安部公房のレビュー一覧

  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    ネタバレ

    映画の箱男を観たので安部公房の本を探していて、箱男は無かったが、人間そっくりを読んでみた。
    少し言葉が難しいけど、物語が短くサクッと読み終わってしまった。最後の数ページで急激にこわくなる。
    結局人間そっくりな火星人なのか、火星人そっくりな人間なのか、分からないのがいちばん怖い。

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    2024年10月09日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    未完の作品ということで結末は無いけれど、都会の不思議で独特な閉鎖的世界観にジリジリと引き込まれる感覚を味わえた。
    写真が趣味のひきこもりである保根治、保根の弟を名乗り空気銃で狙撃される空飛ぶ男、保根の隣に住み弟を狙撃する発酵研究員の小文字並子。現実感の無い登場人物たちと不思議でとりとめの無い会話に掻き乱される感覚がたまりない。
    一行目から飛んでるってのがいい。

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    2024年09月28日
  • 壁(新潮文庫)

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    1、児童文学を読んでいたなら意外にも、サクサク読めると思います。
    何故ならば、物が喋りだすといった非日常的設定を自然に取り込むことができるからです。

    2、シュールな出来事のボケだけでなく、掛け合い等のボケもあって、そこが特に面白いと思った。

    3、S・カルマ氏の犯罪のあとに続く短編はもう少しわかりやすく、短いので読みやすい。

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    2024年09月21日
  • 密会(新潮文庫)

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    性的なテーマなので好みが分かれるかもしれないが、不条理な状況で緊迫するシーンが続き、知らないうちに読み進めてしまう一冊。
    安部公房は久しぶりの一冊だったが、やっぱり面白い。
    簡単に日常を忘れさせてくれる。
    非日常をすぐに感じたい方は、是非。

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    2024年09月19日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    聞かされた最初も、予言機から色々聞かされていく過程でも、自分はずっと主人公と同じような気持ちだった。「ありえない!→いやそんなバカな、、」みたいな徐々に不安になっていく感じ。

    この本を読んだことで、この本というより「未来を認めたくない自分」に対して恐怖を感じる体験をさせられました。

    自分の理解力不足もあるとは思うが、正直ストーリー構成的に強引だったり説明つかないところがいくつもある気がしてる。ただ、50年以上前の作品だし、話の複雑さを考えれば許容範囲か

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    2024年09月16日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    安倍公房17編の短編集。
    どれも不思議な話で、理解するのも難しいけどとてもおもしろい。
    『鞄』、『公然の秘密』が好き。

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    2024年09月05日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ただいま映画『箱男〜The Box Man〜』が上映中である。公開日以降、最初の日曜日に観に行った。僕の個人的な事情なのだけれど、今年は、かつてないほど映画を観ている。俳優さんの演技というものについて理解を深めたいと思ったからだ。というのも僕の好きだった俳優さんは、演技について“天才”とすら称されることもあるほどに、演技について評判が良かった。にも関わらず、僕は素直に彼女の演技の評価を受け入れることができなかなった。実際、TVドラマや映画などで彼女の演技を観ても、彼女と、他の役者さんの演技の違いについて明確な“天才”たる理由や根拠を見出すには、いまだ至っていないのだ。僕は彼女の演技は好きなのだ

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    2025年03月27日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    砂の女で難しいイメージを持っていた安倍公房作品ですが、本作は非常に読みやすかったです。
    確かに自分が火星人ではなく地球人だったとしても、それを証明することは不可能。
    自分の存在が危ぶまれる可能性だってある。

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    2024年08月24日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    目次
    ・夢の兵士
    ・誘惑者
    ・家
    ・使者
    ・透視図法
    ・賭
    ・なわ
    ・無関係な死
    ・人魚伝
    ・時の崖

    事前情報を得ず、先入観を持たないようにして読んだ感想としては、一世代前の村上春樹みたい。
    乾いた無関心、冷たい理不尽。
    違いは、安部公房のほうが閉塞感が強くて人間的な感じ。

    確かにここに書かれた作品はほとんどが私の生まれる前のもので、時代の断絶を感じざるを得ない。
    けれども安部公房自身は平成までご存命だったのね!
    めっちゃ同時代人でした。あらあら。

    私の脳内読書マップの中で、安部公房は2か所に存在している。
    純文学の場所とSFの場所。
    そもそも最初に読んだのが、高校の図書室にあった「世界

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    2024年08月18日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    顔は通路。

    覆面は他人との関係を、素顔のとき以上に普遍的なものに高めてくれるのではあるまいか…

    顔なんかで人は判断されない と思いつつも、おまえのことを考える時にいつも浮かぶのは顔。その表情。

    匿名性と、その実存と、それもまた本人に過ぎないと言う事実。
    夫婦には仮面が必要…?
    主題はとてもおもしろく好きなものだったけど、読むのに時間かかったなぁぁ

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    2024年08月10日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    どこかのタイミングで戯曲のようなユーモアに引き摺られてしまい、砂の女とか他人の顔へのカチッとした読み方から抜けてしまった
    だけど、やっぱりブラックユーモアの入れ方が半端なく上手い。情景も圧倒的だしプロットも完璧
    存命しているうちに生で追うことができなかったのが悔やまれる作家no.1

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    2024年07月27日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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     1957(昭和32)年作。
     シュールレアリスムのスタイルに依らない、一応リアリスティックな書法の作品。もっとも、極度の飢えに晒されながら荒野をさまよう主人公の状況は、それ自体がどこかシュールでもある。
     安部公房自身が少年時代を満州で過ごし、敗戦後は家を追われ放浪したらしいので、ある程度このリアルな体験、当時目にした情景などが本作に反映されているに違いない。
     永遠と思われるような放浪が、なんとも印象に残る作品だった。

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    2024年07月12日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    正直なところどう捉えていいのか、文脈を拾うことはできなかった。劇的に恐ろしいわけではない、漂う不快感があって、まさに断続的な悪夢という感じだ。わからなくなってうとうと眠りかけて、眠りと覚醒の中間で気持ち悪くなった。この気持ち悪さがそのままこの本に抱く印象となった。
    解説を読んで、著者が死を迎える少し前にこの本が刊行されたことを知って、少し私の中でこの本の居場所が落ち着いた。死についての本だとは読んでいてわかったが、著者が感じたこと経験したことが内容に滲んでいるのではという解説がしっくりきた。
    面白かったけどわからなかった。けれど足がむず痒い不快感と安楽死について、じんわり心に残った。

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    2024年07月03日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    未完のため、何とも評価できないものの。

    文章の持つ熱量や痺れみたいなものは、やはり常人ではなし得ないものなんじゃないか、という気がする。

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    2024年06月19日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    最近のアニメ、映画でよくあるAIと人間の同期っぽい設定があって、この作品を昭和45年に書いている安部公房の想像力に脱帽。

    今はAI技術の進化を見ているので、面白い想像だな位に感じるけど、この本が出た頃読者はどんなふうに感じていたんだろう。

    集中して読めてない部分も多いので、再読したい。

    昭和40年代の人の想像で表現している挿絵が何だか面白い。

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    2024年06月19日
  • 密会(新潮文庫)

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    著者の作品は『砂の女』『箱男』『第四間氷期』と読んで、この作品が4冊目であるが比較的、世界観に入り込むことができる。妻が連れ去られたとされる病院へ行く主人公、病院での会話は逐一録音されているというなか、阿部公房作品おなじみの一風変わった人物たちと関わっていくが、いつの間にか主人公もその奇妙な病院に絡めとられてしまうところが恐ろしかった。
    2本のペニスを持った馬人間、女秘書、溶骨症の少女といった、個性的という言葉では形容できない人物が出てくるのも阿部公房ワールドが炸裂していて、安心感さえ感じてしまった。
    今回の話は救いようがなく、終始暗い雰囲気の物語ではあったが、著者の独特の滑稽ささえも感じさせ

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    2024年06月14日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    天才安部公房の未完の遺作。

    宙を飛ぶ男がいきなり電話をかけてきて、「俺はお前の弟だ!父から追われている!助けてくれ!」と意味不明なことを言い出し、それに困惑する男の話である。

    本作が未完なことが非常に残念だが、解説を含めて、読む価値は十分にある。むしろ、この解説が本作、さらに言えば安部公房の魅力を引き立たせている。

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    2024年06月06日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    脛にかいわれ大根が生えた男が自走式の病院ベッドに縛りつけられて旅に出る…あらすじだけ見ても面白い。
    病と死が根本的なテーマなのだと思うが、相変わらず安部公房らしい荒唐無稽で幻想と現実が癒着した(もしくは全てが幻想)"読者置いてけぼり感"が良い。不思議の国のおっさん。
    箱男や砂の女よりかは、安部公房初心者でも読みやすい部類ではないかと思う。

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    2024年06月06日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    中学の時に知った「砂の女」、高校の教科書に出てきた「鞄」、それからずっと本屋で安倍工房の名前を目の端で捉えては手を出せずにいたが、「飛ぶ男」にはどうしても惹かれるものがあり購入してしまった。
    表紙をしっかりと見ていなかったため、読み始めてから遺作で未完成作品であることを知る。が、あらすじから滲み出る面白さの予感。抜群の設定と意味の分からない関係性。
    いざ読み始めると「まじかよ。」とツッコミたくなる不可解な行動や思想。作者の脳内のまま、寄り道させられる話。どうしたらそんな連想ゲームができるんだよ。所々に見られるクスリとできる表現にも好感が持てた。
    未完成であることが残念なくらい、続きというか、結

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    2024年06月03日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    相変わらずシュールだった。小鬼たちの「オタスケ オタスケ オタスケヨ オネガイダカラ オタスケヨ」が頭から離れない笑。
    結局脛のかいわれは幻想だったのか…

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    2024年05月26日