早見和真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実際の事件をモチーフに描かれた本作は、一人の女子高校生が同世代の子どもたちから暴力を受け、命を落とすという痛ましい結末へと向かう物語だ。しかし物語は単なる事件の再現ではない。加害側に連なる一人の女性、さらにその母や祖母へと時間を遡りながら、世代を超えて受け継がれる「負の連鎖」を丁寧に描き出していく。
本作の核心は、暴力そのものよりも、それを生み出してしまう土壌にある。家族は仲良くあるべき、親には感謝すべき、分かり合えなくてはならない——そんな日本社会に根付く“暗黙の了解”が、登場人物たちを静かに追い詰めていく。誰もが苦しさを感じながらも、その枠組みから抜け出せない。抜け出そうとしなかったのか、それとも抜け出す術を知らなかったのか。その曖昧さが、物語に重い余韻を残す。
特に印象的なのは親子関係の描写だ。親は絶対的な存在として価値観を与え、子どもは成長とともに社会とのズレに気づいていく。その違和感はやがて軋みとなり、やり場のない感情が連鎖していく。本作は、その過程を責めるでも断罪するでもなく、淡々と、しかし鋭く描き出す。
読後に残るのは、単なる悲劇への同情ではなく、「自分もまたどこかで連鎖の一部になっていないか」という静かな問いだ。家族という最も身近な関係の中に潜む重圧と孤独を見つめ直させる、重厚で示唆に富んだ一冊である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わってから実際にあった事件をモチーフにしていると知りました。
なんて悲しい話しでしょう。
とても重いお話で、この本を貸してくれた友人も
『落ちてる時に読んだらダメだよ』
と念をおしてくれたことも頷けます。
虐待の連鎖…。
虐待ではない?けれど母娘の歪んだ関係。
母が娘に依存してがんじがらめにしてしまい結局娘も同じ人生を歩んでしまう。
そして起きた事件…。
最後にこの母娘四代にわたる連鎖を断ち切るのは四代めの娘。
お腹に娘を宿している。
どうぞ本当に断ち切れますように。
このお腹の子供はそんなことを知らずに育ちますように…と願わずにはいられません。
重くて読むのがしんどいけれど読めて良かったと思うお話でした。
(Word)
・人生は誰かのためにあるわけやない。生きることを絶対に誰かのせいにせんといて。あなたの人生はあなただけのものやから。 -
Posted by ブクログ
ジャニーズ問題なんて全く興味なく、へぇーとか
ふーんみたいな感じでずっと思ってたけど
ふと、あれそういえばどうなったんだろう?
と考え、購入して読んでみた。
賛否両論あるとは思う。もちろん。
ただずっと前から思ってたのは、噂があるにせよ加害をしたかどうかも分からない当の本人がこの世におらず
親族ってだけで矢面に立たなきゃいけなくなったということ。
会社を継ぐ継がないも含め、親族であるということだけで。
それって今更謝る必要あんの?と正直思っていた。
あとdisるだけdisっておいて、その後は一切報道しないとか。
色んな悪い意味でヤバい人が沢山いたのかなと思ってしまった。
ただ、ジュリーさんは違った。
赤裸々過ぎて、すごいインタビュー本に出会ったなという感想。 -
Posted by ブクログ
高校時代に出会った友人と共に政治の世界で生きていく、その友人をコントロールして、、、というプロットだと思ったら、実は別にその友人をコントロールしようとしている人が、という話でした。タイトルや表紙の通りですね。
語り手が非常に多く主人公を意図的にわらなくしていたのだと思います。結果としてすべての語り手が信頼できない、何か騙されている感があって何とも言えない感じ。
この話って操られているとされる政治家 清家一郎が大学時代に「エリック・ヤン・ハヌッセン」というヒトラーを操っていたとされる男をテーマに卒論を書いていたというのが一つの問ですが、作中の登場人物と同じ捉え方をすると騙さる感じ。なんか作中の登場人物達が無駄に話を難しくしてるような、そんな気分にさせる本でした。 -
Posted by ブクログ
ちょっと人生に立ち止まっている人達の物語。
1話目 鬱の診断を受けたのに、彼女が妊娠。結婚の約束をしてしまい、ニッチもサッチもいかない男の人。
2話目 彼女と結婚したいのに、正社員の仕事がみつからない。
3話目 彼氏と結婚したいのに、誕生日さえ忘れられている。幸せを探す女の人の話。
4話目 ドラフト4位指名を受けたピッチャー。しかし4位だったことで、監督や父親が進学して上位指名を目指せと唆す。しかしメンタルをやられてしまい…
5話目 大学時代の初めての彼氏と同棲。いずれ結婚を考えていたものの、仕事にやりがいを感じ始めてから彼氏との仲が悪くなっていく。
6話目 7年間にわたる交際の末、振られてしまった彼氏。どうにか復縁しようと頑張るが…
読後感は悪くない。みんななんとかしようと足掻いていて、好感がもてる。作中に1-4話の人達はハッピーな状態なのかなという感じで描かれているが、5-6話がどうなるのかは不明。ちなみに私は後腐れなく別れた方がいいと思うんですけどね。 -
Posted by ブクログ
自分のイヤだと思うところをぐりぐり抉られ問題を直視させられるのに、各章の最後にはなぜか前を向く勇気をくれる、不思議で素敵な短編集だった。
私と同じ年代の主人公たちが、
「わたしたちはもう二十七歳なんじゃない。まだ二十七歳であって、その「まだ」はべつにいつまでだって続くのだ。まだ三十歳の、まだ四十歳の、まだ六十歳の、まだ百歳の人生があるはずだ。わたしは必死にそう生きたい。そのときどんなにおばあちゃんになっていても、心が赴くのなら、オーストラリアにだって、どこにだって行けばいい。」
と、まだ何でもできると思いたい、祈りにも似た願望をはっきり肯定してくれて、
「もうみんな誰かを傷つけたり、傷つけられたりしなきゃいいのに。どうせイヤでも世界はいつか終わるんだから」
と、今を一生懸命に生きる勇気をくれた。
しんどすぎるなぁと思ったとき、じぶんがいやになりそうなとき、ここに帰ってこようと思う。 -
購入済み
あ~~~~~~、、、、
良すぎる、良すぎたよ、、、
もう何から感想を書いたらいいか分からないけどこんなに泣ける高校野球の小説は初めてかも。
高校野球の小説の中では一番泣いたかもしれない。
強豪にありがちな理不尽なルール、親の間にすら色濃く存在する上下関係、すごくリアルだなあと思った。甲子園を夢見てそれに向かって努力する高校球児の物語であり、中学高校と野球を通して母と子で成長していく話でもあった。
航ちゃんも野球部の子もいい子すぎて眩しかったよ。(´;ω;`)