安部公房のレビュー一覧

  • 砂の女(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    重い内容を読みたくて選んだ小説。
    正にその通り、「諦め」や「絶望」という言葉が浮かんだ。
    でもこれは、現実社会にも言えることなのではと。
    ずしりと心に残る作品。

    0
    2026年03月08日
  • 箱男(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    いやぁ、複雑すぎるし藤子不二雄すぎる(つまり不思議)

    いきなりダンボール被った生活。
    他にもダンボールを被ったライバル?

    欲を解放した姿がダンボール(でも覆われている)

    凄く格好いい比喩や表現が出てくるので、おーっ!と感動しつつ、話は藤子不二雄。

    翻訳こんにゃく必要。

    0
    2026年03月08日
  • 密会(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    安部公房の作品の中ではそこまで知名度も評価も高くない作品のようですが、世界観全開の展開・発想と安部公房の作品にしては分かりやすいストーリーという事もあり、楽しめた。

    救急隊員に攫われた妻を探すために接触した馬の真似をして走る協力者に渡されたカセットテープを聞いてみると主人公自信を盗聴したもので、その内容をノートにまとめて欲しいと依頼される。
    みたいな不思議で怪奇なお話。

    0
    2026年02月23日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    たくさんの滑稽で余計なものに覆われているからこそ、その真髄にある中身が深刻に立ち現れる。死が大きなテーマだったが、自分が今まで死について考えていたものなど笑い飛ばされるような、複雑でグロテスクな描かれ方をしていた。

    0
    2026年02月20日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    主人公の宅に来訪してきた目の前にいるこの気違いは、果たして人間なのかそれとも火星人なのか。話しているうちに会話の主導権を握られ、己すらも人間であるという自信がなくなってくる。なぜ己は己を人間だと断言できるのか。気違いが火星人ではないと否定することもできなくなってきてから、物語は予期せぬ展開を迎えることになる。

    気違いと対峙しているシリアスな緊張感があった。特に序盤のナイフを手にするくだりでは、自称火星人が何をしでかすのかわからない恐怖がありありと伝わってきた。しかし最後まで読んでしまうと、一体誰が人間で誰が気違いなのかがぼやけてくるのも恐ろしい。いっそ皆火星人であってくれた方が幸せな結末だっ

    0
    2026年02月18日
  • 他人の顔(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公はやはり狂気。妻の愛することは愛する人のために仮面をかぶり、それを剥がしあうことという手記に胸を打たれた

    0
    2026年02月13日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ひと昔前だったら笑って流せた作品だが、生成AIの時代となった今ではリアルすぎて笑えない。第四間氷期で地上を失うことになった場合、AIも同じように水棲人になれと言ってくるのだろうか?それはもはや生きるための環境選択であり、未来とか地獄とかそういう次元の話ではなくなる。プロンプト力ばかり発達して思考能力を失ったとき、人間はどういう選択肢をとるのか。自分もその一人になるのか。死後の世界を考えるよりも難題だ。

    0
    2026年02月11日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    少し前の世代の作品が読みたくなり、手に取る。
    未来予測が可能な機械が、秘密裏に開発された社会の物語。
    被験のである男性がトラブルに見舞われてから、物語が動き出す。

    非常に読みやすい文体。古臭さは微塵も感じさせない。
    ただ、『他人の顔』で感じた文の美しさなどは、若干見劣りするのかも。後期の作品の方が、その意味では好き。
    序盤はミステリーのような流れだが、後半はハードsf寄りになっていき、内容が哲学的に。
    予想を上回っていく展開で、引き込まれていく。
    素晴らしい内容だった。

    0
    2026年02月06日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    生成AIが世界を変えそうな、このタイミングで読むに相応しい作品。昭和45年にこれを書いている作家としての想像力が素晴らしい。

    0
    2026年02月04日
  • 笑う月(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    そもそも論だけど、安部公房の文体かっこよすぎる、勇ましいというか、なんというか、

    アリスのカメラ
    「シャッターを押しつづけていさえすれば、いつかアリスが写っているかもしれないという幻想。不可能にかけた、一瞬の緊張。それは、現実の拒絶であり、部分への解体の願望でもあるだろう。だが、アリスと出会えるのは、不思議の国の中でしかない。」
    カメラで写真を撮ることで写り得ないであろうものの存在を肯定しようとするの皮肉だよな、あるものしか写らないカメラに対して、存在しないはずのものが写ることを祈るなんて、

    公然の秘密
    「当然だろう、弱者への愛には、いつだって殺意がこめられている。
    やがて仔象は、古新聞の

    0
    2026年02月01日
  • 壁(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    初・安部公房。難しい。短編でかろうじて飲み込めたかも。
    バベルの塔の狸は視覚的に面白くて、理解が追いつかないなりに楽しかった。
    S・カルマ氏の犯罪はよく分からない!

    0
    2026年01月31日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    何回も笑わせてもらった。
    特に主人公モグラのキャラクターが面白かった。
    肥満体型に黒のレインコートを羽織っていたが、後はサングラスでもかければモグラとして見栄えがする。

    「豚」というワードに過敏に反応するがデブという比喩で怒っているわけではなく、父親は猪みたいにガタイのいい人間で中身は最悪(母親も強姦されてモグラを産んだ)であり、今回シェルター活用している洞窟に、左足に足枷をつけられて放置されたこともあり、最初こそ痩せた体型だったが、そこから母親に枷の鎖を切ってもらって脱出してから父親への憎悪などでどんどん太ってきて、父が猪なら子は豚だな、などと同類扱いされるのがたまらないのである。
    なので

    0
    2026年01月10日
  • 箱男(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    高校2年生の課題で、7人の文豪の作品を一冊ずつ読むことになった。その7作品の中で一番面白かった。サイコパスや「家族ゲーム」を思い起こさせる。

    0
    2026年01月04日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    満州で育ち、引き揚げ時に苦労したらしい著者。
    どこかで「満州は非常に近代的だった、云々」と満州について語っていたインタビューを、目にしたことがある。
    物語はフィクションではあるが、当時の著者自身の体験が潜んでいるような気はする。
    そう思わせる生々しさが所々に散見される。

    逃げ出しても逃げ出しても……ラストも壁が立ちはだかる。
    ぐるぐると荒野を堂々巡りする。
    生への執着と、根なし草の孤独。

    0
    2026年01月02日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    安部公房は失踪が好き。『砂の女』や『他人の顔』とともに、失踪三部作と言われている。
    短篇「カーブの向う」が1966年、それを発展させた本長篇が67年。確かに、一気に書き上げた感がある。
    冒頭はハードボイルドものを思わせる。三島由紀夫は、本作品の会話の巧さをほめたらしいが、安部公房のほかの作品から言うと、会話の冴えはイマイチのように感じられる。
    バックは高度経済成長期の昭和の風景。観念的にその時代に浸るには格好の作品かもしれない。

    0
    2025年12月29日
  • 箱男(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     この小説は、誰しもが持つ隠れた欲望、見たいが見られたくない、を「箱男」を通じて暴くが、誰の視点からこの話を語っているか、箱男か贋箱男の視点なのか不明瞭で定まらない。読者に不安を抱かせる。あとは、坂を目的の家に上がっていくと言うシーンが何度も出てくる。前進しているようで前進していないことを読者に暗示する

    0
    2025年12月27日
  • 壁(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    鬼才・安部公房の芥川賞受賞作。

    第一部、S・カルマ氏の犯罪は、名前を失った男が、社会での存在権や帰属集団を無くし、現実世界を不条理でグロテクスなものに感じるようになるという物語である。
    社会との接点を無くした人間にとって、社会とは何と残酷な世界であり、不安定なものに映るのかが鋭く抉り出されており、現実から外部世界へと自然に誘って行く安部公房の筆致が際立つ名作であると感じた。
    最後にカルマ氏は砂漠の中に佇む壁と化してしまうが、それは何の暗喩なのであろう?社会から疎外され、もはや人間ですら無くなったカルマ氏への鎮魂碑であろうか。

    0
    2025年12月22日
  • 笑う月(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    著者の不思議な世界、夢の中にはいりこみ、なかなか抜け出せなくなってしまう。
    彼の独特な感性や文章の種は、彼の無意識の中に潜んでいるのだろう。
    不気味で怖いような気持ちを感じながらも、どこかでプッと笑ってしまうユーモアが秀逸。
    夢と現実の狭間を行き来する唯一無二の作家と再認識。

    0
    2025年12月19日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ずいぶん前に、Twitterで「脛にカイワレ大根が生えてしまった男が病院に行ったところ、温泉療法を勧められて、自走式ベッドで地獄めぐりをする話」と紹介されていたのを見た。興味を持ち買ってから数年積読されていたのを開いたが、紹介されていた通りの話だった。本当に面白い。今度、友人と読書会で読むことにした。
    とはいえ、物語の全体像を一貫したストーリーとして把握するのは、かなり難しい物語だ。とにかく、場面と場面の間に脈絡がなく、「地獄めぐり」の言葉通り、大黒屋、賽の河原、硫黄泉の露天風呂、キャベツ畑、病院……といった場所で、現実にはあり得ない光景に出会っていく。
    先行研究なんかを見ていると、大筋として

    0
    2025年12月11日
  • 壁(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    安部公房の創造性が爆発した作品。
    不気味さやブラックユーモアに溢れ、真骨頂が発揮されている。
    何を考えていたらこんなストーリーや設定を思いつくのか。
    一見荒唐無稽な内容に思えるが、一つ一つの展開には繋がりがあり、破綻していない。

    0
    2025年12月10日