大門剛明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フォローしている方のレビューに惹かれて買ってきた。
5つの話からなるが、第一話はベテランハンドラーの野見山が主人公。愛犬に向けられた疑惑とそれに対する彼の決断がかなり苦い話からスタート。
それを前日譚にして、第二話からは、念願がかなって鑑識課警察犬係に配属された岡本都花沙を主人公に、新米ハンドラーの彼女が愛犬とともに行方不明者の捜索やひき逃げ犯、少年院からの脱走者の捜査に奔走する日々が描かれる。
終わったかと思ったところからもう一捻りある各話の展開と、それらが第一話とつながっていく構成は、なかなかに面白く読めた。
ただ、警察犬が臭いを追う捜査は、雨が降れば捜査を切り上げなければならなかったり臭気選別だけでは犯人逮捕の決め手にならなかったりするところがやや地味かなあ。
全てが解決はしていない終わり方だが、作品紹介に『シリーズ化も予定しています』とあるので、続きがあるのね。 -
Posted by ブクログ
有罪判決を受けた被告人が控訴するかどうかを賭けるギャンブル"赤落ち"。
先輩刑務官たちの姿に新米刑務官の良太は戸惑うが、賭けに勝つため解き明かされた真実に心を動かされ……。
新米刑務官を主人公とした、連作短篇社会派ミステリです。WOWOWでドラマ化もされた一冊。
刑務所内という特殊な舞台設定の中、そこにある事情や人間描写・人間関係がリアル。先輩刑務官やキャリアの統括、収容者たちとの交流を通じながら刑務所の闇に迫り、刑務官として成長してゆく姿を描いています。
テーマは重いですがどの話にも情があり、読後感はそれほど悪くありません。
善も悪も、一概に断定することのできない難しさ。その難しさの中に人間の人間らしさがあるようで良いですね。 -
Posted by ブクログ
警察犬。事件の犯人を追跡したり、行方不明者を捜索したり、シェパードなどの大型犬が多かったり、と、何となくのイメージはあるが、そういえばあまり詳しいことは知らない。
本作は警察犬を中心に据えた警察小説。この設定はなかなか珍しいのではないか。
シリーズタイトルにもなっている鑑識課警察犬係に配属となった警察官がハンドラーとなり、警察犬の指導や管理にあたる。犬とハンドラーの息が合うことが非常に大切で、ハンドラーは日々、犬の面倒を見ながら訓練を積み重ねる。
但し、組織には異動がつきもの。警察犬係も例外ではない。せっかくある程度職務に慣れても、人の側は出入りがある。犬がベテランであっても、ペアが変われば訓練は一からとなり、ある程度の訓練を積まなければ現場には出られない。
正規の直轄警察犬のほかに、民間から協力を求める嘱託犬という制度もある。この場合は民間で飼育・訓練されている犬のうち、警察の審査に合格したものが選ばれる。直轄犬は犬種が7種に指定されているが、民間の場合はこれ以外でもよく、チワワやトイプードルなどの小型犬が選ばれた例もある。
警察犬の活動としては、逃走犯人の臭いを元にした足跡追及、遺留品の臭いと犯人の臭いを結びつける臭気選別、犯人や行方不明者の臭いや気配を察知し見つける地域捜索などがある。基本的には、犬の優れた嗅覚を利用した活動となる。
本書は5章構成。
第1章、「手綱を引く」は、異例に長く警察犬係に所属しているベテラン野見山が主人公。相棒のレニーとは何度も手柄を上げている。野見山とレニーはある爆弾事件の容疑者を突き止めていた。だが容疑者はかたくなに犯行を否定する。果たして真相は。第75回日本推理作家協会賞短編部門候補作。
第2章、「首輪をつける」以降の主人公は若い女性警官、岡本都花沙(つかさ)。犬が好きで、警察犬係への配属を願い続け、ようやく配属されて期待に満ちている。パートナーはベテラン犬のアクセルに決まるが、新人か、と犬に舐められ、苦戦。そんな中、轢き逃げの捜査に関わることになり・・・。
実は第1章で野見山は警察を去り、民間の警察犬訓練所で犬の訓練にあたっている。ベテラン野見山には、警察が助言や協力を求めることもしばしばあり、都花沙も野見山とかかわっていくことになる。都花沙が警察犬係を志望したのは過去の経験が大きな理由であり、その理由も連作の中で徐々に明らかになっていく。
第3章「塀を越える」は少年院から脱走した非行少年を追う。第4章「ほじくり返す」では、認知症の老人の捜索に、嘱託犬のフレンチブルドッグが絡む。第5章で表題作の「闇夜に吠ゆ」は行方不明の遺体を探す。
各章はそれぞれ完結した形で読めるが、背景に第1章の爆発物事件が尾を引いており、最終的にはこの事件は未解決のままである。続編が構想されているのではないかと思われる。
警察犬に向いている犬・いない犬、爆発物の匂いは浮遊性である等、ちょっとしたトリビアが興味深い。
各事件の構成は巧みではあるが、いささか苦すぎたり、警察官の行動が組織倫理を逸脱しすぎているように見える部分があったり、というあたりが若干気になる。 -
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
ドラマの続編が決まったようなニュースを聞いたら、すぐ続編が出た気がする。
前作で恋人を殺した犯人の弁護を引き受けることにした鷹野。
その話の続きかと思ったが、どちらかと言うと今作は師団坂法律事務所ルーム1のメンバーたちをそれぞれ主役にした連作短編集。
鷹野の相棒的存在の芽依から始まり、元刑事の梅津、元裁判官の桐生とメインの登場人物を変えて、事件が進むがそれぞれが壁にぶち当たると、鷹野が登場し、窮地と思われていた状況が一変すると言う、お決まりの展開でいまいち面白さにも新鮮さにも欠ける。
最終章で鷹野の話に戻るが、ドラマも控えていることだから、きっと間を置かずに続編が出るのだろう。
いつも書いているけど、ドラマ化ありきになると原作が一気に色あせてしまうのが、残念。
もっと鷹野と南野の確執を丁寧に描いて欲しい。 -
Posted by ブクログ
「正義の天秤」の続編。
前作と続けて読むことができてハッピー。
本作も短編連作リーガルミステリとなっています。
そして、本作では、鷹野の恋人だった久美子の謎が解き明かされます。
■アイギスの楯
杉村の物語。
黙秘権の重要さがわかる物語。
駅のホームで女性を突き飛ばし電車にはねさせ、死亡させたとした男の弁護。
その事件の真相は?
3年前の事件に絡んだ悲しい事実。
■黒と白
桐生の物語。
桐生が過去に裁判官として裁いた男からの再審請求。
その再審請求を桐生自身が行うことに。
冤罪だったのか?
その事件の真相がとんとんと明らかになるのに加えて、再審請求の裏側に隠されたものに唸らされます。
うーん、そんなことあるのかなあ。
■手のひらの楽園
梅津の物語。
犬のブリーダが殺された事件の容疑者の女性。
生体販売の実態が描かれています。
TVのCMでも生体販売のことをやっていますが、動物とはいえ命を扱うということの重さを感じます。
■もう一つの正義
芽依の物語。
アパートでの殺人事件の被告人の弁護。
殺害されたのは殺人の前科のある人物。
被告人に裏切られながらも、芽依がまた一つ成長していきます。
■正義の心臓
いよいよ鷹野の物語。
久美子の事件の真相。明らかになる犯人。そして、その犯人に対して、鷹野のとった行動とは。
最後までドキドキします。
前作に比べて楽しめました。
これまた順番に読みましょう。
お勧めです! -
Posted by ブクログ
ネタバレ警察小説アンソロジー
【誉田哲也「レイン」】
流石の誉田哲也、一気読み。ああ、なるほど、アンソロジー表題の「偽りの」ってのがきっと、一冊通してのテーマなのねと、納得。
【大門剛明「手綱」】
初読みの作家さん。警察犬捜査の明暗。
まあまあかな。
【堂場瞬一「手口」】
安定の堂場瞬一。
堂場さんのシリーズもののスピンオフか?または何かの作品の前日譚か?という雰囲気。
【鳴神響一「虚飾の代償」】
これまた初読みの作家さん♫
いわゆる推理小説 かな。おお、そう来たか、と思わせられるオチだったが・・・東野圭吾臭がしてあまり好きでは無い作風。
【長岡弘樹「裏庭のある交番」】
本作品集ではこれが一番好きかな。長岡さんらしい展開に◎。
変な名前のOG嘱託員を主役に一冊書けそう。
【沢村鐡「類稀なるランデブー」】
沢村さんの3回目。警察官では無いヒロインによる捜査譚。機会があればまた沢村さんの長編も読んでみたくなった。
【今野敏「ニンジャ」】
トリを飾るにふさわしいクオリティ。
これまた既存シリーズのスピンオフかと思わされる世界観。ちょっと調べてみよう。
★3つ、7ポイント半。
2022.01.22.新