大門剛明のレビュー一覧
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有罪判決を受けた被告人が控訴するかどうかを賭けるギャンブル"赤落ち"。
先輩刑務官たちの姿に新米刑務官の良太は戸惑うが、賭けに勝つため解き明かされた真実に心を動かされ……。
新米刑務官を主人公とした、連作短篇社会派ミステリです。WOWOWでドラマ化もされた一冊。
刑務所内という特殊な舞台設定の中、そこにある事情や人間描写・人間関係がリアル。先輩刑務官やキャリアの統括、収容者たちとの交流を通じながら刑務所の闇に迫り、刑務官として成長してゆく姿を描いています。
テーマは重いですがどの話にも情があり、読後感はそれほど悪くありません。
善も悪も、一概に断定することのできない難しさ。その難しさの中に人間の人間らしさがあるようで良いですね。 -
Posted by ブクログ
警察犬。事件の犯人を追跡したり、行方不明者を捜索したり、シェパードなどの大型犬が多かったり、と、何となくのイメージはあるが、そういえばあまり詳しいことは知らない。
本作は警察犬を中心に据えた警察小説。この設定はなかなか珍しいのではないか。
シリーズタイトルにもなっている鑑識課警察犬係に配属となった警察官がハンドラーとなり、警察犬の指導や管理にあたる。犬とハンドラーの息が合うことが非常に大切で、ハンドラーは日々、犬の面倒を見ながら訓練を積み重ねる。
但し、組織には異動がつきもの。警察犬係も例外ではない。せっかくある程度職務に慣れても、人の側は出入りがある。犬がベテランであっても、ペアが変われば訓練は一からとなり、ある程度の訓練を積まなければ現場には出られない。
正規の直轄警察犬のほかに、民間から協力を求める嘱託犬という制度もある。この場合は民間で飼育・訓練されている犬のうち、警察の審査に合格したものが選ばれる。直轄犬は犬種が7種に指定されているが、民間の場合はこれ以外でもよく、チワワやトイプードルなどの小型犬が選ばれた例もある。
警察犬の活動としては、逃走犯人の臭いを元にした足跡追及、遺留品の臭いと犯人の臭いを結びつける臭気選別、犯人や行方不明者の臭いや気配を察知し見つける地域捜索などがある。基本的には、犬の優れた嗅覚を利用した活動となる。
本書は5章構成。
第1章、「手綱を引く」は、異例に長く警察犬係に所属しているベテラン野見山が主人公。相棒のレニーとは何度も手柄を上げている。野見山とレニーはある爆弾事件の容疑者を突き止めていた。だが容疑者はかたくなに犯行を否定する。果たして真相は。第75回日本推理作家協会賞短編部門候補作。
第2章、「首輪をつける」以降の主人公は若い女性警官、岡本都花沙(つかさ)。犬が好きで、警察犬係への配属を願い続け、ようやく配属されて期待に満ちている。パートナーはベテラン犬のアクセルに決まるが、新人か、と犬に舐められ、苦戦。そんな中、轢き逃げの捜査に関わることになり・・・。
実は第1章で野見山は警察を去り、民間の警察犬訓練所で犬の訓練にあたっている。ベテラン野見山には、警察が助言や協力を求めることもしばしばあり、都花沙も野見山とかかわっていくことになる。都花沙が警察犬係を志望したのは過去の経験が大きな理由であり、その理由も連作の中で徐々に明らかになっていく。
第3章「塀を越える」は少年院から脱走した非行少年を追う。第4章「ほじくり返す」では、認知症の老人の捜索に、嘱託犬のフレンチブルドッグが絡む。第5章で表題作の「闇夜に吠ゆ」は行方不明の遺体を探す。
各章はそれぞれ完結した形で読めるが、背景に第1章の爆発物事件が尾を引いており、最終的にはこの事件は未解決のままである。続編が構想されているのではないかと思われる。
警察犬に向いている犬・いない犬、爆発物の匂いは浮遊性である等、ちょっとしたトリビアが興味深い。
各事件の構成は巧みではあるが、いささか苦すぎたり、警察官の行動が組織倫理を逸脱しすぎているように見える部分があったり、というあたりが若干気になる。 -
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シリーズ3作目。
ドラマの続編が決まったようなニュースを聞いたら、すぐ続編が出た気がする。
前作で恋人を殺した犯人の弁護を引き受けることにした鷹野。
その話の続きかと思ったが、どちらかと言うと今作は師団坂法律事務所ルーム1のメンバーたちをそれぞれ主役にした連作短編集。
鷹野の相棒的存在の芽依から始まり、元刑事の梅津、元裁判官の桐生とメインの登場人物を変えて、事件が進むがそれぞれが壁にぶち当たると、鷹野が登場し、窮地と思われていた状況が一変すると言う、お決まりの展開でいまいち面白さにも新鮮さにも欠ける。
最終章で鷹野の話に戻るが、ドラマも控えていることだから、きっと間を置かずに続編が出るのだろう。
いつも書いているけど、ドラマ化ありきになると原作が一気に色あせてしまうのが、残念。
もっと鷹野と南野の確執を丁寧に描いて欲しい。 -
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大門剛明『正義の天秤 毒樹の果実』角川文庫。
シリーズ第3弾。日本有数の規模を誇る師団坂法律事務所の刑事事件を専門に扱うルーム1の弁護士たちの活躍を描いた5編の短編を収録。
いずれもスッキリしないグレーな結末の短編ばかりが並ぶ。
ルーム1の弁護士たちが壁に突き当たると必ずボスである鷹野和也が現れ、サジェスチョンを与え、それで弁護に成功するという黄金の必勝パターン。
そして、同時に鷹野和也が恋人の雨宮久美子が殺害された事件の被疑者の弁護を行うというテレビドラマに有りがちのサイドストーリーが展開する。
『第一話 毒樹の果実』。芸能人の覚醒剤事件はよく聞く話。毒を持って毒を制する。難しい正義の判断に苦悩する若手弁護士の佐伯芽依。有名若手イケメン俳優が覚醒剤所持で逮捕される。師団坂法律事務所ルーム1のボスである鷹野和也から彼の弁護を任された若手弁護士の佐伯芽依は、地道な調査で物証を積み上げ、俳優を逮捕した警官が覚醒剤のパケを彼の車に仕込んだことを突き止める。しかし、当の警官が自殺を図り、芽依は苦悩する。★★★★
『第二話 シンデレラの靴』。第一話と似たような構造の短編。最後はお涙頂戴的な。元刑事で60代のベテラン弁護士の梅津清十郎が主人公。鷹野和也から歩道橋の階段から老女を突き落とし、転落死させた疑いで逮捕された66歳の男性の弁護を任される。その裏にある真実とは……★★★
『第三話 バベルの塔』。この短編もまた狸か狐に化かされたような気分になる読後感。そもそも18年前の死刑判決がそう易々と覆るはずはないのだ。元裁判官の桐生雪彦は18年前の殺人事件で死刑判決を受けた男性の再審請求の事案を任される。その裏に潜む真実とは……★★★
『第四話 歪んだレンズ』。またまた似たようなテイストの短編。ニートから転身を遂げた若手弁護士の杉村徹平が任されたのはストーカー殺人の否認事件。防犯カメラの映像からは被疑者本人か否かは判別出来ず、調査を重ねるうちに辿り着いた真実は……★★★
『第五話 女神の右手』。鷹野和也が殺人事件の被疑者の弁護に挑む。その被疑者は鷹野の亡くなった恋人の雨宮久美子が弁護していた男だった。久美子のかつての弁護が切っ掛けで、鷹野は辛くも男の無罪を勝ち取るが……★★★
本体価格720円
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「正義の天秤」の続編。
前作と続けて読むことができてハッピー。
本作も短編連作リーガルミステリとなっています。
そして、本作では、鷹野の恋人だった久美子の謎が解き明かされます。
■アイギスの楯
杉村の物語。
黙秘権の重要さがわかる物語。
駅のホームで女性を突き飛ばし電車にはねさせ、死亡させたとした男の弁護。
その事件の真相は?
3年前の事件に絡んだ悲しい事実。
■黒と白
桐生の物語。
桐生が過去に裁判官として裁いた男からの再審請求。
その再審請求を桐生自身が行うことに。
冤罪だったのか?
その事件の真相がとんとんと明らかになるのに加えて、再審請求の裏側に隠されたものに唸らされます。
うーん、そんなことあるのかなあ。
■手のひらの楽園
梅津の物語。
犬のブリーダが殺された事件の容疑者の女性。
生体販売の実態が描かれています。
TVのCMでも生体販売のことをやっていますが、動物とはいえ命を扱うということの重さを感じます。
■もう一つの正義
芽依の物語。
アパートでの殺人事件の被告人の弁護。
殺害されたのは殺人の前科のある人物。
被告人に裏切られながらも、芽依がまた一つ成長していきます。
■正義の心臓
いよいよ鷹野の物語。
久美子の事件の真相。明らかになる犯人。そして、その犯人に対して、鷹野のとった行動とは。
最後までドキドキします。
前作に比べて楽しめました。
これまた順番に読みましょう。
お勧めです! -
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ネタバレ警察小説アンソロジー
【誉田哲也「レイン」】
流石の誉田哲也、一気読み。ああ、なるほど、アンソロジー表題の「偽りの」ってのがきっと、一冊通してのテーマなのねと、納得。
【大門剛明「手綱」】
初読みの作家さん。警察犬捜査の明暗。
まあまあかな。
【堂場瞬一「手口」】
安定の堂場瞬一。
堂場さんのシリーズもののスピンオフか?または何かの作品の前日譚か?という雰囲気。
【鳴神響一「虚飾の代償」】
これまた初読みの作家さん♫
いわゆる推理小説 かな。おお、そう来たか、と思わせられるオチだったが・・・東野圭吾臭がしてあまり好きでは無い作風。
【長岡弘樹「裏庭のある交番」】
本作品集ではこれが一番好きかな。長岡さんらしい展開に◎。
変な名前のOG嘱託員を主役に一冊書けそう。
【沢村鐡「類稀なるランデブー」】
沢村さんの3回目。警察官では無いヒロインによる捜査譚。機会があればまた沢村さんの長編も読んでみたくなった。
【今野敏「ニンジャ」】
トリを飾るにふさわしいクオリティ。
これまた既存シリーズのスピンオフかと思わされる世界観。ちょっと調べてみよう。
★3つ、7ポイント半。
2022.01.22.新 -
Posted by ブクログ
面白かった。
6編からなる短編連作リーガルミステリー。
今までの作品とはちょっと異なり、ライトな感じもありながら、1編1編中身の濃い物語となっています。
さらに登場人物もかなりキャラが立っています。
ドラマ化されるのですね。納得です。
■ブレーメンの弁護士たち
師団坂法律事務所に赴任した鷹野和也は、前職が医師。
医師っぽい仕事の仕方と、いきなり、無能な弁護士を首にするという展開から始まります。
リストラされた男が交差点の集団に車で突っ込む事故。
ブレーキ痕もないこの事件をどう弁護するのか?
その真相に迫ります。
■カルネアデスの方舟
首にされずに残った若手の杉村の視点の物語。
釣りボート店でアルバイトしていた男が乗客1名を乗せて釣りに行った先でボートが転覆。
二人とも海に投げ出されたが、一つの浮き輪を巡って争い、乗客を溺死させたとしたアルバイトの男の事件。
事件の真相は?
■マアトの天秤
元裁判官の桐生の視点の物語。
ストーカ殺人容疑のクズの男、間違いなく犯人と思われるその男を無罪にするために悩みながらも調査を継続。
桐生の出した結論は?
■悪魔の代弁者
元刑事の梅津の物語。
女性の殺害容疑で逮捕された男。殺害を自白しているが、その動機について調査。殺害された女性の正体は?
彼女の真の姿とは、そして、事件の真相は?
■アメミットの牙
事務所の創設者の娘の芽依の物語。
少年院を出所した男を殴り殺した男の弁護。殺された男は、4年前に娘を殺しながらも当時15歳。復讐殺人
、本人も死刑を希望。
しかし、その事件の真相は?
■正義の迷宮
鷹野の物語。
殺人事件で司法取引があったのでは?と調査。
その真相は?
本作はこれでは終わりません。
鷹野の過去の女性である弁護士だった久美子の謎が残されたまま。
続編を探さなければ...
これは、お勧めです。 -
Posted by ブクログ
裁判員制度、司法制度改革をテーマとした物語ですが、登場人物が多く、かつ、主人公が誰なのかよく分からなくなってしまった(笑)
主人公なのかなと思っていた人が途中で殺されてしまい、え?っとなりました。
広島を舞台にした物語ですが、マツダスタジアムとか、その必要性もよくわからん(笑)
ストーリとしては、
広島でおきた殺人事件において、父親を殺された子供の目撃証言が弱く、3人の裁判官による裁判の判決は無罪。
そして、14年後、当時の裁判長が殺害されます。
当時の裁判官だった響子は弁護士として活躍していましたが、この事件の真相を追います。
さらに、もう一人の裁判官だった穂積は政界進出を目指しています。
過去の事件は誤審だったのか?
誰が裁判長を殺したのか?
事件の真相は?
といった展開です。
冒頭にも書いたように、主人公と思っていた人物も殺されてしまいます。
二転三転するストーリ展開で楽しめました。
「確信犯」とは..
ストーリ途中での確信犯の意味と、最後の最後での確信犯の意味が変わってきます。
これは、深い。
お勧めです