安部公房のレビュー一覧

  • 箱男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    結局のところ、どこまで妄想なのか謎。箱にこもって被害妄想に駆られた分裂気味の男性が、わけのわからない日記を書き散らしているだけのようにも見えるし、途中から箱男が死に向かう理由についてミステリーのように「辻褄合わせ」のストーリーが展開されてよく練られた小説のようにも読める。
    箱男のコンセプトは興味深いが、見られないところから一方的に女性を眺めたいという男性ならではの欲望が「箱」と結びついているせいで、性欲的・変質者的な描写が多いのは共感しづらい。とはいえ「見られる」ストレスは自身も大変共感するので(コロナ禍のマスクがその後も外せなくなった)、箱に潜む生活に関してはそれなりに興味がわいた。箱女なら

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    2025年09月28日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    人魚の話の雰囲気が好きだった。ドブくさいというか、生臭い感じ。リトルマーメイドだけが人魚にあらず。むしろセイレーンのような妖怪が本来の姿では。

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    2025年09月21日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    安部公房が仕掛けるシュルレアリスムの迷宮にぐいぐい引き込まれる、2025年の今でもやはりアバンギャルド文学の最先端と言っても過言ではないです。「なわ」については、あの小島監督にも影響を与えたようです。読みながら頭の中に広がるモノクロームのイメージ、安部文学の真骨頂である不条理かつブラックユーモアの効いた世界観と相まって、未知の体験を味わえます。一度ハマるとやみつきになること必須です。

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    2025年09月04日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    ストーリーの9割が、一対一の会話劇。心理戦。
    ラストの乱暴さも何故か安部公房らしさを感じた。個人的には、地球人と火星人の概念が混濁していくようにはあまり感じれなかった。

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    2025年08月26日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    再読。
    覗き趣味の話。
    文庫で出ている安部公房作品をある程度読んでから再読したので、初めて読んだ時のような拒絶反応はなく楽しめた。
    わけがわからないのは変わりないので筋を追うよりテーマを楽しむ作品と思おう。

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    2025年08月21日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    友人に勧められて。
    1秒間にたっぷり感情が詰め込まれてるから時間の流れはゆっくりなのに、1文字たりとも逃しちゃいけないみたいな感じだった。
    学生の頃の授業とかで咀嚼したかったな…。

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    2025年08月16日
  • 壁(新潮文庫)

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    皆がまず真っ先に思うのはとてもカフカ的だということ。カフカからの絶大な影響を受けた影が、己の背後から忍び出て目の前で踊り出すぐらいには前面に出ている作品。
    安部公房の作品はストーリー性のある砂の女や密会、哲学的な方向へ重心を置いた箱男、など前衛的な作品でいっぱいだが、その中でも哲学的に軸を置いた作品のように感じた。

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    2025年08月13日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    “孤独というやつは、逃れようとするから地獄なのであり、進んで求める者にはむしろ隠者の幸せであるらしい。”



    “美とは、おそらく、破壊されることを拒んでいる、その抵抗感の強さのことだろう。再現することの困難さが、美の度合いの尺度なのである。”



    安部公房さんの巧みな比喩表現に唸らされ…
    難解な文章や展開を繰り広げながらも
    たまに読者目線におりてきてくれる
    緩急ある構成で点の物語から 次第に面の物語へと姿をかえていく…

    初めて安部公房さんの作品を読んでみたが
    手記という描き方も気に入ってしまった!!


    事故で蛭のような火傷により
    顔という社会の接点を失ってしまう主人公

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    2025年08月11日
  • 密会(新潮文庫)

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    色欲に支配された社会とはこういうものなのかと思わされた。妻が失踪するところから話は始まるが連れ込まれた病院がとにかく変わってる。インポテつになった副院長が発情するために病院内に盗聴器を仕掛け他の斡旋業者と手を組み様々な人たちの密会を盗み聞きしているような病院で妻を探す主人公が気の毒すぎる。他人の陰茎を移植しまさに馬のような見た目となった副院長は狂気の沙汰ではないがそれが認められるような社会もそのうち来るのか。人間は思考することができる一方で逆に色欲をコントロールできず他の動物と違い年がら年中発情することができ世の中ではそれを売り物としていることへのアンチテーゼなのか。

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    2025年08月10日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    面白くなってきたーというところで終わっているのがとても残念。飛ぶ男の不思議さよりも他の人々の奇妙な生活がじわじわ滲み出て終わっているのでどうなるのだろうと頭をフル回転。読者ごとにいろんな世界に広がっていくのだろう。

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    2025年07月30日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    大好きな作家・安部公房の短編集。大学生の時に少し読んだが最後まで読めてなかったので久しぶりに再読。これこれ、この世界観、さすが安部公房。不条理文学の粋が詰まってる。不気味な感じもいい、やっぱ安部公房なんだよな。

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    2025年07月17日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    太平洋戦争後に満州に残った残留日本人である久木久三が日本へと帰る物語。ロシア兵と一緒に生活していた久三はある日日本へ帰ることを夢見て抜け出しそこで高石塔と出会う。彼の本名はわからず多くの偽名を持ち身分もわからないが久三が日本人で本国に帰ることを知ると一緒に行動をするようになる。高は誰かから逃げるように荒野を歩き続け久三も後を追い二人は瀕死の状態となる。最終的に久三は日本へ密輸する船に乗ることとなるがそこで久三を名乗る高とで会い二人は船に監禁され本土へ辿り着くことができない。
    作者が満州で生活し戦後日本へ帰るという波乱な人生を送っていることがモチーフとなっているが当時の混乱がとても伝わる。
    荒野

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    2025年05月31日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    本当に「夢の内容を書き写した創作ノート」以上のものではない。
    「公然の秘密」や「シャボン玉の皮」等は思想が見えて面白い。
    「弱者への愛にはいつだって殺意がこめられている。」
    少し分かる気がした。
    理由はまだ言語化出来ない。

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    2025年05月31日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    んー、やっぱり研究者でもない単なる一読者が未完成の作品を読むというのは作家に対して失礼なのではないだろうかと思った。
    もっとも、完成品を読んでも著者の描きたかったテーマを読み取れないモブ読者だから関係ないと言われればその通りではありますが。

    「面白くなりそう! 続きを読みたい!」が感想です。

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    2025年04月17日
  • (霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読書会課題本でしたが、「天使」くらいまでしか読めてない時点で参加してしまい。
    今頃ようやく読み終わりました。

    後半の、「憎悪」「虚妄」「鴉沼」がじわじわくる好みのぐるぐるでした。
    安部公房作品、ピシャッとはまるものから、???のものまで色彩豊か…ではなくくすんだ色合いの砂とか水中都市に泳ぐ灰色の古代魚までさまざまな長編も短編もあって、読んでみなきゃわからないなぁとつくづく感じました。
    「闖入者」のあまりの怖さにトラウマを抱えているので、このような地雷をふまないようにして。
    「キンドル氏とねこ」は面白そうです。「壁」に続くのかしら…読みましょう。

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    2025年04月16日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    失踪した男の調査をすることになった興信所員である主人公が、やがて自分自身を見失っていく。無機質な都会での疎外感や迷路にはまって、いつまでも抜け出せない不条理さが独特な文体もあって、よく描き出されていると思った。

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    2025年04月06日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    安部公房は、家元が中学高校一貫校の寮生時代には劇作家として活躍していた。演劇同盟座付き作家N原は、彼に傾倒していた。劇団男優の家元は、江守徹から芝居のイロハを拝借した。
    ところで花田清輝の書評でも書いたが、実に小説の世界(活字の世界)は、流行歌の世界(歌謡曲界隈)に比して繰り返し楽しむ機会に乏しいのは実に残念な事だ。本書も、安部氏の比較的初期作品であるが、彼の特色である人間の意識と感受性に、環境や他者の影響が色濃く出ている。今で言うところのAIにも似た予言機械が登場し、未来が人間に肯定的なものであるのか否定的なものであるのかは、不明である。が、それゆえに人間は未来を知りたがる(占いなどの信憑性

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    2025年04月05日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    【全体の感想】
    短編が12個収録されており、どれも怪奇小説めいた雰囲気で正直よくわからない作品もあった。読んでいてレイ・ブラッドベリの短編に似ているなぁと私は感じた。印象に残っている作品はタイトルにある「R62号の発明」「鉛の卵」の2つと「犬」の計3つ。


    【印象に残った場面】
    「R62号の発明」
    ”死ぬつもりになって歩いてみると、町はあんがいひっそり、ガラス細工のように見えた。”P8 阿部公房の作品における魅力の一つは独特の比喩表現だと私は思っている。本屋でこの本を手に取って冒頭を読んだ時、上記の比喩表現に痺れて買うことを決意した。”菫色の夜明の最初の小鳥のような、軽やかな吐息が飛立って、

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    2025年04月02日
  • 箱男(新潮文庫)

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    安部公房(1924~1993年)は、東京生まれ、満州育ち、東大医学部卒の小説家。作品は海外でも評価が高く、世界30数ヶ国で翻訳され、晩年はノーベル文学賞の有力候補と目された。
    本作品は、『壁‐S・カルマ氏の犯罪』(芥川賞受賞)、『砂の女』(読売文学賞、フランス最優秀外国文学賞受賞)と並ぶ代表作の一つと言われ、1973年に出版、1982年に文庫化された。
    内容は、ダンボール箱を頭から腰まですっぽり被り、小さな除き窓から外界を伺いながら、街を徘徊する「箱男」を主体としたフィクションだが、箱男が書いたとされる文章のほかに、他の人物が書いたらしい文章、新聞記事、独立したエピソード、白黒の写真等が多数挿

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    2025年03月26日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    箱男を読んで以来、30年以上読んでなかった安部公房を久しぶりに。死をテーマにした後年の作品の様だけど、奇怪なストーリーの中に違和感というか、棘の様なものを感じました。

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    2025年03月23日