安部公房のレビュー一覧
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安部公房は、家元が中学高校一貫校の寮生時代には劇作家として活躍していた。演劇同盟座付き作家N原は、彼に傾倒していた。劇団男優の家元は、江守徹から芝居のイロハを拝借した。
ところで花田清輝の書評でも書いたが、実に小説の世界(活字の世界)は、流行歌の世界(歌謡曲界隈)に比して繰り返し楽しむ機会に乏しいのは実に残念な事だ。本書も、安部氏の比較的初期作品であるが、彼の特色である人間の意識と感受性に、環境や他者の影響が色濃く出ている。今で言うところのAIにも似た予言機械が登場し、未来が人間に肯定的なものであるのか否定的なものであるのかは、不明である。が、それゆえに人間は未来を知りたがる(占いなどの信憑性 -
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【全体の感想】
短編が12個収録されており、どれも怪奇小説めいた雰囲気で正直よくわからない作品もあった。読んでいてレイ・ブラッドベリの短編に似ているなぁと私は感じた。印象に残っている作品はタイトルにある「R62号の発明」「鉛の卵」の2つと「犬」の計3つ。
【印象に残った場面】
「R62号の発明」
”死ぬつもりになって歩いてみると、町はあんがいひっそり、ガラス細工のように見えた。”P8 阿部公房の作品における魅力の一つは独特の比喩表現だと私は思っている。本屋でこの本を手に取って冒頭を読んだ時、上記の比喩表現に痺れて買うことを決意した。”菫色の夜明の最初の小鳥のような、軽やかな吐息が飛立って、 -
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安部公房(1924~1993年)は、東京生まれ、満州育ち、東大医学部卒の小説家。作品は海外でも評価が高く、世界30数ヶ国で翻訳され、晩年はノーベル文学賞の有力候補と目された。
本作品は、『壁‐S・カルマ氏の犯罪』(芥川賞受賞)、『砂の女』(読売文学賞、フランス最優秀外国文学賞受賞)と並ぶ代表作の一つと言われ、1973年に出版、1982年に文庫化された。
内容は、ダンボール箱を頭から腰まですっぽり被り、小さな除き窓から外界を伺いながら、街を徘徊する「箱男」を主体としたフィクションだが、箱男が書いたとされる文章のほかに、他の人物が書いたらしい文章、新聞記事、独立したエピソード、白黒の写真等が多数挿 -
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本日1月22日は、安部公房のご命日
1924年3月7日が誕生日で 昨年は生誕100年
それを記念して刊行された“飛ぶ男”
亡くなったあと 愛用のワープロのフロッピーの中から発見された未完の絶筆
遺作未満ですよね
昨年安部公房展で安部公房の仕事部屋が再現されており、愛用ワープロ(初期の学習机ほど大きい)
も展示されていたので、一度は読んでおこうと
「飛ぶ男」は、おそらくかなり長編にする予定だったのではと思う
つまり、ここまででは私にはさっぱり何だかわからないのです
その昔最後の作品と言われた「笑う月」と
なんとなく重なる部分はあるようにも思う
安部公房って新し物好きで
シンセサイザーも早い -
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「飛ぶ男」
腹違いの弟であると主張する男が
夜空を飛んでやってくる
しかし何者かに空気銃で撃ち落とされる
飛ぶ男はプレシャスな存在だから
誰もがこれを欲しがったり
その存在に嫉妬したりするのだ
それは例えば
有力な会員権などよりはるかに価値があって
また入手困難なのかもしれない
未完の絶筆である
初期作品「天使」や「題未定」のエッセンスを混ぜ合わせ
発展させようとしたものではないだろうか
であれば
おそらく続きは「白い蛾」の船長が予見したところに
近づくのだと思われる
「さまざまな父」
科学的に説明のつかないことはオカルトである
ミステリ小説ではオカルトのインチキを論理によって暴く
一方、前 -
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【2024年169冊目】
飛ぶ男は3人の人間によって目撃された。トラウマを抱えた女性、暴力団員の男性、そして飛ぶ男が目的としていた男性――である。窓ガラスから飛び込んできた飛ぶ男は言った。「スプーン曲げができるんだ」と。
初の安部公房作品でした。あらすじをまとめようとしたら、とっちらかってしまった感じですが、間違ってはいないというのが恐ろしいです。文章自体、難しいものではないのですが、内容が難しいと言えば難しい。じっくり噛むように読まないと理解できないかもしれない。
飛ぶ男のほか、「さまざまな父」も収録されていますが、二つの話が繋がっているのかどうかも不透明。ずっと不透明な物語、これが安部 -
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一部はシュールレアリズム文学としてまだついていけたけど、二部はもうダメだった、意味わからんすぎる、不条理の果ての果て。三部の短編集は薄っすら既読感があった(『赤い繭』と『魔法のチョーク』)。星新一を哲学方向に完成させたというような印象。『事業』は面白かった。表現こそ安部公房的な言い回しだらけなんだけど、構成は筒井康隆ぽいし内容は星新一グロ増しといったところか。他の作家の名前出さないとなんか言えないなんて、感想文としては三流も三流だろうけど、物語の枠組み自体が崩壊したようなものばかりで、そのままでは私にはとても受け止めきれない。だから既知の枠に無理矢理にでも収めて安心したくなっちゃうんだろうな。