物のような青春と親父達家族の愛と、仲間と再会する感動のラスト、読み応え抜群。
Posted by ブクログ
最初の父の手紙がめちゃ感動した。。
野球部の仲間たちとの今昔の繋がりが素敵すぎる。
青春すぎてまぶしーい!!
読み終わった後心が浄化されたように爽やか。。
高校野球観たくなる〜
Posted by ブクログ
とにかく泣けた。
高校球児のファンには堪らない一冊。
甲子園に向ける真っ直ぐな思いと、仲間と過ごす大切でキラキラした時間、ノブの純粋な恋愛と、大人になってからでは築くことのできない友情。
意外な結末に向かっていくクライマックスはページをめくる手を止められない。
とにかく最高の一冊でした。
Posted by ブクログ
30数年前に甲子園を目指して、野球漬けの日々を送っていた頃を思い出しました。気がついたら、その頃に部員全員が監督に毎日提出していた野球日誌を探し出して読み返していました。3年間だけなのに家族以上に長い時間を共に過ごした球友たちとは30年以上経った今でも一生の仲間です。
野球漬けの練習風景やミーティング、部員同志のからかう姿など、本当に私が過ごした時と同じようで思わず筆者の経歴を調べたらやはり高校球児!!!しかも時代は違えど対戦したことがある高校!!!びっくりです。物語としては男くさい面が強いですが私としては同感です。昔を思い出させてくれた、懐かしい余韻を感じさせてくれた作品でした。
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自分自身も強豪野球の控え部員であったため、感情移入がとてもしやすかった。
わかりやすいストーリーに、感動する部分をとてもあって読みやすかった。
Posted by ブクログ
甲子園を目指す名門高校、控え選手を描いた傑作。筆者のデビューだが完成度高し。
「あの夏の正解」が素晴らしかったので筆者のデビュー作も読んでみました。
筆者はあの桐蔭学園出身、あの高橋由伸の2年後輩という本物の高校球児上がり。その経験が本作のリアリティに大きく貢献。そして一般受験の控え選手という主人公のキャラ設定の素晴らしさ。
野球部に限らずきっと誰もが持つ若かりし頃の過ちと恥じらい。誰より心を許したであろう友達との再会もためらわれる。そんな甘酢っばい思い出に対し直面せざるを得なくなる主人公。構成が感動をうまく引き出してくれる。
映画化もされた作品。元高校球児でなくとも過去の甘酸っぱい思い出に浸ることのできる良作でした。
Posted by ブクログ
某野球部の事件がなければ… これを読み終えた時の感想は違ったかもしれない。甲子園を1開戦で離脱した有名校は、何故今?と思ってるんじゃないかと思ってしまった。だって、本書の中の野球部員も先輩が後輩に暴力振るうのは当たり前。喫煙も飲酒もし放題だ。当時は当たり前だったなんてことは無い。野球部だけ異常なのが当たり前って事なのか。最終的に喫煙バレた系かと思ったらもっと酷かった。デビュー作としては凄いとは思うけど。
Posted by ブクログ
2025年本屋大賞2位『アルプス席の母』、早見和真、デビュー作『ひゃくはち』。
徳島への転勤辞令がでた青野雅人。
恋人・佐知子から打ち上げられる、『私たち前に会ったことがある。』、『高校生のとき』…
雅人が強豪・京浜高校野球部の補欠部員だったときに2人は会っていた…
記憶をたどるうちに、甦る野球づけの日々からの煩悩…
そして、忘れようとしていたある事件…
強豪校の野球部員なのに、酒にタバコに合コン、体罰…
大丈夫なのか⁇
昔はなんでもありだったのか⁇
そういえば、メジャーリーガー・Dもフライデーされてた、タバコ吸ってるところ。
見つかって、出場停止とかになるのでは⁇とヒヤヒヤしながら、読み進める。
確かに『子どもができたら、野球部をやめるなんて話』は聞いたことはない…
が、子どもがいる高校野球部員も聞いたことはない…
そもそも野球部を辞める前に、働くことを優先し、やめていかざるをえないだろうから。
野球を続けることができない、が、正しいのだろう。
が、野球をやめるか、子どもをおろすか。
そんな選択肢はないだろう。
人として、子どもを産むべきだ。
それをノブに決めさせようとした、山田監督は教育者として相応しくない。
野球部員である前に、ひとりの男として、ひとりの人間として、教育をしなければならないのに。
高校野球の『基準』に抗う雅人。
高校野球だけでなく、小さな世界の『基準』が、人間しての選択よりも優先されてはならない。
ノブがちゃんと千渚と結婚し、好太を産み、育てていることに安心した、大変な苦労もあったはずだろうに。
『アルプス席の母』の文庫化が待ち遠しい。
Posted by ブクログ
本屋にたまたま平積みしてあって、「ちょうど甲子園の期間だし」と購入。
最初はなんだかあまり野球と関係なく、「失敗かな」と思いつつも読み始めると高校野球の内容に。
高校時代のシーンの登場人物は好きになりづらいですが、現代のシーンとのつながりが良くいつの間にか入り込んでしまいました。
このまま順調に行くと思ったら、最後は予想外の結末にとても楽しめました!
Posted by ブクログ
う〜ん、なんて熱い青春小説なんだ。
あの頃の体育会ってどこも同じなんだろうけど、やっぱり高校球児ってどこか周囲から神聖視されていると思う。
こうあるべきだ、こうに違いないと。
それでもやっぱり普通の高校生の面は当然あるわけで、本人たちもそこで悩むわけだ。
そのあたりを上手く描けるのは体験談込みの作品だからか。
好太が出てきてからはとてもよかったし救われた気がした。
いいラストだったな。いい人間ドラマが読めた。
Posted by ブクログ
始まりは一見野球小説とは結びつかない展開ですが、
記憶を呼び覚ますにつれて色濃く語られる主人公"青野雅人"の高校野球部員時代の話。
めちゃくちゃ青春が詰まった高校生活。
高校野球とか甲子園とかってなんなんだろ〜〜〜
魔物???野球をやった経験も、甲子園を目指した経験もない私ですが読んでるうちに球児達と同じ熱い気持ちなってしまう。
作中ではずっと秘密にされてた佐知子との出会いは
ああ、そんなもんかいみたいな気分だったけど
その後明かされる事件、そして再会で普通に泣いてしまったし泣きながら笑って感情バグりました…。
高校野球の延長戦が、最大18回だった時代の話。
Posted by ブクログ
すっかり青春小説から遠ざかっていたからか、題材が身近だったからかはわかりませんが、3年夏の大会目前の退部シーンでは涙腺が緩みました。どんどん引き込まれていくストーリー展開、主人公と仲間との関係、主人公とヒロインとの関係、どちらも興味津々で読ませてもらいました。
著者のデビュー作との事、本屋大賞2位に選出された最新作も是非読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
少し前の世界観である事を差っ引いても、
青春と言うものを恥ずかしげもなく書くと、感動する。そんな感じかもしれない。
男子の方が共感出来るかもしれない。
Posted by ブクログ
最近お気に入りの作者のデビュー作をようやく読んだ。しかも大好きな高校野球ネタ。先に『アルプス席の母』を読んでいて高校の名前、設定が同じだったのが嬉しかったが、普通の人と逆の感じ方なんだろうな。この作品も野球の勝った負けた以外のところで色々な物語が起きていて、高校生の生々しい姿が描かれている。映画にもなったようで、今度見てみたいと思った。
Posted by ブクログ
今だったらSNSで飲酒と喫煙をばらされて出場辞退、妊娠騒動は面白おかしくマスゴミの餌食でしょうね。自分で責任取れないガキがやるんじゃないと言ってやりたいけど。それでもお父さんには泣かされました。
Posted by ブクログ
部活に明け暮れた高校時代、部活の仲間との時間、恋人、親、青春がぎゅっとつまった小説でした。
高校球児に子供がいる。世間一般はこれに対して違和感を感じるが、何も悪いことではないよな〜。
仲間をとるか甲子園をとるかで葛藤する高校球児達、甲子園は僕にはわからないくらい壮大で、毎日それに向かって練習してきた高校球児達にとっては何にも変えることのできない場所なんだなと。そんで主人公の父親ちちおやすぎた。
事件のあった、何年後かにみんなでまた集まって当時と同じようにそれぞれが話していた。
一緒に甲子園を目指し、学生時代に苦楽を共にした仲間たちの友情の深さ、絆の素晴らしさ感じました。
今振り返ると思うけどやっぱ高校生は子供ですね、けどまっすぐ
Posted by ブクログ
野球の事をあまり詳しくなくて、楽しく読めるのか最初は不安だったけど、あまり気にならなかった。
男子特有のノリは少しヒヤヒヤしたかな。
スポーツをしてると報われない時もある。ノブの立ち場が苦しくて、なんとも言えない。
父からの手紙が良かった。しかもまた役に立つ時がくるとは。素敵な親子だし、見習いたくなった。
Posted by ブクログ
この本は僕が中学時代に買ってもらった本です。
作品を最初知ったのは映画で先に観た後、たまたま書店お見かけし買いました。
当時読んだ記憶はあるものの内容は全く忘れており、著者の作品「アルプス席の母」が2025の本屋大賞でノミネートされた事もあり、この著者たしか、、となり押入れから「ひゃくはち」を引張りだし読みました。
ページを捲るたびあれ?こんな内容だったけ!?と新鮮な気持ちで高校野球は経験してませんが中学まではやっていたので球児達の描写が現実的で想像出来、クスッと笑う言い回しがいくつもありながらも後半は部員一人の事情により部全体が混乱していく様もとてもリアルで
主人公青野雅人の仲間を思う気持ちにとても心を打たれました。
青野雅人の父が送った理人に対しての一文に
これから自分が行き詰まった時思い出して何かやりたい事、したい事に挫折しそうになったらこの言葉を思い出したいと思います。
「やるだけやってそれでも駄目なら、その時は胸を張って帰ってこればいいんだから」
アルプス席の母文庫になったら必ず読みたいと思います。
Posted by ブクログ
親父の手紙、最後に実家に戻ったときの親父が迎える言葉…素敵やん?
しかし、名門校の野球部ってこんなにチャラついてるのか?タバコや飲酒がバレて、大会出れなくなる展開にはならないでくれよと、違うとこでヒヤヒヤしてたのは私だけなのだろうか笑
いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい
いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て
Posted by ブクログ
どこにでもありそうな内容で、
とくに目新しい感じもしないのに、
とても引き込まれる。
「青春」「高校野球」といったワードが好きな人には
オススメできる。
Posted by ブクログ
青野雅人
徳島支局に異動。私立京浜高校
相馬佐和子
一七〇センチ近い長身。合コンで雅人と出会う。
オーナー
みんなから「オーナー」と呼ばれている『メケメケ』の顔見知りの店員。
磯部慎二
雅人の先輩。合コンに誘う。
友部
京浜高校野球部OBでチームのコーチとともに泰平寮の舎監も務めている。
春山球道
元プロ野球選手を父に持つ。
山田正造
T。京浜高校野球部監督。
佐々木純平
泰平寮で雅人と同室。
星野健太郎
雅人の仲間。
ノブ
小林伸広。
加奈
雅人の妹。
島千渚
中一から付き合ってるノブの彼女。
桜井
エース。
柳沢敬
斉藤健
Posted by ブクログ
○メンバー入りしたことを父に電話で伝えるところ。
×結末。なぜ主人公が退部するのかがよく分からない。監督があっさりそれを許すのも納得感が薄い。
Posted by ブクログ
甲子園を目指す高校球児たちを主役とした青春小説。設定だけを見れば過去に何千回と擦られたものだが、この小説が変わっているのは主人公がほとんど試合に出ないこと。作中で公式戦の打席に立つ場面すら数回で、それも全く活躍することはない。
そうした珍しい描写だからか、小説自体も主観とメタの二重構造になっている。つまり、主人公たちは全国屈指の強豪校で野球をする「野球エリート」でありながら、タバコを吸い、酒を呷り、合コンをしまくるという裏の顔を持つ。ここには彼らの「高校球児である前に高校生」という哲学が介在している。
これがメタ的で高校球児をアイドルのように消費する世間へのアンチテーゼになっていると感じた。
しかし終盤で起こる事件を前にして彼らの哲学は崩れ、「結局、自分たちは一介の高校生ではいられなくて、野球の上になにもあってはいけなかった」という心境に主人公を追い込むことになる。この喪失感のある描写も面白かった。
惹きつけられる文体と、やけにリアリティのある部活描写が魅力的。特に、「大きな目標を共有することでチームメイトとの絆は深まるが、部活を引退して共有目標がなくなった途端に疎遠になる」という描写が生々しい。
それでも無意味というわけではなくて、あの時にあのメンバーで過ごした濃密な時間が今の自分を形成している、と個人的体験から思う。閉ざされたコミュニティにおいて幼い価値観を擦り合わせた経験は貴重だったのだと。
一風変わった視点から、部活の懐かしさと良さを思い出させられた。