江上剛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ・元銀行員の樫村徹夫が企業再生のため奔走する物語。謎の占い師からの助言が所々にあり、いいアクセントになっている。
・樫村の、企業を再建させたいという熱い思いとは裏腹に各方面から幾度となく邪魔が入り、絶望に追いやられる。読みながら上手くいかない局面に何度もウズウズし一緒に悔しい報われない思いもするが、最後にはすべてスッキリする。爽快な気持ちで読み終えることができた。やっと報われたという思いにうるっとした。
・物語のしっかりした構成や、登場人物の面白さだけでなく、飲食業という業界の厳しさやフランチャイズ、M&Aなど業界知識も学べる(本書に解説も入れてあり読者を置き去りにしない)
4.3.5 -
Posted by ブクログ
江上剛さんの代表作『銀行支店長』シリーズ1作目。
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決して流麗とは言えない文章なのですが、ストーリーが面白く読みやすい。展開についてもよく練られていて、サスペンスとしてうまくできていると思いました。
また、主人公・貞務定男の魅力よりも、彼を輔けるメンバーのキャラが立っていて、チーム戦を観る面白さも格別です。さらに降りかかってくるトラブルを、チーム貞務が比較的たやすく解決してしまいます。
このあたりが『半沢直樹』ほどハラハライライラせずに、お手軽に楽しめる点なのでしょうね。
疲れているときに元気が出る、非常によい作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
「街の電器屋さん」が家電量販店にどう立ち向かったのか興味があり手に取りました。
住宅業界で働いているため、ハウスメーカーに対する地場工務店の存在意義を教えられた気がします。
印象に残ったフレーズは以下のとおり。
・非効率なことこそ付加価値
・お客様の話を聞くことが大事
ここに至るまでの道のりを聞いてから情報提供
それがプロの仕事
・売上目標ばかり追求したらお客様満足度は下がる
・商品は我が子と同じ
お客様の手に渡ったら、役立っているか、心配して時々は様子を見る等、気にかけてこそお客様との信頼感が増す
・サービスする心とは、それぞれが持てるものを精一杯与えて、相手はそれに応えること
・商 -
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会社を良くしていくにはどうするのかな?という疑問の一助になればと手に取りました。
倒産した旅館を蘇らせるストーリーで、所々に「再建の神様」と呼ばれた早川種三氏の言葉が引用されています。
企業の再建に王道はないが、「再建の神様」と呼ばれる方々の共通事項は、社員を大事にしたこと、社員を愛することでモチベーションを上げたこととありました。
理念を共有し、ONE TEAMになることが重要なのだと理解しました。
その他、印象に残ったフレーズを紹介します。
人は希望を見つけようとする能力がある。
希望を見つけようとするだけで、人は前に進める。
社会に貢献する志のない会社は存在すべきでない。
組織に属 -
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東日本大震災を題材にする作品を10年後に2冊連続して読むとは。
私自身は東京恵比寿で震災に見舞われた。阪神淡路大震災も大阪で経験していたからか、同じくマズい事になると感じた。
それを大きく上回る津波、原発事故と本当に想像もしなかった事態でしたが、なんとか翌日以降も出社することが出来た。
会津若松市もどんなとこかも存じ上げませんでしたが、先月たまたま仕事で訪れることがあり、このお話を読んで縁を感じた次第です。恐らくここに書かれている以上の人々の想いが錯綜した事でしょう。また心無い声にも辛く感じた事でしょう。
まだまだもとには戻れないと思いますが、そこにコロナという未知のウイルス。
どこまで苦 -
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「クロカネ」と言われると、一瞬首を傾げるのだが…「クロカネ」とは「鉄」を指す表現だ。従って「クロカネの道」と言えば「鉄道」に他ならない…そんなことを想いながら手にした一冊だが、なるほど「鉄道の父」と呼ばれた人物に脚光を当てている。
幕末期の毛利家は、「密航」という形になってしまうが、密かに5人の若者を英国へ留学させていた。「長州ファイブ」等と呼ばれる場合も在るようだが…
本作の主人公は、この「長州ファイブ」の1人である、極若い頃は野村弥吉を名乗った井上勝である。
井上勝は、佐賀の江藤新平の著作に感激し、御本人と会って話し合うことを望み、長崎視察という機会を掴んで佐賀を訪ねた。江藤新平が面白いモ -
購入済み
懐かしく面白い
町の電気屋さん、寂れた商店街など今の日本を表していますが、そこで大型店に負けない様に奮闘している主人公と仲間達の物語がとても楽しく読む事が出来ました。
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金融庁vs銀行を双方の視点から描いた作品。
しかも戦うのは兄弟。
ものすごく面白かった。
普通、「金融庁は私怨でもあるかのように、金融検査で銀行を痛め付ける」だとか、「銀行が銀行の常識、勝手な理屈で悪いことを隠蔽しようとする、保身に走る」という悪い面ばかりに目がいってしまうけれど、この作品を読めば、「なるほど、だから金融庁はここまで銀行の悪い部分を見過ごさないのだな」とか、「銀行という組織の中で、自らの保身ではなく、目上の人間を守ろうとする人や、このままではいけないと声を上げられる人もいるのだな」とか、ポジティブな面に気づかされた。
作られたイメージを覆してくれる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
学びになった部分をピックアップ
・死地に陥れて、然る後に生く
絶体絶命の危機に陥って始めて本気で戦うという意味
・将に五危あり
1.必死は殺され
意味:決死の覚悟だけを持ち駆け引きを知らないでいるのは、殺される
現代訳:自分の成績を上げることばかりに気を取られてはいけない。
2.必死は虜にされ
意味:生きることばかり考えて勇気に欠けているのは捕虜にされる
現代訳:責任逃れに終始し自分の生き残りを図ってはいけない
3.分速は侮られ
意味:気短で怒りっぽいのは侮られる
現代訳:理不尽に怒鳴り散らすパワハラはいけない
4.廉潔は辱められ
意味:利欲がなくて清廉なのは辱められる
現代訳:清廉