早見和真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ私が本で夜更かしをする事は余りない。夜更かしをした本は決まって心に刻まれる大好きな作品である。このイノセントデイズもその一冊だ。でもこれまでとは少し違う。夜が更ける感覚すら忘れるくらい作品に夢中になっていた。のめり込んで、ページを捲る手がエスカレートして俺は田中幸乃を知りたがった。プロローグの裁判官の死刑の主文。その一文一文の章で展開され、実態に気付かされていく。田中幸乃という人物の輪郭が見えてくる。一生を追いかける展開。早見さんの作品を何度か見た事がある。それは職業小説だったんだけど、その雰囲気や文章の書き方、作者の癖みたいなものが一切感じられない。まるで別人の誰かの作品のようにみえた。作品
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Posted by ブクログ
ネタバレただのミステリー小説だと思って読み始めたがそこには犯人にしたてあげられた死刑囚の悲しい過去や人生に疲れきった死刑囚の悲しい思いが描かれていた。
人は目の前の報道や誰かの噂話ですぐにこの人はこういう人だと決めつけてしまう。その人の過去やその人が本当はどう思っていたのかも知らないのに。この本は人をしっかりと内側から見てあげないといけないという思いにしてくれる作品であった。
田中幸乃に死刑が執行されることを望まない人達が懸命に動いている一方で、はやく死刑執行がくだされないかと待ちわびる本人、最終的には無実なのに刑が下されたことに喪失感を覚えると共に本人が望む結果になったことで本人は幸せだったのではな -
Posted by ブクログ
実際の事件をモチーフに描かれた本作は、一人の女子高校生が同世代の子どもたちから暴力を受け、命を落とすという痛ましい結末へと向かう物語だ。しかし物語は単なる事件の再現ではない。加害側に連なる一人の女性、さらにその母や祖母へと時間を遡りながら、世代を超えて受け継がれる「負の連鎖」を丁寧に描き出していく。
本作の核心は、暴力そのものよりも、それを生み出してしまう土壌にある。家族は仲良くあるべき、親には感謝すべき、分かり合えなくてはならない——そんな日本社会に根付く“暗黙の了解”が、登場人物たちを静かに追い詰めていく。誰もが苦しさを感じながらも、その枠組みから抜け出せない。抜け出そうとしなかったのか