安部公房のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレシンプルなストーリーで読みやすくおもしろかった。
砂の中の部落、そこで砂掻きをして日銭を稼ぐ村人。毎日のルーティンに慣れて、自由に歩き回ることや綺麗な景色を見て感動することを求めない。
これは現代社会のシステムを暗示していると思った。
そこに外から入り込んだ主人公。
あらゆる脱出方法を試みるが、失敗に終わる。
長年その生活を繰り返していくうちに、主人公もその生活に慣れていく。
最後には、縄梯子が垂れ下がったままになっても、もう脱出を図ることはしなくなっていった。
たまには旅行して綺麗な景色を見ること、いろんな物語に触れること、いろんな人と話をすること。こういうことを意識してやっていかないと -
Posted by ブクログ
久々の安部公房面白い。こんなにSF感あふれる作品を出してたのかと驚きます。また全編に死が充満しています。自分の子供の頃は死は日常だった。ばあちゃんは死んでしまうし、じいちゃんは死んでしまうし、叔父さんは死んでしまう。恐ろしいけど、人間はいつか死んでしまう儚い存在だということ思い知らされていたんだと思います。親戚付き合いも少なくなり、同居家族も少ない現代の子供は死に接する機会も少ないのかな?
冒頭の作品からして若くして失業してしまった主人公が失意のあまり自殺を図る。が、どうせ死ぬんだったら役に立ってみないかと怪しい誘いにまんまと乗ってしまう。君そんなだから会社馘にになるんだよ〜。機械はその工業的 -
Posted by ブクログ
ネタバレチャットGPTに私の好きなタイプの本を伝えておおすめしてもらったこの本。笑
全然知らなかったが、作者の安部工房は、ノーベル文学賞に1番近かった日本人らしい。
相当有名な作家だったんだろう。
ただ珍しい虫探しをしにきただけなのに、砂の街の砂の穴に突如囚われ、そこで見知らぬ女と生活させられる男。
その姿は現代にも通じる。息苦しく生活しにくい社会やシステムを変えたいと思って行動したとしても、それを跳ね除けようと何度も何度も頑張っても、結局は無駄。最後には、もうすっかり諦めて、そちら側の人間に落ちてしまう。そして、骨抜きにされたかのようにただ生きていくだけ。
そんな、悲しいけど、なんだか共感で -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公って、常に目撃される側なわけですよね。そして常にその「視線」によって何者かであることを強制されている。その重圧に耐えて生きているんだと思うんです。
この小説は読んでいて、見る見られるとはどういうことかを常に考えさせられました。箱男たちはなんとなく自らが主人公になることを拒んでいるような気がしました。主人公としての重圧、自分の人生を生きる重圧、それって私たちも日頃から少なからず感じているもので、箱男はそこから逃れて、「見る側」であることを選んでいるような気がします。
「見る側」って読者である我々もそうですよね。私達は本という箱に入ることで、見られることから逃れている時、ある種の安堵感 -
Posted by ブクログ
1954年に発表された、安部公房初の書き下ろし作品。
過去に温泉で栄えた山あいの地方都市、花園町。地震をきっかけに温泉は途絶え、今では雪に埋もれたさびれた町に。
キャラメル工事の主任・花井が中心となり、町内のよそ者たちが集結して結成された「飢餓同盟」。彼らは理想を叶えるための手段として、地熱発電所建設を計画します。
町内を支配しているそれぞれの派閥の間で立ち回り共倒れさせようとしたり、メンバーを繋ぎ止めようとなだめたり…とにかく走り回って画策しまくる花井が忙しい。引きながらもついて行くメンバー達のキャラも濃い。
とにかく花井がずっと尋常じゃないのと、メンバーの一人織木が体を張って地下を探る方法 -
Posted by ブクログ
最初から飛ばしています。ミステリっぽく始まりますがだんだん「これ何の話…?」的展開。とにかくスピード感があって止められません。
諸々の突飛な話が繋がった時は何とも言えない「腑に落ちた〜」感が。
万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことが発端となり、とんでもない事が次々に明るみになっていきます。
いやいやまさか…な事が行われているのですが、安部公房の筆致に、思わず私も乏しい想像力をフル稼働させられてしまいました。
あとがきの日付は1959年、ウィキペディアによると「日本で最初の本格長編SF」とのこと。
予言機械にしたって、コレ60年以上前の作品!
第四間氷期が終わろうとする時。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ内容もざらざらしてるしなんか、ずっとざらざら感。水とか大気とかに惑わされる物語には出会ったことあるけど砂って今までになかったかも。読み心地も読後感も別に気持ちよくなかったけど面白かったな。主人公の感情の起伏がとてもよく伝わってくる。後半は気持ちが落ち着いているのが伝わってきたけど水を自力で獲れたときは気持ちの昂りが伝わってきた。砂の世界から出ることではなく、置かれた環境でよりよく生きる(乾きから逃れること)ことを目標にするようになり、水が自力で獲れるようになっても砂かきは続けていくんだろうなぁ。
友達が面白いというので読んだんだけど、友達はこれを何歳の時に読んで面白いと感じたんだ??と疑問に -
Posted by ブクログ
自由とは。
私はこの昔の本を読む前に、事前に少しあらすじを確認し、自由がテーマで、かつ何ヶ国もの国で翻訳されているとのことを知り、興味を持ち読みました。
先入観を持つことになりうる確認事では。と感じましたが、この大作を読み解くにはそれはあまり関係がありませんでした。
描写は細かく、かつ繊細。主人公が終始不自由な印象を受けました。
そして、読むにつれ自由意思とは何かを考えざるを得ない状況に読者をも引き連れて行くのです。
そもそも自由のない状況下にある主人公においてですら問われる“自由意思”の意味。また、生きるとはどう言うことなのか。
私はこの大作を読むことで、不自由さと自由について大