大門剛明のレビュー一覧
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1.著者;大門氏は、小説家・推理作家で、代表作は「雪冤」「罪火」「確信犯」等です。氏が追求するのはリアリティですが、死刑などの現場を見るのは困難です。リアリティの弱さを経験で補う為に、電車での押し屋アルバイト、新聞配達、派遣労働者・・・を体験したと言います。本書にこれらの経験が生かされ、作品に現実味を持たせています。「色んな事に興味を持ち、人がやらない事にチャレンジ」をモットーにしているそうです。
2.本書;8章構成(序章;あおぞら合唱団~終章;歌声)で、死刑制度と冤罪という2つの重い問題を考えさせる社会派ミステリー小説です。概要は、京都で二人の男女が殺されるという、残虐な事件が発生。容疑者と -
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前作「完全無罪」に続く2作目。本作でも裁判員裁判が焦点となっている。
前作では法廷ミステリーではあるが、法廷を舞台にした記載が少なかったが、本作はいかにも法廷といった流れ。まさかの結論が待っていて、思わず「え?」となったが、法廷での緊張感などは伝わってきて、個人的には前作より楽しんで読めた。
本作は、裁判員裁判で死刑評決を受けた犯行当時19歳の少年の死刑が執行されたことを発端として、その時死刑評決を支持した裁判員が容疑者となる殺人事件が発生。その弁護をヒロイン松岡千紗が行うというストーリー。
人が人を裁くことの難しさもさることながら、裁かれない悪もあることが浮き彫りになる。むしろ、そち -
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ネタバレ社会に上手く馴染むことが出来ない生活困窮者「負け組」達が社会不適合者という定義を作りそれをゴミとする産まれ持っての「勝ち組」の娘を狙う「誘拐事件」。身代金は「四百円」。
主犯の男はメンバーに一千万を渡す約束をし、手伝いを頼む。彼の内に秘めたる想いとは。
そしてそれを受け継いだのか否か一人残った男は何を感じ何を考え、どう動き出すのか。
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私にとって「趣味」が生活の中心でありそれをする為の「仕事」だ。どちらかに全ベットする事は出来ない。恐らく良い意味では無い「マイウェイですよねぇ」なんてセリフはこの人生で100万回言われてきた(産まれてから1日1回言われていた -
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久しぶりに活字を読む時間ができたので。主人公が自分と同じ働く女子なので、感情移入はできました。田島のことを信じたいのに信じられない揺らぐ気持ち、窓を開けるか開けないかの決断する時の狂いそうなくらいの悩みが想像にたやすく、せりなちゃんと一緒に頭を抱えていました。
大どんでん返し!!ってわけではなかったけど、最後にたどりついた答えと、最後の田島さんの自白は真犯人の胸を思って涙が出るほど悲しかった。
出だしから田島側!って思ってましたか、飄々とした掴みどころのない最強検事滝川とイケメン秀才深町弁護士のバトルもっと見たい。
とても面白かったです。 -
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正義とは何か?
ある者は『真実』と言い、ある者は『思考停止』と言い、そしてある者は『人を幸せにすること』と言う。
果たして、本当の正義とは?
大門剛明氏の短編集。全6話。
名門・師団坂法律事務所。
創設者を喪い、経営が傾く中、創設者の娘・芽依は、元医者でやり手の弁護士・鷹野和也を海外から招聘する。
しかし、彼は結果が全てと、大幅なリストラを敢行する。反発する者も多い中、着実にその実力を見せる。果たして、彼を突き動かすものは、何なのか?
それぞれの話を、リストラから残ったメンバーが1話ずつ主役となって弁護に当たる。
各話とも、次第に明らかとなる驚愕の真実とは?
そして正義とは?
いろい -
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大門剛明『正義の天秤 アイギスの盾』角川文庫。
『正義の天秤』の続編。書き下ろしリーガル・ミステリー連作短編。5編を収録。
前作は今一つという感じがしたが、本作は意外に面白い。
短編という限られた時間の中に凝縮される冤罪事件をはじめとする様々な事件の弁護が描かれ、展開が早く面白い。しかし、こんなに簡単には冤罪や無実が証明されないというのが今の日本の司法の現実である。
名門・師団坂法律事務所の刑事事件専門部門であるルーム1に持ち込まれる数々の弁護依頼。様々な経歴を持つルーム1の弁護士たちの活躍が描かれる。
そんな中でハイライトはやはり最終話だろう。ルーム1の筆頭・鷹野和也が長年抱えてい