【感想・ネタバレ】水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく「水中都市」、コモン君が、見馴れぬ植物になる話「デンドロカカリヤ」。安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原型となった「闖入者」や「飢えた皮膚」など、寓意とユーモアあふれる文体の内に人間存在の不安感を浮び上がらせた初期短編11編を収録。(解説・ドナルド・キーン)

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おもしろい!と思ったり
訳がわからない!と思ったり
おとぎばなしを聞いている気分になったり
ひとつひとつが笑えたと思ったその次には
背筋がゾワ〜と恐怖を感じたり
やっぱりおもしろいのでしょうね
不思議な世界の中にも
素敵な文章の数々
次にあげる表現は雪に囲まれた冬の今だから、
なおさら心に響いて残っています。素敵な表現!

「そしてそれらの雪の上に、また新しい雪が重なり、町の表面はなだらかな雪の曲線に覆われてしまって、数日の後、もしくは数時間の後、不意に映写機の歯車に故障がおきたかのように、街全体がぴったりと動かなくなっていた」

「本当の春が近づいていたのだ‥
 ある日、雲の割目から、太陽がいたずら少女の       ような手をさしのべた。そして泡立つ古い酒を入れた水がめの底に、誤って落とした金の指輪をさがそうとでもするように、静かに町の睡をゆりさました」

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2025年02月13日

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現代の寓話とも言うべき短編集。主人公らは人間から変態したり、そもそも人間ではない存在を描いており、その中に著者のユーモアがふんだんに散りばめられている。不条理な展開に振り回されつつも、その中にある様で存在しない大きなメッセージを感ずるだろう。

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2024年04月25日

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安部公房の作品という感じでとても良かった。この世界に身を浸すことが楽しい。意味や風刺はもちろん私には読み取りきれない。でもそれでもいい、そのまま作品を楽しめばいいと解説に書いてあって楽な気持ちになった。純粋に安部公房の描く世界の美しさと不可思議さと、その文体の見事さに浸って良いのだと思った。

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2022年11月25日

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11の無慈悲な短編集
シニカル・ウィット・刹那・苦悩に溢れ
あらゆる人間の負の感情を曝け出すも
対極にある無頼な世界に帰結する

タイトル2作も情け容赦ない末路を辿るが
“何か”を犠牲にする事で救われたような…
無責任な安堵が心を満たした

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2022年06月04日

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箱男を数年前に読んだ以来の安部公房。
この人の文章によって思い描く景色は、古いビデオテープに録画した古い映画のような、ざらざらした触感の音声と映像で再生される。
そうして再生された景色も、埃と砂でざらざらしている。

また、この与太話の説得力は何だろうか。
「ショウチュウを飲みすぎると魚になる」とか、酔っ払いの戯言のようなのに、なんとなく「そういうもんかな」と思わせる。
起承転結が夢のようにチグハグで、読み終わってすぐは「なんだこれは」と思うのに、なんとなく腑に落ち…いや落ちないわ。全然落ちない。その腑に落ちなさと不条理が良い。

あまり深く考えない方が楽しく読めるのかもしれない。
ざらざらした貧しい雰囲気と与太話を楽しむには。

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2021年10月09日

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安部公房は以前別のを読もうとして全く入り込めなかった過去があったので避けてたけど、今回これを読んでみたらすごく面白くてすらすら読めました。

シュールで不思議な雰囲気で、社会や政治への風刺が多い短編集だったかなという印象です。
とんでもなくシュールってわけでもなく入り込みやすい気がします。
後味は全体的に良くはないですね。ハッピーエンドではない…。

『デンドロカカリヤ』が一番好きで、『手』『闖入者』あたりも好きです。

これを機に安部公房作品もっと読んでいきたいなぁ。

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2017年11月15日

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安部公房の一部ドタバタも含むSF中心の短編集。青年が突然、珍しい木「デンドロカカリヤ」に変化する。夜中に突然現れた見知らぬ家族によって家が乗っ取られるなど、わかりやすい恐怖から、世の中が知らぬ間に水の底になって、人間が人喰い魚に鳴ってしまうなど、常識の根本が覆されてしまうものまで、多彩な作品群。

様々な表現が文学的で、理解するのに時間がかかることを除けば、筒井康隆や小松左京を読んできた人にとっては、非常に面白い本と感じるであろう。特に気になるのは、作中人物の思考だと思って読んでいると、急に第三者の視点のような表現が織り込まれるところ。

こういう作品群から、現代文の問題を出されたら、絶対解けない自信がある。

それはそうと、いくら文学的な表現が多くとも、この本全部がエンターテインメントである。面白くて楽しくて恐い。おそらく作者も楽しんで書いていたはずで、そこを踏まえて、ついている解説が結構的はずれではないかと思うのだが、読まなきゃ良いんだな。

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2016年02月12日

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多分初めて読んだ安部公房だったと思う。
ここで無頼派にハマった。
若いうちに読んどいて良かった。

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2016年01月09日

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圧倒的想像力というか空想力!
安部公房の頭の中ってどんなことになってるんだろう。
実存への不安感とシュールさでぐらぐらする、面白い!!

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2015年03月10日

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表題2作。
ひどくシュールな漫画を読んでいる気持ちになる。
水中都市にしても、デンドロカカリヤにしても
「ある枠」をはめて物語を一層意味深くしている。この作者、物一つ眺めてからの創造力が桁外れだ。モノづくりにとってはネタの宝庫かもわかりませんね。

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2014年12月17日

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カフカ的な作品で理解が難しかったです。断片的には、何かを象徴しているのかなっと思うシーンもあるのですが。。。これを読んで面白いといえる人っているのでしょうか。。。

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2013年03月18日

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11篇からなる初期短編集。昭和24〜27年の作品が収められていますが時代や古さは感じません。
どれもうっすら息苦しくうっすら後味悪く、理不尽なストーリーも多いです。
この調子で長編だったら鬱々としそうですが…短編なのでサクサクと読めたのが、安部公房初心者の私にもピッタリだったかも。雰囲気満喫しました
お気に入りは
「デンドロカカリヤ」「手」「水中都市」「飢えた皮膚」「闖入者」

小石川植物園に、デンドロカカリヤを見に行きたくなりました。

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2025年09月01日

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『友達』の原題にもなった『闖入者』が抜けてて素晴らしい。
他収録作はシュールレアリスム寄りだが、安部公房作品では相対的に取っ付きやすい部類かもしれない。

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2023年01月04日

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安部ワールド。唸るほど詳細で素晴らしい描写と、おぞましく突飛な物語。これをシュールレアリスムというのか前衛的というのかはわからないけれど、読み進めるほどにあぁ天才の書く小説とはこういうものだとガンガン打ちのめされる。付いていけない。

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2021年11月30日

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ネタバレ

寓意とユーモア、そしてシュールさが溢れる、安定の安部公房ワールド。
そこには、ふわふわと水中を漂うかのような、不安定さもある。

これを読んでると、形ってなんだろうって思う。
自分が見ているものの形と、その実際の形には乖離があって、一体そのどちらが正しいのだろう。いや、もしかしたらどちらも間違っていて、正しいかどうかなんて、誰にも分かんないのかも知れないな、と言う気持ちになってくる。

闖入者は読んでいて胸糞悪かった。ただ、そのじっとりとした湿度を感じる嫌な読後感は、砂の女含めて、安部公房作品に通ずるものがある…良いな…

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2021年08月15日

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読書会で紹介された本です。
こちらの表紙は「デンドロカカリヤ」っぽいですが、読んだ本の表紙は「水中都市」っぽいので古いバージョンなのかな。
面白かったです。
「デンドロカカリヤ」「手」「詩人の生涯」「水中都市」が好きでした。
人が植物や魚になったり、世界が凍りついたり水中に沈んだりする、不思議な世界が楽しかったです。水中都市で空中を泳いでみたいです。魚は怖いけど。
「闖入者」はとてもブラックで怖かったです。結末が辛い。
安部公房は寓意があるのかどうかよく分からないですが、このよく分からない感じを楽しむので良いのかなと思います。
解説がドナルド・キーンさんでした。読者に私なりの「解釈」を押し付けるのは遠慮したい、という姿勢、わたしも気を付けていこうと思いました。合掌。

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2019年03月09日

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箱男が個人的に難解だったので少しとっつきにくい印象を抱いていたけれども、この短編集に入っている作品はどれも話の展開がわかりやすく、伝奇的で面白かった。「闖入者」が好き。

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2016年04月29日

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安部公房の短編集。全体を通すテーマは変形と擬人化といえようか。些か読者を突き放した感は安部作品の特徴といえよう。それが何かは説明せず物語は進み、何を描いているかぼんやり見えてきたとしても、それが何を示しているのかははっきりさせない。それは著者の世界観の作り込みと作り上げた世界への移入が完全なものなため、読者に立ち入る隙を与えないのだろう。

「デンドロカカリヤ」は星新一の「クラムボン」を思い起こさせたが、あちらが童話的なのに対しこちらは寓話的である。しかし何を風刺しているかは筆者にしかわからない。それでよいのだ。何か異次元の世界を描き、読者が一端を垣間見る、それが安部公房作品の楽しみ方でもあるのだから。

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2015年11月01日

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『手』『闖入者』『水中都市』が好き。 三つとも毛色は違うけど、気に入ったのだから仕方がない。
安部公房で始めて手に取った文庫。 動物や植物への変身を物語に組み込んでいることが多く、それが他著者の変身物語と比べて当然のことのように取り扱われている。著者にとって肝心なのは変身そのものではなく、そこから生み出される雰囲気であり、象徴性であったのだろうかと感じた。
常識の破綻を当然とする展開のおかげで、夢を見ているような気分にさせられる。楽しい夢ではないことが多いが、進行のテンポが良いため、夢だからそんなもんだよねとやや強引に納得させられてしまう。

あとがきではカフカやリルケを似た作品として挙げていたけど・・・夢野久作あたりも近・・・くもないかな? いや、目指している方向は違う気がする。もしくはアンナ・カヴァン? それも違う気がする。

まあ類似を探すよりも、作品が醸し出すこの素晴らしい夢の雰囲気を素直に楽しむのが一番。ひとつ読んで気に入ったら片っ端からどうぞ。

自治医大店 田崎

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2015年05月01日

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ネタバレ

≪デンドロカカリヤ≫
不気味な語り口で綴られた、“コモン君がデンドロカカリヤになった話”。
ぼくらはみんな、不安の向うに一本の植物をもっている。伝染病かもしれないね。植物になったという人の話が、近頃めっきり増えたようだよ。(p.9)

“植物になる”ということが、現在の喪失、自殺した人間、精神分裂などのパラフレーズとして使われているのかな。
結末にはゾッとした。

≪手≫
この物語の展開には思わず唸ってしまった。
かつての伝書鳩“おれ”が、観念化され銅像となり、
さらにその銅像の足首を鋸で切ろうとしている“手”
この設定だけでも脱帽したくなるのだが、そこからさらにストーリーが加わっていく。
なんとも言えない読後感を味わった。

≪飢えた皮膚≫
貧乏人が金持ち夫人に復讐する話。
夫人が薬物にはまっていく姿がブラックに描かれている。
身体の色が変わってしまう病気というアイディアが安部公房らしい。

≪詩人の生涯≫
糸車に巻き込まれた老婆が糸になり、その糸からジャケツが作られる。
買い手もなく彷徨いはじめたジャケツは、詩人である息子の前に立つ。
冬の厳しい寒さと春の訪れを感じさせる文章が印象深い。

≪空中楼閣≫
無職の男のアパートの前に貼られていた“空中楼閣建設事務所”の工員募集。
実体のない職業に、採用されたと思い込んだ男はどんどん狂っていく。

≪闖入者≫
夜更けに突然やってきて、住み込み始めた闖入者9人家族。
彼らをなんとかして追い出そうと、男は奮闘する。
この設定も怖いな…特に一人暮らしには。
都市伝説とかでありそう。
孤独になっていく現代社会の生への皮肉だと思う。

≪ノアの方舟≫
私はノア先生を見捨て、方舟を見捨て、そして村を永久に去ることにしました。今となって、私にねがえることはただ、この愚かなアル中患者に関する伝説が、せめて誤り伝えられぬことをねがうだけでした。

この最後の文章がすべてを語っている気がする。
ノア先生のめちゃくちゃな天地創造論も面白かった。

≪プルートーのわな≫
猫に鈴をつけに行くのは誰だ?
安部公房版イソップ童話。

≪水中都市≫
魚になるとは、どういうことか?
父親を名乗る男が、魚になっていく描写は、生臭ささえ漂ってくるようで、
想像するとかなりグロテスク。

≪鉄砲屋≫
安部公房には珍しい、政治色が濃い作品。
その中でも、“雁もどき”の大群の襲来に備えて銃を売るという、
奇想天外なアイディアで異世界感たっぷり。

≪イソップの裁判≫
少し分かりにくかったけど、“噂”というもののいい加減さを皮肉った作品なのかな。

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2013年10月02日

Posted by ブクログ

久しぶりの安部公房。
こ、こわかった・・・。

所収作品
・「デンドエロカカリヤ」
・「手」
・「飢えた皮膚」
・「詩人の生涯」
・「空中楼閣」
・「闖入者―手記とエピローグ―」
・「ノアの方舟」
・「プルートーのわな」
・「水中都市」
・「鉄砲屋」
・「イソップの裁判」

以下、まとまらないまま漫ろ書き。

「闖入者」が全集のものと違った気がする。後者の方がすっきりしていて好きだ。怖いけど。

安部公房の作品の怖さは、自分がいかに盲目的に生きているかを気づかされるところだ。

たとえば、作品中よく「赤」を敵対視する人間が出てくる。なんだか大学紛争の時代などを思い起こすが、それそのものは問題ではない。
問題は、その「赤」という思想に対して批判し、排除しようとする側だ。
だいたいにおいて、そのような登場人物は金持ちで権力者で、計算高く口がうまい。彼らは一様に「民主主義」の素晴らしさを声高々に讃えるけれど、公房の作品からあらわれるそれらがいかに粗暴で高慢極まりないか。
相手を貶めることによって自身の正当性を保ち、ふんぞり返るような感じ。
何が恐ろしいって、それが日常的にありふれていることだ。公房が描く世界が、今私たちの世界そのものなんだろうと思う。他者を通じてしか思い至ることができないこと。この場合は読者の目か。
自分も、そうなのだろうと思うと、すごく怖くて不安定になる。
どうやったら目を見開いて生きることができるのだろうか。うーん。

眼から鱗!とかAHA体験!みたいな清々しさは一切なく、ひたすらどろどろとした気持ちを突きつけられる。
でもたまに安部公房を読みたくなるし、読んでよかったと思うんだよな、コレが。

今回一番気になった(気に入った)文章はこれ。
「プルートーのわな」から。ねずみオルフォイオスの台詞。

 「困難が君達を強くするのを待つよりほかないのだろうか。」

そうなのかもしれない。

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2013年05月15日

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短編集。闖入者や鉄砲屋は社会風刺が効いてて面白いけど、表題作の水中都市とかデンドロカカリアのような作品は、カフカの変身以上に話がぶっ飛びすぎててついていけなかった。

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2013年01月20日

Posted by ブクログ

安部公房の初期のメインテーマは、個人というか「実存」なのだと思う。これを寓話として表しているのだが、その個々の小さな構成要素が感覚に訴えかけてくる。

デンドロカカリヤで、コモン君の顔が「剥がれて」植物に変身したり、水中都市での魚への「孵化」だったり、奇妙な感覚を残す。この感覚が何なのかうまく言えないが、安部公房の安部公房たるゆえんだと思う。

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2013年01月05日

Posted by ブクログ

デンドロカカリヤ
あちら側の蠱惑。
諦めということ。
ふわふわ。

詩人の生涯
こういう系がとても好きだ。

闖入者
とんでもなく嫌な話。
すごいイライラしたけど、巻き込まれてなす術もなく、というのは
とても安部公房ぽいなぁ。

水中都市
なんとなく第四間氷期思い出した。
最後が好き。

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2012年06月18日

Posted by ブクログ

ある日突然、自分の部屋が他人に占領されたら…。(『闖入者』)
まるでロシアによるウクライナ侵攻を予言したかのような作品ですが…

どの作品も不条理な設定で、寓意に満ちています。
読むたびに不思議な世界に連れて行ってくれますが、何かゾワゾワと落ち着かなくなる話ばかりなので通勤途中に読むのはおすすめしません。(*´д`*)

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2024年06月16日

Posted by ブクログ

不思議な話面白かった!って本を閉じるけれどふと寝る前に思い出して、いやそんなことあるわけないかって笑い飛ばせないリアルさ

「手」は心中
いちばんのお気に入りは「闖入者」

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2022年10月21日

Posted by ブクログ

安部公房の短編集で、やはり不思議な世界観が詰め込まれた作品です。砂の女や箱男を気に入った人が読むと、この世界感がついていけない人が多いと思う。最近、小説は安部公房ばかりを読んでいて、その世界感と文体に想像の仕方になんだか変な癖ができてしまった。濃いメタファーの味付け料理で、なんだか舌が飽きてしまったような気がする。安部公房の作品はとても好きなのだけれど、どれも作品の根底にあるものが似ている気がしてならない。これは村上春樹にも感じる感覚。色んな深海に潜っても、見える世界は同じというか。

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2017年01月17日

Posted by ブクログ

私は長編が好みなのだが、この短編集はそれはそれで面白かった。ドナルド・キーンさんの解説に同意。カフカと比較されることが多いし、結末は大抵不幸なのだが、なぜかカフカ作品に漂う救われなさは低め。

それと、作者本人しか分からないことをほじくったり、カフカの影響のあるなしの論議にとらわれず、楽しめばいいに烈しく同意。読書会なるものにも参加し、夏目漱石の「こころ」については解説本なるものを読んでしまったが、その経験を経て、あまり重要ではないと思った。

夢十夜もゆりがなにを意味するかを考えるより、私はその幻想的な光景を頭に描き出す方が好きだ。

でも、この短編集は人間誰でもが持つ性情を大げさに描き出すとどの性質も怖いなぁという感想。

「手」伝書鳩とその飼い主の輪廻転生の関係を描いた作品。なんだか、心に残った。

「飢えた皮膚」は、ただ怖い。

「闖入者」は民主主義の多数決に対する警鐘なのかな?ある日、家族が家や生活、お金を乗っ取り、反抗すると多数決による正義を主張されてしまう。少し怖い。

「鉄砲屋」もどこか実際にありそうな範囲なのが安部作品の怖いところだ。死の商人についての話。

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2016年07月11日

Posted by ブクログ

脳内宇宙です。
いつも誰かに見張られているような視点があり、逃げたり、対峙したり、無視したり、囚われたり。
脳内世界へようこそ。

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2014年07月19日

Posted by ブクログ

父親を名乗る男が奇怪な魚に生まれ変わり街が水中世界に変わっていく。青年が見慣れぬ植物になっていく。等々、阿部公房の傑作短編集。もちろん優れた文学なわけだが、まーぶっちゃけカフカのような世界観がマジキチw

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2014年06月22日

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