安部公房のレビュー一覧
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ネタバレ結局のところ、どこまで妄想なのか謎。箱にこもって被害妄想に駆られた分裂気味の男性が、わけのわからない日記を書き散らしているだけのようにも見えるし、途中から箱男が死に向かう理由についてミステリーのように「辻褄合わせ」のストーリーが展開されてよく練られた小説のようにも読める。
箱男のコンセプトは興味深いが、見られないところから一方的に女性を眺めたいという男性ならではの欲望が「箱」と結びついているせいで、性欲的・変質者的な描写が多いのは共感しづらい。とはいえ「見られる」ストレスは自身も大変共感するので(コロナ禍のマスクがその後も外せなくなった)、箱に潜む生活に関してはそれなりに興味がわいた。箱女ならどんな小説になるんだろう。
映画は解釈違いだったけれど、永瀬正敏と浅野忠信はかっこいい。 -
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“孤独というやつは、逃れようとするから地獄なのであり、進んで求める者にはむしろ隠者の幸せであるらしい。”
“美とは、おそらく、破壊されることを拒んでいる、その抵抗感の強さのことだろう。再現することの困難さが、美の度合いの尺度なのである。”
安部公房さんの巧みな比喩表現に唸らされ…
難解な文章や展開を繰り広げながらも
たまに読者目線におりてきてくれる
緩急ある構成で点の物語から 次第に面の物語へと姿をかえていく…
初めて安部公房さんの作品を読んでみたが
手記という描き方も気に入ってしまった!!
事故で蛭のような火傷により
顔という社会の接点を失ってしまう主人公
仮面を通じて社会との接点を持とうとする
膨大な思考は
主人公を少しずつ狂気の世界へといざなっていく…
人は素顔という不完全な仮面をかぶり
社会と関わり合い表層的な部分でしか
お互いを判断していない
それに対して主人公は
完全な仮面をかぶった自分は
本質にたどり着いた特別な存在として位置づける…
心が離れてしまった妻に誘惑していくのだが
次第に自分が創りあげた仮面に対して
嫉妬を抱くこととなる
妻に誘惑することで観えてきた本質的な世界_
物語の8割は顔についての
考察にあてられているが…
ラストで一気に本質的な部分を
読者に畳かけてくる!!
すべて計算して描かれたのだと思うと…
安部公房さんの凄さを感じてしまい
鳥肌が止まらなかった!!
また解説が大江健三郎氏とは…!!
ラストまで目が離せない
エンターテイメント作品で
今は読み終えて 満足感でいっぱいです -
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色欲に支配された社会とはこういうものなのかと思わされた。妻が失踪するところから話は始まるが連れ込まれた病院がとにかく変わってる。インポテつになった副院長が発情するために病院内に盗聴器を仕掛け他の斡旋業者と手を組み様々な人たちの密会を盗み聞きしているような病院で妻を探す主人公が気の毒すぎる。他人の陰茎を移植しまさに馬のような見た目となった副院長は狂気の沙汰ではないがそれが認められるような社会もそのうち来るのか。人間は思考することができる一方で逆に色欲をコントロールできず他の動物と違い年がら年中発情することができ世の中ではそれを売り物としていることへのアンチテーゼなのか。
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太平洋戦争後に満州に残った残留日本人である久木久三が日本へと帰る物語。ロシア兵と一緒に生活していた久三はある日日本へ帰ることを夢見て抜け出しそこで高石塔と出会う。彼の本名はわからず多くの偽名を持ち身分もわからないが久三が日本人で本国に帰ることを知ると一緒に行動をするようになる。高は誰かから逃げるように荒野を歩き続け久三も後を追い二人は瀕死の状態となる。最終的に久三は日本へ密輸する船に乗ることとなるがそこで久三を名乗る高とで会い二人は船に監禁され本土へ辿り着くことができない。
作者が満州で生活し戦後日本へ帰るという波乱な人生を送っていることがモチーフとなっているが当時の混乱がとても伝わる。
荒野で彷徨うシーンは読んでて辛かったし、実際にこういうことがあったのかと思ってしまう。まさにけもの様な有様で日本という故郷を目指しているのが印象的 -
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ネタバレ読書会課題本でしたが、「天使」くらいまでしか読めてない時点で参加してしまい。
今頃ようやく読み終わりました。
後半の、「憎悪」「虚妄」「鴉沼」がじわじわくる好みのぐるぐるでした。
安部公房作品、ピシャッとはまるものから、???のものまで色彩豊か…ではなくくすんだ色合いの砂とか水中都市に泳ぐ灰色の古代魚までさまざまな長編も短編もあって、読んでみなきゃわからないなぁとつくづく感じました。
「闖入者」のあまりの怖さにトラウマを抱えているので、このような地雷をふまないようにして。
「キンドル氏とねこ」は面白そうです。「壁」に続くのかしら…読みましょう。 -
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安部公房は、家元が中学高校一貫校の寮生時代には劇作家として活躍していた。演劇同盟座付き作家N原は、彼に傾倒していた。劇団男優の家元は、江守徹から芝居のイロハを拝借した。
ところで花田清輝の書評でも書いたが、実に小説の世界(活字の世界)は、流行歌の世界(歌謡曲界隈)に比して繰り返し楽しむ機会に乏しいのは実に残念な事だ。本書も、安部氏の比較的初期作品であるが、彼の特色である人間の意識と感受性に、環境や他者の影響が色濃く出ている。今で言うところのAIにも似た予言機械が登場し、未来が人間に肯定的なものであるのか否定的なものであるのかは、不明である。が、それゆえに人間は未来を知りたがる(占いなどの信憑性が薄いものも含め)。未来は日常生活の連続の末にあり、予言機械は多分に、幸せな未来をより残酷な未来として予知するだろう。そして現代をコンピューター的観念過剰の思考が支配する時代と考えるならば、人間の内的思考を保持するためには個々の育んだ常識が大切であり、ここで支配的に言葉をかける予言機械を拒否し続けることこそ、著者が実は主張したかったことではなかろうか?
それにつけても、三島由紀夫か安部公房の何れかがノーベル文学賞を受賞すると思ったが。 -
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【全体の感想】
短編が12個収録されており、どれも怪奇小説めいた雰囲気で正直よくわからない作品もあった。読んでいてレイ・ブラッドベリの短編に似ているなぁと私は感じた。印象に残っている作品はタイトルにある「R62号の発明」「鉛の卵」の2つと「犬」の計3つ。
【印象に残った場面】
「R62号の発明」
”死ぬつもりになって歩いてみると、町はあんがいひっそり、ガラス細工のように見えた。”P8 阿部公房の作品における魅力の一つは独特の比喩表現だと私は思っている。本屋でこの本を手に取って冒頭を読んだ時、上記の比喩表現に痺れて買うことを決意した。”菫色の夜明の最初の小鳥のような、軽やかな吐息が飛立って、どうやら一仕事すんだらしい。”P27 こちらも素晴らしい。終盤、機械に使役される人間の描写は残酷だが、視点を変えれば普段人間が物を消耗品扱いしていることと何ら変わりは無いはずだ。そういう皮肉めいたものがメインテーマ、、、ってことで良いのかな?わからん。
「鉛の卵」
”古代人はぎくりとして、自分が本当になまけものであったことを、心からよろこんだものである。”P329 「仕事を楽しむ」なんてことがしきりに言われていたりするが、現代においては仕事が”心から”楽しいわけがない。と私は思う。したくないけどやらなければならないことをできるだけストレスフリーに実行するために楽しもうとするのであって、楽しいわけでは無い。楽しいことは睡眠時間を削ってでも、休日にでもしたくなるはずだ。今の様に週5日プラス休日出勤プラス残業という働き方が変わり、週に1日だけ仕事をすれば良いようになれば、状況も変わるだろう。作中の緑化人間は全く労働をする必要がなくなった世界に生きており、怠惰で賭博にしか喜びを感じられない貧しい精神をもっている。結局生きる上では労働などの多少の障害は必要不可欠であり、それこそが人生に生きる張りあいを与えてくれるのであろう。 -
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本日1月22日は、安部公房のご命日
1924年3月7日が誕生日で 昨年は生誕100年
それを記念して刊行された“飛ぶ男”
亡くなったあと 愛用のワープロのフロッピーの中から発見された未完の絶筆
遺作未満ですよね
昨年安部公房展で安部公房の仕事部屋が再現されており、愛用ワープロ(初期の学習机ほど大きい)
も展示されていたので、一度は読んでおこうと
「飛ぶ男」は、おそらくかなり長編にする予定だったのではと思う
つまり、ここまででは私にはさっぱり何だかわからないのです
その昔最後の作品と言われた「笑う月」と
なんとなく重なる部分はあるようにも思う
安部公房って新し物好きで
シンセサイザーも早い段階で使っていて
ワープロで小説書き始めた一人
NECの「文豪」の開発に参加していたとか
だから遺作も文豪のフロッピーなんて
安部公房は初期の小説の方が理解できるかな
記念読書、感想はあまりないです