早見和真のレビュー一覧
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ネタバレイヤミスの部類に入るんですかね。
私事ながら、幼い頃から住んできた地元に今もいて、日頃から、自身について身に覚えのない数々の噂を聞かされ、陰で他人の罪を様々に押し付けられたままでいるらしいことに関して、現在進行形で経験し続けている個人的立場としては、場面場面のリアリティと共に、やりきれない読後感をもたらす作品でした。
佐渡山の空想内でとはいえ、幸乃と連れ立って光に包まれる情景描写のある慎一も、最終的に無事ではいないのかもしれませんが、真実が報道されるなんて形でだけでも、現生での救いの描写があって欲しいかな。
法治国家住みとは思えない、僕自身を取り巻く、長年の陰湿極まりない環境を鑑みるに、実際に本作のような一連の事情が発生しても、闇から闇へ葬り去られるのかもなという気しかしませんが。 -
Posted by ブクログ
「24時間ご機嫌で居られる中学生は、きっとこの世にはいない」
みたいな文を何かの本で読んで
過去の自分や我が子を見て、なるほど上手いこと言うなと思った。
中学生、ツンツンしてるのに繊細で不安定で
自分の中学時代を振り返っても
絶対にあの時期には戻りたくないと思うくらい
私もめんどくさい中学生をやっていた。
そんな時期に、本書に出てくるセンセイと出会えたら
大袈裟ではなく人生の中の何かが変わるんだろうな。
元中学生だった大人にも、現中学生にも是非読んでみて欲しい。
昔の自分や、今めんどくさい時期真っ盛りの子供を思いターダー泣いた。
今日一日だけ、私も頑張ってみるか。
記念すべき登録1700冊目。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ親友から勧められて読んだ本。序盤は、主人公である田中幸乃を取り巻く人達のいじめや負のエネルギーに、吐き気がするほどの嫌悪感を抱いたが、同時に田中幸乃にも「なんでそうするの?」と思わずにいられなかった。もし自分が知り合いとして田中幸乃の近くにいたら、きっと「こうした方がよい」とか「こうすべきだ」とか言っているだろうと想像するが、もし、それでも田中幸乃が変わらなかったとしたら?。。。いつの間にかその説得を諦めてしまうのでは?。。。そして、自分ではこの人の意思を変えられないと思い、田中幸乃の元を離れるのでは?。。。と考えてしまった。
人の意思を変えられるほどの強くて熱い気持ちを持てる相手は、よほど好きになった人か大切な人に限られるのだと気付いた。人を変えることはそんな生半可なことではない。だけど変わると信じて伝え続けるしかない。
そして、田中幸乃もまた「純粋に」相手を信じて、我慢し、努力もしている。ただ信じる相手や、我慢や努力の方向性が違っているだけ。もし、信じる相手や、我慢や努力の方向性が正しかったなら、死にたいではなく生きたいだったなら、田中幸乃はいつか幸せになっていたと思う。とても純粋で強い芯を持って日々を生きていたのだから。
タイトルの意味が、読後に理解できた。 -
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ネタバレ死刑を宣告された女性、その女性の半生が各章ごとに別々の人物の客観的視点から語られていく。本人視点の章は1章だけだったと思う。
プロローグですでに死刑囚だと分かっているから、その事件にいたるまでの物語、死刑になるほどの事件を起こした人物がどのように出来上がったかの物語だろうと思い、読み進める。しかし、各章を語る人物それぞれの生い立ちや過去に闇があり、事情や思いがあり、人と人との関係のちょっとしたボタンの掛け違い、歯車のずれのようなどうにもならないことが重なっていき、もどかしい。
この本を手に取ったのはYouTubeで紹介されていたのを見たから。紹介していた人は読み終えたあと、立ち直れない、動けなくなるような本だと言っていた。たしかに、ラストは救われないものだった。光が見えてすぐにラストがきた。なんで…と思ったのも確かだ。しかし、それだけでもなかった気がする。
人が人に対して「その人のために」と思ってすることが必ずしも相手にとってもそうであるとは限らない。「死刑」という制度があり、「殺人罪」という罪がある社会だからこそ、「死を望む」ことは「生きる」ことの対極にあると思わされる。しかしこの結末からは「死」もまた生きることの一部なのだということを改めて考えさせられた。
また、「その人のために」とした行為が相手の意志とは一致しなかったとしても、そこにあった”思い”までがなくなるもわけではない。その”思い”は伝わるのだということ。伝えてもよいもの、伝えるべきものだということを感じた。
考えさせられる物語だった。救いがないように思えるラストの中にも、光があるような気がした。 -
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甲子園を目指す球児、その母の視点から描かれる高校3年間。
息子たちの爽やかな青春スポーツ物語とはウラハラに、
親たちの世界はなんともシビアなのが印象深かった。
保護者間にも厳しい上下関係があり、理不尽なルールでがんじがらめになって、時にはお金も絡んでくる。
それでも野球部内での息子の立場を思えば、耐えて従うしかないのか…
泥をすするようにして支え、息子の未来に心血注ぐ姿はちょっとこわさを感じたりもする。
…と、最初はそんな気が滅入るお話かと思ったけれど、
母菜々子と息子航太郎、まぶしい成長のお話だった。
とくにシングルマザーであり、ひとりの女性の生き方として、菜々子の在り方には心打たれた。
航太郎との距離感は、もどかしくて高校生の親子ならではだし、そこに不慣れな大阪弁がいい緩衝材になって、なんか微笑ましくもある。
寮生活を送る航太郎と離れて暮らしていても、親子揃って、
後輩に自分と同じような辛い思いをさせないようにするところも胸熱。
親友となる香澄との関係性や、少しずつ周りの信頼を得ていくのも感動。
最後の最後まで展開が読めない構成になっていて、
後半は読むのがとまらなくなってしまった。
そして気づいたら泣かされている。。
ほっこりあたたかくなる読後感。 -
Posted by ブクログ
どこかで上司や会社を斜め上からみて心の中でバカにしている。自分だったら絶対こんなことはしないのに。なんでこんなバカな組織を作っているんだろう。そんなことしか考えられていなかった。でも、自分よりも遥かに経験を積んで実際に実績をあげている人達が作っている組織。それには必ずなにか理由がある。今までの自分はなんて愚かだったんだろうと思うけどこれは経験を積んで自分で失敗して成長しない限りわからない。だからいま気付けたことに対して上出来だと考えることにする。
また、仕事を辞めることは簡単だし今の時代も転職が当たり前になっている時代。誰にも咎められない。でも主人公のようにまだ成し遂げられる可能性がある、なにか成し遂げそうな気がするそんな感覚。それを無視して途中で投げ出すのってやっぱり勿体無い。続けることだけが美徳ではないこの時代に、自分の力で自分の可能性を信じて選択をし続けることって本当に難しいけれど、沢山悩んだ後悔のない未来というものが待っているのだろう。
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Posted by ブクログ
物語の大部分は、まるでマトリョーシカを何枚開けても同じ顔が出てくるような、平坦で静かな道が続く。相手に合わせて操られることを良しとし、関わる人間を心地よくさせてきた清家。だが、周囲が「扱いやすい人形」だと信じ込み、自分たちの理想通りにコントロールしている気になっている間に、マトリョーシカの芯の部分は、彼らの欲望を吸い上げながら静かに成長を遂げていたのだ。
道上が真相を追って周囲を大きく揺さぶっていくものの、それまで操っている気になっていた者たちの傲慢さはことごとく打ち砕かれていく。
クライマックスで関係者一同が揃う展開はどこか古典的な探偵ものを思わせる異質さもあり、決して怒涛のスピード感で読ませるタイプではない。
それでも、感情の窺えない「ガラス玉のような目」でこちらを見つめる清家一郎の底知れぬ凄みがじわじわと恐怖となって残る一作。タイトルの『笑うマトリョーシカ』の意味が重く突き刺さる。