大門剛明のレビュー一覧
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大門剛明『シリウスの反証』角川文庫。
冤罪事件をテーマにした社会派ミステリー小説。
最近は冤罪が疑われる事件で再審請求が認められたり、再審の結果、無罪判決が下されるケースが増えているように思う。既に刑が執行された事件の死刑囚の中にも、実は無罪だったという人も居たに違いない。
和歌山毒物カレー事件の犯人とされ、既に死刑が確定し、再審請求中の林眞須美死刑囚も冤罪の可能性が高いという。曖昧な状況証拠と林眞須美の家からヒ素が見付かったという、かなり弱い物証だけで死刑囚にされたのではたまったものではない。
さて本作であるが、大門剛明が度々テーマにしている冤罪事件の行方が描かれる。新たな証拠と真犯 -
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ネタバレ冤罪と死刑についての話。被害者は加害者を罰する方法として死刑を望むが、殺しの動機・事件の発端となった別の事件など全貌が明らかになるほどに、冤罪となった加害者を守ろうとする側、逆に真犯人を守ろうとする側が存在して、その構造が『メロス(実行者)』と『ディオニス(首謀者)』が誰かを見極めることを極めて困難にしているという展開が魅力的。ディオニスが八木沼をおちょくることで、死刑廃止派の彼が激昂してディオニスへの殺意を漲らせる一方で、その状況こそがディオニスが「別のディオニス(=メロス)」を守るために必要なことになっている‥‥AとBの対立構造が実はCの中にあって、CとDが対立していて、という複雑な状況に
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これはやられた!
素晴らしいミステリー
大どんでん返しというわけではありませんが、驚きの真相!
癒し系女性検事の黒木二千花が主人公。
ふわふわした会話で、このキャラはダメか...と依然読んだ「ねこ弁 弁護士・寧々と小雪の事件簿」のダメダメの再来かと思いきや、二千花の悪を赦さないという強い信念を感じさせる物語で、その信念の行きつく先は哀しくも厳しいものでした。
元検事の父親が不起訴とした殺人事件。
その容疑者が再び殺人事件で起訴されます。
その検事が二千花
今度は裁判で有罪となるのか?
弁護するのは、その容疑者の息子。
という展開です。
まず、本件の前に、夫への殺人未遂で逮捕された妻の事件 -
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ネタバレ2024.07.10
「完全無罪」、このタイトルが読み進めていくうちに色んな角度から考えさせられることになる小説だった。
読み進めていくうちにミスリードのような文がところどころあり、「もしかしてほんとは殺してる?」「いややっぱり無罪?」と自分でも疑心暗鬼になりながら推理していく過程も面白く読めた。
最後に老人(おそらく有森)が大きな木を見つめていて、そこから見知らぬ鳥が羽ばたいていく様を見つめて微笑む千紗の描写は、
◎真犯人がわかり、怪物の悪夢を見なくなり、重たい荷物から解放されつつもまだ世の中にはたくさんの怪物がいる、でも1人じゃない、と奮い立ち自由な未来へと羽ばたく千紗と、
◎21年間自