大門剛明のレビュー一覧
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『連帯保証人制度』がもたらす悲劇の社会派ミステリー。
大門氏は、常に、社会的な問題や様々な弱者をテーマにしていますが、本書も姫路市を拠点にした地域の人々の厚い人情物語とも言えます(厚い心の鎖?)。
父親から製鎖工場を継いだ女社長・翔子は、別の製鉄所の倒産により、連帯保証債務を押し付けられ、自己破産の危機に追い込まれる。
以前、製鎖工場で働き、今は、どろ焼き屋の店主をしている鳴川は、ある日、偶然、債権者・長山が、工場で死んでいるのを発見する。
翔子を守るため、彼は、こっそり死体を移動させる。
警察は、真犯人のほかに、死体を移動させた共犯者がいることを推理する。
一見、単純な謎解きかと思いきや、最初のシーン(死体の移動)が、実は...
どんでん返しも絶妙です。
最後、鳴川が閉店を決断し、お店のお客さんに真実を告白するが、逆にお客さんに励まされるシーンは、ウルウルと来ました。
非業の死を遂げた兄を持つ刑事の準規も、厚い男ですね。 -
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裁判員制度など、現代の司法制度の課題や問題点にテーマを当てた社会派ミステリー。
『このおっさんが父さんを殺したんだ!』
広島で起きた殺人事件、唯一の目撃者であるまだ幼い息子の悲痛の叫びも虚しく、被告人は無罪となった。
14年後、当時の裁判で無罪を言い渡した元裁判長が、判決を誤ったとして、何者かに刺殺された。
そして、更なる悲劇が、残った2人の判事に襲いかかる。
果たして、元裁判長を刺殺したのは、被害者の息子なのか?それとも?
様々な伏線が散りばめられ、読者の予想を裏切ります。
真犯人が逮捕され、事件は終わったと思ったその先に、更なる真実が見えてきます。
最後の1ページによって、表題の『確信犯』と言う言葉が、意味を持って来ます。
本当の『悪』は、誰なのか? -
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デビュー作『雪冤』に続く第2作にあたる本書。
慟哭の社会派ミステリーです。
前作は、冤罪と死刑制度への是非と言ったテーマでしたが、本作は、加害者側の『更正』と、被害者側の『許し』がテーマであり、その2つを繋ぐのが『修復的司法』というキーワード。
冒頭から、犯人が分かっている本作は、倒叙ミステリの1つと言えるかも知れません。
なぜ彼は、恩師の娘を殺してしまったのか?
いくつもの伏線が散らばるなか、最後に本当の真実が明らかになる。一番大きな『動機』の謎が...
しかし、大門氏の作品は、社会的に重いテーマが多いですね。しかし、ミステリーとしての完成度も高く、最後の最後に、それらが融合するのは見事な手腕と思います。
残された者に、許しと希望があることを...
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凶悪な2つの殺人事件。
一家惨殺事件に、若妻惨殺事件。
地道な遺族達の運動が実り、公訴時効が撤廃された。
しかし、一家惨殺事件の方は、法律の施行日前であったため、時効が成立し、若妻惨殺事件は、継続して捜査が可能となった。
やがて、一家惨殺事件の時効成立を待って、殺人犯が自首したものの、何者かによって殺害される。
果たして、犯人は、遺族達の中にいるのか?
複雑に絡むストーリー。
二転三転する真実と、人の心の奥底に見え隠れする本当の想い。
運命に翻弄される遺族達や刑事など、行き着く先に待ち受ける本当の真実とは?
夫婦の愛、親子の愛、師弟の愛などなど、なかなか言葉では、伝えきれない想いの数々が見えてきます。
殺人犯の息子を遺族が引き取り、時計修理職人として仕事を仕込む姿は、非現実的とはいえ、ホロリとさせるものがありますね。 -
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ネタバレ評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
刑事だった父は、本当に冤罪を生んだのか―。京都府警捜査一課の川上祐介は、妻を殺したと自白しながら、黙秘に転じた被疑者に手を焼いていた。そこへ、京都地検から「不起訴」の連絡が届く。それを決めた担当検事は、父が違法捜査を疑われて失職した際に別の家の養子となった弟の真佐人だった。不起訴に怒る祐介に、真佐人は意外な一言を返す。刑事と検事の信念がぶつかる連作ミステリー。文庫書き下ろし。
この一冊では結局お父さんが冤罪を出したのかどうか分からぬままでモヤモヤ。この先が読みたくなる内容であった。
刑事と検事の絡みは興味深い。なかなか面白かったがこれはシリーズ化はされない?(されていない?) -
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花火大会の夜、ひとりの少女が殺害される。
殺人犯である若宮と、被害者の母・理絵。
何故若宮は少女を殺害したのか。
若宮の心情を丁寧に描いていくことで、物語はより深いものになっているように思う。
事件の真相はいったいどこにあるのか。
すべてを知る若宮は、けっしてそのことを明かそうとはしない。
けれど、徐々に真実へと近づいていく理絵。
そして、若宮を取り巻く人間関係。
修復的司法という言葉を初めて知った。
加害者と被害者が対話をすることで、本当に被害者の痛みが和らぐのかはわからない。
どの程度有効だと思われているのかも、実際にはわからない。
けれど、この物語ではこの修復的司法というものが大きな鍵となっている。
最後に待ち受けていた真相には驚かされた。
事件当時、たぶん若宮はとても不安定な状態にあったのだろう。
母親の死、突然の告白、そして裏切られたという思い。
若宮のしたことはけっして許されることではないけれど、真相を隠し通そうとしたことを思うと切なくなる。
もう誰にも傷ついてほしくなかったのではないだろうか。
いつもながら、大門さんの物語は読みごたえがある。 -
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ネタバレ「VOM」という言葉は時々雑誌等で見かけた事がある。偽善的な行為ではないか、と思わなくもない。読み始めた当初は特にそう感じた。被害者のためといいつつ、結局は加害者側と仲介者の自己満足の行為でしかないのではないか。
<ネタバレ>
「罪火」を読み進めていくうち、いつしか加害者が自分の罪への反省を深めていく姿に、徐々にではあるが、この罪人が「ひと」らしい姿に映っていく。そしてラストは...。読んでいる側すら救われる様な思いだった。加害者が自分の罪を真に自覚し、後悔するのは、自分に未来があると心の底から思った時であった。加害者に罪を償わせるという行為がなければ、加害者自身も救われないし、自暴自棄な状態では罪を自覚する事すらないのだな、と。また、赦すという行為で断ち切らなければ、いつまでも復讐・恨みの連鎖は終わらない。
しかし、現実社会では、こういう風には進まないし、被害者側からすれば、何をしても赦せないと思う。
せめてフィクションの世界では、こういう救いのあるラストで良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやきもきしながら数日で一息に読んだ。
戦時中なんて遠い昔と思っていたけど、令和まで続くこの事件の顛末を読んでいると、地続きなんだと実感する。そしていかに再審が難しいかということも。
とても面白かったのだけど、最後の大どんでん返しだけはさすがにやりすぎな気がした。そこまでの波乱万丈で十分だったのに。それがないと本当に描きたかったテーマがぶれてしまうのかもしれないけど…。
偶然財布が落ちていたというのもなんだかモヤっとする。
あいまに挿入される語りかけの手法もあまり好きではなかった。
とはいえ、久しぶりに夢中になれた大河小説だった。
どうにか谷口の冤罪を晴らそうと人生を懸ける各章の主人公たちの中では、やはり本郷辰治がいちばん魅力的だった。あと吾妻編で出てきた法医学の先生がかっこよすぎる。