大倉崇裕のレビュー一覧
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山梨県警上吉田署地域課特別室という、地方の警察署、それも樹海の遺体処理を担当するという聞いたこともないような部署に異動させられた柿崎努。
樹海の遺体処理が専門という、奇抜な舞台設定に興味を惹かれた。
初級幹部科の教育を終え、警部補になったばかりの柿崎が、なぜ、そんな辺鄙な場所へ追いやられることになったのか、そして、エリートの道から外されたか、この作品からはわからなかったが、きっと続編であかされることだろう。
柿崎という男の頭の固い、融通のきかない性格に、最初は、イヤミなヤツだと思ったが、その頭の固さは、まっとうな正義感と、警察官の誇りに裏打ちされたものだ。
柿崎が吐く正論は、近頃は、誰 -
Posted by ブクログ
スーツアクター、つまり、変身ヒーローや怪獣の着ぐるみに入って演じる役者のことだが、ヒーローではなく、怪獣のスーツアクターを目指す男とその相棒のストーリー。
椛島は、怪獣ショーの撮影中に事故にまきこまれ、命を落としかける。そのトラウマで、スーツが着られなくなるのだが、スーツアクターをやめられない。
彼は、自分を救ってくれた作業員の太田のたぐいまれな運動能力と体力に目を付け、彼とコンビを組んで、アクターの仕事をこなしていく。
その中で、映画撮影の現場で起きるさまざまな謎に首を突っ込まざるをえなくなるのだ。
太田を好きでいながら、その素質に嫉妬を抱く椛島の屈折した心が悲しく、切ない。
椛島 -
Posted by ブクログ
「再訪」に続く第三集。
今回収録されている三作品は全て中編ということもあり、前回より少し読み応えがあります。
”元同人仲間に干される漫画家”、”先代組長の遺志を重んじる元ヤクザ”、”法に変わって犯罪者に鉄槌を下すエンジニア”。程度の差こそあれ、それぞれに手を汚す理由があり、読んでいると切なくもなってきます。
パズル要素は少なめで、どちらかというと人間ドラマに主眼を置いているのですが、福家警部補の飄々とした様子を思い浮かべながら読むと面白い作品です。
収録されている作品のうち、個人的には”少女の沈黙”が好きです。
この物語は、元ヤクザが、元組員に誘拐された2代目の娘を救うために行動しま