早見和真のレビュー一覧
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昨年から本を読み始めていたところ、他に読む予定があった小説を繰り下げて偶然このタイミングで読むことになり、奇しくもこれが108冊目になった。
甲子園を目指す高校野球の話。けれどあくまで男子高校生。リアルで純粋で、どこにでもいる普通の高校生。大人ではないけれど子どもというほど幼くもない曖昧な年代。
がむしゃらに真っ直ぐ野球に打ち込む反面、はめを外して遊び呆けたり、何が正解か不正解かわからない問題に正面からぶつかって葛藤し爆発する姿。これは子どもであっても大人であっても体験できない、10代後半特有の特別な時間。
既に過ぎ去ったその特別な時間を思い出して感傷に浸ると同時に、あのときのメンバー(自分は野球ではなかったが)は今どこでなにしてるかな、と考えた。
そして、そう思い出し振り返ることができる過去があること自体、自分は今、幸せだと思った。 -
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ネタバレ「よく覚えておいて。陽向ちゃんの人生は誰かのためにあるわけやない。生きることを絶対に誰かのせいにせんといて。あなたの人生はあなただけのものやから。それだけは誰にも、ママにも触れさせんといて」
イノセントデイズが好きでシリアスものの早見和真作品が読みたくて購入
母という存在から逃げ出すことができなかった、もしくは逃げ出す言い訳にしてきた女性たちの物語
これまで読んできた本では、毒親から逃げ出すことができた、もしくは殺害することで離れることができた子供の作品が多かった中で、本作は結果として、逃げ出さなかった女性がページ数の半分を占めたなとおもった。
自分の勘が鈍かったので、本のテーマがははからの呪縛のような粘着質な愛を陽向が土壇場で紘子と逃げることができなかったシーンでようやく気づいた。
イノセントデイズのように鬱々とした内容、進行なのに読む手が止めさせない作者の技量はすごいなと思った。
エリカはやっぱり最後まで誰かを言い訳にしてきたことがわかった逆に安心した。これで、10数年間で改心して仲直り! みたいな感じだとがっかりしたと思う。
美智子とエリカは母の存在から離れるを放棄したけど、陽向はそれまで逃げ出すことができない宿命を暗示する夕日の中で明確にエリカと別れることができて良かったと思った。 -
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続編だから登場人物は同じなのに、前2作とは、また全然トーンが違う。
その訳は、前2作と同じ理由だった。
私は、今作の雰囲気が一番好きだ。途中までは、感動して、涙が出たほどだ。
これまでも少しずつ書いてあったが、この本では、書店の存続問題や書店員の在り方を通して、社会的な問題を正面から提起している。書店だけではないよね、専門店が、なくなりつつある。
便利さだけを求めてきたが、どういう社会を作りたいのか、私たちも、もう一度考えて行動しなくてはならないと、訴えかけてくる。
この調子で行くのかと思いきや、その後思わぬ方向へ。谷原京子さんと店長の関係は、私の思ったようにはならなかったけど、思い返せば、今までもこういうテイストだった。店長がバカすぎて、の世界は。
店長は一体どんな人なのか、やっぱり掴めなかった。
見る人によって見かたも変わる。それが正解でいいのかな。
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8月は血の匂いがする。
越智エリカは愛媛県伊予市から出て行くことを強く思っていた。男に裏切られ、スナックで働いている時、七森博司と出会い拒み続けいた自宅へ招待する。そこには娘のアイカと息子レオ、水商売に浸かった母親の美智子が…わかっているつもりでいた博司だが…
月日が流れエリカの団地には高校生になったアイカと中学生になったレオと次女の陽向、レオの彼女の紘子が来る者を拒まず寛大な母になったエリカの家に集うように。
レオの彼女の紘子を我が子のように可愛がり紘子もエリカをママと呼び団地での生活が続くはずが…
逃げ出す事ができたが紘子は陽向を守ることを決め最後の最後まで悪魔達が住む団地から逃げずに陽向を思う。一番に悪魔に立ち向かわなければならないエリカはここには居ない。
母親になった陽向の回想が始まる。
人間の本性をこの物語で知った。 -
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嵐の最後のライブの日にこの本を読み終えたことはちょっとした奇跡のようだ。予約期間数ヶ月待ちだったから。長年嵐に関わってきたジュリーさんの言葉は私たちが知らない嵐の一面を見せてもらえたようで、興味深かった。
ジュリーさん曰く、
五人で始まった嵐が一人として欠けることなく五人で幕を閉じられる。一人も欠けることもなく二十五年駆け抜けてきたことは賞賛されるべきこというより、ただ彼ららしいということではないでしょうか。嵐らしさとは自分たちよりファンのことを第一に考えていること。それぞれのメンバーが他のメンバーを強くリスペクトしていること。一言でいうなら誰かを思いやる気持ちということ、それが強いことが嵐らしさ、なのではないかと。
嵐のことだけではなく、ジャニーズの気になることがジュリーさんの視点から率直に語られ、騒動から時間がたち、今知るのにちょうどよい時だった。 -
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官房長官まで登り詰めた政治家の清家一郎、その秘書で高校からの友人でもある鈴木俊哉、彼らを取材するライターの道上香苗。主にこの3人の視点から「人が人を操る」ことをテーマに話が展開する。心理劇ミステリー、といった所か。
何となく聞いたことがあると思いつつ、たまたま目についたので手に取って夢中になって読み進めた。2024年にテレビドラマ化されていたことを後で知った。一郎らのルーツである愛媛での高校時代のエピソードから現在までを3人の視点で、時が縦横無尽に飛び回る展開。その全てがラストに向かって繋がっていく。
テーマと付随して人がどんなことに対して人を惹きつけていくのか、「自分を演じる」といった心理が描かれる。時と視点ががあちこちに飛び回るが、筋は分かりやすくて追いやすく、面白い。そのためか「やや話が上手く繋がりすぎ」といえ感は否めない。しかしそれを払拭するほど楽しめた。