安部公房のレビュー一覧

  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    ネタバレ

    なんとも言いがたいがとても好みだった。
    小出しにされる情報にどんどん恐怖や不安感が募り、比喩表現の巧みさに魅了され、主人公の思考を通じて人生の意味まで考えさせられる。
    わからないのに「なんだかわかる」という気持ちにさせられて、文章にのめり込んでいくような読書になったのが面白かった。わかると思うのも幻想にすぎないというか、きっと思い違いだろう。
    競争や責任から逃げ出した先の、すべての約束を放り投げる解放感は替えがきかないだろうなと思った。本来は残された側の動揺や苦悩に共感すべきところを、失踪人の心理を考えて追っていくことで同化していく感覚を味わえた。
    探偵は後頭部など暴行を受けたあと、現実の時間

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    2026年08月30日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    安部公房の随筆なのだから考えてみればわかるんだけど、難しかった。安部公房の夢をこんなに深堀りして本にしてくれて安部公房にありがとうと言いたい。
    私のお気に入りは、哲学的な話だった、アリスのカメラとシャボン玉の皮。鞄もかな。
    発想の種子も興味深いし、ワラゲン考はダンゴムシだし、自己犠牲はどんでん返し系で小説のように面白かった。
    笑う月は難しくて二回読んだけどやっぱり難しいな。すき。

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    2026年08月27日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    今年一面白かった!
    一行先が気になりついつい読み続けてしまう本。
    火星人?の気持ち悪い話し方が嫌なのに癖になってしまう。今の時代では怒られそうだが、一流の気違いなんていいフレーズ。先生は一流の気違いになれたのかな。

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    2026年08月25日
  • 箱男(新潮文庫)

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    映画とは大まかな流れや伝えたいことは同じなのだろう。しかし、細やかな描写には、まるで著者自身が箱男として生活していたかのようなリアリティがあり、ぐいぐいと小説の世界へ引き込まれた。「みる/みられる」「書く/読まれる」という対立する関係にありながら、その役割が絶えず入れ替わっていく構造も印象的だった。フィクションでありながら、ノンフィクションの真髄に迫るような作品だと感じた。

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    2026年08月22日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    短編10話。一つひとつの話が短いので読みやすい。

    『箱男』『砂の女』『燃えつきた地図』など、安部公房の有名作品を思い起こさせるような内容もあり、非常に面白かった。
    星新一のショートショートと少し雰囲気が似ている話もあるが、やはり安部公房はぶっ飛んでいる。
    それでいて決してふざけているわけではなく、あくまでも真面目に描かれているからこそ、グイグイ引き込まれる。

    『賭』は、奇妙な会社に巻き込まれていく展開がすごくワクワクして好き。
    『無関係な死』は、無関係であることを証明しようとすればするほどドツボにハマっていくのだが、読んでいてなぜかすごく共感できる。
    『人魚伝』は、アドレナリン分泌の有無が

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    2026年08月14日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    安部公房の短編集の中でもとっておきに大好きなものだった。
    非現実的、不条理な内容が多い中で、それを普通に読めてしまうのは、安部公房が文を書くのが上手いからだと思う。すごいわ
    焼酎を飲むと魚になる、のもなんか納得させられる?

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    2026年08月11日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    安倍工房を読み始めたきっかけの本。
    独特で、今まで読んだことのない感覚だった。小説のシュールレアリズムを体現してる。
    この本のせいで砂が嫌いになって、海に行きたくなくなった。それくらい、影響のある描写力。
    ぜひ、海に行く予定が過ぎ去った後に読んでください

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    2026年07月29日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    読んでると喉が渇いてくるほど、頭の中はずっと砂まみれだった。
    砂穴の底で家を守るために毎日砂かきをしている女と一緒に、集落を守るためにその穴に閉じ込められた男の話。抜け出すために試行錯誤するが、集落の人たちに穴の上から邪魔され、やがて女との生活に落ち着いていく様を眺められている。。
    面白かったけど、読む時は近くに水を置いておいた方がいい

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    2026年07月28日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    突然、生活の全てを砂の箱庭に押し込まれるような話。
    不条理がもたらす不自由さは、私達の生活を狭めているのではなく、規定しているだけなのではないか。読み手の価値観にもよると思うが、僕はこれも一つの幸福なのかもと思った。
    文体も魅力的。砂のモザイクの中から少しずつ情景が浮かび上がるような体験はこの文体あってこそだと思う。この文体に見惚れて以来、安部公房作品を読み漁っている。

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    2026年07月17日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    これが70年前に書かれてるのが信じられない!表題作と、「耳の値段」がよかった。とくに「鉛の卵」は第四間氷期を思い出すようなSFでめちゃくちゃ面白くて一気に読んだ!

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    2026年07月04日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    「デンドロカカリヤ」「手」「飢えた皮膚」「闖入者」「水中都市」が特に良かった。安部公房が書く不条理な話が大好き!

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    2026年06月24日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    さすが安部公房。この発想を当時創造できたなんてすごい人だ。砂の女は口の中が砂じゃりじゃりになるし、今回はエラがパクパクしたw

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    2026年06月23日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    世間や妻と人間関係上の通路を失った彼は、他人の顔の仮面の下で何に対し妬み恨むのか。姑息な仮面づくりという無駄な行為に没頭しいい気になってる自分、その自分を欺いている悦び。なぜ太古から人はここまで仮面にこだわるのかという私の個人的な興味、疑問の神髄はここにあった。

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    2026年06月22日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    何度か挫折している作品なんだけど、今回はサクサク楽しく読めた。
    時代背景もあると思うけど、こんなに女性を弱者に書く必要があるのかな。
    男性は一人だと物語を紡げないんだろうか。女が帰ってこなかったら男はこのまま砂の谷にいられるんだろうか。等々色々考えた。
    他の作品も読んでみたい。

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    2026年06月22日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    「彼の手のなかの往復切符には」

    砂は人を閉じ込め、飢えさせ、まとわりつき、狂わす。

    めちゃくちゃ面白い。
    描写が生々しくて気持ち悪くもなったけど、それが最高だった。読んでいるだけで口の中がじゃりじゃりしてくる。
    砂に閉じ込められて暴れる男と、既にその生活を日常として受け入れている女の温度差が良かった。
    砂の質感とか村民との会話とか、妙なところがリアルで怖い。

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    2026年06月15日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    どんなジャンルに分類すればいいのかわからない作品。
    非現実的で「何だこれは」と思うような内容なのに、めちゃくちゃ面白い。

    脛にかいわれ大根が生え、病院のベッドにさまざまな場所へ連れ回される。
    腹が減れば脛のかいわれ大根を食べてみたりする。
    前半に登場する烏賊爆弾の発想も面白かった。
    気がつけば点滴が烏賊の内臓になっている…

    奇想天外な物語でありながら、安楽死や尊厳死についても考えさせられるところもあった。
    治療とは人権を守るものなのか?

    久しぶりに読んだ安部公房、やはりその世界観は圧倒的。
    天才的だと改めて感じた。

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    2026年06月03日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    探偵というのは、誰かの過去や因果関係を調べる仕事な訳で、つまりそれは常に、誰かの「影」として跡を追うことで初めて存在意義が生まれる。
    その意味で、主人公の「ぼく」と失踪人の「彼」は、初めから対の関係性だった。

    p.390「誰だって、どんな健康な人間だって、自分の知っている場所以外のことなど、知っているわけがないのだ。」
    確かにそうだ。この世界の知らない場所が自分の世界の延長であるように過信するのは、傲慢だ。
    知らない道を通っても、また知っている道に戻れるとは限らない。迷い続ければ、それは失踪になる。

    p.359からは、失踪者側の目線で語られる。
    追跡者側と失踪者側で対比させていながら、主人

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    2026年06月01日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    読んでいるこちらも混乱してしまうほど引き込まれ、訳がわからなくなっていく。
    安部公房の中でも好きな本。

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    2026年05月21日
  • 壁(新潮文庫)

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    ネタバレ

    三部構成になっているけれど、自分の中で整理ができないまま読み終わってしまった。でも分からないなりに面白かった。
    悪い夢を見ているようで何が起きるかまったく分からないし、結末も想像できなかった。悪いことばかり起きるのに不思議と深刻さはなく、独特な形容で、おとぎ話のように美しく印象的な場面がときおり訪れる。
    第一部は、穴を降りていった先で裁判をするシーンがあることも手伝って、どこか「不思議の国のアリス」を思い出させた。デタラメな裁判。
    人間にはなんらかの罪があるようだし、バベルの塔やノアの方舟やアダムとイヴ、生命や世界の創造まで話はおよぶ。そうやって創世記が絡めてあるので、原初の話をしているのがよ

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    2026年04月30日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    失業した男は死のうと思った
    そこに若者がやってきて
    死体を売ってくれという
    売られた死体は(生きてはいるが)
    ロボットとなり、機械を作る
    なんだかわからないが
    復讐のような機械を‥

    盲腸を羊のものにした男
    食べ物は藁
    ある実験が行われた
    食料不足のための準備として
    噛んで噛んで噛んで
    藁を飲み込んでいく

    人肉を食用とした人類
    そのために飼育される人々
    反対運動が始まる

    冬眠箱に入って100年後に
    目覚めるはずだった男
    80万年もの月日が経って
    カプセルが開いた
    そこでみたものは‥‥

    などなど
    なんだか背筋がぞわぞわするような
    なんだかあるかもしれないと
    思うものやら
    安部公房らしい物語

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    2026年04月16日