大門剛明のレビュー一覧

  • 確信犯

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    物語は、広島で起きた殺人事件の公判シーンから始まる。
    目撃者である被害者の息子の証言も空しく、被告人に無罪が言い渡される。
    14年後、無罪判決を言い渡した当時の裁判長が、判決は誤りだったと認めた後、何者かに殺されたことから事件が再び動き出す。
    切れ者の女性弁護士・正木響子、エリートコースには乗り損ねたものの、野心だけは人一倍の元裁判官・穂積直行、司法官僚の娘・高遠乃愛、その恋人で14年前の事件の被害者の息子・吉岡拓美が広島マツダスタジアムを舞台に、事件の真相に迫る。

    司法制度の抱える問題を盛り込んだ社会派作品に留まらず、ミステリとしても二転三転まさかの展開で息がつけない。
    主役と思っていた人

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    2019年07月12日
  • 両刃の斧

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    愛知県警本部捜査一課の刑事・柴崎の娘が何者かに殺された。必死の捜査もむなしく事件は宮入りした。15年後、継続捜査専従捜査班と共に捜査に当たっていた所轄の刑事・川澄は、犯人と目される男の身元を特定、逮捕の一歩手前まで追い詰めた矢先、男が殺害された。
    殺したのは柴崎なのか?逮捕された柴崎が完全黙秘する理由とは。事件の背後に浮かび上がる元警察高官の許されない行為、二転三転する事件の姿。
    最初から怪しい、こいつが犯人!と睨んでいた男が結局いいやつで、結末はな~んだっていう感じ。
    途中までの引っ張り感と、ワクワクが凄かっただけに、真相は地味でちょっと肩透かし感が否めないなぁ~。
    ただ、血液のDNA型鑑定

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    2019年06月26日
  • 反撃のスイッチ

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    社会の底辺と言われる沖田たち4人、彼らが計画した誘拐計画とは?

    生活困窮者の自立を支援するジョブトレーナー・沖田は、仲間3人とともに、過激な発言で注目される富豪の原沢の娘・詠(えい)を誘拐する。

    しかし、その要求する身代金は、なんと『400円』...
    なぜ、そんな金額を?

    そして、一旦、誘拐が上手くいったように見えたが、更なる裏があった。なんと...
    やがて、沖田の遺志を継いだ柳瀬が、第2の誘拐計画を実行する。その内容は?

    二転三転するストーリーに、はらはらドキドキします。
    あまり、謎解きの要素は少ないですが、最後は切ないですね。
    本当に、人は変われるのだろうか?

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    2019年04月20日
  • 両刃の斧

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    大門剛明『両刃の斧』中公文庫。

    文庫書き下ろしの警察小説。余りにも無理矢理感のある偶然すぎる出来事が重なり過ぎて、ミステリーとしては今一つであり、あの傑作『雪冤』を越えることはなかった。

    十五年前に何者かに愛娘を刺殺された元刑事の柴崎は犯人への復讐を忘れる日は無かった。一方、柴崎の元同僚で現役刑事の川澄はある日、自殺した警察官の遺書から真犯人の名前を知る。しかし、真犯人と思われた男は何者かに殺害され、その犯人は柴崎と目されたが……

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    2019年02月27日
  • テミスの求刑

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    立会い事務官の平川 星利菜の視点を主とした法廷ミステリー。
    殺人現場の付近の監視カメラが捉えたのは、大型ナイフを手にした血まみれの検事・田島の姿であった。
    果たして、本当に田島検事は、真犯人なのか?

    後半に続く法廷の場面に、ややストーリーの難解さを感じました。
    もう少し、スッキリさせても良かったのでは?

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    2018年12月10日
  • 鍵師ギドウ

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    仕事も住む場所もない孔太は、人生を悲観して飛び降り自殺を図った。通りかかった心晴に助けられ、東京・谷中の鍵屋、野々村十六堂に住み込みで働くことに。最強の錠前を開錠、警察も秘密裡で追う窃盗犯“鍵師ギドウ”の存在を知った孔太は、師匠・多聞たちとその跡を追うー。鍵師が開けるのは、錠前だけじゃない!

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    2018年06月17日
  • 反撃のスイッチ

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    興味深いテーマだが,何となく中途半端。闇を描くならもっと真に迫ってほしい。
    あらすじ(背表紙より)
    大手人材派遣会社社長・原沢は、弱者を社会のゴミ呼ばわりする発言が反感を買っていた。生活困窮者の自立を支援するジョブトレーナーの沖田は就労生たちを金で誘い原沢の娘を誘拐するが、釈放の条件はむしろ原沢を困惑させる。社会の底辺からの掟破りのリベンジは、果たして成功するか?

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    2018年02月08日
  • テミスの求刑

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    大門剛明『テミスの求刑』中公文庫。

    これまでに読んだ大門剛明作品の中では並以下だろう。かなり込み入った法廷ミステリーなのだが、その結末に何の感情も湧いて来なかった。一つの事件を余りにもこねくり回し過ぎたことが原因だろうか。

    殺人現場の監視カメラに映った敏腕検事・田島の衝撃の姿。田島の元で働いていた検察事務官・星利菜は事件の真相を調査するうちに自分の父親の死の真相へと近付いて行く…

    書店員や文芸評論家がよくぞ、この作品に賛辞を送ったものだと感心する。

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    2017年09月02日
  • 氷の秒針

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    殺人事件の被害者遺族にとって、加害者は絶対に許せない存在だろう。その身になってみなければ想像もつかない。
    しかも、時効制度のあるころは、その壁に耐えがたい無力感を味わっていたことだろう。
    現在は、時効が廃止され、生きている限り加害者を追いつめる。けれども被害者遺族にとっては、時は解決せず、何の癒しにも慣れない。まさに「氷の秒針」。
    加害者もその行為から一生逃げ出せない現在、時効後に名乗り出た犯人が殺されるという事件と、時効前に犯人が名乗り出る二つの事件を中心に、その被害者遺族をめぐる社会はミステリー。
    二転三転の劇的な展開のあと、最後の救いに読者も癒される。

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    2017年03月15日
  • 確信犯

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    真犯人が死の間際に残した過去の罪の告白。
    だが、「一事不再理」によって二度と同じ事件で罪を問うことはできない。
    司法というものに正面から向き合おうとした物語だった。
    構成は悪くないと感じたけれど、登場人物がどうにも好きになれなかった。
    後半部分で中心となる高遠と穂積だけれど、いまひとつ深みがないように感じた。
    「確信犯」にこだわった意図は十分に伝わってきたけれど、それでもどこか推敲途中の物語のような思いが残った。
    「確信犯」が行動するとき、そこには必ず犠牲者が出る。
    正義のための犠牲だと信じる者だけが、「確信犯」になれるのだろう。
    どことなく後味の悪さを感じながら本を閉じた。

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    2017年03月08日
  • レアケース

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    ネタバレ

    逮捕されることのなかった伝説の義賊「ねずみ小僧」。
    そして生活保護を詐取していたと思われる者の死。
    ケースワーカーである石坂の目を通して生活保護制度の矛盾点だけでなく、事件に隠された・・・犯人が隠したかった謎があきらかにされていく。
    ある種の制度があれば、必ずそこには不正を働く人たちがいる。
    悲しいことではあるけれど、すべての人が善良であるはずもなく、一部とはいえ制度を悪用する人たちも出てきてしまう。
    金銭が絡む制度ほど、担当する人たちだけでない第三者的なチェック機関が必要とされているような気がする。
    もちろん、費用や人員などの問題があって現実味はないかもしれないけれど・・・。
    物語は生活保護

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    2017年02月28日
  • 鍵師ギドウ

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    ミステリではあるが、人間ドラマとして面白かった。きっと読者は鍵師に憧れることになるだろう。
    あらすじ(背表紙より)
    仕事も住む場所もない孔太は、人生を悲観して飛び降り自殺を図った。通りかかった心晴に助けられ、東京・谷中の鍵屋、野々村十六堂に住み込みで働くことに。最強の錠前を開錠、警察も秘密裡で追う窃盗犯“鍵師ギドウ”の存在を知った孔太は、師匠・多聞たちとその跡を追う―。鍵師が開けるのは、錠前だけじゃない!渾身の書き下ろしミステリー。

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    2017年02月05日
  • 不協和音 京都、刑事と検事の事件手帳

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    主人公は、刑事の兄と検事の弟という異色な組み合わせ。
    違法捜査を疑われ失職した父を持つ兄弟が、互いに反駁しながらも事件を解決する連作ミステリー。
    父親の事件の謎がまだ残り、続編がありそう。

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    2016年11月25日
  • ねこ弁 弁護士・寧々と小雪の事件簿

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    ストーリー ★★★☆☆
    ドタバタ度 ★★★★★
    感動度   ★★☆☆☆

    心理描写がほとんどなく、事実の羅列の文章に、最初は読みにくさを感じました。
    進むにつれて、著者の書きたいこと、読者に感じさせたいことが、何となく読み取れるようになってきました。
    もっと伝わりやすい文章表現であれば、それなりに感動できるストーリーなのですが。
    ドタバタと感動的なストーリーは、上手く書けば融合できると思います。

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    2016年02月15日
  • 海のイカロス

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    或る研究者の完全犯罪による復讐殺人を描いた作品なのだが、余りにも都合の良い事象が連続しており、期待に反してつまらない作品だった。

    潮流発電の研究者・正岡周平は、研究仲間の七海の自殺の真相を知り、復讐殺人を計画するのだが…

    唖然とするような殺人計画…あり得ない…

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    2015年10月16日
  • 有罪弁護 負け弁・深町代言

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    ネタバレ

    負け弁シリーズ3作目。そして完結編。冬子事件も明らかになり、それにまつわっての実花の誘拐事件。何かこんな時に誘拐っておかしくね?そこがいまいち納得できない。まぁトリックのためなんだろうけど、いくらなんでもリアリティがない。しかし、薬物で大切な家族を殺されちゃあなぁ。頭では分かってもやっぱ切ない。脅されて、とはいえ、無罪かー。しかも親も腹立つし。正直、せめて世間からバッシングを受けろ、と思う。しかし、冬子はどうして黙秘なんかしたんだろう。無実なら話せよな。深町が信じられないってか?それなら真犯人は誰なんだ。これが明かされることはないんだろうなぁ。

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    2015年03月05日
  • 沈黙する証人 負け弁・深町代言

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    ネタバレ

    負け弁シリーズ2作目。何か世界に慣れたせいか、滝川のスーパーぶりばかりが目立つような。前作のニート問題のような社会問題的なものも今回は少なくてイマイチ。貧困問題?ほんと、生保をみんな受ければいいのに。ヘルパーの書き方もイマイチ。そんな毎回おんなじ女の子がいるもの?しかも最後には犯人の彼女にされてるし。大門の刑事事件やめたのは今回もはっきりせず。作者は三重県の人なんだなぁ。気付かなかった。

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    2015年03月01日
  • ぞろりん がったん 怪談をめぐるミステリー

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    強引な展開と不自然な設定が目立つ。
    怪談チックなのに、恐怖感があまり感じられない。
    筆力の問題かな。

    設定は面白いから3つ星にしたけど

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    2014年05月10日
  • ねこ弁 弁護士・寧々と小雪の事件簿

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    猫愛が行きすぎてちょっと行動不審だが推理力に才のある妹と,その危うさを見守る姉との二人三脚弁護士業話・・・というより探偵ものっぽい推理小説.

    全体的に可もなく不可もなくといった感じでした.6つの短編はほぼ独立しており,どれも軽い感触.先の展開も予想しやすいのですらすらと読んでいけると思います.あまり読後感として残るものは無いのですが,ちょっとした時間にほっこりしたければ,といった感じでしょうか.

    ねこ弁と聞くと,ねこ鍋のようにねこの弁当を想像してしまうのですが,そういう件は一切無かったですね.

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    2013年12月17日
  • 罪火

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    加害者の若宮忍と、被害者の母親で小学校の校長を勤める町村理絵。この二人の視点が交互に切り替わりながら物語が展開されていきます。殺害に至った経緯と、事件の当事者たちの心情がリアルに描かれています。
    最後に大きな仕掛けもあるので、ミステリーとしても楽しめる内容ですが、展開が多少強引かなと思います。

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    2014年11月17日