安部公房のレビュー一覧

  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    素敵すぎる!最高です!
    未完成だけどそこも含めて「完成」ととらえる
    独特な世界観と斜め上から見下ろすような描写
    なのになぜかリアルで映像が脳内に溢れる
    ほどよいカオス感が大好物!

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    2024年05月22日
  • 壁(新潮文庫)

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    不思議な物語である
    話の筋がメチャクチャだか
    テンポがいいので心地よく読める
    キュビズムみたいに誰でも書けそうだか
    安部公房しか書けない言葉
    裁判のシーンは水ダウの小峠が出演した
    「どんなにバレバレのダメドッキリでも芸人ならつい乗っかっちゃう説」を思い出しクスリとしてしまう

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    2024年05月20日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    未完作品。完成版読みたかったあああああああ!!
    本当に、本当に悔やまれる…公房作品特有のトチ狂った設定は本作もご多分に漏れず、一瞬で読み切ってしまいました。

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    2024年05月19日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    氏の他の作品と比べて心理描写より写実的な記述が多い印象。その為か、大陸の荒野を彷徨う様が目に浮かぶ。
    国家に翻弄される久三が気の毒過ぎる…

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    2024年05月15日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    夢を通してそこから創作の種について語る。エッセイのようなものから完全創作の様に思えるものまで幅広く収録されており、脈略のない展開が続く作品集自体が夢の様であった。現実と寓話の間をゆく著者の作風の一端が知れる微睡の様な作品集。

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    2024年05月07日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    満州から日本日の逃避行を描く。理想化された日本を求めるほどに遠くなり幾多の困難が立ちはだかる。『砂の女』が塀の中からの視点を描いたのと対比的に、本作では塀の外からの原始的、野蛮な世界から塀の中の社会秩序の世界を希求する男の物語だった。

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    2024年05月01日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    飛ぶ男
    p121
    しめしめ、背骨が曲りはじめたぞ。

    作家の頭を盗み見ているような感じ。
    起承から書くタイプなのかと想像。どれだけの編集や修正的な加筆が施されているのかはわからないけど、これだけでも資料的な価値はあるのかなと。
    章が変わって、視点が変わる感じは見事で、本作が未完のまま終わるのは残念ではある。かなりボリュームのあるエピソードの序章。
    解説も興味深く拝読。遺作を世に出す、という行為は個人的にはノーだけれど、近しい人間の執念も感じられてこれはこれでいいのかもと思った次第。

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    2024年04月27日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    起承転結の転で終わった
    二部に相当する話しでそういうことかと思い
    未完
    これから承転がくりかえされて物語がどう
    進むかはもう、わからない
    最後まで読みたかった

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    2024年04月11日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    彼女は、いまでも安部公房を読んでいるのだろうか。彼女とは、僕の大好きな俳優の松岡茉優さんのこと。高校生当時の彼女の有名なエピソードから、僕は安部公房に興味を持ち、読み始めた。この本で3冊目。『砂の女』『カンガルーノート』に続き、ようやく3冊目を読み終えた。
    安部公房の物語は、読み始めると、あっという間に読み切ってしまう。今日も18時頃から読み始め、19時半に夕食を摂り、その後21時過ぎに再開して23時には読み終えてしまった。先に読んだ2冊も、こんなペースだった。読書の話題を共有する職場の同僚に話したら「読むの速いっすね」と返された。そんな自覚はないけれど、想像力を刺激され、集中力が高まる物語、

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    2024年04月09日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    夢とは論理では辿り得ない迷路を潜り抜ける方法。
    サッカリン、祖父殺し、アリス、廃物・・・全く辻褄の合わない現象の連続ですが、説明不能の面白さでした!
    訳がわからないということは限りなく自由だ。

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    2024年04月03日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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     安部公房さんの作品に久々に再会しました。砂の女、箱男をかなり前に読んだ記憶があります。いずれも設定が突拍子もなく一気に興味を惹かれる。この作品も最初から現実とは思えないものの、即イメージできる情景描写がおかしな場面を想像できた。
     解説が福岡伸一さんでした。生物と無生物のあいだ は難しいけど、理解できる説明でわかりやすかった。今回の解説の中でも「内側の内側は外側になる」は、細胞の動きの説明でクリアに理解できた。
     話の内容に戻る。明らかに動力がなくて戸建の少し上くらいの高さを飛んでる人から電話がくるとは、起きてることもその先もなかなか予想出来ず、先が気になった。更に別の角度には撃ち落とそうと

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    2024年03月23日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    ネタバレ

    夢なのか現実なのか境目の見当たらない長編。これが安部公房の遺作と言われているのですね。その前提でストーリーを思い返すと、いろんな解釈ができそうです。

    あらすじはメチャクチャで、意味があるのか無いのかもよくわからない。

    膝に蟻走感。膝からカイワレ大根→近所の医者に行ったら自走ベッドに乗せられて硫黄泉へ→大黒屋で烏賊釣り船から襲撃を受ける→物欲ショップで看護婦現る→キャベツ畑で親子喧嘩→どこかの病院で鯛焼きを注文しつつ入院老人の安楽死幇助→ビールを飲んでピンク・フロイドのエコーズを聴く→廃駅で死体で発見される。

    ベッドから動けずにいる末期患者が、まどろんだ意識の中で健康や自由への渇望と憧れを

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    2024年03月03日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    人はみな他人の顔を求めるものだと思う。 SNSで友人を作るのが当たり前になっている現代は、出版された時代と比べてもかなり「自分とは別の顔」が普及した世の中になっている。
    のみならず、コスプレやメタバース、ゲームのアバターなど「自分以外の自分」で自己表現ができる機会は多い。
    化粧や整形の普及もあって、顔がもたらすアイコン的特性自体も強くなったかなとも思う。

    本書の主人公は、他人の感情などまるで見ていない。妻・同僚の感情や思いやりに無頓着で、被害者意識で利己的な屁理屈と哲学をこねながら延々と同じ場所をぐるぐる回っている。結果として仮面と自己の同一性は歪み、現実との通気口となるはずの仮面は現実逃避

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    2024年02月08日
  • 壁(新潮文庫)

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    新潮文庫、昭和44年発行版を読んだ。
    収録作は「S·カルマ氏の犯罪」、「バベルの塔の狸」、「赤い繭」(赤い繭、洪水、魔法のチョーク、事業)。
    全編を通して悪い夢でも見ているような感覚であったが、面白かった。
    「赤い繭」は国語の教科書にも載せられているが、なるほど一番まとまりがよく、短い中に安部公房のエッセンスの詰め込まれた作品であると気付かされた。

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    2024年02月04日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    [感想]
    『友達』のなんだかわからない世界観に強引に引き込んでいく安部公房の描写力、会話力がすごい。
    『棒になった男』の棒とは何か?観客に向けて棒の森と言っているので、現代社会に生きる人々=棒と言っているのか、決まりきった考え方で生き死んでいく人々のことを棒と言っているのか様々な考察ができる作品なっていた。

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    2024年01月20日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    電子頭脳を持つ予言機械、今で言う人工知能のような機械にある男の未来を予言させたことに端を発し、事態はあれよあれよと急展開を迎える。
    SF的な要素があるかと思えば、唐突にミステリーな要素が垣間見えたり、SF小説と言われているが、不思議な作風だった。この作品が日本で初の本格SF小説だそう。
    そして、1959年に出版されたとは思えないほどに近未来的で、今の時代に出版されても古さを感じさせないのではないかと思う。
    「砂の女」や「箱男」のような哲学的な作品を書くかと思えば、この作品のようにSF要素のある未来を予想したかのような作品を書いたり、阿部公房の作風の幅の広さに驚いた。この作品のほうが先の2作品よ

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    2024年01月19日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    安部公房特有の暗くねばっこい質感がありながら読む手を止まらせない一冊。

    探偵としてあちこち探し回り、一癖も二癖もある人たちと何度もすれ違っているが探してる男の姿は一向に見つからない。影さえ見えないままだから心のどこかに知らない影を作りたがるのは誰もがそうなのかもしれない。

    そうして終わらない迷路を彷徨った主人公が最後にたどり着いた先が実際に迷路の終わりだったのか、新しい迷路の始まりだったのか。細部に至るまで抽象化した現代の偶像としての都会、社会性を描いた作品に思えて面白かった。

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    2024年01月08日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    安部公房の短編集は読むのにすごくエネルギーがいる。長編小説であれば最初から最後までトップスピードというわけにはいかないので「遊び」がある。遊びとは、安部公房の世界から我々の住む、あるいは理解し得る世界へ戻って来れる瞬間のことである。しかし短編小説では向こうの世界に入ったっきり、物語が終わるまで帰ってくることができない。読者が通訳だとして、通訳の話す時間を与えるために適宜話すのを止めてくれるスピーカーが長編小説、自分の言いたいことを最初から最後まで一気に自分の言語で話してしまうスピーカーが短編小説といったところである。後者の場合、通訳である読者である我々はとにかくスピーカーが話すことを全神経を集

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    2023年12月11日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    ネットで話題ということで気になっていたがなかなか出会わず忘れていた頃、たまたま立ち寄った書店で平積みになってるのを発見。小さなお店に似つかわしくないほどの大量の平積み。買い求める際もなぜか店員さんがとても喜んでいたのでこの人この本好きなんだな。と、思っていたところ本のオビを見て納得。オビの文句書いたのこの店の店員さんじゃないか!こんな偶然もあるんですね。おかげでこの本に出会えました。面白かったです。ありがとう。

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    2023年10月31日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    これまで読んだ安部公房の中では、
    私にとっては難解で、
    意味を理解するというよりは、
    円環的で、主客が狂っていく、
    いつもの蟻地獄のような安部公房世界を味わうことに努めた。

    難解な理由の一つは、
    会話が、描写が、
    何を言っているのかわからないのだ。
    限りなくリアリティがあるような変哲もない団地の景色も、
    その変哲もなさが詳細に語られるほどに、
    なんの特徴もなくて超現実的になる。
    根室婦人の言葉は終始何を言っているのかひとつも分からず、
    夢なのか幻なのか、
    主人公同様に区別がつかずに混乱してくる。

    しかしそれらは読書から離れて現実に戻った時に、
    今この私が私であるという自己感覚に、
    大きな疑

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    2023年10月29日