【感想・ネタバレ】生贄探し 暴走する脳のレビュー

あらすじ

なぜ人は、他人の目が怖いのか?
なぜ、誰かが得すると自分は損した気になるのか?
なぜ、人と比べないと幸せを感じないのか?
GoToトラベルでは、本来それが経済をよくするためだとしても、「あの人だけ、いい思いをするなんて許せない!」とモヤっとした人は少なくありませんでした。
ヒトは放っておけば生贄を探してしまう生き物なのです。パンデミックが私たちにつきつけたのは、人間の心の闇でした。社会不安から噴出した正義中毒。脳は暴走し、ネットだけでなく、コロナ禍で奮闘する医療者までも生贄探しの対象になったのを目の当たりにした日本人。
脳科学者の中野信子さんと漫画家・随筆家で世界各国に暮らし異文化を経験したヤマザキマリさんが、そうした経験を無駄にせず、知恵に変えるために、ヒトの本質を鋭く分析。心豊かに生きる方法が得られます。

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Posted by ブクログ

糸井重里さんがかつて書かれた
>しかし、思えば「あら探し」だらけの世の中で、あらを探される側になっているということは、ものすごいことだよ、と言えるよ。がんばれ、「あら探されてる」やつら。

ということばが、こころのすみっこで「お守り」になってくれてます。
本書を手にとったのは、それに似た救いを求めていたのかもしれません。

同調圧力が強いコロナ禍、出る杭は打たれる日本社会、
なかなか生きるのがしんどく感じることがあります。

「ヒトは放っておけば生贄を探してしまう生き物なのです。」ということがわかったのが、収穫でした。

最近の論壇でよく見るお2人の対談も含めた、世相分析です。

【本文より】
・クラマーは、自身のごく個人的な怨恨と、正義とをすり替えたのです。

・人間は、自信が正義を行っていると信じているときには、どこまでも残虐になれるものです。

・協調性という名の蟻地獄

・相手の妬みを憧れに変え、自分を生贄にするよりも、生かして仲良くしたほうが得だと思わせられるようになるまで、自分を磨きぬかねばなりません。

・確信という名の甲冑でナイーブで弱い自分の身を包んでいたわけですね。

・歪んでいるのに自分を正義だと信じて、その正義のために周りの人たちを苦しめて。

・諌められている側のネロは、嫌われているとか、失敗をしているといった自覚はなく、避難があってもそれは周りが正しく理解してくれないだけだと思っています。

・ヒトの社会は技術的進歩をいくら遂げても、メンタリティの面では遂行がなされていないというしかないでしょう。

・私たちはまるで「優れていないといけない病」に蝕まれているようです。

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2022年05月08日

Posted by ブクログ

本書で書き留めておきたい言葉

「危機的な状況がおこれば、はみ出し者は生贄に捧げられてしまう、ヒトはそういうことをしてしまう生き物だから、知性でそれを押しとどめる必要がある」

「人間にはさまざまな解釈やものごとのとらえ方があるのだということを認めさえすれば、今後生きていくうえで全てを受け入れ、毅然と前に進んでいくことができるはず」

「地球という惑星の、大気圏の中で生きているという意味では、どんな動物たちもみな同じ仲間。群れとして生きるうえでの安心の基準はそれだけで十分」

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2021年09月08日

Posted by ブクログ

集団の中で多様性を許容せず、異質な存在を排除しようと常に生贄を探している、それをせずにはいられない。日本は強烈にその傾向があると思う。正義を振りかざし、他者を攻撃することで喜びを得る。下品である。
日本人は他国の人間よりスパイト行動(自分が損してでも他人を貶める行動)が顕著であるそうだ。それが協調を保つための同調圧力だとしても、息苦しいことだ。皆が意識を変え、妬みを憧れに、生贄にするよりも仲良くするよう変えていけば国の様相も変わるだろうと中野氏はいう。そうなることを願わずにはいられない。

以下メモ
・正義中毒になると痛みを訴える声は、ズルをするための訴えに聞こえる。苦痛に思う想像力が働かない。
・人間は他者に承認されないと生きていけない脳を持っている。孤独に慣れ、自分自身を評価する脳になっていない。
・日本における“世間体”は戒律。自分より群れ(社会)を優先せよという感覚。
・メンタルの訓練として自分に考えを言語化すること。他人の言説に安直に乗っからないこと。
・孤独とは単純に「群れない」ことではなく他人と価値観を共有できない、存在を認めてもらえないこと。
・正義とは他者の苦しみに無意識で手を差し伸べてこと意味をなす。

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2021年09月07日

Posted by ブクログ

自分の中に湧き上がる正義の“ような”物が正しい事と思わずにいられるだろうか。震える様な使命感に身を任せてしまった事もある。
今、この本に出会えた事を大切にしたい。
“他者が自分達を理解するべきではなく、自分達こそ他者を理解するべき”
日本における“世間体”と言うある意味宗教以上に厳しい戒律。
今生きている現実を真実で捉えて、『柔らかく』生きていきたい。

ヤマザキマリさんの選書 エリアス・カネッティ「群衆と権力」

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2023年04月22日

Posted by ブクログ

日本人が他人と比べて劣等感や妬みを持つ理由を、古代ローマと比較して解き明かしていきます。日本と古代ローマ、国民性が似ているという点が以外で面白く読んだ。日本人の真面目さや親切さは、実は他と差を生まないための仮面で、本当は差ができたときの村八分や魔女狩りを恐れているという洞察はなるほどと思った。コロナ禍の中で生まれた自粛警察も、その一例。差を生まなくさせる行き過ぎた正義だという。行き過ぎた正義については、ソ連のヤロビ農法まで例に出されており、幅広い知識に脱帽です。多様性と言われる時代にも提言。ただ多様があっても関心を持たないと意味がない、他は違うのだと認識したうえで、それを受け入れたり、さらには、知りたいと関わっていったりすることの大切さが良く分かった。

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2022年05月15日

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ヤマザキマリさんの視点って斬新でいつも好き。時々、多文化過ぎたりイタリア人名が沢山出て来て頭がボッーとしてしまうのですが。

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2021年12月02日

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日本人は陰湿!?
直接本人には言わずに、周りを固めて陰口を言ったり、匿名性を利用してネットで誹謗中傷したりと、これは日本人に特に見られる特徴なのだと言う。
正義を振りかざし、標的、それこそ生贄にして人を陥れて自分を守る。
世間体を気にし、同調圧力が強い。
分かる分かる、こうゆうところ、本当に苦手。
人とは違う考えを持った人や個性のある人を排除したがるのは生物としての本能らしいけど、人って何も進歩も学びもしないし、変わらないくだらない生物だと本当に思う。
危険クラスで言えばどの生物よりも危険だと私も同感する。
周りの意見になんとなく流されないためには、考える事を辞めない。想像力を働かせる事。自分の言葉で自分の考えを持ち、表現できるようになりたい。
思慮深い2人の友情は素敵ですね!

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

第一章の中野さんの話は頷けた
対談は同じ話が繰り返されているようで、もう少し短くてもいいかもと思った
発売直後に読んでいたら、また感想も違ったかもしれない

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2024年05月10日

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ネタバレ

ヤマザキマリさんをテルマエロマエの漫画家ぐらいとしてしかしらなかったので、こんなにも知識深く、語る方とは意外でした。
お二人の話がもりあがってる感じで傍目からみて楽しそう。
中野さんの、とある言葉があって、そんな視点もって考えているんだ、って驚き。面白い。

ヤマザキマリさんの5章から、抜粋。
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本当の孤独というのはそうした生き方のスタイルではなく、他者という鏡に自分が映し出されていないと気づいた瞬間でなければ、実感できないものだと思います。
------‐----
この文章よ、、、

それは本当の恐怖だよ。恐ろしい。

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2023年05月28日

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 以前に読んだ『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』にも通ずる内容。日本人は他国民と比べて圧倒的に「出る杭を打つ」、良く言えば群れとの調和を重んじる、悪く言えば正義の御旗を振りかざし執拗に異質と思われる他者を排除する種族とのこと。もうちょっと大らかで大雑把に生きようぜ、と軌道修正を図るのは相当難しいのだろうか。芸能人への誹謗中傷やSNSでの炎上など、大半が重箱の隅をつつくような内容を占めている。真夏マスク来年こそはしなくなってほしいが、まだまだ無理なんだろうな。

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2023年01月16日

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題名にギョッとなりましたが.日本人ね…納得…。ってなる本です。中野信子さんを初めて読む方におすすめ。

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2022年03月01日

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最近の論壇で欠かせない存在のお二人。ネットで暴走する正義中毒などの行動を脳科学とイタリア文化の視点で語る。

最近良い意味で目立つ出る杭のお二人。脳科学の視点から人間の行動を語る。特にネットの進展、Twitterなど匿名で生け贄を探し叩く。ヒトの集団としての行動の特性なと、協調性、妬み、世間体など。

有意義な一冊でした。

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2021年11月08日

Posted by ブクログ

#生贄探し #中野信子 #ヤマザキマリ #講談社α文庫

こわ〜いタイトルですが日本社会を客観的に見るのに良い本でした。正義と名の下に攻撃的になるのは心理学的にも歴史的にも事実なのですね。こわいこわい。自分もそうならないようにしないと!!と蛍光ペンでいっぱい線を引きたくなる一冊でした。

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2021年11月08日

Posted by ブクログ

コロナ禍で発生した正義論、日本人ならではの生贄を作る性質、古代ローマでも同様な関係があったとする斬新な切り口で語るエッセイ
ヤマザキ氏の夫からみた、海外からみた日本の姿も描かれていて新鮮だった

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2021年09月04日

Posted by ブクログ

ちょうどこの本を読み終わった今、ツイッターである種のつるし上げが起きていて、まさに「正義の振りかざし」ってこういうことだとリアルタイムで実感してます。

今の時代は誰でも「正義」を振りかざしやすい環境であると知ることができて良かったと思っているところです。

印象に深かったのは日本ではツイッター利用者が多いこと。それは匿名性があるから。外国だとFacebookなど実名が多い。
それは国の風土や歴史からそういう傾向にあるという部分。

もちろん、お国柄なのでそもそも外国との比較はナンセンスですがそこまで陰湿な炎上は他国では起きにくく、日本では起きやすい。
そしてその日本に住んでる私自身も巻き込まれやすいし、炎上に加担してしまうこともある。そう思うとSNSの使い方は気を付けないとな…と思わずにはいられませんでした。

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2021年08月21日

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正義感を振りかざして他人を生贄にしようとする。
文章になると大げさな表現だけど、誰でも思い当たることだと思う。

ヤマザキマリさんの旦那さんの言葉「困ったり苦しんでいる人を、純粋な慈愛をもって助けてあげることができるかどうか、そういう人間がどれだけいるかどうかが人類の文明の尺度になると思う」。これはぶれない正義にも繋がる。
同じ頃、朝ドラあんぱんで、やなせたかし先生も同じように考え、正義の味方アンパンマンが生まれたと知った。
自分と違う人のことを想像して、他人を理解しようとするところから始めないと、現代の魔女狩りの犠牲になるのは自分や家族かもしれない…

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

なぜ人が生贄を探すのか?
コロナ禍に流行った(?)自粛警察。
ルールを守らない人を槍玉にあげ、日常生活でたまった鬱憤を正統的に糾弾する。

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●平和になると戦いの場(ストレスや怒りの矛先)がなくなるため、正義中毒者が増える。
⇒生贄を探し、炎上。

日本は無宗教、災害が多いため、
⇒不安定さを排除する(=生贄探し)行為に繋がる


●"世間体"という戒律
群れとして一体化しているから、個人は特定できないだろうという安心感。匿名で人格を変え、ふだん人前では言えないことを言えるTwitter

誰かをやり玉にあげることで、他者が団結し、ルールを守るための見せしめにする。


●メンタル面の訓練には、想像力が必要。
思い込みや価値観の共有押し付けは、想像力の怠惰。意見の違う人を異物として排除する行為は、多数派に群れ同調することで、想像力の機会を失い、自己の意見を責任回避する。

⇒ヒトという種族の生き物を客観的に見るには、地球上に住む別種族の生き物を観察する事で、価値観や想像力が広がる。

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●結論
人間以外のもっとシンプルに生きている生き物たちを見てみろ…という事らしい。
確かにうちの猫をみていると人間みたいな余計な感情はなく、その時ごとに生きている。

人間は生き延びるために脳が複雑に多様化したけど、それが原因でヒト同士に諍いがおき、戦い競いあっている…。

他者を下げ落としても得るものはないんだけどな。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

何かと比較しないと幸福を感じられない

ちょっと難易度高め。対談になると次々知らない言葉、人名が出てきてついていけなくなる。

一例としてコロナ初期の話が出てたけど、未知の感染症は良い例えではないと思う。
むしろ未知の感染症への恐怖の薄かったお国柄?の人達の事が気になった。自分や家族も死ぬかもとは考えないものなのか?

群衆と権力 エリアス・カネッティ

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2025年01月27日

Posted by ブクログ

よっぽど気をつけて生きていない限り、いつの間にか自分と違う考え方の人と出会った時に自分を正当化してしまうと思います。この本を読んでそれは良くも悪くも横並びが好きな日本人ならではなのかなと思いました。
出る杭は打たれるという内容のことわざが他国にはないというのも印象的。いくつになっても他者との違いを面白がって受け入れられるような自分でいたいなと思いました。

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

正義中毒にについて脳科学者とイタリア在住歴の長い漫画家がそれぞれの視点で分析。対談は、ローマ皇帝ネロから中世、現代までの多様性の受容について興味深い内容でした。どうすれば足の引っ張りあいをせずに多様な価値観を認めあって行けるか、多様性の受容に成功した賢帝ハドリアヌスと真性ローマ皇帝フェデリーコ2世の治世方法をモデルにすると他者理解というキーワードが。それを可能にするのは、厳しい境遇で培われたた教養と心の余裕のなせる技なんでしょうか。

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2023年05月06日

Posted by ブクログ

博学のお二人が現在の日本、日本人の状況について縦横無尽に語り合われた内容。

対談の部分については正義、生贄、世間体、個性を失う教育といったことに対して容赦ない分析が会話の中で行われていく。その知識のバックグラウンドは半端ではない。

対談の章では「なるほど」と思わされるところが多々あった。ただ、「で、どうしたら良い?」という問いに対する答えのようなものが見えてこなかった。

「自分は自分が大事、相手も自分が大事、それを尊重し認め合うこと」という言葉が最後の方で出てきた。まさしくその通りだと思う。

最後の章のヤマザキマリさんのお考えは、とても納得のいく内容だったと思う。

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2023年03月16日

Posted by ブクログ

脳はホント〜に面白い‼︎

知性で抑える⁇
られる⁉︎

ずっと、読んでいられる。
繰り返し、納得しながら。

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2022年10月30日

Posted by ブクログ

対談部分より、お二人がそれぞれ執筆した箇所のほうが読みごたえがありました。
この本から初めて知ったことはトム・ハンクスやミシェル・オバマがそうだという「インポスター症候群」という自分を否定的に見てしまうという病態。
そして、中野先生が解説していた「魔女狩り」の歴史も勉強になりました。
ヤマザキマリさんが書いていましたが、落語の噺のように、人生お互いに失敗したり、迷惑をかけたり、かけられたりすることって当たり前だよね…と見守り、支えあう考え方が行き渡れば、ギスギスした世の中にならないんだろうなぁと思いました。

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2022年08月28日

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人間は団体になると恐ろしい。他人を落としても自分の承認欲求を満たしていく。特に日本人は宗教的背景もあり,その傾向が強いとか。
なぜ人間にこのような団体行動を阻害していく機能があるのか?いずれ人間同士で争い合いこの地球からいなくなるような脳になっているので?と考えてた。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

日本人の同調圧力とその戒律を破った者に対する正義の鉄槌について脳科学とイタリアの歴史から考察、テンポの良いやり取りが痛快です。それにしてもヤマザキ氏が17歳で皇帝になったネロがとても人気があったとの話をしたときに、今の日本でいうと小泉進次郎さんですかと問い、それに対してネロはオリンピックにも出場するスポーツマンでもあったと返すと、クレー射撃でオリンピック出場経験もお持ちの麻生太郎副総理のような感じですかねと執拗にボケる中野先生にコーヒーを吹きそうになりましたw

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2022年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ろうの高校生が感想文書かれていたことをきっかけに読んでみました。
たしかに、なぜコロナで10万円もらっている家庭があるのに俺はもらえないんだ

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2022年01月30日

Posted by ブクログ

もっと脳科学的な話かとおもったら、ヤマザキマリさんとの対談ということで古代ローマの話は半分以上。面白かったけど。
ネロの話辺りは知らない話としては面白かった。

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2021年10月12日

Posted by ブクログ

前半面白かったが失速?迷走?した感じ。
一冊分語り合うことは出来なかった模様…
でも、考察のきっかけになる面白い視点多数。対談形式の割に、ちゃんと論が展開されていて読み応え⭕️

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2021年09月26日

Posted by ブクログ

<目次>
はじめに 中野信子
第1章なぜ人は他人の目が怖いのか 中野信子
第2章対談あなたのためという毒親
第3章対談日本人の生贄探し
第4章対談生の美意識の力
第5章想像してみてほしい
おわりに ヤマザキマリ

p161 相手に自分を理解してもらうより、自分が未知の
相手を知って、理解することに真の充足を覚えられる

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2021年08月22日

Posted by ブクログ

脳科学的な話や分析は そんなに多くない。
歴史上の出来事と今のコロナ禍の状況を 関連付けた内容。歴史の勉強にもなった。

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2021年08月12日

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