安部公房のレビュー一覧

  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)
    表題作と『なわ』は一読の価値あり。
    砂の女と同時代の作品集にという事で、不条理・不愉快要素が強く自分は大変楽しめた。
  • 他人の顔(新潮文庫)
    ヤマザキマリさんが阿部公房を紹介してたのでよんだ。
    本当は砂の女を読む予定だったけどなかったので。
    文学的な文章は慣れてないので読みづらかったけど、とりあえず読み切ってよかった。
    人の本質は顔だけじゃないという本人だけれど、顔に対してのコンプレックスや偏見を一番感じとっているのが自分でもがいているの...続きを読む
  • 壁(新潮文庫)
    難しいなぁ。はちゃめちゃなユーモアが散りばめられているのだが、この物語のテーマを読み取るのが難しい。『トリストラムシャンディ』のような、奇抜さを感じた
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

    『棒になった男』のシュールさ、『友達』の理不尽さ、『榎本武揚』のコミカルな会話劇と、バランスよく安部公房的作品が入った充実の1冊。
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)
    人間と人間以外のモノとの境界があいまいになるようなSFものが多い短編集。人間がロボットにされる「R62号の発明」、人間のような犬が出てくる「犬」、人間がただの棒になる「棒」、人間が塊になる「変形の記録」など。
    安部公房にしては読みやすいし分かりやすい。
  • 他人の顔(新潮文庫)
    安部公房の、昭和39年に刊行された長編小説。
    フランスでも高い評価を得た作品で、
    日本では映画化もされているそう。

    顔に蛭が蠢くような醜いケロイドを負ってしまい
    "顔"を失った男が、
    妻の愛を取り戻すために仮面を仕立てるという
    ストーリー。

    科学者である主人公が研究を重ねて
    "他人の顔"である仮...続きを読む
  • 箱男(新潮文庫)
    箱の中から匿名性を保ちつつ世界を覗きみる愉しみに囚われてしまった男が箱の中で書いた手記。
    後半は「覗くもの」「覗かれるもの」、「箱男」「贋箱男」といった相反する立場の交換が加速し、読者は完全に置いてけぼり。
    文学的な考察をしなければ、覗き行為に嵌った男が必死に難しい理屈で言い訳してるだけの話かもしれ...続きを読む
  • 第四間氷期(新潮文庫)
    現代日本の作家である安部公房(1924-1993)による本作は日本初のSF長編小説とされる、1959年。

    自由とは、現在の同一性に閉じているのではなく、未来という差異へと開かれてある、ということ。未来とは、現在からの延長ではなく、現在との断絶である、ということ。則ち、自由とは、自己否定への可能性、...続きを読む
  • 人間そっくり(新潮文庫)
    ただの狂人か、火星病の地球人か、地球病の火星人か、何ひとつ確かなことは分からない。読んでいて不安になってくるような、自分の存在がふわふわしてくる感じがする。
  • 箱男(新潮文庫)
    見られたくないけど見たい気持ちは、わかる。
    うっかり段ボール箱をかぶってしまって居心地がよくなるのは、わかる気がする。
    この物語そのものは、だんだんぼんやりしてきて、わからなくなってくる。
    なのになぜか面白いのは、わからない。
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)
    寓話的、SF的な発想に溢れた短編集。ドロドロとしたグロテスクな世界を奇妙なほど淡々と現実感を持って物語が押し寄せてくる。主人公の内面に入りすぎず、あくまで物語を現実の価値観の対比物、思想の耐久性を試す実験場としている感じがした。
  • 人間そっくり(新潮文庫)
    脚本家の男のもとに火星人を名乗る男が訪問してくる。
    そこからはじまるやりとり。
    果たしてこの世界は現実なのか、寓話なのか?自分は何者なのか?
    読んでいるこちらまで自分の存在があやふやになってしまうような作品。
  • 飢餓同盟(新潮文庫)
    自分達を不幸にする社会構造をひっくり返すという目的のために存在していた筈の手段が、目的へとすり替わっていく。
    最近も頻繁に見かける類の狂気かと思う、元は高い使命意識を持っていたであろう人々が、目的と手段を履き違えて頓珍漢な声を荒げ、白い目で見られる様は。
    そしてその活動すら、金持ちの金稼ぎに利用され...続きを読む
  • 第四間氷期(新潮文庫)
    難解な作品が多い安部公房の中ではたいへん読みやすい一冊。
    未来を予言できる機械が、やがて自分を追い込んでいってしまう。50年前に書かれたとは思えない現代的SFホラー。
  • 壁(新潮文庫)
     第一部〜第三部、全六作が収録された短編集。どれも荒唐無稽、意味不明、奇想天外な世界観で、入り込めるものと全く入り込めないものとあった。個人的には代表作かつ芥川賞受賞作の「S・カルマ氏の犯罪」が圧巻だった。読み始めてしばらくは頭の中がクエスチョンマークで覆われる。でも次第にその世界観に馴染んでくる。...続きを読む
  • 他人の顔(新潮文庫)
    中学時代に読んで以来の再読。
    顔にダメージを負うだけで自分が自分でなくなってしまうのには十分なのに、顔を差し替えても自分のままでしか居られない。
    考えてみれば当たり前のことだけどかなり辛いことだとおもった。
  • 第四間氷期(新潮文庫)
    知らずに読んだけれど、日本で本格SFをやったハシリだとか。
    奇妙な世界にいつのまにか巻き込まれていくストーリー展開は、これまで読んだ安部公房作品に通じるものがある。

    当初は自分自身が開発した未来予言機の研究存続のためにやっていたことが、最終的には、人工生物とか、地球そのもののあり方が変わるかもしれ...続きを読む
  • 壁(新潮文庫)
    徐々に切り離される現実と侵食してくる空想

    広大な曠野にそびえ立つ壁

    世界観が独特すぎて半分夢を見ているよう

  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)
    安部ワールド。唸るほど詳細で素晴らしい描写と、おぞましく突飛な物語。これをシュールレアリスムというのか前衛的というのかはわからないけれど、読み進めるほどにあぁ天才の書く小説とはこういうものだとガンガン打ちのめされる。付いていけない。
  • 他人の顔(新潮文庫)
    研究所に勤務する僕は実験中の爆発事故で顔一面に大やけどを負い、ケロイド瘢痕を隠すため顔全体を包帯で覆う日々を過ごす。人間同士のつながりの窓である「顔」の復元を考え、特殊ゴムを使用した覆面を思いつく。見放されたと感じている妻にも別人として迫るがその結末は意外にそっけない。愛というものは互に仮面を剝がし...続きを読む