江上剛のレビュー一覧
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「放射能汚染に苦しむ東北の人々のために不作為のままこの問題を放置する日本政府を転覆させましょう」と、立ち上がった詐欺師集団。
「私たちの目的…日本政府を覚醒させることです」と、中国大使館の書記官やジャーナリスト、衆議院議員、大手製鉄会社の副社長、風評被害の運動家、土地の払い下げをもくろむ学園の夫婦、首相夫人等々を、次々と巻き込んでゆく。
学園夫婦とは、もちろん森友を連想するし、学園夫婦を手助けする「天真爛漫な」首相夫人とは、言わずと知れたあの方を想像しないわけにはいかない。
最近の事件を頭に置きながら創作した、著者のたくらみだろう。
詐欺集団の行動が小気味よく感じるのは、彼らがカネをくすねる詐 -
Posted by ブクログ
戦争が終わり、全てが瓦礫と化した街。
大阪の闇市で、出会ったのは戦争孤児、ヤクザの親分、五百円で売りに出されていた6歳の少女。
無一文、正に裸一貫から商売を始める。
徐々に復興の兆しが見え始め、経済正常化の為に闇市も解体へ向かう。
明日を生きる為に、悪行に手を染めていた浮浪孤児達も、まともに商いに精を出し、学校へ通えるようになった矢先、またあの暗い生活に戻ってしまうのか。
江上作品にしては、あまり悪人が登場しなかったが、人々が“生きる”ということにシャカリキになっていた様が胸を熱くする。
現代の日本は、戦後の焼け野原の様に食べ物がなく飢えるということはないはずだが、一方、公立小学校の給食費 -
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誰でも始められるマラソンと言うけれど、誰でもってことはないと思う。
足に故障ばかり起こしていたら先天的なものがあったり、続けられない場合もあるし、お年寄りになってから走れるのは特殊だと思う。
どう鍛えようと、足腰を悪くしてる人には危険、無理。
運動神経はあまり関係なさそうなのはわかるけど。
基礎的にある人の方が有利かな…女性より男性の方が得だと思うし。筋肉のつき方も女は男より頑張る必要がある。
すでに体感鍛えられてる人とかスポーツ経験があると、すでに上乗せされてるし。
それでも、多くの人が始めやすいスポーツである。
俺はまだできる。
私はまだできる。
そう歳をとってから感じられる素 -
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会社に仕えて30数年、やがて見える定年の時。
そして、大きな決断をする時が...
サラリーマンの様々な悲哀を描いた短編集、8編。
それぞれ味わい深いストーリーですが、特に下記は感銘を受けました。
『紙芝居』
定年前、仕事を辞めると言いだした銀行員。
やりたい事とは、なんと紙芝居であった。
なぜ、紙芝居を...
妻の気持ちが少しずつ変化していくのに、じんわりとしました。
『ゆるキャラ』
あるメーカーの人事部長という役職にある会社員。
社長の独断で、100人のリストラを実施しろとの指示が。
泣く泣く人を切る毎日の中で、ある青年を無理やり辞めさせた結果、自殺してしまう。
幼子と母親の非難に耐え -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者江上剛の実経験、ほぼノンフィクションと言われる一冊。
古くからの銀行の総会屋への不適切な融資が、公になっていく銀行の物語。
最初の小さな過ちから、嘘に嘘を重ね、誤魔化され、大きな過ちになっていく。
この「呪縛」と言える過ちを正そうと勇気を持って現れた人間も、マスコミの餌となってしまう。
しかし、この大きな事件によって、たくさんの犠牲と数人の勇気があったからこそ現代の銀行は大きく健全化されることになった。
一社会人として思う事は、過ちを隠さない、誤魔化さない勇気は自分だけでなく後輩のためになると言う事。
一度隠してしまうと、必ず大きくなってしまう。自分で倒せないような大きな敵になる前に