安部公房のレビュー一覧

  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    生成AIが世界を変えそうな、このタイミングで読むに相応しい作品。昭和45年にこれを書いている作家としての想像力が素晴らしい。

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    2026年02月04日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    そもそも論だけど、安部公房の文体かっこよすぎる、勇ましいというか、なんというか、

    アリスのカメラ
    「シャッターを押しつづけていさえすれば、いつかアリスが写っているかもしれないという幻想。不可能にかけた、一瞬の緊張。それは、現実の拒絶であり、部分への解体の願望でもあるだろう。だが、アリスと出会えるのは、不思議の国の中でしかない。」
    カメラで写真を撮ることで写り得ないであろうものの存在を肯定しようとするの皮肉だよな、あるものしか写らないカメラに対して、存在しないはずのものが写ることを祈るなんて、

    公然の秘密
    「当然だろう、弱者への愛には、いつだって殺意がこめられている。
    やがて仔象は、古新聞の

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    2026年02月01日
  • 壁(新潮文庫)

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    初・安部公房。難しい。短編でかろうじて飲み込めたかも。
    バベルの塔の狸は視覚的に面白くて、理解が追いつかないなりに楽しかった。
    S・カルマ氏の犯罪はよく分からない!

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    2026年01月31日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何回も笑わせてもらった。
    特に主人公モグラのキャラクターが面白かった。
    肥満体型に黒のレインコートを羽織っていたが、後はサングラスでもかければモグラとして見栄えがする。

    「豚」というワードに過敏に反応するがデブという比喩で怒っているわけではなく、父親は猪みたいにガタイのいい人間で中身は最悪(母親も強姦されてモグラを産んだ)であり、今回シェルター活用している洞窟に、左足に足枷をつけられて放置されたこともあり、最初こそ痩せた体型だったが、そこから母親に枷の鎖を切ってもらって脱出してから父親への憎悪などでどんどん太ってきて、父が猪なら子は豚だな、などと同類扱いされるのがたまらないのである。
    なので

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    2026年01月10日
  • 箱男(新潮文庫)

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    高校2年生の課題で、7人の文豪の作品を一冊ずつ読むことになった。その7作品の中で一番面白かった。サイコパスや「家族ゲーム」を思い起こさせる。

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    2026年01月04日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    満州で育ち、引き揚げ時に苦労したらしい著者。
    どこかで「満州は非常に近代的だった、云々」と満州について語っていたインタビューを、目にしたことがある。
    物語はフィクションではあるが、当時の著者自身の体験が潜んでいるような気はする。
    そう思わせる生々しさが所々に散見される。

    逃げ出しても逃げ出しても……ラストも壁が立ちはだかる。
    ぐるぐると荒野を堂々巡りする。
    生への執着と、根なし草の孤独。

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    2026年01月02日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    安部公房は失踪が好き。『砂の女』や『他人の顔』とともに、失踪三部作と言われている。
    短篇「カーブの向う」が1966年、それを発展させた本長篇が67年。確かに、一気に書き上げた感がある。
    冒頭はハードボイルドものを思わせる。三島由紀夫は、本作品の会話の巧さをほめたらしいが、安部公房のほかの作品から言うと、会話の冴えはイマイチのように感じられる。
    バックは高度経済成長期の昭和の風景。観念的にその時代に浸るには格好の作品かもしれない。

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    2025年12月29日
  • 箱男(新潮文庫)

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     この小説は、誰しもが持つ隠れた欲望、見たいが見られたくない、を「箱男」を通じて暴くが、誰の視点からこの話を語っているか、箱男か贋箱男の視点なのか不明瞭で定まらない。読者に不安を抱かせる。あとは、坂を目的の家に上がっていくと言うシーンが何度も出てくる。前進しているようで前進していないことを読者に暗示する

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    2025年12月27日
  • 壁(新潮文庫)

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    ネタバレ

    鬼才・安部公房の芥川賞受賞作。

    第一部、S・カルマ氏の犯罪は、名前を失った男が、社会での存在権や帰属集団を無くし、現実世界を不条理でグロテクスなものに感じるようになるという物語である。
    社会との接点を無くした人間にとって、社会とは何と残酷な世界であり、不安定なものに映るのかが鋭く抉り出されており、現実から外部世界へと自然に誘って行く安部公房の筆致が際立つ名作であると感じた。
    最後にカルマ氏は砂漠の中に佇む壁と化してしまうが、それは何の暗喩なのであろう?社会から疎外され、もはや人間ですら無くなったカルマ氏への鎮魂碑であろうか。

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    2025年12月22日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    著者の不思議な世界、夢の中にはいりこみ、なかなか抜け出せなくなってしまう。
    彼の独特な感性や文章の種は、彼の無意識の中に潜んでいるのだろう。
    不気味で怖いような気持ちを感じながらも、どこかでプッと笑ってしまうユーモアが秀逸。
    夢と現実の狭間を行き来する唯一無二の作家と再認識。

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    2025年12月19日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    ずいぶん前に、Twitterで「脛にカイワレ大根が生えてしまった男が病院に行ったところ、温泉療法を勧められて、自走式ベッドで地獄めぐりをする話」と紹介されていたのを見た。興味を持ち買ってから数年積読されていたのを開いたが、紹介されていた通りの話だった。本当に面白い。今度、友人と読書会で読むことにした。
    とはいえ、物語の全体像を一貫したストーリーとして把握するのは、かなり難しい物語だ。とにかく、場面と場面の間に脈絡がなく、「地獄めぐり」の言葉通り、大黒屋、賽の河原、硫黄泉の露天風呂、キャベツ畑、病院……といった場所で、現実にはあり得ない光景に出会っていく。
    先行研究なんかを見ていると、大筋として

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    2025年12月11日
  • 壁(新潮文庫)

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    安部公房の創造性が爆発した作品。
    不気味さやブラックユーモアに溢れ、真骨頂が発揮されている。
    何を考えていたらこんなストーリーや設定を思いつくのか。
    一見荒唐無稽な内容に思えるが、一つ一つの展開には繋がりがあり、破綻していない。

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    2025年12月10日
  • 箱男(新潮文庫)

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    前半はわけが分からんかったけど、後半は不思議な感じ含めて楽しめた。
    見られることの苦痛は感じることがあるし、共感出来た。

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    2025年12月10日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    自分は何者か家族は何者か、隣人は何者か?
    公的証明以外に証明出来るものは何もない
    もし、それが証明できなかったら
    自分は自覚がないまま自分そっくりの
    他人に入れ替わってたら

    安部公房は舞台にも力を入れていたので
    舞台映えのする小説である
    文章も映像を観ているようであった

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    2025年12月04日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    飛ぶ男を巡る、アパートに住む2人の住人の目線で展開する不思議な物語。作者特有の難解な展開と顛末。ストーリーを追うのではなく感覚的に文章を味わう読み方かよいのかも。終盤は誤植と思われるような文章になっているがワープロに発見された状態なのだろう。紙原稿のように順に書いていくのではなく、行きつ戻りつ創作していると感じた。
    「さまざまな父」の方はやや筋のあるストーリー展開で、人間の2大欲求である空を飛ぶこと、透明になることを題材に、しかし親子間で展開するところが異彩であり、この後の展開で理由がわかると考えると未完である事が悔やまれる。飛ぶ男に通じるストーリーで関連性にも興味が湧いた。

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    2025年11月29日
  • 壁(新潮文庫)

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    安部公房先生を読むのは2作目。正直最初から最後まで壁がわからなかった。独創性についていけず、文学を深く理解できていないように感じた。しかし、現実世界でもないけど空想世界としてほんの少し理解できる独創性は、安部公房先生ならではかなと思った。
    いつか再読しよう。

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    2025年11月25日
  • 壁(新潮文庫)

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    シュールで独特な設定が面白かった。作家は若い頃極貧生活だったらしく、壁ばかり見つめていたのだろう、多種多様な壁のイメージが全てリアルでユニークだった。時々女性が主人公の男性の前に現れ、抽象的なような名を失った語り手に「名前ある個人としての」人生があったことを思い出させてくれる。第一部では1ページかけて主人公の男が目の前の女を理解できず、捕まえ損ねてしまう体験が描かれている。その瑞々しさは束の間の潤いであった。だが、そんな希望の見えた人生の分岐ルートも、押し寄せてくる不条理にすぐ潰されてしまう(その不条理というのは、大体が「自分の問題」という種の奴で、カフカの不条理とは違う)。

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    2025年11月22日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    主人公と依頼人とのシーンや河原で逃げるシーンなど断片的に記憶には残っていたが、全体を思い出せなくて再読した。

    そりゃ覚えてないはずだわと
    読み終わって腑に落ちた。

    後半から、今でいう異世界転生したのか何なのか、誰なのか、どこなのか、いきなり自分が頭悪くなったのかと思うぐらいの展開で混乱したまま読み終えた。

    1回だけで記憶に定着してない理由がよくわかった。何か自分なりに考えて納得させてみようと試みるも思考停止。全てをわかろうとしてはいけないのね、、

    再読の結果、安部公房の作品の中で好きなランキング上位に上がった。

    どの作品も、自分が何者かわからなくなったり、見るものと見られるものがいつ

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    2025年11月01日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    安部公房短編10編。今まで何冊か読んできて、私が感じた安部公房のイメージとなんかちょっと違うような…どこがってうまく言えないんですが。
    気になったのは
    ・「使者」また自称火星人出てきたー!(「人間そっくり」を以前読んだので)
    ・「賭」どんな建物?どんな会社なん?頭ゴチャゴチャしてくるし、会話文に「……」がやたら多くてなんかずっと怪しい…でもコレ好き。
    ・「なわ」「無関係な死」リアルな嫌さ。嫌だー。
    ・「人魚伝」砂の女みたいだなと思ってたら、オチがすごい。人魚すごい。
    ・「時の崖」ほとんど心象描写だけど、映像が見える。
    安部公房、面白い。引き続き読みます。

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    2025年10月25日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    失踪した男の調査を依頼された主人公。調べていくにつれて、手がかりだと思われた事で混乱し、煙に巻かれ、気づいたら自分を見失っていきます。
    登場人物たちはみんなちょっとピントがずれていて、要領を得ない、ハッキリしない。
    夢の中を走っているみたいな息苦しい展開。
    風景描写が主人公の心境と混ざってとにかく不穏。
    解説にもあるように、冒頭に出てくる坂道のカーブが
    ラストでは全く別の世界になってしまっている。
    「何なに、なんでこうなっちゃったのよ」とツッコミながら読んでいました。
    先に読んだ「笑う月」がちょっと出てきたのが「おっ!」となった。

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    2025年10月05日