安部公房のレビュー一覧

  • 砂の女(新潮文庫)

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     読みやすい文体なのに、サラッと読めないストーリーのため読み終えるのに長時間かかった。そのため読後直後は☆4。しかし、考えを深めるにつれて☆5。
     最後のシーンが深く心に残り続ける。執着心は愛情に擬態する。男が物語のラストで選んだものは、救いがないと同時に救いのあるものだった。この二重構造、すざましい作品だ。

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    2026年01月29日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    失踪から7年たって死亡の認定を受けたと小説の最初に書かれた時点で男が逃げられないことは確定していたが、正確には逃げられなかったのではなく最終的に逃げようとすらしなかったという終わり方にするのが良かった。

    これこそ安部公房というような難解な比喩が定期的に書かれていて、そこを読むのに体力を使った

    穴に閉じ込められて初めて普通の生活に固執する意味を考えるようになるという展開が自然で良い。自由は必ずしも全ての人間に望ましいものではない。

    政府は砂の被害に対する対策を支援しないという無責任の結果、塩の入った砂を流通させるという部落民の無責任が生まれてしまった。

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    2026年01月27日
  • 箱男(新潮文庫)

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    再読。箱男の手記。
    絶対ありえない設定なのに、なぜかとてももっともらしく感じさせるところが、この作者の凄さだと思う。
    途中から、あれ?人物が混ざり合ってきていない?と感じるようになり、箱男の役割が入れ替わっている。
    その感覚がとても面白い。

    箱男になる原因は複数あるように思われる。
    見たくないものは視覚に入っていても認識しないという人間の特性を利用し、箱男になることで誰にも認識されなくなる。その結果、世間が見たくない側面を覗き見ることができる存在になる。

    刺々しい現実が、ダンボール越しに見ることで少し丸みを帯びる。
    守られているという安心感なのだろうか。
    見られる側ではなく、見る側に回るこ

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    2026年01月27日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    安部公房らしい奇想天外な設定だが、「砂」に対するの論理的な着眼点が世界観に説得力を持たせる。不条理に囚われた主人公の男に共鳴するかのように、ずっと口の中に砂が入ってるかのような居心地悪さを抱えながら、夢中になって読んだ。ずっとどう終わらせるのだろうと考えながら読んでいたが、あそこまで完璧なラストはなかなかない。「罰がなければ逃げる楽しみもない」。自由という甘美な響きはまるで砂地獄のように彼を捕らえの身にするが、彼は最後に現実の砂地獄で生きることを決め、その砂地獄から抜け出すのだ。いや、もっと深い穴にハマってしまったのかもしれない。男と女が暮らす砂地獄が突如として私たちの日常と重なり合ってくる。

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    2026年01月23日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ニワハンミョウに騙されて命を落とすネズミやトカゲのように、砂に魅せられて騙されて、穴の中での女との生活を余儀なくされる男の物語。

    何度かの逃亡が失敗に終わり、最後は逃げられる状況であっても逃げる事はせず、その後7年の間、元の生活に戻る事はなかった男。

    極限の生活の中でも生活の充足や生き甲斐を見つけてしまう人間は、哀しい生き物だろうか、それとも幸福な生き物だろうか。
    7年の男の生活、生死は不明だが、ある程度充足した生活を送ったのではないかと思う。誰かに強く必要とされる事、新しい家族ができる事、生き甲斐となる仕事(水の採集)が出来たこと。毎日の砂との戦いが日常になれば、他に煩わしい事はない生活

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    2026年01月23日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    現状との馴れ合いを作品的背景として扱い、砂の底での生活を通して人生における選択の必要性を読者にぶん投げる作品。
    描写として虚実皮膜の真髄と言って良いほど精緻な直喩。
    語り手、文体の無常な立ち居振る舞いにはあらためて、文学の全ては自由であることを再確認した。
    この虚構性と現実性の混同に働きかける仕掛けが世界的に評価されるのも納得。

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    2026年01月23日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    理由らしい理由もなく行方不明になった男がいて、7年後に失踪者として死んだものとみなされた……と、そういう話なのだけれど、その間に男の身に何が起きていたのかを読んでいく作品だった。
    孤独の本当の意味に気づいたシーンが印象に残っている。ほとんど正気を失いかけながら、衝動的に命を絶つことのないように日々を過ごしている姿が居た堪れない。逃げ出すことを諦めて監禁場所でおとなしく暮らすか、諦めないで外に出ることを目指すか。これはもう人生なんだと思った。
    なぜこんなにも面白い作品なんだろうと不思議になる。人間というものは罰があるから逃げるし、歩かないで済む状況になればむしろ安心し、馴染んでいくものなのかもし

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    2026年01月23日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    昔に読んだときは、文章力の凄みやホラー小説としての印象が強く残った。
    改めて読み返すと、本作の怖さは人間がどんな環境にも順応してしまう過程そのものにあることに気づかされる。自由とは何か、異常と呼べる世界の中で人はどのように意味を見出すのか、受け取る印象が変わった。

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    2026年01月20日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    砂しか出てこないのに、こんな多彩な比喩表現ができるものなんだなと思った。読んでいて、こちらまで喉がカラカラになって口の中にざらざらとした不快感が出てくる。
    人間の醜さ、汚さも浮き彫りになると同時に、他の生物にはない適応性、不条理な環境を受け入れ成長する人間の強さも感じた。
    この砂の穴は誰もが何かに囚われて生きる現代社会にも通じる普遍性を感じた。逃げないのは、順応していることと、ささやかな充足を感じていること、日々になぐさみ物があること、それぞれが行先も戻る場所も余白になった往復切符の存在があるからなのかな。

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    2026年01月16日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    敗戦を迎え混乱する満州。
    満州で生まれ育った青年・久三は両親を亡くし、戦争を経てロシア兵にかくまわれている。
    ロシア兵たちとは穏やかに過ごしているけど、故郷日本への想いに次第に焦燥感を募らせていく。
    ある日、南へ向かう列車が出る事を知った彼は脱出を決意するが…
    そこからは最後まで息がつけない。寒さと飢え、疲労と恐怖。共に南を目指すことになった謎の男・汪(高)は、敵か味方かもわからずずっと疑心暗鬼。
    いつまで読んでも極寒の大地が続き、状況は過酷になるばかり。
    日本を知らない久三。だけど彼を突き動かしてきたのは「自分は日本人だ」という強い想い。厳しい道程を経てきたからこその、あのラストにはクラクラ

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    2026年01月11日
  • 箱男(新潮文庫)

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    狂ってるが故の散漫さや視点の目まぐるしい移動を感じつつも、どこか哲学を感じられる程の一貫性があるように思えます。
    箱男が何なのか、何が見えてくるのか、その語りによって、異常な行動ではあると理解しつつも、それを上回るほどの魅力を感じずにはいられません。

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    2026年01月05日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    砂穴の暮らし: 劣悪だし不衛生だし単調な仕事を強制させられる

    砂穴の上の暮らし: 灰色の生活


    自由どこーーー!

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    2025年12月30日
  • 壁(新潮文庫)

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     あまり理解できたとは言いがたい。安部公房のいう壁というものがなんなのか。
     第一部の壁は主人公が胸に吸収してぐんぐん大きくなる壁、第二部の壁は本筋からずれているかもしれないが、透明人間になった主人公の、皮膚としての壁、第三部の壁はいろいろあるが、魔法のチョークという話からだと、太陽光に当たらない範囲で絵を本物にする壁という感じだと思う。
     正直それが何を意味しているのかわからない。ただ解説に壁の中も外も同質みたいなことが書いてあったからそれがヒントになりそう。また読み直すしかない気がする。
     しかし、文章自体とても面白かった。ゾクゾクするような面白さがあった。安部公房は初めてだったから、こん

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    2025年12月25日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    感情と比喩の連続
    比喩は軽快ではないけど秀逸でメモしたくなるようなものばかり

    自分が見ているいまの正常・日常が、無意識に焦点をあてている対象から離れ、視野を広げてみれば、
    その「正常」の外にいる人にとっての異常である可能性
    身近な例であれば社畜や宗教的な洗脳なのかなと思った

    男が「異常」に染まっていく過程が、中盤からジリジリとその気配が貯まっていき、後半の勢いが印象的だった。

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    2025年12月17日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    シンプルなストーリーで読みやすくおもしろかった。

    砂の中の部落、そこで砂掻きをして日銭を稼ぐ村人。毎日のルーティンに慣れて、自由に歩き回ることや綺麗な景色を見て感動することを求めない。
    これは現代社会のシステムを暗示していると思った。
    そこに外から入り込んだ主人公。
    あらゆる脱出方法を試みるが、失敗に終わる。
    長年その生活を繰り返していくうちに、主人公もその生活に慣れていく。
    最後には、縄梯子が垂れ下がったままになっても、もう脱出を図ることはしなくなっていった。

    たまには旅行して綺麗な景色を見ること、いろんな物語に触れること、いろんな人と話をすること。こういうことを意識してやっていかないと

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    2025年12月14日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    久々の安部公房面白い。こんなにSF感あふれる作品を出してたのかと驚きます。また全編に死が充満しています。自分の子供の頃は死は日常だった。ばあちゃんは死んでしまうし、じいちゃんは死んでしまうし、叔父さんは死んでしまう。恐ろしいけど、人間はいつか死んでしまう儚い存在だということ思い知らされていたんだと思います。親戚付き合いも少なくなり、同居家族も少ない現代の子供は死に接する機会も少ないのかな?
    冒頭の作品からして若くして失業してしまった主人公が失意のあまり自殺を図る。が、どうせ死ぬんだったら役に立ってみないかと怪しい誘いにまんまと乗ってしまう。君そんなだから会社馘にになるんだよ〜。機械はその工業的

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    2025年12月09日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    チャットGPTに私の好きなタイプの本を伝えておおすめしてもらったこの本。笑

    全然知らなかったが、作者の安部工房は、ノーベル文学賞に1番近かった日本人らしい。
    相当有名な作家だったんだろう。

    ただ珍しい虫探しをしにきただけなのに、砂の街の砂の穴に突如囚われ、そこで見知らぬ女と生活させられる男。

    その姿は現代にも通じる。息苦しく生活しにくい社会やシステムを変えたいと思って行動したとしても、それを跳ね除けようと何度も何度も頑張っても、結局は無駄。最後には、もうすっかり諦めて、そちら側の人間に落ちてしまう。そして、骨抜きにされたかのようにただ生きていくだけ。

    そんな、悲しいけど、なんだか共感で

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    2025年12月07日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    高校生のときに初めて読んで、何度も何度も読んでいるけど、毎回読み終わったあとに考えにふけってしまう。
    ただ、前回読んだときはこう考えたけど、ちょっと変わったな〜っていう自分の変化も感じられて楽しい。

    社会の中で生きるってどういうことなんだろう。何のために働くんだろう。今わたしは穴の中なんじゃないかな…

    これからも定期的に読み返したい一冊です。

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    2025年12月03日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    安部公房の海外に翻訳されまくった名作。
    脱出不可の砂地獄で奔放する男とそこに住む女の物語。

    絶望的な世界でもがく男、そんな世界でどこか達観した女。

    閉鎖空間での心理描写、砂に対する情景描写がすさまじく、読んでるこっちがザラザラして息苦しくなるほど。

    気になりすぎて速読した結末は、渇いた現代人の価値観に確かな潤いをもたらしてくれるのではないでしょうか。

    どこか海外SFっぽさもありながら心に残してくるのはしっかり日本文学っぽさ。

    翻訳されてしかるべき名作を皆さんも是非...

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    2025年11月29日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    初・安部公房。面白かった~(笑)虫を捕りに来た男が砂の街に囚われ・・・不条理な世界に閉じ込められ必死に脱出しようとする気持ちと徐々に変わっていく気持ちが面白かった(笑)そして女が妙にエロチックな感じだった(笑)安部公房読みやすいし面白い他の作品も読んでみよう(笑)

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    2025年11月23日