安部公房のレビュー一覧

  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    R62号の最後の衝撃。脳の回路、生産性、重役。頭取は何に感動していたのか?
    戦後の労働や生活環境といった時代を感じる。そしてその奥に隠された寓話や教訓。設定も落ちもユニークで、読み進めてしまう。

    「パニック」パニック商事。Kの痕跡。三日間の放浪。
    「犬」人間くさい犬。「妻の顔」妻と犬のいれかわり?
    「変形の記録」一番教訓や話の落とし所がつかみにくかった話。戦争のすなぼこり?
    「死んだ娘が歌った……」掃除の授業、お弁当詰めの授業、心のイワシ、朝まで遊ぶ娘。工女の哀れさ。
    「盲腸」羊の盲腸。
    「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」
    「鍵」盲目の娘と疑い深い親父。
    「鏡と呼子」田舎小学校ながくて良

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    2021年01月01日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    難しい。再読しないと。
    仮面の陰に隠れてこそこそするのではなく、仮面ははっきり仮面だと分かるものでないと意味がない、という妻の手紙が見事。仮面を見破っていた妻は、仮面に隠れるような卑小な男は捨て、仮面を演技として使う男の前には共演者として現れる。
    素顔が仮面か、仮面が素顔か。

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    2020年12月28日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    『友達』は友達とは何だ、どこからが友達で何が知り合いで…なんて思う。家族は家族が演じねばならないと感じる。
    『棒になった男』は短編としては面白い。けれどこれを(実際に上演するとして)一回にまとめて、この順で上演する必要性がまだわからない。一つずつの面白さは存在するのに。

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    2020年08月13日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    マスクをしていないと、奇異な目を向けられる昨今において。

    主人公はもはや妄想観念的な執着心でもって仮面を作り出そうとする。

    しかし、この執着心やら孤独感とはどこに源泉があるのだろう。

    顔、なのだろうか。

    P.74『怪物の顔が、孤独を呼び、その孤独が、怪物の心えおつくり出す。』

    こだわりの強さ、情緒交流の乏しさ。
    そこに、恐るべきボディイメージの歪みと疎外感が加わる。

    P.80『流行と呼ばれる、大量生産された今日の符牒だ。そいつはいったい、制服の否定なのか、それも、新しい制服の一種にすぎないのか』

    これは昨今でもまったく同じ現象を容易に思い浮かべられる。量産型女子大生とか男子大生と

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    2020年05月28日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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     とあるさびれた田舎町で、共同体から疎外されルサンチマンを抱えたはぐれものたちが、地熱発電所の建設を利用してアナーキーなユートピアを目指す「革命」を企てるが、町の支配者たちに発電計画を横取りされて瓦解・挫折するまでをユーモラスかつアイロニカルに描く。

     描かれる「革命」が政治的な陰謀というより、1人の夢想家の大博打に町が巻き込まれていく形で、「革命」の挫折の要因が権力の弾圧や革命勢力の内紛のようなありがちなものではなく、地方政治における諸勢力間の陰湿でせこいなれ合いや、法的な許認可や土地取引の経済的な駆け引きの敗北であるのが、単なる反ユートピア政治小説と一線を画している。初出は1950年代と

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    2020年03月26日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    表現力に圧倒される。時代背景も人物背景も馴染みがないはずなのに、自分がそこにいるような手触り感。特に二回目の団地の描写はすごい。あ、この感じ前にもあったな、懐かしい、主人公に自分が重なる。

    内容は難解。さらっと読みしただけでは喪失部分が唐突で意味がわからない。一体どういう心情でそういうことになったの?これまでの丁寧な説明は逆になんだったの?と。でももしかしてそれも表現効果の一部なのだろうか。メビウスの輪(とはよく言ったものです)の裏側は表と近しい位置にありながら全く繋がらない世界です、というのをその唐突さで表している?

    主人公は弟、田代君、仕事、彼の妻からの依頼、と次々に目的を見失い(これ

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    2020年03月04日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    放送作家をしている主人公の元に、突然火星人を名乗る怪しい男がやってくる。主人公は男の話を聞いているうちに、自分が地球人か火星人か、わからなくなってしまう。本当にこの通りの話。もしかしたら私も、地球病にかかった火星人なのかも。

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    2019年12月10日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    中山さんからのオススメ。公房作品三作目。短編集。大抵の主人公は何故かすぐ死に至る位置にいるようだ。何処かカフカっぽさを感じさせる作品の多さよ。一番好きなのは、解説で唯一触れられていない「パニック」かな。ミステリィっぽさを感じさせ、世間を皮肉っている点が好み。あと「人肉食用反対〜」も白井智之氏の『人間の顔〜』みたいで好きだ。

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    2019年07月13日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    自分が安部公房に期待するものは、日常に非日常が滲み出すようなふわふわとしたジャメヴュとSF要素なので、そこからは外れていたかなと思う。
    ただ、その分読み口は非常に軽く、諧謔味は他の作品より強かった。そこを気に入るかどうかは、完全に好みの域。個人的には嫌いではない。

    あくまで自分の意見だが、本書は安部公房の学生時代を戯画したものではないだろうか。
    筆者は学生運動にかなり入れ込んでいたと聞く。
    いわば回顧録のようなものだとすれば、なかなか興味深い。

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    2019年05月15日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    小説かと思ったら半分くらいエッセイ。エッセイの方は作品のルーツがわかるような内容のようだが、肝心の作品をそこまで多く読んでいないし最後に読んだのも遥か前で余り感じるところなく。
    最後の数篇は正に夢を元にしたらしい小説。案内人や密会の出口の無さや性的イメージは自分の見る夢に近い。
    鞄は夢の感覚とは離れているような気もするけど、起承転結が見事で好き。

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    2019年04月28日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    超現実主義派と称されるにふさわしい作品
    ひとつひとつの短編を読むごとにすっきりするようなものではないが、作者の言いたいことを考えさせるものが多かった。
    R62号、鉛の卵あたりは個人的にスタンリーキューブリックに映画化してもらいたいと思った。

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    2019年01月03日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    安部公房(1924-1993)の長編小説、1967年。

    安部公房の小説の主題として、しばしば「自己喪失」ということが云われる。では逆に、「自己」が「自己」を「獲得」しているのはどのような情況か。それは、「世界」の内で何者かとして在ることができるとき。則ち、「世界」が"存在の秩序(ontic logos)"として一つの安定した価値体系を成し、その内部において「自己」が意味を付与され在るべき場所に位置づけられているとき。しかし、近代以降、「自己」の存在根拠を基礎づけようとするのは当の「自己」自身となる。このような【超越論的】機制から次のことが帰結する。

    □ 自己喪失は不可避

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    2018年12月24日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    夢と現実の溝に挟まって、でも、
    だからといって
    抵抗するでもなく受け入れるでもない感じ…
    はっきりしないまま途切れ途切れに延長していく「夢」のメモ。
    朝、天井を見て
    「あれ、ここどこだっけ?……あ、私の部屋か…」
    「今日、何曜日だっけ?!……大丈夫だ、休みの日だった…」
    っていう寝覚めのような、
    あの一瞬脳みそ持ってかれるような読後感です。

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    2018年10月08日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    仮面と素顔。

    テーマは好きだけど…
    ストーリーとして本当に面白いのは最後の2割くらいと思ってしまった。

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    2018年09月02日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    正確かもわからない地図、報告書、嘘かもしれない嘘、そういうものたちにしか立脚することのできない存在の不安が描かれる。ロブ=グリエの『消しゴム』をやたらと思い出させる、裏返しのモチーフが何度も出てくる。ただまあ個人的に文体があまり馴染まなかった。

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    2018年04月29日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    短編なのでスイスイ読めるが、独特の世界観に難渋。著者は頭が良すぎて、我ら凡人には理解できない思考回路のような気がする。
    氏が創作する過程が垣間見えたのは非常に楽しい。

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    2017年12月14日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    「安部公房だから」とちょっと気合いを入れて読み始めたのだけど、地の文がないためか案外さらさらと読めた。

    『友達』は実際に起こっても不思議がないような変な説得力があった。
    『棒になった男』のボクシングシーンは赤子に読み聞かせた。
    『榎本武揚』は俺にもうちょっとレディネスがあれば楽しめたのかも。

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    2017年11月12日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    夫が失踪した、という女性からの依頼を受けた調査員が巻き込まれる不可思議すぎる出来事のあれこれ。
    弟も謎なら夫も謎だし、決着つくかと思いきや、ラストますます迷子になるという……やはり安部公房であった。

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    2017年11月04日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    安部公房の短編集で、やはり不思議な世界観が詰め込まれた作品です。砂の女や箱男を気に入った人が読むと、この世界感がついていけない人が多いと思う。最近、小説は安部公房ばかりを読んでいて、その世界感と文体に想像の仕方になんだか変な癖ができてしまった。濃いメタファーの味付け料理で、なんだか舌が飽きてしまったような気がする。安部公房の作品はとても好きなのだけれど、どれも作品の根底にあるものが似ている気がしてならない。これは村上春樹にも感じる感覚。色んな深海に潜っても、見える世界は同じというか。

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    2017年01月17日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    ネタバレ

    なかなかに悪夢。
    ちょっとでもつま先を浸そうものなら、がっしと足首掴まれて引きずり込まれそうな…。
    でも心惹かれる世界。

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    2025年05月28日