早見和真のレビュー一覧
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『アルプス席の母』は、タイトル通り「母」が主人公の物語だった。
高校球児の母親ではあるものの、主人公自身は野球について詳しいわけでもなく、ごく普通の一般人。
それでも、息子が高校野球の世界に足を踏み入れたことで、本人の意思とは関係なく、その環境に少しずつ巻き込まれていく。
読んでいて印象的だったのは、主人公が決して「特別な存在」として描かれていないこと。
物語は主人公だけで完結せず、息子の同級生やチームメイト、周囲の大人たちなど、たくさんの人が自然に関わってくる。
誰かが絶対的に正しいわけでもなく、全員が味方というわけでもない。
その距離感がとても現実的で、読んでいて強く引き込まれた。
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Posted by ブクログ
覚悟を持って読まなきゃいけない類いの作品。
正直、内容の面白さ云々ではない。自分にはキツすぎた。
田中幸乃、30歳。
元恋人の家に放火して妻と1歳になる双子を殺めた罪で彼女は死刑を宣告された。
凶行の背景に何があったのか。
産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら
彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄。
そしてあまりにも哀しい真実。
幼馴染みの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……
とにかく読み進めるのが辛すぎる内容。
不特定多数に届く切り取られた情報は、真実とは程遠い。
だが、どうすることもできない無力感。
憤りを感じ振りかざすのは果たして正義なの -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。本編も文句なしだったが、最後に掲載されているロイヤルファミリーの競走成績を見ているだけで思わず目頭が熱くなった。
欲を言えばテーマから外れているのも承知の上で、本編で描かれなかった最後の一年を読んでみたかった気持ちもある。
大阪と春天といった春のG1戦線を経ての凱旋門挑戦への決意。フランス・ロンシャン競馬場で行われるフォワ賞での敗北と、日本競馬史上初となる凱旋門賞の制覇。
そして日本帰国後にソーパフェクトと繰り広げられた秋のG1戦線、ジャパンカップを経た有馬記念のラストラン。
正直に言えば、とても読みたい。読みたいが、あの競走成績を見るだけでそういった各エピソードが想起できた時 -
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素晴らしい1冊でした。買うか悩んで、何回も何回も本谷さんに行って、ようやく購入した本だったけど、買ってよかった。出会えてよかった。
簡単に言えば、中学受験をきっかけに家族とはなにか?家族の絆をより深く、そして築き上げることができるという話なんだけど、頑張りはもちろん、葛藤や無気力、色んな気持ちが感じ取れてとても良かった。
受験、特に中学受験に関してはチームワークで、家族の力がないとなかなか難しい。むしろ合否関係なく、家族が崩壊することだって、自分のメンタルがやられることだってあるはずで。
頑張れば結果は見えてくる!はよくある話なんだけど、それだけじゃなくて…。
結果はどうあれあの時頑張った行動 -
Posted by ブクログ
ネタバレ競馬知識はないが、それでもあまりあるくらい感動した。
馬の世にのめり込んだ山王社長、ワンマン企業で一代を築いたがその人生は決して順風満帆ではない。その中でも馬主を続けていくのは馬の向こうにいる人を見て、想いを継承していくことに価値を見出していたからであった。
前半のロイヤルホープも決して栄華な成績とはいえないが、熱狂的なファンがおり、信頼できるチームもいて、確かに次世代へのバトンを渡している。
後半は耕一が馬主を引き継ぎ、かつて山王のライバル関係にあった椎名のその息子とは、別の関係性で切磋琢磨しながら時代を築いていく。山王社長は、栗栖に「絶対俺を裏切るな」というほど、人に裏切られてきた人生であ -
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ネタバレあまりにも悲しい、辛い、虚しい、、、そういった言葉だけでは形容しがたいほど衝撃を受けた。
章が進むにつれて加速度的に物語にのめり込んだ。
次の日仕事にも関わらず読み始めてしまったのが運の尽き、寝不足で仕事へ行くことになってしまった(まったく後悔はない)。
最後のシーン、心の底から「お願い!気を失って!」と何度も脳内で祈り叫んでいた。声に出ていたかもしれない。
けれど、ふと我に返ったとき、
それは田中幸乃にとって幸せなのか?
この気持ちは彼女を取り巻く人達と同じように、一方的な優しさという名の傲慢ではないのか?
と気づかされた。
複雑な感情が脳内をぐるぐる渦巻く読後感がしばらく続いていた中