安部公房のレビュー一覧
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「友達」
面白かった。小説形式でやってもらいたかったな。友達一家の浮かべる「親切な笑顔」は、はたして…。二女の行動から察するに、武器としての笑顔なんだろな。あの一家はわざとやってたはず。
世間の繋がりがバラバラになった現代の都会人は、病気なのだろうか。孤独は弱さなのだろうか。
覆いかぶさってくるしがらみこそが人類の病巣のような気がする。
「棒になった男」
鞄、時の崖、棒になった男の三作。「鞄」は「家」の変形版。「時の崖」はそのままで、「棒になった男」は同名の短編を改編した戯曲。
鞄、くたびれたおっさんであることがとってもユーモラス。そのおっさんを挟んだ女二人のやり取りが笑いを誘う。
時の崖 -
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安部公房の作品は変だ。読み進めていくうちに迷子になる。ちゃんと舗装された道路を通ったはずなのに。
『友達』の展開は訳が分からない。それなのに納得してしまう。そして、そら恐ろしくなる。闖入した一家が、例えばこんな論理で説得してくるのだ。
"兄弟は他人の始まりっていうじゃないか。つまり、他人をさかのぼって行けば兄弟になるということでもある。"(19頁、『友達』より)。
これを劇場で見た観客は何を思っただろうか?
『榎本武揚』は、安部公房先生にしては珍しい歴史・人物モノである。とはいえ展開がシュールなのは変わらない。幕末ファンかつSF好きには興味深い一品なのではないだろう -
Posted by ブクログ
他の作品とは違って、台本をテキスト化したものなのでちょっと特殊な文体です。この事によって、普通は不可能である、人物が同時に別行動をするという表現が可能なので、短文でありながらも人物の表情や仕草を捉える事が出来る。ちょっと不思議な感じです。
<友達>ある一人暮らしの男の部屋に、見知らぬ9人の家族が上がり込んでくる。出ていけと迫る男に堂々と、自分達がどれだけ大切な存在か、貴方が必要としているかと説き、訳も分からぬまま住み着かれる。大衆とは世間とは、ただの他人の集まりでしかないという恐怖を描いた作品。
<鞄>ある新婚の女性が、悩みを友人に打ち明けるが.........それはとてつもなく大きな悩みでも -
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久しぶりの読書がこれだったので、難易度高めだった。時間の進み方が一定じゃないのがすごい気になって、これが意図的なものか普通に本ってそーゆーものなのか分からず考えすぎちゃった。多分この本で本来、吸収できるであろうことの10%くらいしか吸収できてない気がするけど、物語を通して、砂の女とか身近なものはミクロ的な描写で、風景とか遠いものはマクロ的な描写で表現してて、主人公目線の主観的なものの見方をそのまま文字起こしした感じ。そーやって考えると時間の進み方も主観的なのかも!ミクマクな描写の対象が物語が進むにつれ、変化してって、主人公の感じ方の変化を表してた気もしなくもない。最終的にみんなマクロでみたら一
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Posted by ブクログ
・起きたら名前がなくなってたり、服が喋り出したりとファンタジーな世界のようで、何故か現実に起こりえそうな気がするリアル感、緊迫感を持って展開される、安倍公房の不思議な世界観の物語。
・「壁」がテーマになっており、主人公によって色んな壁の解釈をしていた。第一部にあった「遥か彼方に見渡す地平線と、目の前のある壁は同じ」という主張が、分かりそうで分かり得なかった。
・物語として読みやすい内容ではあったが、その一歩先の安倍公房の主張や考えを読み解くことができなかった。砂の女の方がその辺りは読み取りやすかったように思う。壁はデビュー作である一方、その10年後に砂の女は書かれているからかな。ただ、安倍公房