岩井志麻子のレビュー一覧
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妾稼業で一家を支えてきた姉・珠江が惨殺されて、黒焦げ死体となって発見されて…という話。
全編通してこれぞ岩井節!とでもいうような、じっとりとした薄暗さがあります。ほぼ全編通して妹・晴子の視点で進んでいくのですが、どうもこの晴子が第三者に対して内心抱いているはずの印象と、他の人が思っている印象との表現が全く同じだったりして(容貌とかじゃなく人の内面部分で)、そこがちょっと読んでて引っかかりました。
また、確かに殺人事件の話ではあるのですが、犯人は誰が見てもすぐに判るし、謎解きとかミステリとしての面白さを期待して読むとがっかりするかも。殺人に至る経緯も、犯人の動機(というより自分語りか)も弱いし、今ひとつ何がしたかったのか不明。結局、誰からも部外者であった晴子の目線ではなく、違う人の目線で書いたらもっと怖かったんじゃないかな…。 -
Posted by ブクログ
昭和13年5月、岡山県北部の寒村で起きた「三十三人殺傷事件」。おとなしく“利発でええ子”だったはずの青年糸井辰男はその夜、鬼と化して村を駆け抜けたのだった。彼を前代未聞の凶行に駆り立てたのは狂気か怨念か絶望か……彼を取り巻いた、あるいは関わった村人の視点から物語が綴られていく。
本作があの「津山三十人殺し」を小説化したものであることは言うまでもない。この事件自体、横溝正史の「八つ墓村」や映画「丑三つの村」で有名だろう。だが単なるノンフィクション、あるいは実録小説風にはとどまらず、村に隣接する森と、そこに投影される村人達の不安な心象風景を描き出すことで、閉ざされた村の歪な家族関係、性と業といったものを掘り下げながら、さらには不可視の側面から迫ろうとしているように感じた。
作品全般にわたる閉塞感、倦怠感、絶望感によって何とも暗鬱な読後感にさせられる。 -
Posted by ブクログ
●読書録未記入
p. 56【第24話「誰の目にも見えない絵」
ヘンリー・ダーガー:芸術家であって芸術家で無いアーティスト(アウトサイダー・アート/アール・ブリュット:正式な美術の勉強をした経歴が無く、発表の予定も無い人たちが創造した芸術作品)】
p.60 【第26話「詐欺師は女神か」
美人詐欺師:長年詐欺をやってきただけあり、哲学や洞察力には感心させられるものがある。→『一度は成功した男だよ。だったら、没落してもまた浮上の可能性とチャンスはある。だからあたしは、元が成功していた男は簡単に手放さない。』(事業に失敗し逼塞している社長に「嘘つき。あたしの面倒を見てくれる約束はどうなるの?」と言い、発奮した社長は事業を立て直した。ただし美人詐欺師は惚れた男(ヒモ)に貢ぐ為に詐欺をしている)→《惚れてない男には、ある種の女神となる女だが。惚れた男には、愚かな女でしかない。しかし女神であるがゆえに愚かな女であり、愚かな女だからこそ女神にもなれるのだ。】
p.66 【第140話「パンプレ文字」
:「パンティープレゼント文字」の略。成人雑誌のプレゼントコーナー(モデル着用下着)の応募葉書で「日本人なのに日本語がかけない」葉書がある。例:「ぱんつい、くだちい」・「パンモーしなキい」等。「そういう文章」は「そういう人」にし書けない。本物にはかなわない。】
p.156 【第74話「喧嘩を吹っかけるおばあちゃん」
「気が強く喧嘩っ早い」と自負しているが実際は臆病。言い返されたら頭の中が真っ白になり倒れてしまった。】
p. 160【第76話「別人に成りすまして生きる」
消息不明の人を興信所で探していると、かなりの確立で「その人の身分証明を持った全くの別人」に辿り着く。免許証のの名義は甲でも写真は乙(乙が甲に成りすまして生きている)。「本物の甲」は乙に戸籍を売って、生きた幽霊になっているか、もしくは本物の幽霊になっているか。もしかしたら、甲も全く別人の丙になっているかも知れない。】
p.172 【第82話「貧乏神」
《風俗で「貧乏神」とあだ名されるタイプの客がいる。けちでも乱暴でもクレーマーでも威張っているのでも変態でも不潔でもないし、顕著な目印も無いが、
「そいつが客になると、その日はもう全然他のお客が来ないし、一気に指名率が落ちたりする。不可抗力の事故や病気、嫌なトラブルも続く。」
「ベテランになると、一目で貧乏神は分かる。二度と指名されないように逆方向に頑張らなくではいけないが、それも加減が難しい。何とか、客の機嫌を直接は損ねないようにしないと店に文句を言われるし、仕返しされたいもするから」
「風俗の貧乏神だけでなく、本物の貧乏神にもたぶん、そういう対処がいいんですよ。こっちからモロに攻撃するんじゃなく、あっちに嫌われるよう仕向けていくんです。」
(見た目や感じが悪く、日ごろの行いの悪さも滲み出ている為、常にその店の「最終兵器」をあてがわれる人もいる。(最終兵器:薬物中毒・皮膚病で全身がごわごわ・日本人なの日本語が通じないの、とか。)】
p.196 【第94話「アマとプロの違い」
《あらゆる分野にアマとプロがいる。単純に、趣味や楽しみでやっていたらアマ、お金を貰っていたらプロ、と区分されるが、お金や才能や意識以外にも難しい場面に遭遇する。(例:演技力などの才能とプロ意識は完璧だが容姿に恵まれず、その演技力が逆にブスを際立たせ「無駄な演技力」と言われるAV女優。)協調性は才能と同じ位大事。撮影は常に共同作業であるから。】
p. 【第90話「モテそうなのにモテない人」
「ちやほやされてた人は、自分がフラれたって現実が受け入れられない。(若い頃美人だったり、「カネ」がある事でちやほやされていた人は自分自身に永遠に魅力があると思い続けてしまう。「サービス業のお世辞」は「料金」のうち、という事が分からない人(自分の本当の位置が分からない)の鈍さと純情さには入り込めない。】
p.198 【第95話「やっかいなオヤジ客」
「ムッツリ」は演技で女のこの方から甘えてまとわり付いて来ないと気が済まない客。「本物のプロ」と呼べる女の子はそれを瞬時に見抜き、要望どおりに振舞う事ができる。『見抜けない方が不思議ですよ。あのオヤジ、ミエミエの演技なのに。』プロは自分の眼力を『さすがプロ』と自画自賛せず、『当たり前』と思っている。(またキチンと生きるのが当たり前、と思う『自信』がある。)】