大倉崇裕のレビュー一覧
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樋口真嗣『怪獣二十六号』(25年前に書いた)怪獣映画の企画書。建設技師や自衛隊員が協力して土木機械で怪獣に立ち向かったり、インテリ美人が出てくるあたり…、いや、表紙の「怪獣は常に人間にとって恐怖の存在でなくてはならない」とか「この映画は人間の前に怪獣が現われ、人間は自らの身を守る為に智慧と勇気で闘う、ただそれだけの映画」「我々がこだわりたいのは、「ただそれだけ」にする事なのです。」とか…うん、シン・ゴジラを思い出す。
大倉崇裕『怪獣チェイサー』怪獣対策が進んだ日本。ヒロインの怪獣省の怪獣予報官・岩戸正美は、封鎖区域で怪獣の動画を撮影する違法行為を行う「怪獣チェイサー」と予期せず協力することになる…。面白かった!シリーズ化してもいいんじゃなかろうか。
山本弘『廃都の怪神』6歳の頃に漂着し、密林で一人生き残った白人の少年は、ガダイバ教の神に捧げる生贄とされることになるが…。おお…、こういうのもありなのね。
梶尾真治『ブリラが来た夜』急速に老いた母はある日、自分を山へ捨ててくれ、と言い出し…。なんか懐かしいSF感あるなと思ったら梶尾真治だった。
太田忠司『黒い虹』転校生は怪獣のいた世界からやってきたのだという。これもちょっとSFっぽい。
有栖川有栖『怪獣の夢』幼いころから見続けているのは自らの願望を映した怪獣の夢。これも怪獣もの…なのかな。
園子温『孤独な怪獣』映画監督を目指す主人公は高円寺で暮らしていた。これはさすがに怪獣ものではないだろう…えっありなの?
小中千昭『トウキョウ・デスワーム』地下トンネルの工事中、巨大なミミズのようなものが発見される。そして現れる謎の少女の正体は…。クトゥルー的ホラーの香り。
井上伸一郎『聖獣戦記 白い影』元の侵攻に対峙する龍造寺家清は、自分と同じく謎の勾玉の守護を持つ若者と出会う…。元寇を舞台にした…伝奇ファンタジー?怪獣ではない気がするけどこれはこれで面白かった。
怪獣ものとしては『怪獣チェイサー』が好き。その他枠になるけど『聖獣戦記 白い影』『ブリラが来た夜』『黒い虹』も嫌いじゃない。 -
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北海道出張中の牧編集長から電話を受け、緑は単身杵槌村に赴く。ここで名跡の後継者を決める口演会が開かれるのである。ところが到着早々村は豪雨で孤立無縁となり、関係者一同の緊張はいやが上にも高まる。やがて後継者候補が一人ずつ見立て殺人の犠牲に…。
”見立て殺人”、”クローズドサークル”。
落語会が舞台だけども、そういう意味でなく本格テイストのミステリです。福家警部補シリーズの作家さん初の長編なのだとか。
福家警部補シリーズが好きで、その文体の読み易さから手に取った本シリーズ。こちらは、落語会が舞台となっているシリーズだそうで、不勉強な私はタイトルになっている”七度狐”が本当にある噺ということすら知りませんでした。(作中作かと思ってました)
本作品は、落語を知らなくても楽しく読めます。主人公の女性が新米の落語雑誌編集者なので、視点を合わせてくれるような感じですかね。それでも、本作品の前には短編があるようで、編集者としては成長しているのでしょうけども。
個人的には、見立て殺人というのがあまり好きでないのですけど、クローズドサークルは大好きなので、あれこれ考えながら読みました。ただ、善くも悪くも”普通”かな、なんて思います。
閉鎖的な場所が舞台だけどもさほど緊張感はなく、意外な人物が犯人、というわけでもない。反面、丁寧に書かれていて読み易いので、極端にガッカリするほどでもない。芸事への執念、という意味では中々怖い作品ではあるかな。
ミステリ初心者にはお薦めです。
ただ、残念だけどある程度ミステリを読んでいる人にとっては少々物足りない作品ですね。
落語好きには…どうだろう。 -
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不動産屋に入社した主人公は、難病に苦しむ前社長の遺児の世話係になるも、突然異動を命じられる。そこは現社長が遺児を追い落とそうと画策して新設したクレーム対応専門部署だった。途方に暮れる主人公の前に怪しい探偵が現れて…というのが粗筋。
この紹介文の後には「次々に押し付けられる難題を破天荒に解決するユーモアミステリー」とあるのですが、正にそんな感じです。
主人公の前に現れて力を貸してくれる探偵というのが、超人的と言いますか、作品でははっきりと書かれていませんけど、早い話が神様なんですね。遺児を見守る神様。
なので、開かない扉を無理矢理開けたり、セキュリティーのかかった情報をパソコンから引き出したりなんてことを”気合い”でやってしまいます。
こう書くと「じゃあ、どうミステリーなんだ?」と思われるかもしれませんけど、本作品は主にホワイダニット(Why done it ?)なので、その調べる過程をシンプルにするという意味で神様が強引なんです。
実際、本作品に抑えられているのは五作の短編です。
情報を集める過程がシンプルでテンポ良く描かれるので、進行が早く、とても読み易いです。ライトノベルのような文体の軽さ…とまでは行かないけど、雰囲気としては近いかな。
ですので、あまり小説を読み慣れていない方なんかにはお薦めです。神様の破天荒振りも面白いので、活劇的な読みものが好きな方にもお薦め。
ただ、人によっては「ユーモアも度が過ぎる」と思うかもしれませんので、ミステリを強く求める(?)場合は、控えた方がいいかも。