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15年前、京都。男子学生と十九歳の女性が殺され、一人の男が逮捕された。元弁護士の八木沼悦史は、死刑囚となった息子・慎一の冤罪を信じ、一人活動をしていた。だが、息子は面会を拒絶、弁護士に無罪を訴える手記を手渡す。一方、殺された女性の妹・菜摘に、真犯人を名乗る人物・メロスから電話が。メロスは悦史に自首の代償として五千万円を要求するが――。驚愕のラスト、横溝正史ミステリ大賞の傑作・社会派ミステリ!
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Posted by ブクログ
素晴らしいの一言につきる。 予想を続け様に裏切られた。 心の描写をこんなに丁寧に拾い上げ 人とは、何なんだと改めて問われる 今後、益々 期待したい作家の一人だ。
なんとも切ない話だった。ラスト数ページの流れから明るい未来を期待したい。 15年前の事件から、また死刑判決を受けた4年前から、慎一は真実を独り抱え、自身の意思を一貫して…。 持田や菜摘、石和、八木沼…尋常でない苦しみを飲み込むと、こんなものの考え方が出来るようになるのだろうか。 Soon-ah ...続きを読むwill be done がこの小説を読んでる間、ずっと頭の中で鳴っていた。小説と音楽のセットのようだった。
冤罪や死刑制度をテーマにした慟哭の社会派ミステリー。 15年前の京都。2人の男女を殺害したとして、1人の青年が逮捕された。 元弁護士の八木沼は、一人息子・慎一の無実を信じ、たった1人で活動していた。 そして、時効寸前、真犯人を名乗る人物・メロスから電話がかかる。自首の代償として、5千万円を要求す...続きを読むる。 果たして、メロスの言葉は、真実なのか? 二転三転するストーリー、なかなか見えない真実。 そして、最後に明らかになるディオニソスの正体とは? ラスト数ページで、悲しい真実が明らかになる時、1人の青年の命を賭けた思いが、胸を打ちます。 まさしく、慟哭の社会派ミステリーと言える作品です。
2000年代初期の京都が舞台。 主人公八木沼は死刑囚の息子の冤罪を信じて奔走する。 そんななかついに死刑が執行されてしまう… 弁護士の石和や被害者遺族の菜摘など、死刑に対し登場人物が様々な意見を戦わせる。 どれも考えさせられる意見だが、どれも答えではなく、読者が考える余地があるように構成されていた...続きを読む。
中盤でまさかの展開があって、結構衝撃だった。 とても良かったのだが、最後の最後で複雑さが増した。あの人とあの人の行動にはちょっと違和感がある。そこまでする?と感じてしまった。 JAMの歌詞出てきて、おぉってなった。
「雪冤 無実の罪を晴らして、身の潔白を明らかにすること」 ちょうど「京アニ放火殺人」犯の死刑判決があった。彼は死刑になるために生かされた。 リーガルサスペンスの題材としては「冤罪」「死刑廃止問題」は王道。 今回は事件の被害者遺族と死刑確定も冤罪を主張する側の家族を、同時に描いていること。 いつ...続きを読むも気になっていた。テレビで「冤罪」を叫ぶ家族と支援者のかげで被害者遺族はどんな気持ちだったのか。 少し真正直だけど、伏線の張り巡らしやスピード感、どんでん返しなど、楽しめた。
主に加害者視点の死刑、冤罪もの。ホームレスやメディアも絡めてきたり、なかなか多彩な展開で単純にミステリとして面白い。訴えかけてくる部分も多いけど、重過ぎず読み易かった。この人の作品はバランスが良い。
久しぶりにミステリーが読みたくて、書店に平積みされていたこちらを発見。 正直あまり期待せずに買いましたが、なかなか面白かったです。 15年前に男女二人を殺した罪で逮捕され、死刑囚となった八木沼慎一。 慎一の父・悦史は息子の冤罪を信じているが、面会は拒絶されていた。 ある日、被害女性の妹・菜摘に真犯...続きを読む人を名乗る者から電話が入る。 また慎一は獄中から無実を訴えながらも死刑制度に賛成する主旨の手記を発表する。 悦史は弁護士や菜摘らと共に真犯人を探し始めるがー。 本作には死刑制度の是非や被害者感情と復讐心、冤罪について考えさせられるものがありました。 正解がない問題ですが、考えるのを止めてしまうことの恐ろしさを訴えかけてきます。 過去にも面白かった!と思った作品は、考えることの大切さをテーマとしたものが多いので多分私の好みなのだと思います。 ミステリーとしてもまずまず。 誰もが怪しく感じられるので途中からは一気に読んでしまいました。 ☆マイナス1つなのは真実がちょっと腑に落ちないから。 そんなことってあるかなぁ…という感じだったのが少し残念でした。 初めて読む作家さんでしたが、別の作品も読んでみたいと思いました。 2018年8冊目。
1.著者;大門氏は、小説家・推理作家で、代表作は「雪冤」「罪火」「確信犯」等です。氏が追求するのはリアリティですが、死刑などの現場を見るのは困難です。リアリティの弱さを経験で補う為に、電車での押し屋アルバイト、新聞配達、派遣労働者・・・を体験したと言います。本書にこれらの経験が生かされ、作品に現実味...続きを読むを持たせています。「色んな事に興味を持ち、人がやらない事にチャレンジ」をモットーにしているそうです。 2.本書;8章構成(序章;あおぞら合唱団~終章;歌声)で、死刑制度と冤罪という2つの重い問題を考えさせる社会派ミステリー小説です。概要は、京都で二人の男女が殺されるという、残虐な事件が発生。容疑者として逮捕された主人公の父親が冤罪を信じて活動したものの、死刑確定。事件の真実に向けて、ストーリーは緊迫感を増し、驚きの結末を迎えます。ちなみに、本書は横溝正史ミステリー大賞とテレビ東京賞をダブル受賞しました。 3.私の個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、感想と共に記述); (1)『第一章;父と息子』より、「人は痛みがわからなければ相手を思いやる事はできません。苦しんでいるいるわけでないのに信仰心だけあるという方がおかしいんです。・・・本当に苦しんでいる人の為に役割を果たせなくては宗教の意味がありません(牧師)」 ●感想⇒私も“神様”にお祈りすることがあります。しかし、“神様”の存在は分かりません。誰にも精神的に弱い面があります。人間は「何かに縋りたい、救ってもらいたい」と思うものです。縋るものは“神様”だけではなくて、語弊を覚悟して言えば、自分が信じるもであれば、なんでもよいと考えます。もちろん宗教でも良いのですが、親族、友人、知人、書物・・・色々あります。私は人に相談できずに困った時、苦しんだ時には、ある作家の本を読んで勇気付けられ、問題解決の糸口を自問自答します。上手くいかない時もありますが、こうして切抜けてきました。死んだら、この愛書を私の棺に一緒に入れてもらうように家族に頼もうと思っています。 (2)『第五章;一億三千万の仇』より、「人が人を殺していい理屈は何か―国民一人一人がこの問いにどう答えるか? これが死刑制度を議論する上で一番大切なのです。私は正当防衛的状況にしか求める事はできない(主人公の父親)」 ●感想⇒死刑制度の是非は大変難しいテーマです。一般的には、“被害者側は死刑賛成、加害者側は死刑反対”でしょう。特に、冤罪での死刑は心情的にも悔しい限りです。裁判員制度を以てしても、事件の適正な判断は困難と思います。“疑わしきは罰せず”の真偽も定かでありません。現代は、誰もがこうした問題に直面する可能性があります。当事者になれば、重圧に押しつぶされるような難題で、簡単には答を出せません。 (3)『終章;歌声』より、「雪冤(無実の罪を晴らす事)⇒漢字にすればたった二文字のその言葉。だがそこには人々の色々な思いが重なり合っている。命に代えても冤罪を晴らそうとする者、それによって傷つく者、軽々しく使える言葉でないことだけは確かだ」 ●感想⇒世の中には、雪冤と向合っている人々がいると思います。私達なら、どのように処すればいいのでしょうか。真実が見えない限り、やり場のない無念さで悩むでしょう。冤罪は身近でも起こり得ます。私には「問題意識と自分としての熟慮した考えを持つ事」という言葉しか見つかりません。 4.まとめ;本書は先にも触れたように、日本の死刑制度を考えさせる作品です。前半は少し回りくどい感じがしました。後半になると結末を知りたくて、早く読みたいという衝動にかられます。結末を読んだ感想は、期待したよりもあっさりで、もうひとひねりあると良かったと思いました。また、作中の人物が色々な考えを主張していますが、混乱します。人物と主張を再整理し、筋道だった展開を望みます。読者に考えさせるというフィクションの限界かもしれません。 さて、裁判員制度が2009年5月から始まり、私達も裁判員として選ばれ、刑事裁判に参加しなければならなくなりました。裁判員に選ばれたら、死刑制度にも、係る事もあります。本書はこのような重圧なテーマに接するキッカケになるでしょう。最後に、解説を執筆した山田氏の言葉で締めます。「日本社会に死刑制度がある限り、その賛否に拘わらず、我々は思考を止めてはならない。勇気をもって考え続ける義務があるのだ」。 ( 以 上 )
大どんでん返しにさらに衝撃のラスト。 面白かった。 死刑執行時の慎一の父親への思いには涙してしまった。 犯罪被害者家族、加害者家族、冤罪、死刑廃止論とテーマは重く難しかったけど、文章が読みやすくスルスルと読めた。 死刑。安易に「悪い奴はとっとと死刑にしろ!」「生かしておくのは税金の無駄遣い!」よく聞...続きを読むく意見。だけど、そんな上部だけの感情論では安易に語れない問題。本当に重厚なテーマでした。
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