大門剛明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「正義ってやつが一番悪だよな」
大門剛明一作目
状況証拠と捏造で自白させた事件の再審請求のストーリー
リーガルものなのに読みやすい文体でサクサク読めた
有森達が勝手に決めつけた結論ありきの捜査で冤罪事件が生まれてしまい、改めて偏見から生まれる結論の恐ろしさを感じた。
自分が正義だと信じるもののためなら暴力や証拠の捏造、加害者家族を追い込むことすらする作中で表現された「怪物」を全編を通して読むことができた。
有森にも被害遺族のサポートをしている面もあり、嫌いになれないがそんな人でも主観ですべてを推し進めた独善的な行為はやはり許せないという感情がある。
終章での真山の本音というか抱えている想いというのを知りたいと思わせられた。 -
Posted by ブクログ
昭和18年、三重県伊勢市で一家三人が殺害される殺人が発生。事件当時、谷口喜介は娘の波子とお木曳を見に行ってたのにも関わらず逮捕され、死刑判決を受ける。弁護士の吾妻太一は谷口喜介の冤罪を証明するために奔走するが…
大河小説が好きだ。
Wikipediaによると、大河小説とは“一個人の生涯、あるいは一族の数世代にわたる歴史を、社会的・時代的背景とともに広範囲に描いた長編小説“。時代の移り変わりと共に、登場人物達が成長しつつ世代交代していく人間ドラマに魅了される。既読の大河小説では、『赤朽葉家の伝説』、『檜垣澤家の炎上』、『百年の時効』が非常に面白かった。私の本棚で“大河小説”でタグ付けしているので、興味のある方は是非。ちなみに大河映画だと『ゴッドファーザー』シリーズも好き。
話がそれたが、本書は「冤罪」をテーマとしたリーガルミステリかつ大河小説。冤罪を疑い真実を追い求めて奔走する検事や弁護士らが、時代を紡ぎながら信念を受け継いでいく。およそ80年の時を経て、事件はどう着地するのか。若干作為的な展開が目につくが、読みやすくて読み応えも充分。登場人物の中では本郷辰治が好漢。「法的安定性」について語るくだりが印象に残った。
「なあなあ、あんた」から始まる伊勢弁の語り口も情緒があって良い。私自身、三重県には少しだけ住んだことがあって、本書に登場する伊勢弁「〜やに」とか「ケッタ」とかなつかしかった。伊勢神宮にはまだ行ったことが無い。“神都“と呼ばれる三重県伊勢市山田。いつか行ってみたくなった。
山田風太郎賞 授賞 -
Posted by ブクログ
大門剛明『シリウスの反証』角川文庫。
冤罪事件をテーマにした社会派ミステリー小説。
最近は冤罪が疑われる事件で再審請求が認められたり、再審の結果、無罪判決が下されるケースが増えているように思う。既に刑が執行された事件の死刑囚の中にも、実は無罪だったという人も居たに違いない。
和歌山毒物カレー事件の犯人とされ、既に死刑が確定し、再審請求中の林眞須美死刑囚も冤罪の可能性が高いという。曖昧な状況証拠と林眞須美の家からヒ素が見付かったという、かなり弱い物証だけで死刑囚にされたのではたまったものではない。
さて本作であるが、大門剛明が度々テーマにしている冤罪事件の行方が描かれる。新たな証拠と真犯人が見付かり、再審請求がすんなり通るのかと思えば、そうは問屋は卸さない。予想もしなかった驚愕の展開とやっと見付けた証人のまさかの裏切りや、信じていた人物の思わぬ不法行為といった出来事が連続するのだ。
しかし、余りにも捻り過ぎて、着地に失敗したような感がある。これは最近の大門剛明の作品で度々目に付く欠点である。
元弁護士で大学准教授の東山佐奈が代表を務める日本のイノセンス・プロジェクト『チーム・ゼロ』の元に「助けてくれ。俺はむじつだ。」と書かれた手紙が届く。それは30年以上前に起きた吉田川事件の確定死刑囚の宮原信夫からの悲痛な訴えだった。
吉田川事件は郡上郡八幡町の棚瀬米穀店の店主、棚瀬治、妻の昌子、長男の大地、母のとらを刺殺し、手提げ金庫を奪った強盗殺人事件であった。
『チーム・ゼロ』のメンバーで安野法律事務所の若手弁護士である藤嶋翔太は郡上市の事件現場に足を運び、当時、宮原の弁護士に話を聞くと、冤罪の証拠となる事実が浮かび上がるが、殺人の凶器に遺された宮原の指紋が冤罪証明の大きな壁となる。藤嶋は宮原の一人息子の信也にも話を聞こうとするが、断わられてしまう。
それでも調査を進める藤嶋だったが、その背後には冤罪証明を阻止しようとする事件を担当した検事正の稗田一成と法定で死刑判決を下した法務大臣の鈴木良蔵の怪しい動きがあった。
本体価格900円
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Posted by ブクログ
ネタバレ冤罪と死刑についての話。被害者は加害者を罰する方法として死刑を望むが、殺しの動機・事件の発端となった別の事件など全貌が明らかになるほどに、冤罪となった加害者を守ろうとする側、逆に真犯人を守ろうとする側が存在して、その構造が『メロス(実行者)』と『ディオニス(首謀者)』が誰かを見極めることを極めて困難にしているという展開が魅力的。ディオニスが八木沼をおちょくることで、死刑廃止派の彼が激昂してディオニスへの殺意を漲らせる一方で、その状況こそがディオニスが「別のディオニス(=メロス)」を守るために必要なことになっている‥‥AとBの対立構造が実はCの中にあって、CとDが対立していて、という複雑な状況に見えながら実は事件の全貌は意外とシンプルだったりして、読んでいて止まらなかった。
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Posted by ブクログ
これはやられた!
素晴らしいミステリー
大どんでん返しというわけではありませんが、驚きの真相!
癒し系女性検事の黒木二千花が主人公。
ふわふわした会話で、このキャラはダメか...と依然読んだ「ねこ弁 弁護士・寧々と小雪の事件簿」のダメダメの再来かと思いきや、二千花の悪を赦さないという強い信念を感じさせる物語で、その信念の行きつく先は哀しくも厳しいものでした。
元検事の父親が不起訴とした殺人事件。
その容疑者が再び殺人事件で起訴されます。
その検事が二千花
今度は裁判で有罪となるのか?
弁護するのは、その容疑者の息子。
という展開です。
まず、本件の前に、夫への殺人未遂で逮捕された妻の事件。
DVの夫に対しての正当防衛を主張する妻。
その事件の真相については、驚きの結末と二千花の検事としての切れ味!
好きな展開です。そして、本件です。
状況証拠は間違いなく容疑者が犯人。
弁護士の息子の頑張りもむなしく、そのまま、有罪かというところで突如現れた容疑者のアリバイを証言する人物。
おいおいそんなタイミングで都合よく証言者が出てくるの?っと思います。
結果、裁判の判決は無罪。
しかし、その裏側ではという展開で、唸らされます。
何が正義なのか?
そして、二千花が明らかにした真相..
これは、すごい!
続編あれば、読みたいけど、これを超えるのは難しいでしょう(笑)
とってもお勧め。