安部公房のレビュー一覧

  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    失業した男は死のうと思った
    そこに若者がやってきて
    死体を売ってくれという
    売られた死体は(生きてはいるが)
    ロボットとなり、機械を作る
    なんだかわからないが
    復讐のような機械を‥

    盲腸を羊のものにした男
    食べ物は藁
    ある実験が行われた
    食料不足のための準備として
    噛んで噛んで噛んで
    藁を飲み込んでいく

    人肉を食用とした人類
    そのために飼育される人々
    反対運動が始まる

    冬眠箱に入って100年後に
    目覚めるはずだった男
    80万年もの月日が経って
    カプセルが開いた
    そこでみたものは‥‥

    などなど
    なんだか背筋がぞわぞわするような
    なんだかあるかもしれないと
    思うものやら
    安部公房らしい物語

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    2026年04月16日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    人は、自由を失うと壊れるんじゃない
    自由がなくても生きられる形に、静かに作り替わっていく。

    閉じ込められているはずなのに、
    やがてそこが現実になる。

    逃げられる可能性よりも、
    今ここで成立している生活を選ぶ。

    それは敗北じゃない、適応の完成だ。

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    2026年04月10日
  • 壁(新潮文庫)

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    まっじで面白かった。最高。
    第一部と第二部がとんでもなく好き。
    独特の比喩表現、奇妙な映像を鮮烈に思い浮かべられる描写。自分とほとんど同じ年齢でこれを書き上げたのか、、とんでもないな。

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    2026年04月08日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    極限的な生活を強いられる中で、資本的な価値が転倒していく様子が面白かった。
    日頃生きている生活の中で、変化しないと思っているものは果たしてそうなのか?
    砂のように世界は常に流動していて、それを我々は見落としてるのではないか?
    男が閉じ込められ、強制された過酷な生活が、段々色付いて見えてくるのが不思議だった。
    自分にとっての生活と価値。その「当たり前」を強く問い直された。

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    2026年04月07日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    初安部公房、ジャケ買いしたらまさかの未完。
    気づかず買ってた…。
    独特の不穏さとドキドキが面白い。続きがないのが悔しい。

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    2026年04月02日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    砂に囲まれた環境の中で、意義不明な労働し続け、配給によってのみ生かされ、家族という共同体を形成するという、人生の縮図のような小説。
    なぜそのような環境で人々は満足し住み続けられるのだろうか。きっと納得させられているからに他ならないからだろう。
    近年では起業や副業、投資という言葉が叫ばれるようになってきたが、サラリーマンや時間の無駄となる人間関係ような砂や砂の女から抜け出すには、部落からしたら(社会からしたら)異常者にならざるを得ない。その"正常者"への引力が邪魔する。そんな理想と現実の描写。
    一方で、自由と呼ばれる生活と制約のある生活、どちらが幸せに暮らせるのだろうかと考え

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    2026年03月31日
  • 壁(新潮文庫)

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    安部公房「壁」は1951年刊行。「S・カルマ氏の犯罪」「バベルの塔の狸」「赤い繭(4編の短編)」からなる作品集。
    足元の床が抜けたような不安が漂って、起こる事はことごとく不条理。主人公たちには突飛で理不尽な出来事が振りかかりますが、容赦なく淡々と悪化していく感じ、こりゃもう安部公房。

    「S・カルマ氏の犯罪」
    朝起きたらえらい事になっていた系。解説には「カフカっぽいけど明るい」とあり、なんか納得。
    名刺に自分を奪われた主人公。名前・肩書を失い、何者でもなくなってしまう怖さ。しかも彼を取り巻く雑多な物から敵とみなされてしまう。
    話がマトモに通じない感じや裁判シーンなどは不思議の国のアリスっぽさも

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    2026年03月25日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    罠に嵌められたお客さん。
    かなりのピンチの状態を昆虫の行動で例えるところが
    面白い 内容は結構怖かった。

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    2026年03月20日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    夜空を見上げているとき、視野の周辺にちらと星影がうつり、視線をあらためて向けなおすと、かえって見えなくなってしまう事がある。眼をそらしてやると、再び視界に戻ってくる。網膜の中心部と、周辺部の、機能の分業からくる現象だ。夢と現実にも、どこか似たところがあるように思う。現実は、意識の中心部でより鮮明にとらえられるが、夢は、むしろ周辺部でしかとらえられず、中心に据えることで、かえって正体を見失ってしまいかねない。

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    2026年02月21日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    仕事を辞めるか続けるか迷っている今の自分にピタリとハマった。
    毎日の繰り返しの仕事から逃げたい。でも逃げたらそこは自由なのか?
    今のままで諦めてもいい。今があるから自由という妄想に執着しているのか?もしくは今の安定に執着しているのか。迷いながら読んだ。

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    2026年02月18日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    どれも予想がつかない物語で一気に読めた。
    時代背景や当時の安部公房の状況を理解すると、きっと意図のようなものが読み取れるのかなとは思うが、面倒くさいので読んでありのままを楽しんだ。

    水中都市のフレーズで

    おれはおれにもうそれほど執着していないのだから、魚になってまでおれであろうとは思わない

    というのがとても気に入った。
    環境や社会が変化していくときに、いつまでも自分の信念に固執しないというしなやかさを感じて、自分にとっての希望の言葉になった。

    あとは鉄砲屋にスミレの香水というのが出てきて、わざわざ香水売場に出かけて行って2〜3嗅がせてもらったが、それらは女性らしさ全開の香りで全く好みで

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    2026年02月11日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    人生について考えさせられる。時代は全く違えどわたしだけではなく皆、砂に囲まれて生活している。
    日常の意味のあるか分からない仕事を淡々とこなし、時にはそこから新たな興味深い発見をし、一方でそんな退屈なルーティーンからの脱出を試みて、失敗して順応していく。まさに人生そのものな気がした。

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    2026年02月07日
  • 箱男(新潮文庫)

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    再読。箱男の手記。
    絶対ありえない設定なのに、なぜかとてももっともらしく感じさせるところが、この作者の凄さだと思う。
    途中から、あれ?人物が混ざり合ってきていない?と感じるようになり、箱男の役割が入れ替わっている。
    その感覚がとても面白い。

    箱男になる原因は複数あるように思われる。
    見たくないものは視覚に入っていても認識しないという人間の特性を利用し、箱男になることで誰にも認識されなくなる。その結果、世間が見たくない側面を覗き見ることができる存在になる。

    刺々しい現実が、ダンボール越しに見ることで少し丸みを帯びる。
    守られているという安心感なのだろうか。
    見られる側ではなく、見る側に回るこ

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    2026年01月27日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    砂しか出てこないのに、こんな多彩な比喩表現ができるものなんだなと思った。読んでいて、こちらまで喉がカラカラになって口の中にざらざらとした不快感が出てくる。
    人間の醜さ、汚さも浮き彫りになると同時に、他の生物にはない適応性、不条理な環境を受け入れ成長する人間の強さも感じた。
    この砂の穴は誰もが何かに囚われて生きる現代社会にも通じる普遍性を感じた。それでも私たちが逃げないのは、日本という環境に順応していること、日々になぐさみ物の存在があったり、何かしらのささやかな充足を感じる瞬間があること、そして行先も戻る場所も余白になった往復切符をみんな持っているからということなのかな。

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    2026年01月16日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    敗戦を迎え混乱する満州。
    満州で生まれ育った青年・久三は両親を亡くし、戦争を経てロシア兵にかくまわれている。
    ロシア兵たちとは穏やかに過ごしているけど、故郷日本への想いに次第に焦燥感を募らせていく。
    ある日、南へ向かう列車が出る事を知った彼は脱出を決意するが…
    そこからは最後まで息がつけない。寒さと飢え、疲労と恐怖。共に南を目指すことになった謎の男・汪(高)は、敵か味方かもわからずずっと疑心暗鬼。
    いつまで読んでも極寒の大地が続き、状況は過酷になるばかり。
    日本を知らない久三。だけど彼を突き動かしてきたのは「自分は日本人だ」という強い想い。厳しい道程を経てきたからこその、あのラストにはクラクラ

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    2026年01月11日
  • 箱男(新潮文庫)

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    狂ってるが故の散漫さや視点の目まぐるしい移動を感じつつも、どこか哲学を感じられる程の一貫性があるように思えます。
    箱男が何なのか、何が見えてくるのか、その語りによって、異常な行動ではあると理解しつつも、それを上回るほどの魅力を感じずにはいられません。

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    2026年01月05日
  • 壁(新潮文庫)

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    ネタバレ

     あまり理解できたとは言いがたい。安部公房のいう壁というものがなんなのか。
     第一部の壁は主人公が胸に吸収してぐんぐん大きくなる壁、第二部の壁は本筋からずれているかもしれないが、透明人間になった主人公の、皮膚としての壁、第三部の壁はいろいろあるが、魔法のチョークという話からだと、太陽光に当たらない範囲で絵を本物にする壁という感じだと思う。
     正直それが何を意味しているのかわからない。ただ解説に壁の中も外も同質みたいなことが書いてあったからそれがヒントになりそう。また読み直すしかない気がする。
     しかし、文章自体とても面白かった。ゾクゾクするような面白さがあった。安部公房は初めてだったから、こん

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    2025年12月25日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    久々の安部公房面白い。こんなにSF感あふれる作品を出してたのかと驚きます。また全編に死が充満しています。自分の子供の頃は死は日常だった。ばあちゃんは死んでしまうし、じいちゃんは死んでしまうし、叔父さんは死んでしまう。恐ろしいけど、人間はいつか死んでしまう儚い存在だということ思い知らされていたんだと思います。親戚付き合いも少なくなり、同居家族も少ない現代の子供は死に接する機会も少ないのかな?
    冒頭の作品からして若くして失業してしまった主人公が失意のあまり自殺を図る。が、どうせ死ぬんだったら役に立ってみないかと怪しい誘いにまんまと乗ってしまう。君そんなだから会社馘にになるんだよ〜。機械はその工業的

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    2025年12月09日
  • 箱男(新潮文庫)

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    序盤で物語に引き込まれるが、この展開と結末を予想できる読者はいないだろう

    登場人物は自分と看護婦と医者の3人、終盤に女教師が出てきて構成が大転回する

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    2025年11月18日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ネタバレ

     主人公って、常に目撃される側なわけですよね。そして常にその「視線」によって何者かであることを強制されている。その重圧に耐えて生きているんだと思うんです。
     この小説は読んでいて、見る見られるとはどういうことかを常に考えさせられました。箱男たちはなんとなく自らが主人公になることを拒んでいるような気がしました。主人公としての重圧、自分の人生を生きる重圧、それって私たちも日頃から少なからず感じているもので、箱男はそこから逃れて、「見る側」であることを選んでいるような気がします。
     「見る側」って読者である我々もそうですよね。私達は本という箱に入ることで、見られることから逃れている時、ある種の安堵感

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    2025年11月08日