あらすじ
嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務──不祥事の元凶がオフィスにはあふれている! サラリーマンが守るべき掟を「モーセの十戒」に擬えて、コミカルにシニカルに描く。秘かに転職を目論む銀行員の心の内は……「二神に仕えるなかれ」、セクハラ対策を担当していながら、生保の中堅幹部はなぜセクハラに陥ったのか……「汝、姦淫するなかれ」など、傑作十篇収録。
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Posted by ブクログ
20180909
元銀行員の著者による経済小説。
銀行に関する話が多いが、製紙会社、保険会社、ホテルなど多岐に渡りサラリーマンの悲哀を絶妙な皮肉を混じえながら表現されている。
硬い話から色っぽい話まで、最後まで飽きる事なく一気に読めた。
最後の製紙会社の買収劇を題材にした作品は、短編だけでなく、長編でも読みたい。
Posted by ブクログ
金融機関にお勤めの『社畜』の皆様には、思い当たる節があるはず。そんなシチュエーションや人物たち。
元みずほ銀行の著者が描くのは、生々しい社畜たち。
彼らの生き方をみていると、哀しくなる。
でも、私は絶対違うとも言い切れない。
なにかの弾みで、ということがあるかもしれないからだ。
ただ、彼らは等しく孤独だ。
痛みを哀しみを怒りを、あるいは喜びを、誰かと分け合っていれば、それぞれの悲劇は起こらなかったかもしれない。
金融機関にお勤めの『社畜』の皆様、彼らのような悲劇を起こさないために、おすすめします。
Posted by ブクログ
短篇10個の物語を書いた経済小説。
内容はシンプルで、読み易い物語。
「モーゼの十戒」に擬えた人としての掟を、自分の欲によって踏み外してしまった銀行や建設業など、サラリーマンの様子を描いている。
嘘をつかない事、謙虚でいる事、仕事とプライベートのバランスなど、わかっているつもりでも何かの間違いで道を外れてしてしまいそうな、サラリーマンとしての心構えを改めて見つめ直すことが出来る。
お客のために、仲間のために、家族のために。
自分の行動は自分に返ってくるという、心が引き締まる物語。
印象に残った話は、「安息日を聖とせよ」
いくら自分が頑張っているつもりでも、頑張っているから偉いわけではない。周りが見れなくなってしまっては、ひとりよがりになってしまう。
Posted by ブクログ
ダメな社員、会社の没落を描く短編10作。
・二神に仕えるなかれ
・偶像を刻むなかれ
・主の名を妄りに唱えるなかれ
・安息日を聖とせよ
・汝の父母を敬え
・汝、殺すなかれ
・汝、盗むなかれ
・汝、偽るなかれ
・汝、貪るなかれ
・十一番目の戒律-あとがきにかえて
権力闘争やノルマ達成のために不正を働いてしまう社員や、暴力団との癒着を断ち切れない会社、男と女のトラブルなど、仕事で失敗していく人たちを描いた作品。
江上さんは長編の方が好きかも。
でもこれはこれで面白い。
Posted by ブクログ
内容には、割と救いのない勤め人のお話が綴られていたりする。
それ自身は読んでいてそう面白いものではないが、最後のあとがきで、筆者の会社生活の実感に触れていて、それとあわせて読むと、違った味わいが立ち上ってきて、面白い。
いろんな人が、いろんな境遇に立たされ、いろんな受け止めをしつつ、ただ年を重ねていくのだろうか。
Posted by ブクログ
どのストーリーもなんだか切なくて、泣きたくなった。
すごい。
今まで耳にしてきた話がよりリアルにイメージできた。
上下関係の秩序を壊さないために自分を押し殺す。
上司の顔色を伺う。権力者にこびる様。
説明会では、風通しがいい風土とか、上司と仲がいいとか、自分の意見が言える文化とか、どの企業もそんなことばっか言ってるケド、
きっとこんなもんなんだろうなーって思う。
しかも、ダメ押しとばかりにぐっとくるのが江上さんのあとがき。
「お客のために、家族のために、そして自分のために働け。
決して会社のために働くな」
そのとおりだと思う。
お金をもらうためだけに会社にいて、終業時間まで耐える
なんて生活、絶対悲しい。
なんのために自分は働いているのか。
いつも意識しながら仕事をしたい。
Posted by ブクログ
社長になった江上 剛さんは、大丈夫なのだろうか?
会社内には、さまざまな人間があふれている。
うそつき社員にうらぎり社員、または傲慢な部長、
モーレツ執行役員もいれば、ゴマスリ常務もいる。
まったく、不祥事の元凶どもがオフィスには多い。
Posted by ブクログ
嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務―不祥事の元凶がオフィスにはあふれている!サラリーマンが守るべき掟を「モーゼの十戒」に擬えて、面白おかしい一冊です。
Posted by ブクログ
嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務―不祥事の元凶がオフィスにはあふれている!サラリーマンが守るべき掟を「モーゼの十戒」に擬えて、コミカルにシニカルに描く。傑作十篇収録。 (「BOOK」データベースより)
特に印象に残る話があったわけではないけれど、面白く読めた。
サラリーマンの実情がかなりシニカルに描かれていて、ちょっと気の毒…。
でも読後感は悪くない。
Posted by ブクログ
どこか安い定食屋のカウンター席で、一人で寂しい食事をしている・・そんな表紙が実にお似合い(笑)
さすが、サラリーマン小説のカリスマ:江上剛の作品である。
この小説はサラリーマン生活を送る上で、誰の身の上にも起こりうることが短編形式になっている。
スーパーマンにはなりきれずに、会社の「しきたり」に矛盾を感じながらも従う・・でも、どこか煮え切らない。
サラリーマンとして生きながらえる為には、守るべき掟があるのだ。
読んでいて虚しくなる反面、「そうなんだよな〜」と共感することもしばしばあった(笑)
サラリーマンじゃない層の人たち・・例えば「芸能人」「自営業」「学生」等々の人たちが読むと、
「サラリーマンってほんとつまんねー人種だ」とガックリくるかも。
「あとがき」で筆者が述べている言葉だけが救いだ。
サラリーマンの皆さんへ。
「お客のために、家族のために、そして自分のために働け。決して会社のために働くな!」
Posted by ブクログ
あとがきは、良かった。
後書きを読んでから、本編を読んだ方が良いかも。
モーゼの十戒に擬えたサラリーマンが遵守すべき戒律の短編集。
ところどころ、報われない社員が出てきて心が痛い。中でも、『汝、盗むなかれ』が報われなさ過ぎて、気の毒。
あとがきより
『お客のために、家族のために、そして自分のために働け。決して会社のために働くな』
Posted by ブクログ
その会社の会社員として失格、という意味合いで読んでいたけれど、それぞれの話の中に出てくる各主人公自身が「失格」であることもあれば、「失格」だからといって、倫理的に間違っているわけでもなかったりした。
あとがきを読んでわかったけれど、「会社のため」が必ずしも正しいわけじゃない、「社会のため、世のため人のため」が正しいのだ、というメッセージだったのだと思う。
会社の常識は、時には社会の非常識だ。ということを、会社員は肝に命じないといけない。
Posted by ブクログ
サラリーマンの短編集。
元銀行員の作家の書く、厳しいサラリーマンの世界。
上司や同僚、昇格、男女関係等、とにかく色々ある。
なかなか読みごたえがあった。
あとがきの「お客のために、家族のために、そして自分のために働け、決して会社のために働くな」は印象深い。
2017.4.20
Posted by ブクログ
これをやるとダメ。サラリーマンの十戒が面白く読める。文庫本の後書きの十一戒めの話しも、ままよかった。
ホメル、アゲル、フレル…いやいや、あかん。
Posted by ブクログ
インパクトあるタイトルだからか、タイトルと中身が合っているかが妙に気になりました。「主の名を妄りに唱えるなかれ」みたいに合っているとスッキリするのですが、「汝、盗むなかれ」みたいに合ってないとモヤモヤ。あとがきには「なるほど」と。しかし「自分は部長ができます」なんて言う人本当にいるのかと思っていたのですが、その記述見るのこの本で2冊目だからいるんだろうなあ、実際。
Posted by ブクログ
「嘘つき社員に傲慢部長、猛烈出向役員にごますり常務。不祥事の現況が、会社には溢れている。」経済短編小説集。「モーゼの十戒」に、ストーリーを準えたところは面白いと思う。しかし、内容が面白いかといわれると…。少し、経済の勉強にはなったかな?「なんじ盗むなかれ」なんて、腹がたっただけだったし、「ハッピーエンド」と呼べるものは、ほとんどなかったかな?
Posted by ブクログ
サラリーマンの悲しき仕事姿を面白ろおかしく悲しく描写。
「これ、本当にありえる?」ってぎりぎりなさそうでありそうな現実感。
うーん、銀行員とか考えている人は読んでみたら楽しいよ!
Posted by ブクログ
サラリーマンが守るべき掟を「モーゼの十戒」に擬えてコミカルに書いた短編集。
「二神に仕えるなかれ」・・・秘かに転職を目論む銀行員の心のうちとは・・・・
「汝、姦淫するなかれ」・・・セクハラ対策の責任者がなぜセクハラに陥ったのか・・・
などなど、十篇の短編集です。
まぁまぁって感じです。日常のサラリーマン生活から、「あるある〜」って感じかもしれないです。
Posted by ブクログ
モーゼの十戒に沿った内容の、10編から構成される短編集。主人公が悪かったり、騙されたり、反省したり、うまくいったり、ハッピーエンドだったりバッドエンドだったり。そして、スカッとさせられたり、唖然としたり、ホロっときたり、ハッとさせられたり、いろんな後味を楽しめるようになっています。必ずしも、この10戒を守らなかった者が不幸せな結末になるとは限らないのが、会社員の現状を書いているような気がします。あとがきにある「お客のために、家族のために、そして自分のために働け。決して会社のために働くな。」という11番目の戒律。それが一番印象的。