安部公房のレビュー一覧

  • 砂の女(新潮文庫)

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    感情と比喩の連続
    比喩は軽快ではないけど秀逸でメモしたくなるようなものばかり

    自分が見ているいまの正常・日常が、無意識に焦点をあてている対象から離れ、視野を広げてみれば、
    その「正常」の外にいる人にとっての異常である可能性
    身近な例であれば社畜や宗教的な洗脳なのかなと思った

    男が「異常」に染まっていく過程が、中盤からジリジリとその気配が貯まっていき、後半の勢いが印象的だった。

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    2025年12月17日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    シンプルなストーリーで読みやすくおもしろかった。

    砂の中の部落、そこで砂掻きをして日銭を稼ぐ村人。毎日のルーティンに慣れて、自由に歩き回ることや綺麗な景色を見て感動することを求めない。
    これは現代社会のシステムを暗示していると思った。
    そこに外から入り込んだ主人公。
    あらゆる脱出方法を試みるが、失敗に終わる。
    長年その生活を繰り返していくうちに、主人公もその生活に慣れていく。
    最後には、縄梯子が垂れ下がったままになっても、もう脱出を図ることはしなくなっていった。

    たまには旅行して綺麗な景色を見ること、いろんな物語に触れること、いろんな人と話をすること。こういうことを意識してやっていかないと

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    2025年12月14日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    久々の安部公房面白い。こんなにSF感あふれる作品を出してたのかと驚きます。また全編に死が充満しています。自分の子供の頃は死は日常だった。ばあちゃんは死んでしまうし、じいちゃんは死んでしまうし、叔父さんは死んでしまう。恐ろしいけど、人間はいつか死んでしまう儚い存在だということ思い知らされていたんだと思います。親戚付き合いも少なくなり、同居家族も少ない現代の子供は死に接する機会も少ないのかな?
    冒頭の作品からして若くして失業してしまった主人公が失意のあまり自殺を図る。が、どうせ死ぬんだったら役に立ってみないかと怪しい誘いにまんまと乗ってしまう。君そんなだから会社馘にになるんだよ〜。機械はその工業的

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    2025年12月09日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    チャットGPTに私の好きなタイプの本を伝えておおすめしてもらったこの本。笑

    全然知らなかったが、作者の安部工房は、ノーベル文学賞に1番近かった日本人らしい。
    相当有名な作家だったんだろう。

    ただ珍しい虫探しをしにきただけなのに、砂の街の砂の穴に突如囚われ、そこで見知らぬ女と生活させられる男。

    その姿は現代にも通じる。息苦しく生活しにくい社会やシステムを変えたいと思って行動したとしても、それを跳ね除けようと何度も何度も頑張っても、結局は無駄。最後には、もうすっかり諦めて、そちら側の人間に落ちてしまう。そして、骨抜きにされたかのようにただ生きていくだけ。

    そんな、悲しいけど、なんだか共感で

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    2025年12月07日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    高校生のときに初めて読んで、何度も何度も読んでいるけど、毎回読み終わったあとに考えにふけってしまう。
    ただ、前回読んだときはこう考えたけど、ちょっと変わったな〜っていう自分の変化も感じられて楽しい。

    社会の中で生きるってどういうことなんだろう。何のために働くんだろう。今わたしは穴の中なんじゃないかな…

    これからも定期的に読み返したい一冊です。

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    2025年12月03日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    安部公房の海外に翻訳されまくった名作。
    脱出不可の砂地獄で奔放する男とそこに住む女の物語。

    絶望的な世界でもがく男、そんな世界でどこか達観した女。

    閉鎖空間での心理描写、砂に対する情景描写がすさまじく、読んでるこっちがザラザラして息苦しくなるほど。

    気になりすぎて速読した結末は、渇いた現代人の価値観に確かな潤いをもたらしてくれるのではないでしょうか。

    どこか海外SFっぽさもありながら心に残してくるのはしっかり日本文学っぽさ。

    翻訳されてしかるべき名作を皆さんも是非...

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    2025年11月29日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    初・安部公房。面白かった~(笑)虫を捕りに来た男が砂の街に囚われ・・・不条理な世界に閉じ込められ必死に脱出しようとする気持ちと徐々に変わっていく気持ちが面白かった(笑)そして女が妙にエロチックな感じだった(笑)安部公房読みやすいし面白い他の作品も読んでみよう(笑)

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    2025年11月23日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    令和に読んでも全く色褪せていない安部公房の名作

    著者自身が2つ(2人)の自由をテーマにしたと語っているが、やはり非凡な才能がなければこの作品にこのタイトルは出てこないよ

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    2025年11月23日
  • 箱男(新潮文庫)

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    序盤で物語に引き込まれるが、この展開と結末を予想できる読者はいないだろう

    登場人物は自分と看護婦と医者の3人、終盤に女教師が出てきて構成が大転回する

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    2025年11月18日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    浅い言葉になってしまうが狂気的な文章!とそういいたい。
    ずるずると蟻地獄のように砂の中に引きずり込まれていくような感覚、男の気力が削がれていく様が恐ろしくて下手なホラー小説より怖く、面白かったです。
    他人なんてどうでもいい、今を生きる自分らの利益さえあれば……というような、出てくる人物たちの描写も恐ろしく、安部公房の見る人間とはこのようなものなのだろうか?と評論などを読んでみたくなる良い読後感のある名作でした。

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    2025年11月08日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ネタバレ

     主人公って、常に目撃される側なわけですよね。そして常にその「視線」によって何者かであることを強制されている。その重圧に耐えて生きているんだと思うんです。
     この小説は読んでいて、見る見られるとはどういうことかを常に考えさせられました。箱男たちはなんとなく自らが主人公になることを拒んでいるような気がしました。主人公としての重圧、自分の人生を生きる重圧、それって私たちも日頃から少なからず感じているもので、箱男はそこから逃れて、「見る側」であることを選んでいるような気がします。
     「見る側」って読者である我々もそうですよね。私達は本という箱に入ることで、見られることから逃れている時、ある種の安堵感

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    2025年11月08日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    1954年に発表された、安部公房初の書き下ろし作品。
    過去に温泉で栄えた山あいの地方都市、花園町。地震をきっかけに温泉は途絶え、今では雪に埋もれたさびれた町に。
    キャラメル工事の主任・花井が中心となり、町内のよそ者たちが集結して結成された「飢餓同盟」。彼らは理想を叶えるための手段として、地熱発電所建設を計画します。
    町内を支配しているそれぞれの派閥の間で立ち回り共倒れさせようとしたり、メンバーを繋ぎ止めようとなだめたり…とにかく走り回って画策しまくる花井が忙しい。引きながらもついて行くメンバー達のキャラも濃い。
    とにかく花井がずっと尋常じゃないのと、メンバーの一人織木が体を張って地下を探る方法

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    2025年11月05日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    最初から飛ばしています。ミステリっぽく始まりますがだんだん「これ何の話…?」的展開。とにかくスピード感があって止められません。
    諸々の突飛な話が繋がった時は何とも言えない「腑に落ちた〜」感が。
    万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことが発端となり、とんでもない事が次々に明るみになっていきます。
    いやいやまさか…な事が行われているのですが、安部公房の筆致に、思わず私も乏しい想像力をフル稼働させられてしまいました。
    あとがきの日付は1959年、ウィキペディアによると「日本で最初の本格長編SF」とのこと。
    予言機械にしたって、コレ60年以上前の作品!
    第四間氷期が終わろうとする時。

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    2025年11月02日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    「米の炊けるにおいにも、夜明けの色がまじりかけている。」だったり、表現や文章がとても好みだった。
    ストーリーも面白かった。
    続きが気になって、中盤〜終盤は一気に読んだ。

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    2025年11月01日
  • 箱男(新潮文庫)

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    匿名性、断章構成、贋、写真など
    安部公房らしさが盛り込まれた作品だと思う。
    何度読んでも不思議な気持ちになる。
    覗いているのか覗かれているのか。
    本物なのか贋物なのか。
    現実なのか非現実なのか。
    ノートを書いているのは誰なのか。

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    2025年10月17日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    砂に埋まって息絶えるホラーかと思ったら…

    自分の日々の暮らしにも似たところがあるなんて最後に思うとは…。

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    2025年10月08日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    友人から薦められて読みました。
    比喩表現の多い文体で、砂特有のざらざらとした質感の物語です。
    それでありながら女と男の間で繰り広げられるやりとりであるとか、情であるとかに湿度を感じる面白い本でした。
    色々なものに対して意義を見出しながら生活することはきっととても充実している。
    でもそれができない環境に閉じ込められたら?というなかなかに面白い本でした。

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    2025年10月01日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    内容もざらざらしてるしなんか、ずっとざらざら感。水とか大気とかに惑わされる物語には出会ったことあるけど砂って今までになかったかも。読み心地も読後感も別に気持ちよくなかったけど面白かったな。主人公の感情の起伏がとてもよく伝わってくる。後半は気持ちが落ち着いているのが伝わってきたけど水を自力で獲れたときは気持ちの昂りが伝わってきた。砂の世界から出ることではなく、置かれた環境でよりよく生きる(乾きから逃れること)ことを目標にするようになり、水が自力で獲れるようになっても砂かきは続けていくんだろうなぁ。

    友達が面白いというので読んだんだけど、友達はこれを何歳の時に読んで面白いと感じたんだ??と疑問に

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    2025年10月02日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    火星にロケットが軟着陸しているまさにその時。
    主人公は「こんにちは火星人」というラジオ番組の台本を書く作家。
    そこへ「火星人のことで相談がある」と訪ねて来た客とのやり取りで話が進みます。
    客とその妻との連携プレーで話を聞くハメになってしまった主人公。(これが後からジワジワ怖い)
    話の要点はうやむやに、撹乱されていく主人公。この客は何?人間?人間そっくりの火星人?おかしな人間?
    屁理屈みたいで頭が痺れてくるような会話が続き
    ラスト急にめっちゃ怖い!
    トポロジーは最後まで難しかったですが…面白かった!

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    2025年09月27日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    自由とは。

    私はこの昔の本を読む前に、事前に少しあらすじを確認し、自由がテーマで、かつ何ヶ国もの国で翻訳されているとのことを知り、興味を持ち読みました。

    先入観を持つことになりうる確認事では。と感じましたが、この大作を読み解くにはそれはあまり関係がありませんでした。

    描写は細かく、かつ繊細。主人公が終始不自由な印象を受けました。

    そして、読むにつれ自由意思とは何かを考えざるを得ない状況に読者をも引き連れて行くのです。

    そもそも自由のない状況下にある主人公においてですら問われる“自由意思”の意味。また、生きるとはどう言うことなのか。

    私はこの大作を読むことで、不自由さと自由について大

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    2025年09月21日