安部公房のレビュー一覧
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ただいま映画『箱男〜The Box Man〜』が上映中である。公開日以降、最初の日曜日に観に行った。僕の個人的な事情なのだけれど、今年は、かつてないほど映画を観ている。俳優さんの演技というものについて理解を深めたいと思ったからだ。というのも僕の好きだった俳優さんは、演技について“天才”とすら称されることもあるほどに、演技について評判が良かった。にも関わらず、僕は素直に彼女の演技の評価を受け入れることができなかなった。実際、TVドラマや映画などで彼女の演技を観ても、彼女と、他の役者さんの演技の違いについて明確な“天才”たる理由や根拠を見出すには、いまだ至っていないのだ。僕は彼女の演技は好きなのだ
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目次
・夢の兵士
・誘惑者
・家
・使者
・透視図法
・賭
・なわ
・無関係な死
・人魚伝
・時の崖
事前情報を得ず、先入観を持たないようにして読んだ感想としては、一世代前の村上春樹みたい。
乾いた無関心、冷たい理不尽。
違いは、安部公房のほうが閉塞感が強くて人間的な感じ。
確かにここに書かれた作品はほとんどが私の生まれる前のもので、時代の断絶を感じざるを得ない。
けれども安部公房自身は平成までご存命だったのね!
めっちゃ同時代人でした。あらあら。
私の脳内読書マップの中で、安部公房は2か所に存在している。
純文学の場所とSFの場所。
そもそも最初に読んだのが、高校の図書室にあった「世界 -
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正直なところどう捉えていいのか、文脈を拾うことはできなかった。劇的に恐ろしいわけではない、漂う不快感があって、まさに断続的な悪夢という感じだ。わからなくなってうとうと眠りかけて、眠りと覚醒の中間で気持ち悪くなった。この気持ち悪さがそのままこの本に抱く印象となった。
解説を読んで、著者が死を迎える少し前にこの本が刊行されたことを知って、少し私の中でこの本の居場所が落ち着いた。死についての本だとは読んでいてわかったが、著者が感じたこと経験したことが内容に滲んでいるのではという解説がしっくりきた。
面白かったけどわからなかった。けれど足がむず痒い不快感と安楽死について、じんわり心に残った。 -
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著者の作品は『砂の女』『箱男』『第四間氷期』と読んで、この作品が4冊目であるが比較的、世界観に入り込むことができる。妻が連れ去られたとされる病院へ行く主人公、病院での会話は逐一録音されているというなか、阿部公房作品おなじみの一風変わった人物たちと関わっていくが、いつの間にか主人公もその奇妙な病院に絡めとられてしまうところが恐ろしかった。
2本のペニスを持った馬人間、女秘書、溶骨症の少女といった、個性的という言葉では形容できない人物が出てくるのも阿部公房ワールドが炸裂していて、安心感さえ感じてしまった。
今回の話は救いようがなく、終始暗い雰囲気の物語ではあったが、著者の独特の滑稽ささえも感じさせ -
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中学の時に知った「砂の女」、高校の教科書に出てきた「鞄」、それからずっと本屋で安倍工房の名前を目の端で捉えては手を出せずにいたが、「飛ぶ男」にはどうしても惹かれるものがあり購入してしまった。
表紙をしっかりと見ていなかったため、読み始めてから遺作で未完成作品であることを知る。が、あらすじから滲み出る面白さの予感。抜群の設定と意味の分からない関係性。
いざ読み始めると「まじかよ。」とツッコミたくなる不可解な行動や思想。作者の脳内のまま、寄り道させられる話。どうしたらそんな連想ゲームができるんだよ。所々に見られるクスリとできる表現にも好感が持てた。
未完成であることが残念なくらい、続きというか、結