あらすじ
震災や不況で自信を失っている日本。多くの会社が、効率化やコストダウン、利益極大化を目指し、製造拠点を海外へ移そうとしている。日本の「モノづくり」の危機が叫ばれる中、著者が、日本再生の鍵になると感じている製造業の現場を徹底取材。松下幸之助や本田宗一郎のように世界で認められた日本の職人達は、何に苦悩し、何に挫折し、何に希望の光を見出しているのか。世界の最前線で活躍する彼らの苦悩と挑戦の様子を克明に描いた、血湧き肉躍るヒューマンドキュメント!
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Posted by ブクログ
日本のモノ作りにこだわる8社の物語。大量生産の時代は終わり、品質、付加価値などが無くては売れなくなっている時代に企業努力により成功してる会社。より良いモノを作り、海外に負けないで欲しい。
Posted by ブクログ
東日本大震災後の日本の再生、復興の鍵として、「モノづくり」に着目し、6つの企業と2つの沖縄の産業を紹介した本。取り上げられているのは、ゴルフクラブ、焼酎、ビアマグカップ、プラネタリウム、ノーベル賞に貢献するファイバー素子、醤油、そして沖縄の泡盛と黒糖。著者は、一つ一つの丹念な取材を通して、それらに携わる人々が、利益や競争や自己満足のためではなく、ただひたすら良いモノを作り続けたい、という情熱に突き動かされて日々精進している姿をうまく伝えている。
明治以降の近代化と第二次大戦後の復興を通して、欧米諸国らと同等の価値観、および金融経済システムの枠の中で競い、努力し続けた結果、日本が今のように成長した姿になれたのは否定するべきものではない。が、様々な国際的な問題、複雑に変化し続ける社会において、日本が拠り所とすべきなのは、やはり良いものを生み出し、作り続ける技術であり、それを目指し、支える精神なのだろう。そういったものをないがしろにし、頭でっかちな理論や上っ面を取り繕ったようなモノは、例え一瞬は人の目を惹きつけたとしても、長続きするものではなく、いずれ時間と競争の波に流され滅びていくだろう。
本書が書かれたのは2011年。当時、すべての日本人が感じた共通の想い、あるいは願い、のようなものが確かにあったはず。あれから年月が経ち、復興もいろんな面で進んでいるところもあるだろう。社会も人も常に変化もし続けるだろう。しかし、過ぎ行く時間の中でも決して忘れたり、風化させてはいけないものがある。本書に取り上げられたような企業、人、それらの精神がこれからも強く存続していく社会、国にしていく努力をを我々は忘れてはならない。