安部公房のレビュー一覧
-
ヤマザキマリさんが阿部公房を紹介してたのでよんだ。
本当は砂の女を読む予定だったけどなかったので。
文学的な文章は慣れてないので読みづらかったけど、とりあえず読み切ってよかった。
人の本質は顔だけじゃないという本人だけれど、顔に対してのコンプレックスや偏見を一番感じとっているのが自分でもがいているの...続きを読むPosted by ブクログ -
人間と人間以外のモノとの境界があいまいになるようなSFものが多い短編集。人間がロボットにされる「R62号の発明」、人間のような犬が出てくる「犬」、人間がただの棒になる「棒」、人間が塊になる「変形の記録」など。
安部公房にしては読みやすいし分かりやすい。Posted by ブクログ -
安部公房の、昭和39年に刊行された長編小説。
フランスでも高い評価を得た作品で、
日本では映画化もされているそう。
顔に蛭が蠢くような醜いケロイドを負ってしまい
"顔"を失った男が、
妻の愛を取り戻すために仮面を仕立てるという
ストーリー。
科学者である主人公が研究を重ねて
"他人の顔"である仮...続きを読むPosted by ブクログ -
現代日本の作家である安部公房(1924-1993)による本作は日本初のSF長編小説とされる、1959年。
自由とは、現在の同一性に閉じているのではなく、未来という差異へと開かれてある、ということ。未来とは、現在からの延長ではなく、現在との断絶である、ということ。則ち、自由とは、自己否定への可能性、...続きを読むPosted by ブクログ -
ただの狂人か、火星病の地球人か、地球病の火星人か、何ひとつ確かなことは分からない。読んでいて不安になってくるような、自分の存在がふわふわしてくる感じがする。Posted by ブクログ
-
見られたくないけど見たい気持ちは、わかる。
うっかり段ボール箱をかぶってしまって居心地がよくなるのは、わかる気がする。
この物語そのものは、だんだんぼんやりしてきて、わからなくなってくる。
なのになぜか面白いのは、わからない。Posted by ブクログ -
寓話的、SF的な発想に溢れた短編集。ドロドロとしたグロテスクな世界を奇妙なほど淡々と現実感を持って物語が押し寄せてくる。主人公の内面に入りすぎず、あくまで物語を現実の価値観の対比物、思想の耐久性を試す実験場としている感じがした。Posted by ブクログ
-
脚本家の男のもとに火星人を名乗る男が訪問してくる。
そこからはじまるやりとり。
果たしてこの世界は現実なのか、寓話なのか?自分は何者なのか?
読んでいるこちらまで自分の存在があやふやになってしまうような作品。Posted by ブクログ -
自分達を不幸にする社会構造をひっくり返すという目的のために存在していた筈の手段が、目的へとすり替わっていく。
最近も頻繁に見かける類の狂気かと思う、元は高い使命意識を持っていたであろう人々が、目的と手段を履き違えて頓珍漢な声を荒げ、白い目で見られる様は。
そしてその活動すら、金持ちの金稼ぎに利用され...続きを読むPosted by ブクログ -
難解な作品が多い安部公房の中ではたいへん読みやすい一冊。
未来を予言できる機械が、やがて自分を追い込んでいってしまう。50年前に書かれたとは思えない現代的SFホラー。Posted by ブクログ -
中学時代に読んで以来の再読。
顔にダメージを負うだけで自分が自分でなくなってしまうのには十分なのに、顔を差し替えても自分のままでしか居られない。
考えてみれば当たり前のことだけどかなり辛いことだとおもった。Posted by ブクログ -
知らずに読んだけれど、日本で本格SFをやったハシリだとか。
奇妙な世界にいつのまにか巻き込まれていくストーリー展開は、これまで読んだ安部公房作品に通じるものがある。
当初は自分自身が開発した未来予言機の研究存続のためにやっていたことが、最終的には、人工生物とか、地球そのもののあり方が変わるかもしれ...続きを読むPosted by ブクログ -
安部ワールド。唸るほど詳細で素晴らしい描写と、おぞましく突飛な物語。これをシュールレアリスムというのか前衛的というのかはわからないけれど、読み進めるほどにあぁ天才の書く小説とはこういうものだとガンガン打ちのめされる。付いていけない。Posted by ブクログ
-
研究所に勤務する僕は実験中の爆発事故で顔一面に大やけどを負い、ケロイド瘢痕を隠すため顔全体を包帯で覆う日々を過ごす。人間同士のつながりの窓である「顔」の復元を考え、特殊ゴムを使用した覆面を思いつく。見放されたと感じている妻にも別人として迫るがその結末は意外にそっけない。愛というものは互に仮面を剝がし...続きを読むPosted by ブクログ