岩井志麻子のレビュー一覧
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ネタバレ岩井志麻子の明治から昭和初期を舞台にした貧困と土俗の信仰、迷信、伝説が入り交じった郷愁的で恐ろしい作品群、つまり「岡山モノ」の起源にして頂点「ぼっけぇ、きょうてぇ」の正統な続編ということで期待した一冊。
結果からすると「ぼっけぇ、きょうてぇ」の続編と名乗るには少々足りないながらも「穴堀酒」のようなトリッキーな作品や「大彗星…」のようにファンタジックな作品もあり岩井志麻子の作品の中でもふわっとした入門編といった感じである。
しかしながらやはり物足りない。もっと濃厚な岡山の闇を描いてきた作者の作品にしてはとにかく薄く広いのである。
とにかく物足りない一冊。 -
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昭和の初め、第二次大戦の少し前。岡山の山奥に閉じ込められた集落。深い森は呪われており、入るとろくでもないことが起きると信じられ、村民は村の中で近親婚を繰り返す。そんな中、両親に先立たれ、自らも肺病に侵された辰男は、村人から病人と疎まれていた…。
夏の角川ホラー祭。もう手持ちが殆どないけど、ワンシーズンはいけるかな。ハインラインも読むよ。
短編集かなと思ったら、章ごとに切れているだけで、村の異常さや村民の異常さを視点を変えてネチネチと描かれる。ホラーではないのだが、それほど最初の章のインパクトは大きい。
その後も同様ではあるものの、この人の一部の作風に感じる、読んでも読んでも霧の中といった -
購入済み
いまどき…
岡山の古き慣習を現代に伝承。
いくらなんでも今時これは無しでしょう。
個人的にはこのような短編小説を期待しており楽しませていただきましたが抜けませんでした。
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ネタバレ文庫書き下ろしの10短編。
タイトルからも分かるように「今昔物語」からインスパイアされた作品だが翻案ではない。あまりに短編で、深みが足りないが、面白かったのは、霊能力者が未解決の暴行殺人事件の現場で死者の声を聴くと、実は犯人の一人だった自分の声も聞いてしまう最後の話。
ほかに、母親が昔殺された理由が今の団地の売春組織から分かった話。売れっ子歌手と結婚するため、邪魔者を次々殺し、幽霊が出ても平気な女の話。外国でチンピラを殺して、そのまま帰国した男の妻が産んだ子に、チンピラの入れ墨と同じ痣があった話。
ホラー漫画家の姉が殺され、兄が失踪し、兄を外国で見かけた知人が追って開けたドアの向こうは姉が -
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津山三十人殺しの都井睦雄については、横溝正史「八つ墓村」に影響を受けて取材した島田荘司「龍臥亭事件」で親しんだ。(wikiで山岸凉子「負の暗示」も思い出した))
猟奇、狂気、因習、といったおどろおどろしさを前者が協調しているのに対し、
後者は、夜這いの風習から阻害された個人の内面に踏み込んで描いていた。
本書はその折衷。
さらには周囲の人物の群像劇を通じて、彼が犯行に至る殺意の高まりが描かれる。
一歩先に出ているのは、個人の内面というよりは、村のトポス、森の持つ磁場、から集団の殺気が醸成され、それをひとりの男が実現したという構図になっているところ。
特筆すべきは辰男に共感していると言ってもいい -