江上剛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
会社に仕えて30数年、やがて見える定年の時。
そして、大きな決断をする時が...
サラリーマンの様々な悲哀を描いた短編集、8編。
それぞれ味わい深いストーリーですが、特に下記は感銘を受けました。
『紙芝居』
定年前、仕事を辞めると言いだした銀行員。
やりたい事とは、なんと紙芝居であった。
なぜ、紙芝居を...
妻の気持ちが少しずつ変化していくのに、じんわりとしました。
『ゆるキャラ』
あるメーカーの人事部長という役職にある会社員。
社長の独断で、100人のリストラを実施しろとの指示が。
泣く泣く人を切る毎日の中で、ある青年を無理やり辞めさせた結果、自殺してしまう。
幼子と母親の非難に耐え切れず、自身も辞めることに。
そして、選んだ次の仕事が、人に見られないチンドン屋のぬいぐるみ。
ある日、かつての母親と偶然出会う(もちろんぬいぐるみの中なので、中身はばれずに)。
そして、幼子が、大好きなピアノを欲しがるが...
『私の中の彼女』
定年直前に、銀行から人材派遣会社に退職出向となった会社員。
銀行では常務であったが、会社では社長を務めることに。
しかし、突然、最愛の妻が亡くなり、失意の底でなかなか立ち直れない日々を送っていた。
ある日、欠員の秘書採用の面談で、若い時の妻と瓜二つの女性と出会う。やがて、ふたりは...
最後に、亡き妻がまるで『さよなら』をする様なシーンには、ウルウルします。
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者江上剛の実経験、ほぼノンフィクションと言われる一冊。
古くからの銀行の総会屋への不適切な融資が、公になっていく銀行の物語。
最初の小さな過ちから、嘘に嘘を重ね、誤魔化され、大きな過ちになっていく。
この「呪縛」と言える過ちを正そうと勇気を持って現れた人間も、マスコミの餌となってしまう。
しかし、この大きな事件によって、たくさんの犠牲と数人の勇気があったからこそ現代の銀行は大きく健全化されることになった。
一社会人として思う事は、過ちを隠さない、誤魔化さない勇気は自分だけでなく後輩のためになると言う事。
一度隠してしまうと、必ず大きくなってしまう。自分で倒せないような大きな敵になる前に、立ち向かわなければならない。
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Posted by ブクログ
ネタバレ短篇10個の物語を書いた経済小説。
内容はシンプルで、読み易い物語。
「モーゼの十戒」に擬えた人としての掟を、自分の欲によって踏み外してしまった銀行や建設業など、サラリーマンの様子を描いている。
嘘をつかない事、謙虚でいる事、仕事とプライベートのバランスなど、わかっているつもりでも何かの間違いで道を外れてしてしまいそうな、サラリーマンとしての心構えを改めて見つめ直すことが出来る。
お客のために、仲間のために、家族のために。
自分の行動は自分に返ってくるという、心が引き締まる物語。
印象に残った話は、「安息日を聖とせよ」
いくら自分が頑張っているつもりでも、頑張っているから偉いわけではない。周りが見れなくなってしまっては、ひとりよがりになってしまう。 -
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誰もが歳を取ると少しずつ考えてくるお墓の話で色々な面で考えさせられる一冊。大手銀行の常務まで登り詰めまだ出世欲が有り且つ愛人を持つ主人公は少し一般人とは異なる設定だが、自分の母の死且つ田舎の墓が有りながら一極集中の東京でのサラリーマン生活を営む共通の悩みとなるお墓の悩みを切実にそしてコミカルに描く。最後は、お墓繋がりで不倫が仕事、会社にばれて妻、愛人に三下り半を突き付けられ、仕事は左遷させられる。
お墓の移設は、改葬許可申請書、埋蔵証明書、受入証明書、閉眼供養、開眼供養等々お金も時間も大変な様で無縁仏も多くなる状況は理解出来る。
男は定年後も若い女性との繋がりを持ちたい本能は誰もが持っていると思うがその代償も大きい事で理性が働くのだが。。主人公は本能が勝り行き着くところまで行ったと言う内容。 -
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第一勧銀勤務経験を有する作家による、会社における問題点をまとめたもの。第一勧銀という大会社を題材に、日本の企業がどのような状況に陥りやすいのか、経営者や役員などの性向など興味深い内容だった。
学術的というより、経験論的な記述が多く、過激な論調も散見されるが、説得力があった。
「「もっと働け、もっと稼げ」経営者は叫び、叱咤する。だが社員たちは経営者に「Why?」と疑問を投げかけ、出した答えが偽装だったり不正だったりということなのだろう」p4
「(社長、役員などの特質)目に付くようになったのは、出世に伴う責任という負の分け前の増大だ」p28
「若者にはある種の野心が必要だ。出世欲が仕事や人間の幅を広げてくれることもある」p36
「人間(じんかん)到るところに青山(せいざん)あり」p62
「(根回しバカ)会議なんてその場で多くの意見を戦わせれば実りがあるもの、侃々諤々の方がエキサイティングになるものだ。ところが実際の会議では、意見がまったく出ないのが、いい会議だと認識している人間が多い。そのため、異論が出ないように事前にくだらない根回しに回るバカがいるのだ」p81
「経営者に必要なのは哲学だ。それがないのに、現場だ現場だ、と騒いでもそれは単なる従業員へのプレッシャーにすぎない。これまた、形を変えた現場軽視なのである」p102
「なぜ年功序列が機能しなくなったのか。それは成長が止まったからだ。企業経営者は、もはや成長の果実を多くの社員たちに配分できなくなってしまったのだ」p136
「(本部での評価は噂で決まる)本部エリートというのはみな優秀である。だから、そこでの優劣を決定的に分けるのは、「彼はできるね」「彼は優秀だね」「あいつはダメだね」という噂、すなわち風評である」p141
「(中国電力、クラレを創業した大原孫三郎)取締役の10人が賛成したら、それはダメ。3人くらいの賛成がちょうど良い」p158
「営業の要諦は、聞くにある。俗に、セールストークと言うくらいだから大方の人は、営業=話すこと、と思っている。それは大きな間違いだ。営業は耳だ。口ではない」p202
「新規事業は麻薬だ。経営者を気持ちよくする麻薬である」p231
「(事件のたびに)同じ人物を長期間、経理に配属させ続けてはいけない、と言われるのだが、不思議なことになかなか改まることはない。なぜ改まらないのだろうか。代わる人が見つからないほど経理の仕事は専門的すぎるのであろうか。そうではあるまい。経営者が、ごく限られた専門家にしか任せられない、特殊な経理案件を依頼しているからではないか。表に出せない金の処理を、口の堅い経理マンに任せてしまってはいないだろうか」p244 -
Posted by ブクログ
<内容紹介より>
水野剛太は、フェラーリを乗り回す社長にスカウトされ、ヤンキーバーガーに就職。無職から、いきなり正社員となり、夢を描くが……。店長に抜擢された剛太に課せられる、長時間労働、アルバイト人件費の肩代わり、キャンペーン商品のノルマ。さらに、ハンバーガーへの異物混入問題が発生!前任店長が過労死したほどの過酷な職場に、剛太は懸命に立ち向かう!
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衝撃的なタイトルで、現代の社会問題でもある「働き方」をテーマとした作品です。
非正規雇用が増えるなか、正規雇用として就職ができたものの、外食産業の過酷なノルマの中で余裕が全くない生活を強いられる主人公。
読者の視点からは「おいおい」と思うような会社の姿勢にも、余裕がないため「疑い」を持つことなく諾々と従うようになっていく主人公の姿に、日本社会の抱える「問題点」の根深さを感じます。
もちろん、小説ですしフィクションですので、エピローグには心温まる場面もありますが、現実世界ではそうはいかないのだろう、と考えさせられます。
労使関係だけでなく、消費者としても苛烈なコスト削減などを助長しないよう、「社会の一員」としての自覚を(少しでも)もちながら日々の生活を営んでいきたいものだ、と思います。