あらすじ
どんなに辛くても、人には希望を見つける能力がある――当時、史上最大の倒産と言われた興人の再建を行なうなど、「再建の神様」と言われた早川種三を尊敬し、世のため人のために働くことを志していた若手地方銀行員・春木種生。しかし、投資物件をセールスした男性が自殺、銀行員として生きていくことに挫折してしまう。逃げるように東北新幹線に乗り込んだ彼は、再建請負人・渋沢栄二と偶然出会い、共に会津へ向かうことに。渋沢とともに、倒産しかけた温泉宿を再建することになったのだが……。元銀行員で、企業経営にも携わったことのある著者が、企業再建をリアルに描く、感動の長編小説。「河北新報」「新潟日報」「長野日報」各紙での連載を単行本化。 ■目次 第一章 偶然/第二章 破綻/第三章 再出発/第四章 始動/第五章 苦闘/第六章 One Team/第七章 軋轢/第八章 排除/第九章 大地震/第十章 原発事故/第十一章 被災者とともに/第十二章 花は咲く/第十三章 絆
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Posted by ブクログ
大好きな作家、江上剛さんの描く、人と企業の再建物語。
銀行員だった主人公は、自らが起こしてしまったトラブルから、銀行を辞め放浪の旅に出る。
道中で偶然出会った人に誘われ、旅館の再生に乗り出す。旅館は、人事の軋轢や感情などのもつれを乗り越え、再生を果たす。さらにその熱は、温泉街全体の復興にすら繋がっていく。
それはまさに、主人公が銀行でやろうとしていた、仕事であった。
詳しくは書けないけど、一気に読み終わった。
Posted by ブクログ
2024.02.08
涙なくしては読めなかった。良い本に出会えた。
「希望を見つけようとする能力がある」という言葉を新鮮に感じた。リーダーの資質も勉強になるわ。
Posted by ブクログ
会社を良くしていくにはどうするのかな?という疑問の一助になればと手に取りました。
倒産した旅館を蘇らせるストーリーで、所々に「再建の神様」と呼ばれた早川種三氏の言葉が引用されています。
企業の再建に王道はないが、「再建の神様」と呼ばれる方々の共通事項は、社員を大事にしたこと、社員を愛することでモチベーションを上げたこととありました。
理念を共有し、ONE TEAMになることが重要なのだと理解しました。
その他、印象に残ったフレーズを紹介します。
人は希望を見つけようとする能力がある。
希望を見つけようとするだけで、人は前に進める。
社会に貢献する志のない会社は存在すべきでない。
組織に属する人間の最大の喜びは、仕事をたくさん任されて、思う存分に働くこと。
ところが現実には、働きたくとも働けない人間が多い。
それは、仕事以外の何かがじゃまをしているから。
それを取り除いてやれば、社員は働けと言われなくても進んで働くもの。
Posted by ブクログ
東日本大震災を題材にする作品を10年後に2冊連続して読むとは。
私自身は東京恵比寿で震災に見舞われた。阪神淡路大震災も大阪で経験していたからか、同じくマズい事になると感じた。
それを大きく上回る津波、原発事故と本当に想像もしなかった事態でしたが、なんとか翌日以降も出社することが出来た。
会津若松市もどんなとこかも存じ上げませんでしたが、先月たまたま仕事で訪れることがあり、このお話を読んで縁を感じた次第です。恐らくここに書かれている以上の人々の想いが錯綜した事でしょう。また心無い声にも辛く感じた事でしょう。
まだまだもとには戻れないと思いますが、そこにコロナという未知のウイルス。
どこまで苦しめればいいのだと思ってしまう事でしょう。ですがそんな時だからこそ、力を合わせこの難局を乗り切ろうという気持ちや行動に人々は心を動かされるはず。
前を向く気持ちを無くさないように、支え合うことの大切さ。
決して忘れてならない。
Posted by ブクログ
どんなに辛くても人には希望を見つける能力がある。銀行員として挫折した種生は新幹線の中で出会った渋沢栄一と一緒に温泉旅館の再建を掛けて奮闘する。短気を起こすことなく冷静に熱意を持っていれば相手の凍り付いた心を融かすように物事を進めることができる。
Posted by ブクログ
この物語は会津若松の旅館の再建に携わる若者の奮闘、そして東日本大震災を題材にしており、その後のコロナ禍に至るまでの物語です。
「再建の神様」と言われた早川種三の生き様とリーダーの心得なるものに力点を置いた物語になってて、勤め人としては心に刺さる言葉が沢山出てきて嬉しかったです。参考になりました。
とても面白かったです。
さらに、震災の被害者を中心としてホテル従業員との絆の深さにも感銘をしました。
物語の途中では、主人公が学生時代にアルバイトしていた群馬の小林リンゴ園が出てきて「蕎麦、食べていけ!」にも登場してたなと・・・嬉しくなりました。
最後の場面では心が熱くなりました。
Posted by ブクログ
誰にとっての再建の神様か?
タイトルに惹かれて読む。
会津の旅館を復活させる神様。
そこで、働く従業員を蘇らせる神様。
前職でつらいことがあった主人公に、
働くとはどういうことかを伝える神様。
すごく良いことが書かれているのだけど、
良いことすぎて、
道徳の教科書を読んでる気分。
Posted by ブクログ
再建の神様、早川種三を縦軸に会津の旅館再生物語。先週行ったばかりの鶴ヶ城の桜が目に浮かぶ。「希望を見つけようとする能力」「同じ世界の人としか交わらないため人間に対する見方が狭くなっている。違う世界で暮らす人たちと親しくすることが大事」「一見、無駄だと思えることをするのが人間である証明」「リーダーシップというのは強いばかりじゃない。弱さも大事。人間としての自分の弱さを自覚してこそ多くの人を導く事ができる」
Posted by ブクログ
会津のグループ旅館3件を再建する話。みんなの努力のせいもあり再建の目処が立ってきた時に、あの福島原発事故。緊急避難により行く場を失った人々に対して、旅館が無料で受け入れを選択する。困った時はお互い様というがなかなかできることでは無い。後に福島原発が収まってきた時に、当時お世話になったと旅館に来てくれる。こんな嬉しい事はないだろう。
Posted by ブクログ
ビジネス小説。
初めのところは、かぼちゃの馬車事件をベース。
本編の部分は、再建の神様と言われた早川種三の話を小説に仕立てたもの。
再建のノウハウを学ぶにはわかりやすいが、純粋な小説として楽しむには種三のエピソードが多少うるさく感じる気もするが。
現実として、団体から個人へと客層が変化した事で寂れた温泉街が多々見られるが、この話のように再建してくれる人が出現してくれるとよいと思わずにはいられない。
Posted by ブクログ
ホテルの再建は、こんなに簡単ではないと思うけど、、、エンタメ小説としては、楽しめたかな。
早川種三さんの凄さがいまいちピンとこないため、所々で偉業や例え話が差し込まれるけど、少しクドかったかも??
Posted by ブクログ
物語として面白かったが、再建に至る取引先や金融機関とのやりとりや何がそれぞれの課題でどのような突破口があるのかといった細部がそれほど描写されなかったのが残念。
リーダーのあり方心構えについては参考になった。
Posted by ブクログ
「再建の神様」と呼ばれた早川種三を慕う銀行マンの春木種生は、企業収益を優先するあまり不正まがいの投資物件やローンがまかり通っている銀行を飛び出した。
偶然に乗り合わせた新幹線のなかで、企業再建請負人の渋沢栄二と出合い、会津若松の奥座敷として二百年以上の歴史を有する、川の湯温泉の旅館の再建に携わることになる。
Posted by ブクログ
渋沢ブームに乗った、旅館再建のYA作品です。
経済小説としては少し都合の良すぎるところがありますし、東日本大震災やコロナをテーマに採り入れた部分はタイムリーで時代に即応していると感じるものの、やや「説教くさい」印象もいなめませんでした。