早見和真のレビュー一覧

  • あの夏の正解(新潮文庫)

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    コロナ禍で中止となった甲子園で強豪校の監督、選手たちの思いを知ることができた。
    この頃の3年生は「可哀想な世代」と一括りにされることが多い。しかし甲子園が中止になったから勝たなくては行けないというプレッシャーがなくなり、忘れかけていた本来の野球の楽しさというのを取り戻せた選手が多くいたことが印象的だった。
    「可哀想な世代」ではなくまさに「貴重な体験ができた世代」だと感じた。
    10年後、20年後「あの夏」について聞いてみたいと思った。

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    2026年03月19日
  • 新! 店長がバカすぎて

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    三年ぶりに吉祥寺本店に店長として復帰した山本猛は張り切るが、相変わらず人を苛立たせる天才だ。
    それでも部下の京子は新人作家の才能に打ちのめされ、好きな作家の新作に心躍らせ、時には泣き、笑い、怒り、日々戦っている———
    (作品紹介より引用)

    谷口京子さんが吐く小気味いい毒や、すべての人物が持つ、魅力的な個性がとても心地よく読ませてくれた。

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    2026年03月17日
  • 八月の母

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    文章が上手いからか、物語への没入感が凄まじかった。第一部の終わりに、叙述トリックにハマっていたことに驚かされる。第二部は紘子視点で描かれていくけど、苦しかった。母性とは何か考えさせられる作品。

    陽向はいつも母親を選び続けた結果、最後には紘子を間接的に死なせてしまった。あのとき、母親を選ばずに警察に通報していれば、紘子は救われたはず。それは、エリカも同じでずっと母親から逃げられず選び続けてきた結果。ラストシーンでは母親を選ばず、正しい未来を選択しようとしたことで不幸の螺旋から降りることができたということだと思う。

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    2026年03月10日
  • 笑うマトリョーシカ

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    ネタバレ

    人に操られ、人を操ることについて考えさせられた。
    操るという言葉だと現実味があまり感じられないけれど、他者に影響を与えるというのは普段のコミュニケーションでも当たり前のようにあるし、他者を束縛する、他者を利用するということも身近なところで起こっていると思う。

    他者へ影響を及ぼさない、ということは不可能だろうから、逆に他者から影響を受けるときに自分自身で考えて取捨選択をすることが大切だと改めて感じたけれど、それこそどのような家庭環境で育ち、どのような教育を受けてきたかが影響するから本当に難しい…

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    2026年03月09日
  • 八月の母

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    ネタバレ

    感想が難しい作品!!
    ただただ、ものすごく深く考えさせられた。
    我が子には同じ目には合わせたくないと思いながらも、負の方向にいってしまう関係や母性。
    プロローグで海外に行くと言っていたのに、なかなか行った先の事が書かれないからこの家族はどうなった?と思っていたけれど…そういう事か…
    母を恨み拒んでた紘子だけど兄の言葉を思い出し最期に母を許した。例え許しても陽向のように、母と娘を縛るものに気づき、手放す勇気をもたないといけない。
    紘子の思いが陽向に届いてホッとした。
    あと健次が良き◎

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    2026年03月07日
  • 八月の母

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    この作品に登場する母親のような人は、きっとどの時代にもいるのだと思う。きっとこれから先も、いなくなることはない。とにかく読んでいて苦しかった。

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    2026年02月28日
  • 八月の母

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    先に感想を読んでいたので、大体の内容を把握して読み進めたものの、この主人公は誰だ?という点が判明した時なるほど!となりました。
    どんな親子関係でも別個体であり本来離れられるものなのに、生活する中で得た洗脳や得られなかった別の環境へ身を置く術がそれを阻むのかなと考えました。
    今はネットもあるから、こういう状況って起きにくくなっているのかなと祈念します。

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    2026年02月22日
  • 笑うマトリョーシカ

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    四国・松山の名門高校に通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。
    故郷、宇和島も出てくる。
    27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。
    「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」
    最初のインタビューでそう感じた女性記者は、隠された過去に迫る。
    マトリョーシカ (大きな人形の中に一回り小さな人形が次々と入れ子状に収められた、ロシアの代表的な木製工芸品(入れ子人形)のこと)が空洞の入れ子になっている人形 中が空洞だから幾つもの仮面をかぶるのか あるいは空洞だから,中に入り込んだ誰かに操れるのか 最後に笑うのは誰なのか その笑いに感情はあるのか中身のないニセモノは、いつかホンモノになれるのだろうか。

    すごく引き込まれて楽しかったのに最後がっかりだな…よくわからなかった終わりかたでした。

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    2026年02月19日
  • 普通に青い東京の空を見上げた

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    27歳が主人公の全6章からなる連作短編。
    今振り返れば「まだ27歳」なのに、当時は確かに「もう27歳」だった。30歳を前にした焦りや不安が、ふと自分の記憶と重なる。
    最後の章で6人が繋がるのだが、各章で主人公の名前が出てこないので、あれ、これ誰だっけ?と結びつけるのが大変だった。

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    2026年02月06日
  • 普通に青い東京の空を見上げた

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    話が繋がってくる短編集
    27歳の男女が主人公
    自分にもこんな時代があったのかと思う一方で、普通に恋愛できたり仲間がいることが羨ましかったり
    自分の人生は自分だけのもの、当たり前だけどなかなか、実践できてなかった
    最後の碑文谷フラワーチャイルドの主人公の気持ちは、若い頃の自分と変わらないと共感したり。あの時に戻れるなら、当時の自分を叱っていたのになぁ。

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    2026年02月05日
  • スリーピング・ブッダ

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    思ったより面白かった。
    宗教の良いところ、悪いところ、人間の強いところ、弱いところ、それぞれの正しさや解釈など、考えさせられる作品だった。

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    2026年01月27日
  • ラストインタビュー―藤島ジュリー景子との47時間―

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    赤裸々としか言いようがない内容。

    ジャニーさんとのこと、母親メリーさんのこと。女帝とはまさにメリーさんのことだな。

    それにしても、NHKのマスゴミたるゆえん。トップニュースや特集組んで大々的に報道したNHKトイレでの加害疑惑は、当時はジャニーさんは海外にいたことが裁判で証明されて加害は無理だったとなったのに、訂正報道はない。NGリストもジャニーズ事務所は一切関わってなかったことが判明したのに、それも報道なし。
    文春もテキトーなことばかり。

    結局、証拠は今でもまったくない。時効来てない人もいるのに警察へ訴える人もいないまま。今もこれからも疑惑のまま。

    落ち着いたら、せめてまったく関係ないのにたまたま補償会社の代表になってしまった東山さんは戻れればいいのに。

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    2026年01月26日
  • 普通に青い東京の空を見上げた

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    この本には多くの登場人物のそれぞれの人生が描かれている。同じ人生を歩んでいる人は1人もいなく、それぞれが違う悩みに葛藤しながら毎日を歩んでいる物語であった。特に、新橋ランナウェイの主人公には個人的に同じものを感じ励まされている気分になった。また、1つ1つの短篇が繋がりのないように思えたが最後まで読むと繋がっていた。「お前はやりたいようにやれ。お前の人生だけは誰がなんと言おうとお前が主役だ。それだけは忘れんな。」という言葉は胸に深く刻まれた。今、同じような生活を送っている人物にもそれぞれの悩みがあり、葛藤があり向き合いながら生活を送っている。自分だけが悩みがあり葛藤している訳では無いと励まされる1冊であった。孤独感に追われた時はまた読み直したいと感じた1冊でした。

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    2026年01月20日
  • ラストインタビュー―藤島ジュリー景子との47時間―

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    正直言って何が本当のことかは分からないけれど、シュリーさんが誠実に語ろうとしていることは感じることができた。出版することで再び渦中に立たされる懸念を抑えてインタビューに応じたのは勇気があることだ。
    知らなかったなんてありえない、と考える人も多くいるが、そう有って欲しくないことをそうじゃないと思い続けると、本当に本人にはそうじゃなくなってしまうことはよくある事ではないだろうか。心が壊れてしまう瀬戸際で多くの人が自分を守る為のごく普通の対応のような気がする。もちろんはた目から見ればそれは嘘だ。しかし、当事者からすればそれは切実な真実なのだと思う。そう考えるとあのメリーさんの奇っ怪な言動は少し理解ができるようになった。

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    2026年01月19日
  • 笑うマトリョーシカ

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    ネタバレ

    早見和真『笑うマトリョーシカ』は、「人はどこまで他者を操り、また操られているのか」という問いを、政治という舞台で極限まで突き詰めた心理ミステリーだ。若き官房長官・清家一郎は、誰もが魅了される理想的な政治家として描かれるが、女性記者・道上の違和感を起点に、その輝きの裏側が少しずつ剥がれていく。

    物語は青春小説的な前半から、第三部以降で一気に加速し、視点が反転するたびに「黒幕はこの人物だ」と思わされ、そして裏切られる。その構造はまさに万華鏡で、読む側は作者の手のひらで何度も転がされる。母・浩子、鈴木、美和子(亜里沙)と歴代の“ブレーン”が清家を操ってきたように見えながら、エピローグで浮かび上がるのは、実は清家自身が彼らを利用していたという恐ろしい真実だ。

    外側と内側で同じ姿をしながら表情の異なるマトリョーシカの描写は、そのまま清家という人間を象徴しているように思える。嫉妬が束縛と憎しみを生み、世界を狂わせるという作中の言葉どおり、この物語は人間心理の暗い穴を覗き込ませる。考察すればするほど背筋が冷える、静かなホラーとして強烈に印象に残る一冊だった。

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    2026年01月18日
  • 普通に青い東京の空を見上げた

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    話が6章に分かれていてそれぞれの主人公は皆27歳で東京に住んでいるという共通点を持っています。
    登場するメインの6人は緩く繋がっていて最終的には結婚式の会場で全員登場します。
    皆それぞれ悩みを抱えていて世の中の不条理な出来事にどうすればいいかを試行錯誤しながら生きているのかなと思いました。
    全体的にシリアスな話でしたが人間の本質を突いた会話や出来事が多かったので妙に現実味がある内容でした。

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    2026年01月15日
  • 小説王

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     小説の編集者と小説家の関係がわかりやすい。
    小説家だけで、小説は売れない。「小説家は一人では完成しない。」編集者はその小説を客観的に評価して、売り出すことで成り立つ。
    「編集者の役割の一つって、作家さんや漫画家さんを勘違いさせることじゃないか」と言い切る。
    そのために、ホストと同じで、ホストしている間は「あなたが世界一価値ある女性」だということを訴えてきた。雑誌『編集王』の時代から、誰も出版の未来について甘い夢を見ていない。

     吉田豊隆は、小説家で、デビュー作で大きな賞を受賞したものの、その後は鳴かず飛ばず。清掃のアルバイトをしながら、世間に忘れ去られかけている「小説家」である。物語を書くことへの執念と「本当に自分には才能があるのか」という恐怖の間で揺れ動いる。

     小柳俊太郎は、 大手出版社「鳳雛社」の文芸編集者。幼馴染である吉田豊隆の才能を誰よりも信じている。出版業界の「売れればいい」という風潮や、数字至上主義に強い嫌悪感を抱いている。吉田豊隆を再び「小説王」の座に押し上げるため、自身のキャリアを賭けて奔走する。

     二人は、幼馴染という強固な絆で結ばれている。単なるビジネスパートナーではなく、少年時代に共有した「物語への憧れ」が原動力だ。編集者の小柳俊太郎が豊隆に放つ「お前は書け。俺が売ってやる」という強い言葉が、二人の関係性を象徴している。

     「才能とは、それを信じる他者がいて初めて社会的な力を持つ」ということである。豊隆が一人で傑作を書いても、俊太郎という「最初の読者」であり「最強の味方」の編集者がいなければ、それはただの紙屑に過ぎない。小説家になりたいという文学青年がいるが、編集者になりたいというヤツはあまりいない。小説家になるためには、物語を書くよりも、編集者を見つけることが重要だ。
     
     小説家という孤独な仕事を、社会に連れていく編集者が何よりも大切で、「誰かと共に何かを成し遂げること」の泥臭さが、前面に出ていて、おもしろい。

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    2026年01月14日
  • ザ・ロイヤルファミリー(新潮文庫)

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    この本面白いらしいですよ、と薦められたのをきっかけに購入。

    私自身、馬が好きだったのでどんなお話かな〜、と読む前からワクワクしました。

    派手に開催される競馬のレース。

    レース自体にどうしても目がいきがちですが、そこにたどり着くまでの、それぞれの馬たちのオーナーさんが主体となった物語でなんだか新鮮でした。

    面白くてどんどん続きが気になり、スムーズに読み進められましたが、「………そこで終わるの?」と少しだけ結末に物足りなさを感じてしまいました。

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    2026年09月13日
  • ラストインタビュー―藤島ジュリー景子との47時間―

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    好きな翻訳家さんのブログに出てきたので手に取りました。
    ジャニーズ関連の事柄に疎く、性被害のニュースは知っていたけど、藤島ジュリーさんがどういう立ち位置の方かわからないような状態で読み始めました。

    大きな柱となるテーマは母子関係、「家業」と向き合わざるを得ない業であると読みました。
    重いテーマではあるけれど、世間を席巻したいろいろなグループの成り立ちや裏話が織り込まれていることで、同じ時代を生きてきた世代の娯楽的な読み物として楽しめる部分もあります。

    構成の中心を対談形式にして本人の言葉を逡巡や口癖も含めて書き起こしているのは、これまでパブリックイメージが一人歩きしてきたことに対抗し、より実像を丁寧に伝え直す狙いがあるように思いました。
    著者が一方的に情報を引き出すのではなく、対談の中で対象者と関係性を築きながら、徐々に本核に切り込んでいく流れが臨場感を持って伝わってきて、互いが死守したいライン、踏み込めるラインを意識しながら攻防していく様にスリルを感じました。

    補償は継続中で物語はまだ動いている最中、いつか後日談も読めたら嬉しいです。

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    2026年01月08日
  • ひゃくはち

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    元野球部のため、一昔前の強豪野球部はこんな感じなんだろうなと、すっと物語に入ることができた。(クリスマス以外は)
    とても面白くエンタメに近い作品のように感じたので、普段読書しない人にも読みやすいかなと思いました。

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    2026年01月04日