大門剛明のレビュー一覧
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物語は、広島で起きた殺人事件の公判シーンから始まる。
目撃者である被害者の息子の証言も空しく、被告人に無罪が言い渡される。
14年後、無罪判決を言い渡した当時の裁判長が、判決は誤りだったと認めた後、何者かに殺されたことから事件が再び動き出す。
切れ者の女性弁護士・正木響子、エリートコースには乗り損ねたものの、野心だけは人一倍の元裁判官・穂積直行、司法官僚の娘・高遠乃愛、その恋人で14年前の事件の被害者の息子・吉岡拓美が広島マツダスタジアムを舞台に、事件の真相に迫る。
司法制度の抱える問題を盛り込んだ社会派作品に留まらず、ミステリとしても二転三転まさかの展開で息がつけない。
主役と思っていた人 -
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愛知県警本部捜査一課の刑事・柴崎の娘が何者かに殺された。必死の捜査もむなしく事件は宮入りした。15年後、継続捜査専従捜査班と共に捜査に当たっていた所轄の刑事・川澄は、犯人と目される男の身元を特定、逮捕の一歩手前まで追い詰めた矢先、男が殺害された。
殺したのは柴崎なのか?逮捕された柴崎が完全黙秘する理由とは。事件の背後に浮かび上がる元警察高官の許されない行為、二転三転する事件の姿。
最初から怪しい、こいつが犯人!と睨んでいた男が結局いいやつで、結末はな~んだっていう感じ。
途中までの引っ張り感と、ワクワクが凄かっただけに、真相は地味でちょっと肩透かし感が否めないなぁ~。
ただ、血液のDNA型鑑定 -
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社会の底辺と言われる沖田たち4人、彼らが計画した誘拐計画とは?
生活困窮者の自立を支援するジョブトレーナー・沖田は、仲間3人とともに、過激な発言で注目される富豪の原沢の娘・詠(えい)を誘拐する。
しかし、その要求する身代金は、なんと『400円』...
なぜ、そんな金額を?
そして、一旦、誘拐が上手くいったように見えたが、更なる裏があった。なんと...
やがて、沖田の遺志を継いだ柳瀬が、第2の誘拐計画を実行する。その内容は?
二転三転するストーリーに、はらはらドキドキします。
あまり、謎解きの要素は少ないですが、最後は切ないですね。
本当に、人は変われるのだろうか?
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殺人事件の被害者遺族にとって、加害者は絶対に許せない存在だろう。その身になってみなければ想像もつかない。
しかも、時効制度のあるころは、その壁に耐えがたい無力感を味わっていたことだろう。
現在は、時効が廃止され、生きている限り加害者を追いつめる。けれども被害者遺族にとっては、時は解決せず、何の癒しにも慣れない。まさに「氷の秒針」。
加害者もその行為から一生逃げ出せない現在、時効後に名乗り出た犯人が殺されるという事件と、時効前に犯人が名乗り出る二つの事件を中心に、その被害者遺族をめぐる社会はミステリー。
二転三転の劇的な展開のあと、最後の救いに読者も癒される。 -
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真犯人が死の間際に残した過去の罪の告白。
だが、「一事不再理」によって二度と同じ事件で罪を問うことはできない。
司法というものに正面から向き合おうとした物語だった。
構成は悪くないと感じたけれど、登場人物がどうにも好きになれなかった。
後半部分で中心となる高遠と穂積だけれど、いまひとつ深みがないように感じた。
「確信犯」にこだわった意図は十分に伝わってきたけれど、それでもどこか推敲途中の物語のような思いが残った。
「確信犯」が行動するとき、そこには必ず犠牲者が出る。
正義のための犠牲だと信じる者だけが、「確信犯」になれるのだろう。
どことなく後味の悪さを感じながら本を閉じた。 -
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ネタバレ逮捕されることのなかった伝説の義賊「ねずみ小僧」。
そして生活保護を詐取していたと思われる者の死。
ケースワーカーである石坂の目を通して生活保護制度の矛盾点だけでなく、事件に隠された・・・犯人が隠したかった謎があきらかにされていく。
ある種の制度があれば、必ずそこには不正を働く人たちがいる。
悲しいことではあるけれど、すべての人が善良であるはずもなく、一部とはいえ制度を悪用する人たちも出てきてしまう。
金銭が絡む制度ほど、担当する人たちだけでない第三者的なチェック機関が必要とされているような気がする。
もちろん、費用や人員などの問題があって現実味はないかもしれないけれど・・・。
物語は生活保護 -
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ネタバレ負け弁シリーズ3作目。そして完結編。冬子事件も明らかになり、それにまつわっての実花の誘拐事件。何かこんな時に誘拐っておかしくね?そこがいまいち納得できない。まぁトリックのためなんだろうけど、いくらなんでもリアリティがない。しかし、薬物で大切な家族を殺されちゃあなぁ。頭では分かってもやっぱ切ない。脅されて、とはいえ、無罪かー。しかも親も腹立つし。正直、せめて世間からバッシングを受けろ、と思う。しかし、冬子はどうして黙秘なんかしたんだろう。無実なら話せよな。深町が信じられないってか?それなら真犯人は誰なんだ。これが明かされることはないんだろうなぁ。