大門剛明のレビュー一覧
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『完全無罪』シリーズ、第二弾。
高松の女性弁護士・松岡千紗が活躍する慟哭のミステリー。一部、真犯人側の視点からも描かれるので、倒叙ミステリーとも言えるでしょうか?
帯にある『裁判員が殺人犯?』に惹かれて、購入しましたが、あっという間に読破。
誰が真犯人か、というより、動機の面で、なぜ真犯人はそんなことをしたのか、単に保身のためなのか?というところがポイントでしょうか?
裁判員裁判で死刑評決を受けた当時19歳の青年(小杉優心)の死刑が執行された。松岡が、量刑不服として再審請求する矢先であった。
そして起こった新田という男性の殺人事件。
その容疑者は、死刑評決が出された8年前の事件の裁判の裁判員(村上)であった。
松岡は、その容疑者の無実を証明するため、不利な状況の中、敢然と法廷に立つ。
いったい、今回の殺人事件と8年前の爆破事件は、どう繋がっているのか。二転三転する真実、そして、最後の法廷に、驚愕の展開が待ち受ける。
人が人を裁く難しさ、正義とは、家族の愛情とは、赦しと憎しみが交差する。
本当に、裁判とは難しいですね。 -
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あなたが殺したのですか?
彼を愛した深津さくらの問いは、彼の心に届くのか?
毎回、社会的に重いテーマを描く大門氏ですが、第4作となる本作は、犯罪を犯した者の更生と償いがテーマ。
強盗殺人事件で2人の命を奪った久保島は、23年の刑期を務め、仮出所した。
そして、更生保護施設の職員であるさくらは、彼の誠実さに強く惹かれる。
しかし、ある日、中年サラリーマンの殺人事件が発生し、施設の寮生が疑われてしまう。
せっかく仮出所したのに、彼が、再び犯罪を犯したのか?
刑事の梶も含めて、関係者それぞれが心の悩みと苦しみを抱え、自分の正義を貫きたいと考える。
二転三転する真実の向こうに、本当の更生と償いは、あるのか?
読後、表紙の絵を見ると、つい泣けます。 -
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犯罪加害者の贖罪とは。更正とは。被害者遺族はなにを望むのか。許しはあるのか。というなかなか、考えさせられるお話でした。一度犯罪を犯したものは、一生許されざるべきなのか。日々、生きていかなければならない中で、犯した罪とどう向き合っていかなくてはならないのか。刑務所で罪を償ってきたからと、犯した事実が消えるわけではない。このお話では、加害者と被害者遺族を会わせる、「修復的司法」が どちらにとっても救いになると信じている校長先生とその娘と息子、過去過失で人を殺めてしまった若宮。若宮にとっては先生は大恩人。そんななか 先生の娘が殺される。読み進めるのが心が痛くなるお話でした。反省すること、謝罪をすることは日常的にあることです。そのごめんなさいという気持ちが、ほんとに心からのものなのか、それは誰にもわからないこと。相手に届かなければ、それは自己満足でしかないのかなと。 この話、最期の最期にびっくりでした。驚きの事実が!やられた感満載でしたよ。
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単純な事件に思えたものが、後半次々隠されていた事実が出てきて、細かい伏線も回収される。なかなかのでき。人間ドラマとしても、人格高潔、頭脳明晰な登場人物が多数いる中で、俗物で打算的な穂積が最後、かつて愛した女性の敵を打つため、打算なく頑張る姿がかっこいい。
ただ、少し違和感があったのは、真犯人に無罪判決を出した判事が、皆、反省したり、後悔したりしてること。裁判というものは、たとえ判事の心証として「こいつやってるな」と思っても、証拠から間違いなく有罪と見なせない限り、無罪にするのがルール。だから彼らの判決も、真犯人を有罪にできなくても、誤判とは言えない。こんなことで法律家が悩むなか、という気はする。 -
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昭和18年4月20日、戦時中に行われた伊勢神宮の20年に1回の遷宮の最中に宇治山田で起きた一家3人殺人事件。
犯人とされた谷口喜助は無実を訴えるが聞き入れられず、死刑判決が確定する。
谷口の8歳の娘波子は、当日父娘が遷宮の川曳の見物で内宮にいたという。
波子とのふとした縁から谷口の弁護を引き受けた吾妻太一は、再審請求のため友人の弁護士花田勢太郎とともに事件を調べ始める。
新たな証拠が出るたびに裁判所の再審決定は得られるものの、法的安定性を盾にとる検察の厚い壁にはね返され続け、最中に谷口の死刑も執行され、気がつけば事件から83年、ついに父親の無実が認められた時が来たと思われた波子の前に明らかにされた真実は、実に意外なものだった。
拷問死した父乙吉の無念を晴らすため、埋葬された父の遺体から掘り起こした頭部を名古屋帝大まで運んだ伊藤捨次郎。
父のために戦った吾妻を襲って弁護士となり、谷口の再審に身を捧げた捨次郎は真実を悟っていたのか。
捨次郎が本郷辰治に語った岡麟太郎真犯人説にも別の意図が隠されていたか。
波子への一途な思慕から谷口の冤罪を晴らすためだけに司法試験に合格し、検事となった本郷。
真実を知らずに非業の死を遂げた本郷の生涯は、しかし、決して虚しくはなかった。
波子のために葬儀場に安置された遺体から奥歯を抜くまでした愛娘凪沙に励まされ、真実を追求する捨次郎の不肖の次男太一。
エリート弁護士の兄、エリート裁判官の妻を持つ太一だったが、一連の事件と一族の縺れた歴史を正すために兄にもできなかった決断をする。
いろいろな糸がもつれ合い、まさに禍福は糾える縄の如く浮き沈みの激しい展開は、息をもつかせない。
本郷たちが追いかけた岡家の闇はまさかの傍筋だった。
人生の敗者から立ち直りながらも劣等感を抱える太一が下した選択は、周囲の人々にどんな影響を与えるのだろうか。