安部公房のレビュー一覧

  • 壁(新潮文庫)

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    意味が分からないままとりあえず読み進め、読後にあらすじまとめを読んでもやはり意味がわからず、考察を読んで初めて少し納得した感じ。
    途中、展開の意味がわからなすぎて、アリスのような童話のつもりで書いているのかと思った。

    名刺という社会的な自分の名前を消された時、残った自分という存在は、自分を自分であると認識ができるだけで、そこにただ”存在”しているだけの、生物としてだけの存在になってしまうのではないか。

    考察を読むと、とらぬ狸が特に面白かった。
    とらぬ狸とは人間の非現実的な願望であり、目玉銀行へ目玉を預けること要求されるのは、現実を見る能力を手放すように促している。

    赤い繭では、家を探し求

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    2026年04月09日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    ネタバレ

     この本を読んでいる最中の不安感といったら無い。何か分からないものをずっと求め続けている感覚。何度も読む手が止まってしまった。正直読むのが辛かったので再読はしないかもしれない。でもある種の救いがあるから読み切れた。
     自分の存在証明をするのは自分である。自分が決めた「目的」である。目的のない人生は、途端に自分の所在を不明にする。

    p.294「〜どんなつまらない目的のためでもいい、とにかく歩いていられるのは幸福なんだってことを、しみじみと感じちゃうんだな……」

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    2026年04月14日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    冒頭に7年行方不明と書いてあるにも関わらず、男は脱出できるのか気になってしかたなかった。
    男が以前の生活に辟易していたのもあると思うが、人間は自分の今いる場所が"居場所"だと思ってしまうし、自分の居場所になるように行動してしまう生き物なんだろうな。

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    2026年03月30日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    多彩な比喩表現が新鮮でイメージするほど男の人柄や女の姿が浮かんできて、物語に入り込むことができたと思います。自由を求めて幾度となく試行錯誤を繰り返したが、時間が過ぎるにつれ環境に慣れ、馴染み、小さな喜びを見つけ、心地良く思い、確実に逃げることができたが逃げる事をしなかった様に恐ろしさと日常に溢れる幸せを感じました。
    また、女の外へ興味を示さず、今ある物に固執する様はある種の信念を感じ、同時に虚しさのようなものを感じました。
    舞台も見に行き、イメージできなかった部分も鮮明かされ、また読み返したいです。

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    2026年03月30日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    砂から社会や人生の無常さを投影することができた。
    砂に自由を投影していたが、砂による不自由を強いられる。
    自由とは、幸福とは、満たされることの重要さを考えさせられた。
    不自由さがあるからこそ、目標や意義を見出しやすいのかも。
    あんなにも脱走を望んだ彼は、結局は自分の成し遂げたことを理解してもらいたいという欲求を超えることはできなかった。
    新種の昆虫を発見するという半永久的な名声ではないにしろ、自分のしたことを理解してもらうという何よりも難しいことは、待ち望んだ外の人たちには理解し難い。

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    2026年03月25日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読んでる間中、口の中に砂が入ってくる感覚になる。ザラザラしてて、湿っぽくて。砂の本読んでるだけなのに。安部公房すご。
    砂の穴の中の生活。地獄なのに、最後は「今じゃなくていい」と逃げるのをやめて引き返す主人公……。そんなものなのかしら。そんな気もしてくるから、怖い。貯水装置を誰かに見せたいという欲望が勝った瞬間……。
    こんな世界もあるのか、と、現実逃避できた。
    文庫本の誰かのあとがきみたいなの読んでたら、内容めっちゃさらっとまとめてくれてて笑 これ読めばいいのでは?となるが笑
    でもやっぱり安部公房の文章を読みたいよね。

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    2026年03月24日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    「間氷期」とは、地球の氷期と氷期の間の比較的暖かい期間のこと。現在が「第四間氷期」である。とすると、次の氷期が訪れるという話なのかと思いきや、そうではなかった。未来を予知する「予言機械」の開発者が殺人事件に巻き込まれるところから始まり、人類の未来に関する大いなる謎へと繋がっていく。

    主人公である予言機械の開発者は、その機械の「使い道」を考えなければならない状況になっている(しかも政府の意向に反しない範囲で)。それは当たり前のように見えて、実はそうでもない。純粋に技術的興味(シーズ)によって開発をしているだけの開発者にとって、用途(ニーズ)などはどうでもいいのである。

    そもそも、新しい技術が

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    2026年03月22日
  • 壁(新潮文庫)

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    意味が分からないのに、分からないまま楽しめてしまう不思議な感覚でした。
    裁判の場面の、ゴチャゴチャ感が一番好き!

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    2026年03月22日
  • 箱男(新潮文庫)

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    いやぁ、複雑すぎるし藤子不二雄すぎる(つまり不思議)

    いきなりダンボール被った生活。
    他にもダンボールを被ったライバル?

    欲を解放した姿がダンボール(でも覆われている)

    凄く格好いい比喩や表現が出てくるので、おーっ!と感動しつつ、話は藤子不二雄。

    翻訳こんにゃく必要。

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    2026年03月08日
  • 密会(新潮文庫)

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    安部公房の作品の中ではそこまで知名度も評価も高くない作品のようですが、世界観全開の展開・発想と安部公房の作品にしては分かりやすいストーリーという事もあり、楽しめた。

    救急隊員に攫われた妻を探すために接触した馬の真似をして走る協力者に渡されたカセットテープを聞いてみると主人公自信を盗聴したもので、その内容をノートにまとめて欲しいと依頼される。
    みたいな不思議で怪奇なお話。

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    2026年02月23日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    たくさんの滑稽で余計なものに覆われているからこそ、その真髄にある中身が深刻に立ち現れる。死が大きなテーマだったが、自分が今まで死について考えていたものなど笑い飛ばされるような、複雑でグロテスクな描かれ方をしていた。

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    2026年02月20日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    主人公の宅に来訪してきた目の前にいるこの気違いは、果たして人間なのかそれとも火星人なのか。話しているうちに会話の主導権を握られ、己すらも人間であるという自信がなくなってくる。なぜ己は己を人間だと断言できるのか。気違いが火星人ではないと否定することもできなくなってきてから、物語は予期せぬ展開を迎えることになる。

    気違いと対峙しているシリアスな緊張感があった。特に序盤のナイフを手にするくだりでは、自称火星人が何をしでかすのかわからない恐怖がありありと伝わってきた。しかし最後まで読んでしまうと、一体誰が人間で誰が気違いなのかがぼやけてくるのも恐ろしい。いっそ皆火星人であってくれた方が幸せな結末だっ

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    2026年02月18日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    主人公はやはり狂気。妻の愛することは愛する人のために仮面をかぶり、それを剥がしあうことという手記に胸を打たれた

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    2026年02月13日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ひと昔前だったら笑って流せた作品だが、生成AIの時代となった今ではリアルすぎて笑えない。第四間氷期で地上を失うことになった場合、AIも同じように水棲人になれと言ってくるのだろうか?それはもはや生きるための環境選択であり、未来とか地獄とかそういう次元の話ではなくなる。プロンプト力ばかり発達して思考能力を失ったとき、人間はどういう選択肢をとるのか。自分もその一人になるのか。死後の世界を考えるよりも難題だ。

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    2026年02月11日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    少し前の世代の作品が読みたくなり、手に取る。
    未来予測が可能な機械が、秘密裏に開発された社会の物語。
    被験のである男性がトラブルに見舞われてから、物語が動き出す。

    非常に読みやすい文体。古臭さは微塵も感じさせない。
    ただ、『他人の顔』で感じた文の美しさなどは、若干見劣りするのかも。後期の作品の方が、その意味では好き。
    序盤はミステリーのような流れだが、後半はハードsf寄りになっていき、内容が哲学的に。
    予想を上回っていく展開で、引き込まれていく。
    素晴らしい内容だった。

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    2026年02月06日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    生成AIが世界を変えそうな、このタイミングで読むに相応しい作品。昭和45年にこれを書いている作家としての想像力が素晴らしい。

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    2026年02月04日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    そもそも論だけど、安部公房の文体かっこよすぎる、勇ましいというか、なんというか、

    アリスのカメラ
    「シャッターを押しつづけていさえすれば、いつかアリスが写っているかもしれないという幻想。不可能にかけた、一瞬の緊張。それは、現実の拒絶であり、部分への解体の願望でもあるだろう。だが、アリスと出会えるのは、不思議の国の中でしかない。」
    カメラで写真を撮ることで写り得ないであろうものの存在を肯定しようとするの皮肉だよな、あるものしか写らないカメラに対して、存在しないはずのものが写ることを祈るなんて、

    公然の秘密
    「当然だろう、弱者への愛には、いつだって殺意がこめられている。
    やがて仔象は、古新聞の

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    2026年02月01日
  • 壁(新潮文庫)

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    初・安部公房。難しい。短編でかろうじて飲み込めたかも。
    バベルの塔の狸は視覚的に面白くて、理解が追いつかないなりに楽しかった。
    S・カルマ氏の犯罪はよく分からない!

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    2026年01月31日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何回も笑わせてもらった。
    特に主人公モグラのキャラクターが面白かった。
    肥満体型に黒のレインコートを羽織っていたが、後はサングラスでもかければモグラとして見栄えがする。

    「豚」というワードに過敏に反応するがデブという比喩で怒っているわけではなく、父親は猪みたいにガタイのいい人間で中身は最悪(母親も強姦されてモグラを産んだ)であり、今回シェルター活用している洞窟に、左足に足枷をつけられて放置されたこともあり、最初こそ痩せた体型だったが、そこから母親に枷の鎖を切ってもらって脱出してから父親への憎悪などでどんどん太ってきて、父が猪なら子は豚だな、などと同類扱いされるのがたまらないのである。
    なので

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    2026年01月10日
  • 箱男(新潮文庫)

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    高校2年生の課題で、7人の文豪の作品を一冊ずつ読むことになった。その7作品の中で一番面白かった。サイコパスや「家族ゲーム」を思い起こさせる。

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    2026年01月04日