大門剛明のレビュー一覧

  • 雪冤

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    大どんでん返しにさらに衝撃のラスト。
    面白かった。
    死刑執行時の慎一の父親への思いには涙してしまった。
    犯罪被害者家族、加害者家族、冤罪、死刑廃止論とテーマは重く難しかったけど、文章が読みやすくスルスルと読めた。
    死刑。安易に「悪い奴はとっとと死刑にしろ!」「生かしておくのは税金の無駄遣い!」よく聞く意見。だけど、そんな上部だけの感情論では安易に語れない問題。本当に重厚なテーマでした。

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    2020年08月14日
  • 不協和音 2 炎の刑事VS.氷の検事

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    『不協和音』シリーズ、第二弾。4編の連作物。

    違法捜査をしたと弾糾されたまま亡くなった父。そして、幼い頃、別れ別れになった兄弟。

    兄は父を信じ刑事となり、弟は父を憎み検事となる。性格も真逆で、常に反発し合うものの、どこかお互いを憎めない兄弟。

    今回、4つの事件は、表面上は単純で解決は容易いと思われたものの、本当の真実は...

    特に、『第二章 同意なし』は、証拠となる音声データもあり、容疑者や犯罪行為は明確で、この事実がどうひっくり返るのか不明でしたが、そう来たか...!

    まるでオセロのように、今まで黒と思っていたコマが白になると、盤上の構図がガラッと変わる。その展開に驚きました。

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    2020年08月10日
  • 死刑評決

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    面白かったです。あらすじとしてはトンデモ展開といえますが、裁判員裁判とか裁判官についてしっかり取材されていて、付せん紙法を使った評議のあり方とか、令状当番の実態など、細部にリアリティがあるので読みごたえがあります。が、ラストはさすがにトンデモすぎであり、素直に飲み込めなかったので、評価は4としました。
    あと、熊さんが前作と比べてもいい味を出しており、個人的に好きなキャラになりつつあるので、願望としては、もっと主人公やストーリーに影響を与える人物になってほしいです。

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    2020年08月02日
  • 正義の天秤

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    短編の割には一話一話の中身が濃い。
    悪くない。
    完全無罪とこれしか読んでないので、他の作品も読んでから評価しよっと。^_^

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    2020年06月02日
  • 婚活探偵

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    大門剛明『婚活探偵』双葉文庫。

    タイトル通りのユーモラスな婚活探偵小説。

    元刑事の探偵・黒崎竜司はハードボイルドを気取りつつ女性とは縁の無い日々を送るうちに突然婚活に目覚め、結婚相談所に入会する。探偵としての様々な依頼の捜査と婚活。果たして、黒崎の願いは成就するのか……

    いつしか探偵として活躍する黒崎よりも、黒崎の婚活の成功を祈る自分がいた。

    本体価格680円
    ★★★★

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    2020年05月19日
  • 死刑評決

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    最初からハラハラしまくりでした。死刑囚の弁護をしようとした矢先に死刑執行という展開。割と早い段階で、事件の本筋が見えてきたと思ったら、最後まで本質は見えなかった。

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    2020年05月04日
  • 告解者

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    犯罪者の償いと被害者の思い。更生とは?更生保護施設を舞台に、人と人との魂の遣り取りが...。登場人物の設定がかなり重く、ずーんと沈み込んでいくが、終わりには闇から脱した光が垣間見れる。博愛も絡めたストーリーは圧巻である。あなたは自身の大事な人が殺されたとき、加害者を赦せますか?

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    2020年04月14日
  • 雪冤

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    ネタバレ

    執拗な地名描写がちょっと気になった。そんなにいる??
    あと、ト書きの文章がたまに中二病的な文章に感じた。
    大ラスのどんでん返しはいらなかったんじゃないかな~

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    2020年04月01日
  • 両刃の斧

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    大門剛明氏による慟哭の社会派ミステリー。
    捜査一課の刑事・柴崎の娘が刺殺体で発見される。
    懸命な捜査にも拘らず、事件は迷宮入りとなる。

    そして、15年後、後輩刑事の川澄は、容疑者と思われる男の身元を特定、いよいよ逮捕というタイミングで、その男が殺害された。

    いったい誰が殺したのか?
    警察を引退した柴崎による、憎しみの果ての仕業なのか?
    極秘中の極秘である男の身元について、なぜ、柴崎が知っているのか...

    二転三転するストーリーに、ハラハラドキドキします。
    やがて見えてきた驚きの真実とは?
    自分の命に替えても守りたかった真実とは?

    最後に、悲しい事実(偶然?)が明らかになります。
    お互い

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    2020年03月16日
  • レアケース

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    『生活保護制度』をテーマにした大門氏の社会派ミステリー。

    市役所の生活保護担当のケースワーカー・石坂壮馬。
    様々な生活保護者の実態に、日々奮闘するも、制度の矛盾を感じていた。

    そんな中、以前広島県で活躍し、今、滋賀県で動き出したという現代のねずみ小僧。悪徳な富豪から金を盗み、それら全てを貧困者に配っているという。

    やがて、石坂の担当する乱暴で素行の悪い生活保護者が、殺害され、ケースワーカーであった石坂が容疑者に...

    生活保護者殺害とねずみ小僧の窃盗の2つ、最初バラバラであったストーリーが、やがて複雑に絡み合い、真実に結びつく。

    隠された本当の真実は、いつも悲しみがありますね。でも、

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    2020年03月09日
  • 両刃の斧

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    ネタバレ

    愛知県警本部捜査一課の刑事・柴崎の長女が何者かに殺された。必死の捜査もむなしく事件は宮入りした。その後、次女も病死。妻は療養中。事件の解決を目指す後輩の川澄刑事。娘婿の山田が骨髄移植を受けていてそれが関係あるのか、いやまてよ。長女の恋人の伏線が回収されていない。そっちかと思ったんだけどまさか!でした。二転三転、ハラハラドキドキ。一気に読まされ悲しい結末でした。

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    2020年03月08日
  • 死刑評決

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    ネタバレ

    松岡千紗シリーズ第二弾。裁判員裁判で死刑評決を受けた当時19歳の青年(小杉優心)の再審請求をする矢先に死刑が執行された。直後、死刑を支持した元裁判員が容疑者となる新たな殺人事件がおこる。犯人がすぐわかり、最後のオチがあるがミステリーというより裁判事件の特殊性、これまでの判例との公平性を考え抜き、人の意見に流されてはいけないということが伝わってきた。被害者が我が子だったら逆に加害者が我が子だったらどういう判決にするか、両者が一致したら公正な裁き。死刑、死の基準をつきつけるのは厳しい。

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    2020年03月08日
  • 死刑評決

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    前作に続き重層的に死刑というものの意味に迫る。被害者が我が子だったらどういう判決にするか、逆に加害者が我が子だったらどういう判決にするか、両者が一致したら公正な裁き。すごいな。出来ない…

    最後も秀逸。世の中は白と黒ではない。グレーなものに裁きを下す。

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    2020年02月23日
  • 死刑評決

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    読書好きな会社の方からおススメされたので、読んでみました。
    この作品は、「完全無罪」シリーズ第2作目ということで、第1作目を読まずにこちらを先に読みました。予備知識というものがなくても普通に楽しめました。
    後半からは、法廷のシーンがメインなのですが、真相が明らかになっていくまでの緊迫した緊張感・表には出さない心理戦がグイグイと世界観にもっていかれて、ページが止まりませんでした。
    犯人は、早い段階で明らかになっているのですが、最後の方で新たな隠された真実があったので、不意打ちでした。
    読者としては、犯人が分かっていながらも、どう話の決着が待っているのか、頭の中で予想していたのですが、意外でした。

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    2020年01月19日
  • 獄の棘

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    新人刑務官の視点で刑務所内の様々な出来事、所内の実態や使用される隠語、プリズン・グルーピーなどを精緻に盛り込んだ短編連作の社会派ミステリー。キャリアの名久井、ベテランの秋村、川岸などとの関わりを通じて、刑務官として成長していく良太。理と情により事件の背景・動機に辿り着くそれぞれの話は、どれも味があり、受刑者、被害者家族、刑務官の心情が様々な角度から語られている。重いテーマだが、読んで良かったとおススメできる一冊。

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    2019年12月05日
  • 優しき共犯者

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    『連帯保証人制度』がもたらす悲劇の社会派ミステリー。

    大門氏は、常に、社会的な問題や様々な弱者をテーマにしていますが、本書も姫路市を拠点にした地域の人々の厚い人情物語とも言えます(厚い心の鎖?)。

    父親から製鎖工場を継いだ女社長・翔子は、別の製鉄所の倒産により、連帯保証債務を押し付けられ、自己破産の危機に追い込まれる。

    以前、製鎖工場で働き、今は、どろ焼き屋の店主をしている鳴川は、ある日、偶然、債権者・長山が、工場で死んでいるのを発見する。

    翔子を守るため、彼は、こっそり死体を移動させる。
    警察は、真犯人のほかに、死体を移動させた共犯者がいることを推理する。

    一見、単純な謎解きかと思

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    2019年06月09日
  • 確信犯

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    裁判員制度など、現代の司法制度の課題や問題点にテーマを当てた社会派ミステリー。

    『このおっさんが父さんを殺したんだ!』
    広島で起きた殺人事件、唯一の目撃者であるまだ幼い息子の悲痛の叫びも虚しく、被告人は無罪となった。

    14年後、当時の裁判で無罪を言い渡した元裁判長が、判決を誤ったとして、何者かに刺殺された。
    そして、更なる悲劇が、残った2人の判事に襲いかかる。

    果たして、元裁判長を刺殺したのは、被害者の息子なのか?それとも?

    様々な伏線が散りばめられ、読者の予想を裏切ります。
    真犯人が逮捕され、事件は終わったと思ったその先に、更なる真実が見えてきます。

    最後の1ページによって、表題の

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    2019年05月23日
  • 罪火

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    デビュー作『雪冤』に続く第2作にあたる本書。
    慟哭の社会派ミステリーです。

    前作は、冤罪と死刑制度への是非と言ったテーマでしたが、本作は、加害者側の『更正』と、被害者側の『許し』がテーマであり、その2つを繋ぐのが『修復的司法』というキーワード。

    冒頭から、犯人が分かっている本作は、倒叙ミステリの1つと言えるかも知れません。

    なぜ彼は、恩師の娘を殺してしまったのか?
    いくつもの伏線が散らばるなか、最後に本当の真実が明らかになる。一番大きな『動機』の謎が...

    しかし、大門氏の作品は、社会的に重いテーマが多いですね。しかし、ミステリーとしての完成度も高く、最後の最後に、それらが融合するのは

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    2019年04月15日
  • 罪火

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    最後の最後での展開で、胸を締め付けられました。
    誰も報われないのは悲しいなあ。
    花火を見るとふと思い出しそう。

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    2019年03月28日
  • 氷の秒針

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    凶悪な2つの殺人事件。
    一家惨殺事件に、若妻惨殺事件。

    地道な遺族達の運動が実り、公訴時効が撤廃された。
    しかし、一家惨殺事件の方は、法律の施行日前であったため、時効が成立し、若妻惨殺事件は、継続して捜査が可能となった。

    やがて、一家惨殺事件の時効成立を待って、殺人犯が自首したものの、何者かによって殺害される。
    果たして、犯人は、遺族達の中にいるのか?

    複雑に絡むストーリー。
    二転三転する真実と、人の心の奥底に見え隠れする本当の想い。

    運命に翻弄される遺族達や刑事など、行き着く先に待ち受ける本当の真実とは?

    夫婦の愛、親子の愛、師弟の愛などなど、なかなか言葉では、伝えきれない想いの数

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    2018年12月19日