ヤマザキマリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
外からみる「日本」の観点は重要。
ただ、この本から新しい発見は少なかったような気がする。
河鍋暁斎を知ることができたことは収穫。
ニコルさんとの対談集だがニコルの発言が少ないことが残念。
以下抜粋~
・想像力を豊かにするのは、悲しみと孤独です。
日本の私の周りを見ていると、誰も孤独と真正面から向き合おうとしていないから、表現の貪欲さが消えてしまったように見受けられます。
・あなたが今、悲しみや、怒り、どうしよもない孤独感を抱いているのなら、それは精神性の生き物である人間必須の、むしろなくてはならない人生経験として受け入れるべきだと思う。 -
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個人的には好きだけど
歴史オタクの自分にとっては悪くないテーマ。
こんな作品、誰も書こうと思わないだろうしね。
一方、多くの人にとっては「皇帝ネロ」「ポンペイ」あたりがかろうじて聞き覚えのある単語程度で、全く未知の世界だと思う。
むしろ、「フィクション?異世界もの?」と思うかもしれない。
主人公も小難しい事ばかりを言うオッサンだし。
という事で、一般ウケはしない作品だろうなと思う。
新潮45→新潮で連載されていたという事で、この味わいがわかる文化好きの大人向けという事だろうか?
嫌らしい言い方をすれば、「テルマエ・ロマエ」等で大ヒットしたヤマザキマリだから描けた(描くことが許された)作品と言えるかもしれない。
ただ、売れ行きはともかく本作の評価はかなり高いようで、この手の日本での知名度が高くない人物・時代を扱った作品が増えてくる嚆矢となってくれればいいなと思う。 -
Posted by ブクログ
2020年のコロナ禍初期に、著者が考えたことについてのエッセイ。
主に日本とイタリア(及びヨーロッパ)のコロナに対する政策や、人々の行動・反応の違いに焦点が当てられていて興味深い。
日本は民主主義の先進国を標榜しているが、明治維新以降に西洋の政治システムをそのまま模倣したものであって、日本人の元々の性質や精神性にあったものではないのでは、という意見にはなるほどと思った。
民主主義は、日本人の祖先がまだ縄文人だった頃から既にヨーロッパでは始められ、土地や宗教の争いや様々な経験を繰り返して形成されたもの。日本ではまだたったの150年ほどしか経っていない。島国で、独特の信仰や習慣を持っており、密林のなかの孤島のようだった日本に、西洋のシステムをそのまま持ってきたって、それは合うわけが無いよなぁと初めて気付かされた。
自分を主張したり、相手を言い負かしたりすることがあまり良しとされず、言語化も下手、リーダーに対して受け身でいる文化の中では、民主主義は機能しない。ヨーロッパで古代から重要視されていた「弁証力」も、日本ではそんな事はなかった。だから未だに首相演説も紙を見ながら行ったり訴求力がない。
友人同士の会話やSNSなどで政治についてコメントするのがなんだかタブーというか、あまり歓迎されない空気なのはなぜだろう。この空気の存在からして、民主主義が日本で上手くいっていないことの現れであると。
日本の政治に対して常々感じていた違和感や苛立ちは、これが原因だったのかな。
長年運用して合っていないと感じた政治システムはどんどん変えていくべきと思うけれど、今の日本にはそんな柔軟性はないように感じる。まずシステムが社会に合っていないということに気付かないといけないけれど、私もそうだったように気付いている人はあまりいないんじゃないかな…
頑なにならずに、自分たちを客観視して臨機応変に整備していけたら、、、いいなぁ〜、、 -
Posted by ブクログ
食は文化であり、歴史でもあり、幸せをもたらすものでもあり、味覚の記憶と共に人生を織り成すものでもあります。
また、食は活力の源泉でもあり、その美味しさは金銭的価値にリンクするものでなく、食する時の食する人の心の有り様、その時の空腹度やその食につながる記憶、さらに食する時の本来味覚と関係ない視覚や聴覚などの感覚にも影響されるものだと改めて思いました。
本書に「どんな生き方をしてきたのか、どんな感性の持ち主かによって美味しさの沸点も概念も違う」また、「味覚の喜びは自由を謳歌する頼もしい味方」とあります。
自由な味覚で味覚で織り成された豊かで彩りのある人生を謳歌したいものだと改めて思いました。
作者の老犬ピエラや母の思い出、作者の子供時代やイタリア生活の食に結びつく思い出など楽しく読まして貰いました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ幼い頃からの異文化交流にただただ圧倒されたエッセイ。
14歳での一ヶ月も掛けたドイツ・フランスへの一人旅。それが実母からの勧めというから驚き。一人で降り立ったフランスの空港には、迎えに来るはずであった母の友人は来ないし、フランスからドイツへ移動する際には老齢のイタリア人陶芸家に付きまとわれるしで、もうなんだかすごい体験。これらの偶然の出逢いも必然的なものにしてしまうのはヤマザキさんの秘められたパワーなのかも。
高校時代には実母から、高校をやめてイタリアに留学したら、と勧められ高校を中退し単身イタリアへ留学する。ヤマザキさんのお母さんの影響力ったらない。
一番好きなエピソードは『アントニアとマリア』。
ヤマザキさんの義母アントニアはとてもエネルギッシュな女性。それに対する義父の母マリアはとてもシリカルな女性。ひとつ屋根の下で、水と油のように正反対な2人はアグレッシブな攻防を日々繰り広げる。「お互い気を許し合っているわけではないが、気遣いが無いわけでもない」不思議な関係がなんとも魅力的に私の中に残った。
日本は自分の故郷でありながら、「帰り」という言葉の指す先にあるのは日本ではない、というヤマザキさん。そんなヤマザキさんの世界に向けたどこまでも冷静な視線に、ヤマザキさんと年齢も近いというのにまだまだ狭い箱の中でジタバタもがく自分を歯がゆく思う。
ハードな内容と対極にあるような、ヤマザキさんのお洒落で穏やかな挿し絵がとても魅力的。このクールな挿し絵が巧くマッチして、エッセイ全体をいい塩梅に鎮めている。