安部公房のレビュー一覧

  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    20代半ばで芥川賞を受賞した安部公房が、30歳前後に書いた12の短編を収録した作品集。

    どれもシュールで実験的で、ユーモアやウイット、アイロニーに笑わせられる場面もちらほらあります。毒が盛られたような内容の話であっても、おかしみを感じさせるシーンをちゃんと作られているため、シリアスになりすぎずに、フィクションの中身と適度な距離を保ちつつ、楽しめるのでした。また、そこのところをちょっと角度をかえて考えてみると、たまに水面に浮かんでくるあぶくのように、ここぞのところで効果的に滑稽さが仕組まれているからこそ、これは小説つまり虚構なのだ、と読む者は踏まえることができるんだなあ、とひとつ気づくことにな

    0
    2024年11月19日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    探偵の男が少しずつ自分を見失ってゆくにつれて、読んでいるこちらまで自分を見失ってしまいそうになる。靄につつまれて抜け出せない苦悩は、誰にでもありうる現実なのかも。

    0
    2024年11月10日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    再読。君は火星人であるか?それとも地球人であるか?密室で繰り広げられる対話劇。ただそれだけと云えばそれだけだが、こんな面白い対話劇なんて中々ない。途中で飽きる事のない中毒性の高い作品。精神や思考が侵食されていく様が恐ろしくも面白い。

    0
    2024年11月04日
  • 壁(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ずっと途切れることのない不条理の連発に読書の快楽を感じた。
    こちらに考える猶予すら与えずに繰り出されると、それは受け入れざるを得ない上に予想もできないのだからひたすらに驚き、それが娯楽性に繋がっていた

    0
    2024年10月30日
  • (霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「題未定──霊媒の話より」
    霊媒師とは、要するにアドリブ俳優である
    霊魂に身体を貸したというテイで
    お芝居をやっている
    相手はそれを本当に先祖の霊魂と信じるのだけど
    それによって現世の鬱屈が
    いくらかでも癒やされるのなら
    単純に否定すべきものではないのである
    では、かの霊媒師はいかにして霊媒師になったか
    そういう話なんだけど
    これは、自分の話を他人事のように語っているのではなかろうか
    副題からそう臭わせることで
    自然主義文学へのひとつの問題提起ともなっている
    死者の意思が捏造されうる以上
    自らの経歴もまた捏造の可能性を免れない
    その事実を発見したことが
    反近代のはじまりなのかもしれない

    「老

    0
    2024年11月02日
  • 壁(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    バベルの塔の狸
    魔法のチョーク
    事業

    現実とは事実なのか、改めて考えさせられる。
    シュルレアリスムによって非現実を現実化する方法を学んだとされる安部工房。

    夢や無意識、偶然と言った意識でコントロール出来ないものが現実を凌駕するような感覚は今だからこそわかる。我々が普段当たり前に区別しているであろう現実⇄非現実の区別が曖昧になる。そればかりか、今の自分には非現実の精神世界の方が不可欠な物のような気がしている。

    世界観が好き。文体が海外作家っぽい。

    0
    2024年10月19日
  • 砂の女(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    感想 社会で生きることと、砂穴で生活することを自由というテーマで対比している。砂穴から逃げたくて仕方なかった男は、最後は砂穴での自由を見出しそこでの生活を望んでいく。
    人間生活における物理的な自由のみが自由ではないかもしれないと問題提起した作品であった。

    0
    2026年01月12日
  • 壁(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    見たことあるはずが無いのにありありとヴィジョンが浮かぶ圧倒的な描写力と自分でも気が付かなかった心情をピッタリ同値な比喩で表現されて、ヤバババ〜

    0
    2024年10月13日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    映画の箱男を観たので安部公房の本を探していて、箱男は無かったが、人間そっくりを読んでみた。
    少し言葉が難しいけど、物語が短くサクッと読み終わってしまった。最後の数ページで急激にこわくなる。
    結局人間そっくりな火星人なのか、火星人そっくりな人間なのか、分からないのがいちばん怖い。

    0
    2024年10月09日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    未完の作品ということで結末は無いけれど、都会の不思議で独特な閉鎖的世界観にジリジリと引き込まれる感覚を味わえた。
    写真が趣味のひきこもりである保根治、保根の弟を名乗り空気銃で狙撃される空飛ぶ男、保根の隣に住み弟を狙撃する発酵研究員の小文字並子。現実感の無い登場人物たちと不思議でとりとめの無い会話に掻き乱される感覚がたまりない。
    一行目から飛んでるってのがいい。

    0
    2024年09月28日
  • 壁(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    1、児童文学を読んでいたなら意外にも、サクサク読めると思います。
    何故ならば、物が喋りだすといった非日常的設定を自然に取り込むことができるからです。

    2、シュールな出来事のボケだけでなく、掛け合い等のボケもあって、そこが特に面白いと思った。

    3、S・カルマ氏の犯罪のあとに続く短編はもう少しわかりやすく、短いので読みやすい。

    0
    2024年09月21日
  • 密会(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    性的なテーマなので好みが分かれるかもしれないが、不条理な状況で緊迫するシーンが続き、知らないうちに読み進めてしまう一冊。
    安部公房は久しぶりの一冊だったが、やっぱり面白い。
    簡単に日常を忘れさせてくれる。
    非日常をすぐに感じたい方は、是非。

    0
    2024年09月19日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    聞かされた最初も、予言機から色々聞かされていく過程でも、自分はずっと主人公と同じような気持ちだった。「ありえない!→いやそんなバカな、、」みたいな徐々に不安になっていく感じ。

    この本を読んだことで、この本というより「未来を認めたくない自分」に対して恐怖を感じる体験をさせられました。

    自分の理解力不足もあるとは思うが、正直ストーリー構成的に強引だったり説明つかないところがいくつもある気がしてる。ただ、50年以上前の作品だし、話の複雑さを考えれば許容範囲か

    0
    2024年09月16日
  • 笑う月(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    安倍公房17編の短編集。
    どれも不思議な話で、理解するのも難しいけどとてもおもしろい。
    『鞄』、『公然の秘密』が好き。

    0
    2024年09月05日
  • 箱男(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ただいま映画『箱男〜The Box Man〜』が上映中である。公開日以降、最初の日曜日に観に行った。僕の個人的な事情なのだけれど、今年は、かつてないほど映画を観ている。俳優さんの演技というものについて理解を深めたいと思ったからだ。というのも僕の好きだった俳優さんは、演技について“天才”とすら称されることもあるほどに、演技について評判が良かった。にも関わらず、僕は素直に彼女の演技の評価を受け入れることができなかなった。実際、TVドラマや映画などで彼女の演技を観ても、彼女と、他の役者さんの演技の違いについて明確な“天才”たる理由や根拠を見出すには、いまだ至っていないのだ。僕は彼女の演技は好きなのだ

    0
    2025年03月27日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    砂の女で難しいイメージを持っていた安倍公房作品ですが、本作は非常に読みやすかったです。
    確かに自分が火星人ではなく地球人だったとしても、それを証明することは不可能。
    自分の存在が危ぶまれる可能性だってある。

    0
    2024年08月24日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    目次
    ・夢の兵士
    ・誘惑者
    ・家
    ・使者
    ・透視図法
    ・賭
    ・なわ
    ・無関係な死
    ・人魚伝
    ・時の崖

    事前情報を得ず、先入観を持たないようにして読んだ感想としては、一世代前の村上春樹みたい。
    乾いた無関心、冷たい理不尽。
    違いは、安部公房のほうが閉塞感が強くて人間的な感じ。

    確かにここに書かれた作品はほとんどが私の生まれる前のもので、時代の断絶を感じざるを得ない。
    けれども安部公房自身は平成までご存命だったのね!
    めっちゃ同時代人でした。あらあら。

    私の脳内読書マップの中で、安部公房は2か所に存在している。
    純文学の場所とSFの場所。
    そもそも最初に読んだのが、高校の図書室にあった「世界

    0
    2024年08月18日
  • 他人の顔(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    顔は通路。

    覆面は他人との関係を、素顔のとき以上に普遍的なものに高めてくれるのではあるまいか…

    顔なんかで人は判断されない と思いつつも、おまえのことを考える時にいつも浮かぶのは顔。その表情。

    匿名性と、その実存と、それもまた本人に過ぎないと言う事実。
    夫婦には仮面が必要…?
    主題はとてもおもしろく好きなものだったけど、読むのに時間かかったなぁぁ

    0
    2024年08月10日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    どこかのタイミングで戯曲のようなユーモアに引き摺られてしまい、砂の女とか他人の顔へのカチッとした読み方から抜けてしまった
    だけど、やっぱりブラックユーモアの入れ方が半端なく上手い。情景も圧倒的だしプロットも完璧
    存命しているうちに生で追うことができなかったのが悔やまれる作家no.1

    0
    2024年07月27日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     1957(昭和32)年作。
     シュールレアリスムのスタイルに依らない、一応リアリスティックな書法の作品。もっとも、極度の飢えに晒されながら荒野をさまよう主人公の状況は、それ自体がどこかシュールでもある。
     安部公房自身が少年時代を満州で過ごし、敗戦後は家を追われ放浪したらしいので、ある程度このリアルな体験、当時目にした情景などが本作に反映されているに違いない。
     永遠と思われるような放浪が、なんとも印象に残る作品だった。

    0
    2024年07月12日