岩井志麻子のレビュー一覧
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1999年第6回日本ホラー小説大賞
2000年第13回山本周五郎賞
受賞作
「ぼっけえ、きょうてえ」
岡山の遊郭の醜い女郎
客に話始める身の上話
恐ろしいのは人の業
ホラーかというと そうではない気がする
トータルリコールもセットで思い出します
「密告函」
疫病蔓延し始めるある村
罹患者を密告できる投書箱が役場に設けられる
函の管理を任せられた男が落ちる闇
よくできた妻の隠れた恐ろしさ
「あまぞわい」
そわいは海の浅瀬
岡山の酌婦が島の男に見受けされ結婚
美しい髪も肌も海の仕事に荒れていく
男は既に浮気と暴力
海女ぞわい が男の話
尼ぞわい が女の話
女は島の教師に恋をして
それは夫の知るところとなる
怖い恐いというより 貧しい女の生きる術
そわいが 女の場所になる
「依って件のごとし」
うー、これは辛くて、好きかも
家族は兄が一人だけ
村で疎外されながら過酷な労働をさせられる兄妹
それは 村人の死んだ母親への嫌悪の為
兄は労働にも出兵にも耐えて、妹を引き取る
そして 隠されていた真実にタイトルがストンとくる
こういう話は、ほんとうにあったんだろうな
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購入済み
怖くないよ
前に読んだ「ぼっけえきょうてえ」が、めちゃくちゃ怖くて面白かったので購入しました。
まあ、怖くはなく、タイトル通りの怪談集でした。霊を感じさせる話やオチのない不思議な話が中心です。
軽く読めました。 -
Posted by ブクログ
イカつすぎる表紙に一目惚れしてしまった…
肝心の中身というと幻想的なホラー作品でしたね
アジア中から奇怪な話が寄せられ
その話を代筆する主人公の晴之介
徐々に日常が侵食され、
夢が幻か、はたまた現実かが曖昧になってく
場面の切り替わりが曖昧でいつの間にか
読んでいる自分すらも困惑の世界に陥ってしまった。
やばい…今どっちだ?ってなってしまった…(-_-;)
どの話も恐ろしく奇妙な話ばかりで
自分好みで楽しめた!!
しかし最終的なオチがややインパクトに欠けている印象でしたが!
全体的には楽しめたので良かった!
しかしなんだかんだ言って1番印象に残ったのは作中に出てくる晴之介の手綱を握る、同居人の楠子さんには
毎回、惚れ惚れしてしまいました…
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Posted by ブクログ
ネタバレ「子供を沈める」
いじめを苦にして自殺した被害者が、4人の加害者の子どもに生まれ変わってくるというお話。
被害者は、加害者の子どもに生まれ変わって何がしたかったのだろうか。初めは復讐なのかと思っていたが、最後の加害者が、他の3人の(加害者の子達)分まであなたを愛すると伝えると、微笑みを返したという形で終わっている。
被害者には、前世でいじめられた(というより、怖い事をされたという曖昧な)記憶は残っていても、母親となっている相手が、そのいじめをしていた当人だと分かっている様子はなく、反省を求めるような素振りもない。
もしかすると、加害者自身が具現化した過去の罪と自ら向き合い、それを乗り越える事が、これ以上ない被害者に対する真摯な反省と償いになるということなのだろうか?
加害者4人が全員、追い詰められて自殺をしてしまっていたら、よくある怖い話。
もちろん、いじめは絶対に問答無用でしてはいけないことだが、加害者が現実を受け止め、これからも向き合おうとする覚悟を被害者も受け入れる展開になっている事で、何か救いのある贖罪の物語に昇華しているような印象を受けた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカバーイラストは濱口真央。
■綾辻行人 「再生」 (『亀裂』、『眼球綺譚』)
中高生の頃に既読。再読。
思った以上に・・・・の「・・」で笑ってしまった。
■鈴木光司 「夢の島クルーズ」 (『仄暗い水の底から』)
中高生の頃に既読。再読。
当時はすごい大人の話だと思っていたが、マルチ勧誘というしょぼさとヨットという対比が、実に大人っぽい。
またヨット好きの作者らしい描写(専門用語)もきりっとしている。
■井上雅彦 「よけいなものが」 (『怪奇幻想短編集 異形博覧会』)★
面白いアイデア。
よく会話文が連続するときに陥りがちな混乱を逆手にとって。巧み。
■福澤徹三 「五月の陥穽」 (『怪談歳時記 12か月の悪夢』)★
こ……、これは実に嫌な小説!
というのも子供の頃、こういう夢をよく見た。
天井裏の筒状の通路に入ったはいいがつっかえてしまうとか。
あるいは今も時々見ているかもしれない。
いやないやな描写だ。
純・物理的ホラー描写に、笑うしかない。
とってつけたような怨みも笑ってしまった。
■今邑彩 「鳥の巣」 (『惨劇で祝う五つの記念日 かなわぬ想い』)
正統なホラーで、巧い。
映画「・・・・・・・・」あたりを思い出すが、その公開より早い。
■岩井志麻子 「依って件の如し」 (『ぼっけえ、きょうてえ』)
最近既読。
■小池真理子 「ゾフィーの手袋」 (『異形のものたち』)
解説に森鷗外「舞姫」を彷彿とさせるとあり、なるほど。
単著としては「恋」を読んだのみで、あとは「アイロンのある風景 日本文学100年の名作」「平成怪奇小説傑作集1」や「家が呼ぶー物件ホラー傑作選」で知るだけの作家だが、かなり怪奇小説を手掛けているな。
皆川博子の推薦もあるし、この作家には手を伸ばしてみたいかも。
■澤村伊智 「学校は死の匂い」 (『などらきの首』)
最近既読。
◇解説 朝宮運河 -
Posted by ブクログ
たまに訪れるホラー読みたい病が発病したので前から気になっていたこちらを拝読。
結果、あまり怖くありませんでしたが、昔祖母から御伽噺を聞いていた時のようなノスタルジックな感覚にはなれたので違った楽しみ方をしました。
私の親戚が岡山だった事もあり、よく遊びに行っていたのでこのお話の舞台も親近感が湧きました。思い起こせば従妹の家もかなり田舎だったので、確かにこんな不思議な事が起こりそうな空気感ではありました。
短編集なのでまたそれぞれに感想を書いてみたいと思います。全体的に日清戦争前後辺りのお話のようなのでそれを踏まえてお付き合い頂ければ幸いです。
【ぼっけえ、きょうてえ】
最初なんだこのタイトル?!と首を捻りましたが岡山弁で「とても、怖い」と言う意味らしく、遊郭に春を買いに来た客に遊女が自身の怖い身の上話をする、と言うお話。
当時はよくある話の食いぶちを減らす為と金を稼がせる為に売られて来た彼女ですが、それにしても生い立ちが壮絶すぎて怖い通り越して悲しくなりました。
岡山弁で語られるので信憑性も増してきて、思わず親戚に忌み地じゃないのか、そこ大丈夫?!と電話しそうになりました。(迷惑)
水子が出てくると怖いと言うより悲しさが溢れますね。自分がこの客だとしたら最後の遊女の言葉になんて返すかなあ…「だが、断る!!」しかないなあ…
【密告函】
個人的に一番好きなお話でした。
献身的な妻を裏切って怪しい祈祷師の女と不貞を働く男の話なので、これを好きだと公言すると私の人格まで疑われそうですがホラーとしては一番楽しめました。
伝染病が蔓延して多くの死者を出している岡山県某市。
まだ医療も発達していない時代なので当然物凄い勢いで蔓延していきます。例に洩れず差別も横行するので、市役所に感染した人を無記名で投函する密告函が設置されます。これを主人公の不貞男、弘三が調査する役目を担うのです。
嫌でした、この仕事。伝染病以前のお話の蠅がたかっている強烈な家に彼が出向いた時は食べていたポテチをそっと皿に戻しました(読書中のおやつが一番おいしいです)
その流れで怪しい祈祷師の美女と出会ってしまうのですが、この祈祷師の力なの弘三は怪奇現象に悩まされます。
これがもし祈祷に使われる怪しい煙のせいだとしたらまた違った方向で怖いのですが、本当に怖いのはダークホース、弘三の妻のトミ。
どんどん弘三に対しての地味な嫌がらせがエスカレートしていって遂に…
ラストシーン、良かったなあ。映画でこの終わり方ならそれはもう震えて映画館を後に出来ます。
【あまぞわい】
今度は不貞の女が登場します。皆どんだけ浮気すんねんというツッコミも入れたくなりますが、こちらはちゃんとした訳ありです。
元遊女(作中では酌婦)のユミが漁村の漁師の錦蔵に身受けされて漁村に嫁いで来るのですが、漁師の妻も中々ハードな職業なので当然ユミは馴染めず村八分になってしまいます。
そのユミを見て錦蔵がユミに暴力を奮うようになってしまうのです。DV>不貞だよね、とユミが思ったかどうかは定かではありませんが、これまた漁村では浮いている村一番の金持ち、網元の息子の恵二郎と良い仲になってしまうのに時間はかかりませんでした。
結局バレて最後にはこの世のものではない『あまぞわい』に恐ろしい目に合わされてしまうのですが、このあまぞわいは錦蔵が聞いていた伝承とユミが聞いていた伝承が微妙に異なります。要は海で亡くなった海女さんのお化けです。
全然怖くなさそうな書き方をしましたが、実際はもっとおどろおどろしい情念がこもったスタンド攻撃をして来ますので非常にやっかいです。
これも怖いと言うよりは悲しかったなあ。皆思うように幸せになれたら良いのに…
【依って件の如し】
タイトルかっこよすぎだろ!と思って読み始めたらこれまた悲しい話でした。
『くだん』とは中国発祥の妖怪で、この本の中では頭が牛で体が人間のまあ化け物のような形で描かれていますが、これまた貧困にあえぐ兄妹が必死に生きている所からお話が始まります。
妹のシズの母は亡くなっていますが、美人でしたが狐憑きのような奇妙な行動を繰り返した為に、村で公然と行われていた夜這いの対象にもなりませんでした。(津山三十人殺しでもこの件が問題になっていましたが、凄い風習ですね)
そのせいでシズと兄の利吉も村八分になってしまい、利吉が必死にシズの食い扶持を稼いでいます。
シズは少し知恵遅れな所があるのですが、覚えている母の面影は何故か真っ黒な牛の頭をした女の姿なのです。これらがとんでもないラストへの伏線です。
このお話は途中までは不気味な空気を纏った悲しいお話だったのですが、最後「嘘だろ?!」と小さく叫ぶ位の強烈なお話でした。
兄ちゃん…そりゃあないぜ!!!
ジョジョ風味満載でお送りしましたが、総括としては切なくておどろおどろしい御伽噺、と言った感じでした。
間違ってもお子様には聞かせられませんが。
そして岡山の恐怖は続きます。
狙った訳ではないのに、この後名探偵のはらわたを拝読し私は再びこの恐怖の地へ足を踏み入れる事となるのです。(東京に続いて失礼すぎる)
to be continued