安部公房のレビュー一覧

  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    満州時代の経験が生きた佳作。哲学書じみた『終りし道の標べに』に比べると読みやすい。

    本作は、生と死の境目を綱渡りする決死の逃避行劇である。安部公房が生涯追い続けた「疎外」「人格の証明」といったテーマが既に表出している点が興味深い。また、夢や幻覚を用いた前衛的な雰囲気や、ひりひりするような現実的レトリックといった、後年の作風と繋がる面があるところも気になる。

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    2012年12月11日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    安部公房の戯曲集。

    表題作『友達』は非現実的な世界観が、主人公を通じて日常的なものへと錯覚させられる、読み進めていくうちに思わず引き込まれていく作品でした。
    日本社会において、個性や個人という考え方を維持することが難しく、全体主義、連帯責任というものに押さえつけられてしまうという現状を表現したものであり、これは現在の日本社会でも通じるとことだと思った。

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    2011年09月19日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三つの戯曲集。
    戯曲ははじめて読んだけど、会話形式なのでサクサク読めて楽しめた。相変わらずブラックな笑いのセンスが抜群の「友達」がお気に入り。

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    2012年11月29日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    ユートピア思想の具現化を追い求めて結成された「飢餓同盟」。
    排他主義・権威主義がはびこる廃れた温泉町に革命の機運を起こすべく奔走するが、徐々に手段が目的と化し、自らも政治・経済システムに取り付かれた狂人となり果て、同盟が瓦解していく模様を綴った作品。


    支配の重壁に押しつぶされようとしている人々が、立ち上がりその壁を突き崩そうと試みる。
    例えその試みが儚く敗れ去ったとしても、彼らの飛ばした小さな火花の中に、私たちの社会のより良い可能性を見つけることができるのではと感じました。

    私はこの作品を絶望ではなく希望の教訓であると信じたい。

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    2011年04月10日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    ほら、あるでしょ。
    クイズに不正解だったお笑い芸人が、突き落とされて小麦粉まみれになるやつ。
    あと、少しズレちゃうんだけど、その時自分は面白く無いのにTVの向こうではわざとらしい笑い声がゲラゲラ入ってて、何かから取り残されちゃったなーって感覚。
    その傍観者でいたはずの自分てのも、その実当事者であったりするわけで、知らず知らずに小麦粉まみれの芸人やわざとらしいゲラゲラになってる可能性のが高いんだよね。
    そんな意思は無くても。
    そこがなんか怖くて腹が立つ。

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    2011年02月27日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    またまた安部公房の「有り得そう」と錯覚させてくれる作品。特にこれは戯曲だから、変にリアルなの!

    いくつか作品が収録されているけど、私は「友達」が1番好き。

    無茶苦茶な家族がいい具合に有り得ない。でもだんだん、本当にこの家族が存在するような錯覚に陥る。まさに安部公房の魔法。



    実際に上演されるなら絶対観てみたいな。

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    2010年10月22日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    ほかの作品にもよく見られるような、土俗性と人間の過剰なまでの人間らしさが散りばめられている作品。
    雪に閉ざされた地方都市や戦後間もないであろう時代といった舞台には、確かに今この場にいる自分との距離を感じてしまう。しかし、われわれが日本人である限りはどこにいようとどんな時代を過ごしていようと同様の構造を周囲に見出していくのだろう。
    なんて思った。
    装丁がすてき。

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    2010年04月26日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    他の作品とは違って、台本をテキスト化したものなのでちょっと特殊な文体です。この事によって、普通は不可能である、人物が同時に別行動をするという表現が可能なので、短文でありながらも人物の表情や仕草を捉える事が出来る。ちょっと不思議な感じです。
    <友達>ある一人暮らしの男の部屋に、見知らぬ9人の家族が上がり込んでくる。出ていけと迫る男に堂々と、自分達がどれだけ大切な存在か、貴方が必要としているかと説き、訳も分からぬまま住み着かれる。大衆とは世間とは、ただの他人の集まりでしかないという恐怖を描いた作品。
    <鞄>ある新婚の女性が、悩みを友人に打ち明けるが.........それはとてつもなく大きな悩みでも

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    2009年10月04日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    「夢という意識下で綴っている創作ノート」ということで、安部公房の作品がどんな風に生まれていくのかが少し想像できた。
    まず思ったのが、天才は見る夢からして違うんだということ。
    夢の内容が独特な世界観だし、すでにどこか文学的。思いっきり凡人の私には、理解が難しい部分もたくさんあった。
    それでも、なぜだか知りたい、わかりたいと思わせてくるような本だった。

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    2026年04月26日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    飛ぶ男、棺桶くぐり、スプーン曲げという著者らしいなんじゃそりゃ展開が続き、空気銃で撃たれるという箱男を思い出す描写。
    透明人間になるか、空を飛ぶか、
    普通に面白くて、その割には話が短いので、もっと長ければもっと面白かっただろうにな、と思っていたら未完の遺作らしい。


    ムラサキクルマナマコp34
    月の満ち欠けをきっかけに性転換するナマコ。大部分は雄から始まって、一度だけ雌を経験する。雌として産卵した後は、精子を放出する能力はだんだん衰える。

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    2026年04月17日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    舞台化されると聞いて手に取った一冊。
    時代背景もあるのだろうけれど、言葉は難解で比喩も多く、正直なところ読みやすい作品ではない。
    さらに、やや過剰にも感じる性的な描写が続き、そこまで必要か?と首をかしげる場面もあった。

    けれど──物語そのものは、とても面白い。

    砂丘へ昆虫採集に出かけた男は、帰り損ね、親切な老人の計らいにより、一夜の宿を与えられる。
    そこは、女がひとりで暮らす、砂に埋もれた家。
    蜂の巣のように砂丘にぽっかりと開いた穴の底にあり、出入りの手段は上から下ろされる縄梯子のみ。

    一夜のことと思っていた男の目論見は、朝になって崩れる。
    縄梯子は消え、女は淡々と言う。
    「明日になれば

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    2026年04月17日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    砂穴の中で生活する男の皮膚や口内にこびりついた砂の表現がリアルでゾワっとした。徐々に砂穴での女との生活を肯定していくようになる男の心情の変化が面白い。

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    2026年04月15日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    2026.04.14

    砂がまとわりついたようなざらざらした感覚が終始付きまとう作品。書かれた時代が何十年も前なのもあるのか、表現が難しい部分も多く読みづらかったが大枠は読み取れた。

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    2026年04月14日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    著者の遺作らしい。
    (後に未完作品が1つ出版されたが)

    かいわれ大根はまだコミカルですんなり受け入れられたが、自走ベッドが登場したかと思うと何の説明もなしに走り出して、意味のわからなさを強く感じ、自走ベッドという単語が出てくる度に???と意識が引っ張られてしまっていた笑

    これもまた読後に考察を読むと、
    カンガルー・ノート=アイディア、
    かいわれ大根=創作、
    自走ベッド=収入、とあり、面白い。

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    2026年04月09日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    導入にて、箱男になるまでの流れが紹介され、理想の箱の作り方もあり、なんだかこうやって書かれると自分もふとしたきっかけがあれば箱男になってしまいそうな錯覚を感じた。
    その導入こそ、あからさまに箱男の視点で書かれていたが、読んでいてころころと書き手が変わるので混乱した。
    安楽死とはなにか?の定義で、身体的なものに偏りすぎではないか、精神的なものを蔑ろにしすぎではないか、という指摘に強く同意する。

    見られているのもぼくだが、見ているのも同じくぼくなのだ。
    とあるように、箱男はただ覗いている側なのではなく、実は覗かれている側でもあったのだという落ち。



    「覗き」という行為が、一般に侮りの眼をもっ

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    2026年04月09日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    ネタバレ

    タイトル買い。
    今まで読んだ中で1番読みやすかった。

    時代を思えばわりと全員どこにでもいる人間なのが虚しい。育つ環境や生きる場所の大切さも感じつつ、ひとつの町のエピソードとしてそこまで深入りせずサクッと読める。
    ラストの医者の語りが、夢から冷めたなような距離感をうむ。

    『儚い』というほど綺麗でもない、後味のわるさが良い

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    2026年04月02日
  • 箱男(新潮文庫)

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    青山美智子さんの学生時代からのお気に入りの一冊ということで読んでみた。
    独特の世界観で、正直わかったようなわからないような…
    この本を学生時代に面白いと思える感性がすごいなと思ってしまった。

    子どもの時に作ったダンボールの家に、小さな覗き窓があって、そこから眺めた景色を思い出した。
    いつもと同じ部屋がなぜだか違って見えて、なんだかワクワクしたなぁ。
    さすがに箱男にはならなかったけど、覗き見のなんともいえない感覚はわかる気がする。
    2024年に映画化もされているみたいなので、そちらも観てみたいなと思った。

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    2026年03月26日
  • 砂の女(新潮文庫)

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     全体的に読みにくい文体だったが、砂穴から脱走するシーンには『走れメロス』のような疾走感を想起させられ、ページをめくる手も速まった。また、豊富な比喩表現も魅力的だった。

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    2026年03月26日
  • 密会(新潮文庫)

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    難解だった。いや、決して難解というわけではないはずなのに、すべてが読み手の想像の範疇に収まらない静かなエネルギーを感じた。津原泰水的な世界観の奇妙さ、不気味さ、どこか歪んだ登場人物たちには嫌悪感とともに不思議な愛着が湧くのを感じる。『砂の女』を読んだときにも思ったが、安部公房という作家は物語の空気感の中に読者を引き込む能力に異様に長けており、温度や手触りをまざまざと思い浮かべられるような、何とも言えない感覚になる。

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    2026年03月24日
  • (霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集―(新潮文庫)

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    ・題未定
    求めてたものを手にしても罪悪感があると享受できないのね、元いたところに求めてたものがあったと気づいたパー公は幸せになれるのか。登場人物みんないい人。

    ・老村長の死
    怖。殺された?やり取りが不思議。

    ・天使
    精神病の人の脳内を文学にしたような。笑顔たくさん天使の生活楽しそう。

    ・第一の手紙〜第四の手紙
    〈運命の顔〉とのやり取りを手紙で表している。意味わかんない仮面と手袋つけさせられて説明書読んだら詩しか書かれてないのはおもろい。後半部分は失われているのとかこれを23歳で書いてるのとか安部公房訳わかんなすぎる、すごい。

    ・白い蛾
    白蛾丸という船で見た蛾の標本についての話。途中の「

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    2026年03月21日