大門剛明のレビュー一覧

  • 獄の棘

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    大門剛明『獄の棘』角川文庫。このところ、自分にとって大門剛明は安心して読める作家の一人になった。

    青森県弘前刑務所を舞台にした連作短編小説である。主人公の新米刑務官、武島良太はキャリアの名久井惣一看守長から極秘の調査を依頼される…

    刑務所という特異な社会を舞台に、何とも見事なミステリーと人間ドラマを描いたものだ。短編の一つひとつに張り巡らされた数々の伏線。それが一つに交わった時、全ての謎が白日の下にさらされ、長編小説が完成する。

    長岡弘樹の『教場』にも似た雰囲気を持つ面白い作品である。

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    2017年02月05日
  • 氷の秒針

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    大門剛明『氷の秒針』双葉文庫。時効廃止の法改正をテーマに、事件に翻弄される遺族たちの生き様を描いた社会派ミステリー。冒頭から最後まで二転三転の展開と遺族たちの揺れ動く心情が描かれ、一気読みした。時効廃止の法改正により、発生時期の数ヶ月の差で線引きされてしまう二つの凶悪殺人事件。時効成立となったのは一家惨殺事件、時効撤廃となったのは、その数ヶ月後に起きた若妻殺害事件。あろうことか一家惨殺事件の犯人は時効成立後に自首するが、数日後に何者かに殺害される。この殺人事件の犯人と疑われたのは一家惨殺事件の生き残りの小岩井薫だった。一方、若妻殺害事件の遺族である原村俊介は犯人と目される百瀬拓一を追い込んでい

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    2016年12月18日
  • 不協和音 京都、刑事と検事の事件手帳

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    連作ミステリー。『雪冤』以来の久々の傑作ではないだろうか。ミステリーとしての面白さと描かれる人びとの人生の機微。最終話の余韻を残すラストが非常に良かった。

    刑事だった父親の冤罪…そんな父親の背中を見て育った息子の川上祐介は父親と同じ刑事の道に…そして、祐介の前に検事として現れた生き別れた実の弟、唐沢真佐人。

    刑事の兄と検事の弟がミステリーと共に紡いでいく人生の機微。

    『偶然と必然』、『箱師の鉄』、『英雄の群像』、『右と左』、『発火点』の5編を収録。

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    2016年04月06日
  • 罪火

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    デビュー作『雪冤』に続く、社会派ミステリーの第二作。

    ミステリーとしての仕掛けも上手いのだが、それ以上に加害者と被害者の断ち切れぬ連鎖というデリケートな問題を前面に出し、強く訴えて来るものがある傑作。

    二転三転する展開からの結末には納得し、安堵するのだが、振り返るとみると、その結末に哀しみを覚えるという不思議な後味の作品。

    『雪冤』でも思ったのだが、本作もまた薬丸岳の一連の作品のような味わいの社会派ミステリーである。

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    2014年01月05日
  • ぞろりん がったん 怪談をめぐるミステリー

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    怪談をモチーフにした連作ミステリ。でもあまりあからさまにホラーではなく、さほど怖くもなく。ミステリとしては、案外シンプルに思えたのに。ラストでのひねりにことごとく騙されてしまいました。
    お気に入りは「言うなの地蔵」。ある意味倒叙ミステリなので、経緯のどきどきが読みどころかと思っていたら。これには完全にやられました。そういうことだったのか!

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    2013年06月30日
  • 有罪弁護 負け弁・深町代言

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    シリーズ3作目。
    地元伊勢を舞台に、津、鈴鹿と三重の地名が。
    1作目からの複線があり、最後までハラハラの展開。
    ネタばれしないようにこの辺で・・・

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    2012年08月22日
  • 沈黙する証人 負け弁・深町代言

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    前回のボーダーに続き伊勢周辺を舞台にした作品でした。
    最後こうなるか!と

    続編が出ているみたいなので読みたいと思います。

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    2012年07月11日
  • ボーダー 負け弁・深町代言

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    主人公は三重県の伊勢市で弁護士をしている。
    私は伊勢市民なので地元を知っているからこそ、読んでいて町並みがリアルに頭の中で映像化されていくのが面白い。

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    2012年06月27日
  • 罪火

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    ネタバレ

    面白かったー!
    どんでん返しがあるんだけど、なんとなく途中でそうなるんだろうなーって思ってた。
    でも読み進めていくうちに、その伏線のことすっかり忘れちゃうくらい入り込んじゃってた。
    吉田修一の「悪人」が好きな人は好きだと思う。

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    2012年05月14日
  • 神都の証人

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    ネタバレ

    昭和、平成、令和にかけて、とある一家惨殺事件の犯人だとされていた人物の冤罪を晴らすべく戦うひとびとの物語……だけにとどまらず、その時代ごとの正義や悪、そして生活について書かれた帯び通り、究極の「冤罪」大河ミステリーでした。特に、冤罪を晴らそうとする男性たちーー弁護士や検事ーーの性格や生まれた環境が当たり前だけれど違っていて、でも、腹のど真ん中に据えた「正義とはなにか」、「どうしたら冤罪を晴らせるのか」には各々一本太い芯が通っていて、読んでいて、声を出して泣きました。スマートに綺麗に成し遂げる形ではないからこそ、そのある種の不器用さにもまた涙しました。私はアルコール得意ではないけれど、熱燗片手に

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    2026年01月09日
  • 神都の証人

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    また冤罪モノかという気はしたけど、重厚で読み応えのあるストーリーだった。
    最後のドタバタが作品の格を落としてもったいない気がした。

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    2026年01月08日
  • 完全無罪

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    どんどん読み進められてしまう作品。
    冤罪により捕まってしまった平山を釈放してから、謎が深まるのがおもしろい。
    本当に冤罪なのか、真犯人は誰なのか、平山の真意とは…
    第二シリーズもあるらしいのでぜひ読んでみたい!

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    2026年01月07日
  • 神都の証人

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    直木賞ノミネート作をすべて読んでみようとまず手に取った本。
    読み終わるのに3週間ほどかかりました。
    ひとつの冤罪事件に80年以上かける…
    壮大な物語でした。そして結末は最後の最後まで予想できなかった。最後の5ページほどになってもくーーっっ!と思いながら読み終えました。

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    2026年01月06日
  • 神都の証人

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    おもしろかった〜!
    ある冤罪を解決するために、世代を超えて、人々が尽力する物語。
    そして、この冤罪の解決の先にあるのが、、。

    こういうことってありますよねえ。
    片方を立てたら、片方が立たなくなる。
    世の中ってこんなもんです。
    全員にとってポジティブであることなんてないわけで、視野を狭くしないと、進めていけないこともあります。
    どこまで視野を狭くするか、最近よく考えます。

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    2026年01月01日
  • 神都の証人

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    1943年に起こった殺人事件が冤罪だったことを80年かけて証明していこうとする、壮大&長大な話。

    分厚いのに長いと感じさない。意外性に満ちてるのとキャラ造形の巧さ。なぜそんなに時間がかかるのかの説明も巧い

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    2025年12月31日
  • 完全無罪

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    熊さん疑ってごめんなさい。人殺しを助けてくれてありがとう、みたいなところと、山小屋に一人で向かうところが怖すぎて久しぶりに小説読んでどきどきした。冤罪ってこわいし、疑わなきゃいけないことがこわい。

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    2025年12月20日
  • 神都の証人

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    ネタバレ

    戦中。三重で一家惨殺事件が起こるが犯人とされる男は8歳の娘と祭りに出かけていた。


    弁護士の吾妻が事件を解く。
    殺人現場から走り去る犯人を見たと証言した乙吉は警察署で死ぬ。頭に殴られた痕があっても脳溢血判定。

    証人の息子の捨次郎は遺体の首を切り落とし、法医学者の元に持っていき司法解剖をすると、外傷とのこと。弁護士会総出で挑む。

    大立ち回りで裁判を転がすも、被告人の暴行警察官が首吊り自殺をしたとのことで、裁判が終わる。
    ちょっと追い掛ければすごい技で返してくる…

    その暴行警察官から死ぬ前に書いた手紙が届く。そこには本当は目撃者が嘘の証言をしたと言いにきたが、今更撤回すると天皇陛下のお墨

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    2025年12月18日
  • 氷の秒針

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    時計の仕組みになぞらえている表現がとても美しい。
    読解力が乏しく、最後の最後で真相が分からなくなった。キョトンとしてしまい感動が薄れてしまった。ちゃんと理解できていたら★5にしたと思う。読んだ方ぜひ真相を教えてください(^人^)

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    2025年12月07日
  • 雪冤

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    2000年代初期の京都が舞台。
    主人公八木沼は死刑囚の息子の冤罪を信じて奔走する。
    そんななかついに死刑が執行されてしまう…

    弁護士の石和や被害者遺族の菜摘など、死刑に対し登場人物が様々な意見を戦わせる。
    どれも考えさせられる意見だが、どれも答えではなく、読者が考える余地があるように構成されていた。

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    2025年11月21日
  • 神都の証人

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    山風賞受賞作。やっぱ安心のブランドやね。本作もなかなか。冤罪の父と、その娘との物語。かなりのボリューム感を誇るし、内容も同一の事件を各視点から繰り返し語られるから、ともすれば冗長とも取られかねない。それを拒むのは、実際の冤罪に思いを致した場合、永遠に続くとも思えるような無力感に心当たるから。そのやり切れなさをも見事に現出している点でこの物量は必然だし、問題提起力も強いものとなる。

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    2025年11月17日