早見和真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『ザ・ロイヤルファミリー』
第1章:知らなかった競馬の世界への扉
普段は競馬をせず、レースの経過も知らない僕ですが、SNSでの話題をきっかけに本書を手にとりました。
そこに広がっていたのは単なるスポーツやギャンブルではなく、人生のすべてを懸けた熱い人間ドラマでした。
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第2章:絶対の信頼と、宿命の血脈
作品の魅力は、ワンマン馬主、オーナーの山王耕三と、彼を支えるマネージャー・栗須栄治の絶対的な信頼関係です。
経営者は、リスクに敏感です。
それゆえ、「人は裏切る」という性悪説の視点も織り込んで業を励行します。
オーナー山王氏の「だからこそ俺を裏切るな」と迫る凄みに、わけもあり一気に引き込まれました。
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第3章:父を超えたい執念と、隠し子の涙
真に涙を誘うのは、山王の隠し子である耕一の葛藤です。
「父を超えたい」と執念を燃やすものの、挑むほどに父の背中は遠ざかります。
ましてや、もう、この世にはいないのですから、、、。
血統の世界で無名馬が奇跡を起こす展開。
また、人間が馬の特性に寄り添う姿にも深く胸を打たれます。
馬そして人間双方における、血の宿命が生み出す、紡ぐ物語に胸が締めつけられたのは、自然なのかもしれません。
静かに涙が溢れ出したのでした。
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第4章:時代を超えて受け継がれる、魂の物語
本作の真骨頂は「継承」のドラマにあります。
馬の血統だけでなく、人間の執念や愛憎までもが時代を超えてバトンされ、ラストへ向かって結実していきます。
まさに、馬のようにゴールにむけて疾走する展開です。
競馬の知識が全くない人でも一気に引き込まれ、読み終えたときには、馬の走りを見たくなるそんな名作です。
ぜひに、ご覧ください。 -
Posted by ブクログ
早見和真の作品には、ものすごいパワーを持ったものが多い。
その中でも、この作品がダントツだな、と思いました。
中学三年生の新学期が始まる時から翌年の春まで、時間の経過と共に32名の生徒たちが成長していく様が描かれているのですが、さすがだな、と思ったのは主に2点です。
まずは32名の生徒それぞれの事情や人物像が、しっかりと描かれていること。
そしてもう一つが、生徒一人ひとりが主役になるタイミングが絶妙であったことです。
執筆前に、よほど練り上げられたのでしょう。
著者に対しては、ただただ畏敬の念があるばかりです。
生徒たちの成長、自立する姿があってこそ、熱く命を燃やし、生徒たちに言葉をかけ続けた先生の存在が、より偉大に見えてなりません。 -
Posted by ブクログ
まず三十二人すべての生徒にスポットライトが当たるという作風がとても良い。誰ひとり脇役ではなく、人それぞれの背景や思い、悩みなどが語られる。
加賀美先生だからこそ
与えられる・伝えられる32人への教え。
'お前ら、人が死ななくてもちゃんとやれよ。人が死ぬからがんばるんじゃない。誰かが死ぬから毎日が尊いわけじゃない。余命を聞いたから周囲の人間が大切になるんじゃない。それでも当たり前のように日常が過ぎていくことが尊いんだ。いまのみんなにはわかると思う。平凡だと思う毎日を、今日1日だけでいい。大切に生きてください。'
終盤に加賀美先生から発せられるこの言葉の説得力が半端ない。
作中で語られた我行我素、わたし自身もこの言葉をこころに留めておきたいと心から思いました。
文句なしの⭐︎5です。 -
Posted by ブクログ
読んでいて何度も、中高生男子だった頃の自分を思い出しました。航太郎の、母への接し方や言動。素っ気なかったり、でも要所要所で本音をぽろっと漏らしたり。あの距離感、身に覚えがありすぎました。
そして、それ以上に心を動かされたのは、菜々子の――子に向けるまなざしでした。作中で何度も、母親たちが咀嚼しきれない思いを抱えたまま、感情を爆発させて泣く場面が出てきます。その思いに共感なのか何なのか、感情がぐいと動かされて、気づけば目に涙が滲み、頬を伝っていました。母親でもないし、息子はまだ小学生。だから、それが「親として」の感情なのか、それとも「かつて母に接してきた息子」としての感傷なのか、正体ははっきりしません。 -
Posted by ブクログ
今年読んだ本の中で1番良かった。
甲子園出場を目指す息子の姿を「母」の視点から描かれた作品。
母の菜々子は、1人息子の航太郎を育てるシングルマザー。夫の健夫とは、航太郎が9歳の時に事故で死別。
航太郎は、中学のリトルリーグ時代から野球の才能を発揮し、高校では名門の希望学園・大阪の野球部へ進学。母の菜々子と離れての寮生活となった。一方、母の菜々子自身も航太郎の後を追う形で大阪に移り住んだ。慣れない土地で、強豪校特有のの保護者間での上下関係、古くから続く理不尽なしきたり、などに苦悩しながらも懸命に日々を生き抜いていく、
母 菜々子の視点では、年2回の帰省や試合の応援、親同士の会話からしか、航太郎の様子を知るすべはない。しかし、補欠の時でも、練習や試合の応援でチームを盛り上げたり、試合の伝令係としてマウンドに出ればベンチメンバーやマウンドの応援席が盛り上がっていたり、チームメンバーの誰からも愛される「航太郎」に変わっている様子が伝わってくる。親の知らないところで一回りも二回りも成長していることを実感することができる。
また、最後の夏の大会のシーンでは、脳内で情景を鮮明に思い浮べることができるくらいリアルな描写で描かれており、野球に全く興味がなくとも、思わず心が熱くなる、そんな本。