安部公房のレビュー一覧
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安部公房の小説を読むのは学生時代以来〇十年振り。安部公房も今年(2024年)で生誕100年になるのか。
最後まで読んでも、混乱と言うか、不思議な気持ちで一杯。
ダンボールの空箱を頭からすっぽりかぶって、箱男の側からは覗き窓を通して外が見えるが、外の人間からは箱をかぶった者がどんな人間なのか分からない存在。見るー見られる、覗くー覗かれるの関係、現代社会における匿名性の存在といった内容面においてもいろいろ考えさせられる作品だが、本書を特長付けるのは何と言っても複層した語りの問題であろう。
主な登場人物は、元カメラマンの「箱男」。彼の前に現れる看護婦と医者の「贋箱男」。医者は実は贋医者で、自 -
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「飛ぶ男」
腹違いの弟であると主張する男が
夜空を飛んでやってくる
しかし何者かに空気銃で撃ち落とされる
飛ぶ男はプレシャスな存在だから
誰もがこれを欲しがったり
その存在に嫉妬したりするのだ
それは例えば
有力な会員権などよりはるかに価値があって
また入手困難なのかもしれない
未完の絶筆である
初期作品「天使」や「題未定」のエッセンスを混ぜ合わせ
発展させようとしたものではないだろうか
であれば
おそらく続きは「白い蛾」の船長が予見したところに
近づくのだと思われる
「さまざまな父」
科学的に説明のつかないことはオカルトである
ミステリ小説ではオカルトのインチキを論理によって暴く
一方、前 -
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【2024年169冊目】
飛ぶ男は3人の人間によって目撃された。トラウマを抱えた女性、暴力団員の男性、そして飛ぶ男が目的としていた男性――である。窓ガラスから飛び込んできた飛ぶ男は言った。「スプーン曲げができるんだ」と。
初の安部公房作品でした。あらすじをまとめようとしたら、とっちらかってしまった感じですが、間違ってはいないというのが恐ろしいです。文章自体、難しいものではないのですが、内容が難しいと言えば難しい。じっくり噛むように読まないと理解できないかもしれない。
飛ぶ男のほか、「さまざまな父」も収録されていますが、二つの話が繋がっているのかどうかも不透明。ずっと不透明な物語、これが安部 -
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一部はシュールレアリズム文学としてまだついていけたけど、二部はもうダメだった、意味わからんすぎる、不条理の果ての果て。三部の短編集は薄っすら既読感があった(『赤い繭』と『魔法のチョーク』)。星新一を哲学方向に完成させたというような印象。『事業』は面白かった。表現こそ安部公房的な言い回しだらけなんだけど、構成は筒井康隆ぽいし内容は星新一グロ増しといったところか。他の作家の名前出さないとなんか言えないなんて、感想文としては三流も三流だろうけど、物語の枠組み自体が崩壊したようなものばかりで、そのままでは私にはとても受け止めきれない。だから既知の枠に無理矢理にでも収めて安心したくなっちゃうんだろうな。
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Posted by ブクログ
ややこしい
自分と自分の対話
でもすごい練られてるなーと感じた。
結末が、なんかなーと思ったけど。
深く読み取ることが私にはできなかったけど、
現実では考えられない未来が
ふつうに感じる時が来るということは
コロナでの数年間の生活もそうだが
ありえるし
今と繋がらない未来は確かにあるとは思う
その中で生き抜いていくしかないけど
連続性のない未来をポンとみせられると
私は、そのために準備しようとかおもえるかなー?
ただでさえ、地震がくるっていっても
防災グッズも購入してないのに、、、
私も未来を妨げてしまうのだろうか。怖いなー
安倍公房さんの本は、なんか難しそうだし
怖そうだし、