早見和真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
苦しさや熱さがダイレクトに伝わってくる小説だった。
スポーツに関する作品を好んで読むわけでもなく野球にも詳しくないので、正直読み始めた最初の頃は少し気乗りしていなかった。
それでも読み進めていくにつれ話の先を知りたくなったし、終盤には完全に感情移入していた。
試合で一喜一憂する人たちの様子が伝わってきて、普通に泣きそうにもなったくらい。
試合の展開を書かれてもぼんやりとしかイメージは出来なかったが、それでも勢いが伝わってくる。
それぞれの人生があって、立場が変わってようやく気付くことも増えていくのが面白かった。
親子というもの以前に、一人ひとりの人生について考えたくなる。
最後まで語らないで展 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読めば読むほど店長という人間がわからなくなる。わからないものは怖い。私は正直この店長がちょっと怖い。
はっきりとバカだということが確定してくれたらどんなにいいことか。しかし相手が愚かであることを望む私の人間性も我ながらどうかと思う。……実は宇宙人でしたってオチでも納得できるかもしれない。
別の本で出版社と書店の間に存在する歪みみたいなものを知る機会があったので少しは知識があったつもりだけど、書店で働いている人目線の話を、しかもお金に換算した具体例を出されてやるせない気持ちになる。多少脚色はされているんだろうけどね。
わりかしきれいに終わっているが既に2作続編が出ているようなので、次はどうい -
Posted by ブクログ
なんでも自由自在に書くなぁといったイメージの早見和真さんですが、デビュー作「ひゃくはち」も高校野球モノ、ご自身も桐蔭野球部所属との事で、野球部とはもともと関係が深い方のようです。
とはいえ、タイトルからもわかる通り本作は、野球部員ではなく、その母親が主人公。身近に強豪野球部員がいなくても、サッカー部でもバスケット部でも、なんならハンドボール部でも、そこいらじゅうに「○○の母」は存在します。
私自身はあの体育会系の親の暑苦しさは大の苦手ですが、子がそういった方向に進めば、親は好む好まないにかかわらず巻き込まれちゃいますよね。共感せざるを得ない舞台設定。もう絶妙です。
さらに本作を高校生の息 -
Posted by ブクログ
現在、小説『ロイヤルファミリー』がまたドラマ化され注目を集めている作家、早見和真さんの6つの短編からなる小説。表示が素敵なので即買い。
主人公はいずれも東京に住む27歳の同じ歳。会社員であり、アルバイトであり、派遣社員だったり、バーテンダーであり、そのうちの2人は恋人同士だったりし、またそれぞれの主役の話に、脇役として登場したりする。この辺りの設定がうまいなあと思う。
自分が主人公でもあり、人の人生においては脇役なんだけど何かしらの干渉をし合うもの。そんなドラマチックな要素がたくさん小説に含まれている。
また主人公の年齢が27歳というのも、物語を一層面白くしているのかな。自分自身の27歳