早見和真のレビュー一覧
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ネタバレあまりにも悲しい、辛い、虚しい、、、そういった言葉だけでは形容しがたいほど衝撃を受けた。
章が進むにつれて加速度的に物語にのめり込んだ。
次の日仕事にも関わらず読み始めてしまったのが運の尽き、寝不足で仕事へ行くことになってしまった(まったく後悔はない)。
最後のシーン、心の底から「お願い!気を失って!」と何度も脳内で祈り叫んでいた。声に出ていたかもしれない。
けれど、ふと我に返ったとき、
それは田中幸乃にとって幸せなのか?
この気持ちは彼女を取り巻く人達と同じように、一方的な優しさという名の傲慢ではないのか?
と気づかされた。
複雑な感情が脳内をぐるぐる渦巻く読後感がしばらく続いていた中 -
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「受かった。ココに行くことにする。」
「受かったのか…。母さんは反対しているぞ」
40年以上前、大学受験の合格発表を東京まで見に行き、兵庫県の自宅に電話した僕。そして、それに対する父からの反応だ。
表面的には大きく揉めることなく僕の希望が通った。ただ、スッキリした「おめでとう」を聞いていないような気もする。(僕の知らないところで両親および親戚などでいろいろ議論があたったことは後々聞いた)
そんな「あの日」のことを何度も思い出した。当時の選択に対して後悔はないつもりだ。ただ、「もっとよい決着の仕方があったのではないか」と、この物語を読んだことで少し考えた。
(塾通いは未経験。高校進学まで特 -
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解説によるとこのお話は市営住宅の一室で十七歳の少女が集団暴行で死亡した事件が題材になっています。
物語は毒親に育てられた美智子から始まる。
美智子は常にこの状況から逃げたいと思いながら、親のせいでこの街に住み続ける事になる。
娘のエリカも同じ様な境遇で東京に逃げたいと思いながら、結局と母親と同じく、この街に住み続ける。
どちらも共通するのは親などの周りのせいにして人生を諦めている典型的な他責思考。
そういう人に限って常に他人に依存していかないと生きていけない。
こういう子供の様な大人が事件が起きた一室という環境を作った。
被害者の家族は小学校までは理想的な家族。
そんな家族を小6の兄が
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ネタバレ2022年に単行本で既読
美智子、エリカ、陽向が同じように母に縛られこの街から出ていけない。落ちていくたび加速し、激しくなる。こちらから見ていると、そっちじゃない!と理解できるが渦中の人にはわからないものだろうな、私も同じことをするかもしれない。大げさなきっかけでなくとも躓きから大きな谷間に落ちてしまう、戻るきっかけかあっても仲間内から足を引っ張られる。やらない言い訳は限りなくあるしそっちの方が簡単。一番つらいのが紘子の母だと思った。本人はもちろん周りの人もどんなに傷つくだろう。陽向が断ち切り明日香には続かない、そんな未来が見えて救い。 -
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ネタバレ前作を読み終えた勢いのまま読み始めたこの本。
途中までは正直、面白いけど、やっぱり前作を超えることはないかなーと思いながら読み進めていた。
第五話で店長目線の話になったとき、これまで繰り返し“ステイフーリッシュ・ビッグパインで第五章で主人公が変わるのがすごい”ことが書かれていた事を思い出して感動した。この本でも第五話でそれが起こった!これか、この本の仕掛けはこれだったのか…!と。
そして第五話の中で出てくる丸谷武智くんを並べ替えると竹丸トモヤであることに気づいた時には鳥肌が立った。え、店長、竹丸トモヤと友達だったんだ…!と。
それだけで感動しながら読んでいたのに、最後は山中多佳江さんがステイフ -
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おもしろかった。予想と違う展開が多くて、やめられなくて一気に読んだ。出てくる人がみんな一生懸命なのも、気持ちいい。
最近は、章ごとに視点が変わる本に当たることが多かったのだけれど、この本は、最初から最後までずっと主人公の視点で書かれている。お話が途切れなくて、感情がよく伝わってきて、やっぱりいいなと思った。
中学受験をした主人公と違って、ぼくは、高校受験が初めての受験になるのだけれど、ぼくの受験も、こんなふうになるといい。行きたい高校が見つかって、そのために家族にプレゼンをしたり、集中して勉強したり、大変だけど、やりたいことのためにがんばる。
残念だったのは、『店長がバカすぎて』の武蔵野書店が