江上剛のレビュー一覧
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伊庭貞剛の生き様として、手本にしたいと思ったことは
●自らの使命を信じて尊皇攘夷運動やその後の新政府の活動に身を投じる人生への覚悟
●住友で銅を生産することもまた国家に尽くすことになることを理解し、停滞と閉塞を感じていた官僚人生を捨てて住友に転じる柔軟性
●別子銅山の問題山積の状況を知り、自らがそれを処理する難題を引き受けようと別子行きを申し出た使命感
●叔父の宰平に辞任を迫る際の鬼気迫る覚悟
●支配人として別子銅山の環境負荷を軽減するため、植林と精練所移設を決断する決断力
●問題に一区切りがついた段階で鮮やかに身を引く潔さ
であった。学ぶところの多かった書籍だった。
一方、四阪島の清廉時が却 -
Posted by ブクログ
高機能樹脂メーカーとして有名なクラレ。創業一族の大原總一郎がクラレの前身である倉敷絹繊の社長として会社の礎を築いていく課程を追ったノンフィクションです。
物語は戦後まもなくからスタート。戦時中、航空機生産などの戦時産業への協力を進めたため、空襲で工場は壊滅的な被害を受け、従業員も多くが死傷しました。
その反省を受け、總一郎は平和に貢献できる産業に立ち返り、日本で原材料から調達ができる合成繊維ビニロンの開発を決断します。これは昨今注目されている経済安全保障の考え方に近いものです。
ビニロンの生産が軌道に乗った次に總一郎が取り組んだのが中国へのビニロンプラントの輸出。当時はまだ正式に中国との国交が