岩井志麻子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
美醜や出会う男たち狂わされながら竹井家の女たちは地獄のような輪廻の中で絶えることなく、その輪廻から逃れられることもできずに明治から令和の現代まで命を繋ぎ続ける。
竹井家の女の中では美しく小賢しい小夜子が一番嫌いで大好きだった。嫌いなのに小夜子と藤原の動向にワクワクが止まらなかった。私も竹井家の女たちに翻弄された男のように魅入られてしまったようだ。
岩井先生の文章で表現される亡き者たちは時に恐ろしく、時に幻想的に美しく書かれている。表現を変えながら物言わぬ亡霊たちのその時々の思いがこちらにしっかりと伝わってきて、作家さんの表現力はやはりすごいと改めて思い知らされた。脱帽。 -
Posted by ブクログ
綾辻行人の再生が読みたくて買いました。
再生/綾辻行人
ジワジワくる怖さ、ずっと続く薄気味悪さが良い。
そして綾辻ホラー全開な感じが良い。
夢の島クルーズ/鈴木光司
グロさ強めでした。
ついでに人間の怖さもあって良かった。
よけいなものが/井上雅彦
めちゃくちゃ短いがシンプルだからこその怖さがある。
五月の陥穽/福澤徹三
日常の一つ壁の向こうにある恐怖。
手の届く範囲にある恐怖を気にしていない生きてる人間が1番怖いですね。
鳥の巣/今邑彩
最後にひっくり返るし怖いし、このタイプのホラー好きです。
依って件の如し/岩井志麻子
古い言葉や言い回しで不気味さがさらに増していると思うが、それがまた良い。
ゾフィーの手袋/小池真理子
シンプルに怖い。
こういったシンプルなホラーが結局1番怖い。
学校は死の匂い/澤村伊智
ホラーといえば学校を連想する事が多いですよね。
あんなに多くの人が居るのにどうして学校ってどこか怖いんでしょうね…
何よりも怖いのはこの本は中古で買ったのですが……開くたびに線香の匂いがするんですよねぇ………
(単純に前の所有者の保管状況が悪くて臭いが付いてしまっただけだと思いますが…) -
Posted by ブクログ
まず表紙が怖い。表題の女郎にしては顔の半分引っ張られてないな…?と思い調べてみたら、ちゃんとした画家の絵なのね。めちゃくちゃ怖い。
どれもこの時代特有の(現代も若干残っているが)女の立場の低さと悲しさがあった。というか出てくる女達の境遇や不幸はほぼ男のせいだろ…加えて親のせいであることを生まれついての業と呼ばれるなんてふざけるなと言いたいよな…
表題作と「依って件の如し」が好みだった。
辛い時は幸せなことを思い出すのではなく、もっと辛かった時を思いだしてあの時よりマシと言い聞かせて乗り切る、人に優しくされたことがないから優しくされると困ってしまう、というところが一番悲しかった。
自分で地獄に行くことを決めた女郎はともかく、生まれた時から業を背負わされていた少女は何の罪もないだろ…兄のとある行動、やっぱり恨んでいたのかなと思うけど読んでいて兄の感情がほぼ伝わってこないというか、人という感じがしない冷たさが薄らあって、それも全体的な怖さを引き立てた。
こんなじめっとした怖い話をあの全身タイツの人が…?と読んだ後もびっくりしている。他の本も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「美しい」とは幸福ばかりを招くものではない。
人は美しさに魅せられるが近づくことで破滅する。
凡庸な人間は宝石、金、貌、知恵、承認、求めれば求めるほどに足りなくて、身を焦がして翻弄されるのかもしれない。
しかし、「美しいもの」の視点は台風の目のような凪があるのではないか。
本作はそれを痛々しいほどに文章であらわにしている。
美女と醜女が交互に生まれる家系、その一人称視点の文章の切り替えは何度も読み返したくなるほど巧みだった。
自然と時代だけが自分だけを置き去りにしていくような風景描写の文はいつも誰にでも平等で、とても美しく退廃的で好きだった。 -
Posted by ブクログ
先輩からいただきもの!
人から本もらうの大好きだー
岡山地方の方言で「とても、怖い」という意味の「ぼっけえ、きょうてえ」。表題作のほか3篇。
どの作品も、心霊現象や妖怪の話ではなく、人間に潜む狂気さや残忍さを描いているが、そういう意味では限りなくリアリズム的な小説であって、とっつきやすく感じた。共通して、舞台はおそらく明治時代、大正時代の岡山。
岩井志麻子氏は今作で初めまして。お話としてよくできてるなと思ったのは最後の「依って件の如し」、個人的に一番好きだったのは「あまぞわい」。
巻末の京極夏彦の解説もまたいい。
基本的にどれもさくっと読めるので怖いというより文学として光る箇所が目につくような本、日本ホラー小説大賞と山本周五郎賞を同時受賞というのも頷ける。