大門剛明のレビュー一覧
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弁護士松岡千紗が主人公の、『完全無罪』に続く第2弾。
ひとたび死刑が執行されたら、その後無罪が明らかになっても取り返しがつかない死刑という制度。
人の生死が、裁判官と裁判員との多数決で決まる裁判員制度。裁判員には、被害者に寄り添う一方、罪を犯した者への懲罰的な判決に傾きがちになるという面もあると聞く。
本作は、その裁判員が被害者になる殺人事件が発生し、裁判員が容疑者ともなる。
彼らが関わった裁判が、事件を引き起こしたことは明らか。
その背景は、読者には明らかにされており、登場人物たちがどのような行動を取るかに焦点が当たる。
現実的にはあり得ない設定に鼻白らむが、著者の問題提起は重く、裁判員制度 -
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「無罪は無実ではない」。そんな刺激的な惹句が文庫本の帯に踊る。
冤罪再審裁判で無罪になっても、真犯人が捕まらない限り、その人を危険人物とみる世間の目は、すんなりとは改まらない。一度社会から排除された人間が復帰するのは想像以上に困難という、そんな世評に一石を投じる社会派ミステリーといえる。
女性弁護士松岡千紗は、少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判を担当する。
彼女自身が、過去に誘拐監禁された経験を持ち、今回担当する裁判の被告平山がその犯人かもしれない。現実的にはあり得ないシチュエーションも、著者の巧まざる筆さばきに物語世界にのめり込んでしまう。
平山を疑いながらも必死に弁護活動する千紗ともに読者もま -
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大門剛明『不協和音3 刑事の信念、検事の矜持』PHP文芸文庫。
シリーズ第3弾。文庫書き下ろしの連作ミステリー。
これでシリーズは完結なのだろうか。ついに31年前に刑事だった父親が関係した冤罪事件の真相が明らかになる。面白かったが、取って付けたような最終盤の『不協和音』のくだりは不要だったように思う。兄弟の織り成す『不協和音』でも十分に納得できた。
別々に育てられた兄弟。刑事となった兄の祐介と検事になった弟の真佐人の二人が刑事だった父親の31年前の冤罪事件の真相に迫る。水と油の如く反目し合いながらも、どこかでお互いを認め、様々な事件の真相を突き止める祐介と真佐人。
本体価格780円
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「正義の天秤」の続編。
前作同様、章ごとに主人公を変えて描く連作短編集と言う形を取りながら、鷹野の恋人が殺された事件の真相に少しずつ迫っていく。
創業者の娘・佐伯芽依、元裁判官の桐生、ニートだった杉村、元刑事の梅津。
鷹野に「ブレーメンの音楽隊」と言われたメンバーだが、それぞれの個性を活かし、各々が裁判に臨む姿が端的に描かれる。
鷹野の登場シーンがほとんどないのが、この作品の凄いところ。でも的確なアドバイスはそれぞれの胸に響き、信頼関係が徐々に築かれていく様子もよく分かる。
そして、最終章の「正義の心臓」では鷹野の恋人が殺された事件の真実が15年ぶりに明らかになる。
リーガルミステリーでありな -
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1.著者;大門氏は、小説家・推理作家で、代表作は「雪冤」「罪火」「確信犯」等です。氏が追求するのはリアリティですが、死刑などの現場を見るのは困難です。リアリティの弱さを経験で補う為に、電車での押し屋アルバイト、新聞配達、派遣労働者・・・を体験したと言います。本書にこれらの経験が生かされ、作品に現実味を持たせています。「色んな事に興味を持ち、人がやらない事にチャレンジ」をモットーにしているそうです。
2.本書;8章構成(序章;あおぞら合唱団~終章;歌声)で、死刑制度と冤罪という2つの重い問題を考えさせる社会派ミステリー小説です。概要は、京都で二人の男女が殺されるという、残虐な事件が発生。容疑者と -
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前作「完全無罪」に続く2作目。本作でも裁判員裁判が焦点となっている。
前作では法廷ミステリーではあるが、法廷を舞台にした記載が少なかったが、本作はいかにも法廷といった流れ。まさかの結論が待っていて、思わず「え?」となったが、法廷での緊張感などは伝わってきて、個人的には前作より楽しんで読めた。
本作は、裁判員裁判で死刑評決を受けた犯行当時19歳の少年の死刑が執行されたことを発端として、その時死刑評決を支持した裁判員が容疑者となる殺人事件が発生。その弁護をヒロイン松岡千紗が行うというストーリー。
人が人を裁くことの難しさもさることながら、裁かれない悪もあることが浮き彫りになる。むしろ、そち -
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ネタバレ社会に上手く馴染むことが出来ない生活困窮者「負け組」達が社会不適合者という定義を作りそれをゴミとする産まれ持っての「勝ち組」の娘を狙う「誘拐事件」。身代金は「四百円」。
主犯の男はメンバーに一千万を渡す約束をし、手伝いを頼む。彼の内に秘めたる想いとは。
そしてそれを受け継いだのか否か一人残った男は何を感じ何を考え、どう動き出すのか。
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私にとって「趣味」が生活の中心でありそれをする為の「仕事」だ。どちらかに全ベットする事は出来ない。恐らく良い意味では無い「マイウェイですよねぇ」なんてセリフはこの人生で100万回言われてきた(産まれてから1日1回言われていた -
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久しぶりに活字を読む時間ができたので。主人公が自分と同じ働く女子なので、感情移入はできました。田島のことを信じたいのに信じられない揺らぐ気持ち、窓を開けるか開けないかの決断する時の狂いそうなくらいの悩みが想像にたやすく、せりなちゃんと一緒に頭を抱えていました。
大どんでん返し!!ってわけではなかったけど、最後にたどりついた答えと、最後の田島さんの自白は真犯人の胸を思って涙が出るほど悲しかった。
出だしから田島側!って思ってましたか、飄々とした掴みどころのない最強検事滝川とイケメン秀才深町弁護士のバトルもっと見たい。
とても面白かったです。