あらすじ
ある夏の朝。時速2、3キロで滑空する物体がいた。《飛ぶ男》の出現である。目撃者は3人。暴力団の男、男性不信の女、とある中学教師……。突如発射された2発の銃弾は、飛ぶ男と中学教師を強く結び付け、奇妙な部屋へと女を誘う。世界文学の最先端として存在し続けた作家が、最期に創造した不条理な世界とは。死後フロッピーディスクに遺されていた表題作のほか「さまざまな父」を収録。(解説・福岡伸一)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
やはり安倍公房の小説は面白い。
分かるような分からないような不思議な雰囲気も好きだし、人物描写が唯一無二でめっちゃ好き
安倍公房の小説は読めば読むほど、どんどん読みたくなる
Posted by ブクログ
これまで読んだどの本よりも再読必須だと思いました。
作者の思想や作品への融合などについて書かれた解説も読み応えがあり楽しめました!
読み終えてから表紙を見て、わー!となりました笑
Posted by ブクログ
本屋をぶらっと見ていたら何と新刊に安部公房が!!!一番好きな作家と言っていいくらいに好きなのでとても感激!
未完ながら、この精緻で堅牢な構造物のようにかっちりとした文章は正に安部公房。飛ぶ男というのも安部公房らしい。最初未完と知らずに読み始めたので、途中から文字が欠けていたので印刷ミス?と一瞬思ったがそうではなかったみたい。あの微妙な空白は何の空白なんだろうか?
とはいえしっかり安部公房の世界を感じれてよかった。「さまざまな父」も同じモチーフのようなのでこれらがひとつの作品として纏まればかなり面白い作品になるだろうな、と空想するのもまた楽しい。
安部公房、また全部読み直そうかな、と思って家にある新潮文庫をみたら字が小さくてちょっと辛い…(まだカバーの背中も今の銀じゃなくて青いやつ)落ち着いて読めるように書い直そうかな…
安部公房を全部読んだ人は是非!そうでない方はまずは他の完成作品から読むことをお勧めします。
Posted by ブクログ
安部公房の夫人の編集者的改変を元に戻した編集になっているそう。フロッピーディスクの遺稿だそうな。不眠症、夢、性転換など、興味深いテーマが次々と立ち現れ混淆する、不思議な作品だ。だが、正直内容は、よくわからない。すでに全集で読んで、何回か読んでいるが、なんの話なのかと訊かれるとさっぱりである。晩年の暴走って感じ?だろうか……
Posted by ブクログ
本書との出会いは書店の新刊書コーナーで。安部公房の新刊書?お亡くなりになってから大分経つのに。新しい作品が発掘されたのか?裏の帯を見たら今年は安部公房生誕100年とのこと。新潮文庫では新刊を2か月連続で刊行するとの気合の入れ方。これまで単行本で文庫化できていなかった2冊だ。芸術新潮でも特集記事が組まれていた。もう、新潮社の鼻息が荒い。新潮社は既に、1972~1973年に全15巻、1997~2009年に全30巻と2回全集を刊行しているが、さすがにもう全集は出ないだろう。それよりも、生誕100年ということで、古本の全集の値段が急に吊り上がりはしないかと恐れている。でも、来年には読破を挫折した人が大量に発生し、どんどん古本屋に引き取ってもらって値崩れを起こすのではないかと期待している。全集の購入は来年以降が狙い目だ。
若い頃は安部公房の新刊書・文庫本が出る度に買っては途中で投げ出しの連続だった。悲しいことに、最後まで読んだのは「砂の女」のみ。哲学的な面がある一方、意味不明な展開が見られるため断念したのだと思っている。今は時間があるので、過去に断念した作品をもう一度腰を据えて読んでみるつもり。思い切って古本屋で新しい方の全集を大人買いしようかとも思ったが、多分それは再び断念の道に向かって進みそうなので、きちんとした読破計画を立てる予定。取り敢えず、3/28に発売の「題未定」を読んで、芸術新潮で特集記事を読んで、古本で昔の新潮文庫を数冊読んで、これは行ける!と思ったら10万円くらいかけて古本で全集を買うところまで行けばベスト。でも、途中で挫けそうな予感もする、まあ半分半分だな。そのうち、新潮社では筒井康隆のXdayの翌年には再び全集(多分、全60巻くらいになるのでは?全部買うと50万円くらいかかる?)を出すだろうから、そちらに意識が流れてしまうと、安部公房の全集を読破できるかは不透明。気合を入れて両者のバランスを取りつつ真剣に取り組みたい。
さて、本書「飛ぶ男」については、未完の小説なので、そのことを踏まえて読み進めた。特に後半は未推敲と思われる文調が目立ち始める。そして133ページ辺りからカオスに突入する。追加で「さまざまな父」が収載されているが、もしかしたらこの他にもスピンアウト的な作品を沢山書きたかったのではなかろうか。そしてその後で「飛ぶ男」(完成版)に仕上げるつもりだったかもしれない。途中、性的表現も含まれているが、何か筒井康隆に一部感化されていたのではと推測している。
さあて、3/28に発売の「題未定」を読むぞ!月末が待ち遠しい。
Posted by ブクログ
飛ぶ男を巡る、アパートに住む2人の住人の目線で展開する不思議な物語。作者特有の難解な展開と顛末。ストーリーを追うのではなく感覚的に文章を味わう読み方かよいのかも。終盤は誤植と思われるような文章になっているがワープロに発見された状態なのだろう。紙原稿のように順に書いていくのではなく、行きつ戻りつ創作していると感じた。
「さまざまな父」の方はやや筋のあるストーリー展開で、人間の2大欲求である空を飛ぶこと、透明になることを題材に、しかし親子間で展開するところが異彩であり、この後の展開で理由がわかると考えると未完である事が悔やまれる。飛ぶ男に通じるストーリーで関連性にも興味が湧いた。
Posted by ブクログ
この「飛ぶ男」は安部公房が亡くなってから見つかった原稿とのこと。
パジャマ姿で滑空する男を見つけた3人の目線で話が進みます。ここでグッと掴まれます。
その後、話はだんだん「今どうなってんの?」となって、最後はブツッと終わり…後から未完であることを知りました。
「さまざまな父」は全く違う話だと思って読み進めてましたので、「アレ?これ繋がってる??」とびっくり。
解説の福岡先生によると、これは「飛ぶ男」のほんの断片だろうとのこと。
どんな話になったのか、とても気になります。
Posted by ブクログ
久しぶりに安部公房を読んだら、
やつぱり突き放される感じだった。
理解したいけど、難しすぎて、
サンドイッチマン状態。
ちょっと何言ってるかわからない、、
巻末の解説についても
尚更、何言ってるかわからない。
でも、好きで読んでる。
読み直してみたりする。
何が何だかわからない。
Posted by ブクログ
前情報なしで読んだのでここからどうなるんだろうというところで終わってしまい残念でした。その次の「さまざまな父」でエピソード0まで描いているので叶わないことですが最後まで読みたいと思いました。
Posted by ブクログ
未完の作品ということで結末は無いけれど、都会の不思議で独特な閉鎖的世界観にジリジリと引き込まれる感覚を味わえた。
写真が趣味のひきこもりである保根治、保根の弟を名乗り空気銃で狙撃される空飛ぶ男、保根の隣に住み弟を狙撃する発酵研究員の小文字並子。現実感の無い登場人物たちと不思議でとりとめの無い会話に掻き乱される感覚がたまりない。
一行目から飛んでるってのがいい。
Posted by ブクログ
天才安部公房の未完の遺作。
宙を飛ぶ男がいきなり電話をかけてきて、「俺はお前の弟だ!父から追われている!助けてくれ!」と意味不明なことを言い出し、それに困惑する男の話である。
本作が未完なことが非常に残念だが、解説を含めて、読む価値は十分にある。むしろ、この解説が本作、さらに言えば安部公房の魅力を引き立たせている。
Posted by ブクログ
中学の時に知った「砂の女」、高校の教科書に出てきた「鞄」、それからずっと本屋で安倍工房の名前を目の端で捉えては手を出せずにいたが、「飛ぶ男」にはどうしても惹かれるものがあり購入してしまった。
表紙をしっかりと見ていなかったため、読み始めてから遺作で未完成作品であることを知る。が、あらすじから滲み出る面白さの予感。抜群の設定と意味の分からない関係性。
いざ読み始めると「まじかよ。」とツッコミたくなる不可解な行動や思想。作者の脳内のまま、寄り道させられる話。どうしたらそんな連想ゲームができるんだよ。所々に見られるクスリとできる表現にも好感が持てた。
未完成であることが残念なくらい、続きというか、結末が気になる作品であった。是非、来世で読み切りたいなと思う。安倍工房があの世この世を渡り歩き、その脳内の思考を文章にすることを願わんとす。
という感想を書き終えて、もう一つの短編「さまざまな父」を読み始めたが、まさか「飛ぶ男」の裏話が読めるとは思わず、続きがないことのもどかしさを更に感じた。超大作になる予感、その予感だけが心の中に残り続けている。
Posted by ブクログ
素敵すぎる!最高です!
未完成だけどそこも含めて「完成」ととらえる
独特な世界観と斜め上から見下ろすような描写
なのになぜかリアルで映像が脳内に溢れる
ほどよいカオス感が大好物!
Posted by ブクログ
未完作品。完成版読みたかったあああああああ!!
本当に、本当に悔やまれる…公房作品特有のトチ狂った設定は本作もご多分に漏れず、一瞬で読み切ってしまいました。
Posted by ブクログ
飛ぶ男
p121
しめしめ、背骨が曲りはじめたぞ。
作家の頭を盗み見ているような感じ。
起承から書くタイプなのかと想像。どれだけの編集や修正的な加筆が施されているのかはわからないけど、これだけでも資料的な価値はあるのかなと。
章が変わって、視点が変わる感じは見事で、本作が未完のまま終わるのは残念ではある。かなりボリュームのあるエピソードの序章。
解説も興味深く拝読。遺作を世に出す、という行為は個人的にはノーだけれど、近しい人間の執念も感じられてこれはこれでいいのかもと思った次第。
Posted by ブクログ
起承転結の転で終わった
二部に相当する話しでそういうことかと思い
未完
これから承転がくりかえされて物語がどう
進むかはもう、わからない
最後まで読みたかった
Posted by ブクログ
彼女は、いまでも安部公房を読んでいるのだろうか。彼女とは、僕の大好きな俳優の松岡茉優さんのこと。高校生当時の彼女の有名なエピソードから、僕は安部公房に興味を持ち、読み始めた。この本で3冊目。『砂の女』『カンガルーノート』に続き、ようやく3冊目を読み終えた。
安部公房の物語は、読み始めると、あっという間に読み切ってしまう。今日も18時頃から読み始め、19時半に夕食を摂り、その後21時過ぎに再開して23時には読み終えてしまった。先に読んだ2冊も、こんなペースだった。読書の話題を共有する職場の同僚に話したら「読むの速いっすね」と返された。そんな自覚はないけれど、想像力を刺激され、集中力が高まる物語、素直に面白いから止まらなかった、と言ったほうが、しっくりくる。
さて『飛ぶ男』
先に読んだ物語よりも、明るい印象だった。未完ゆえか。安部公房の物語に立ち込める、ほの暗さというか、束縛感というか、何かしら付き纏う重しのような感覚が一切なかった。純粋なエンターテイメント、というのかな。どうやら物語は、きっと、まだ序盤なのでしょう。終盤の空白のあるページが唯一、不穏な空気を醸していた。
Posted by ブクログ
安部公房さんの作品に久々に再会しました。砂の女、箱男をかなり前に読んだ記憶があります。いずれも設定が突拍子もなく一気に興味を惹かれる。この作品も最初から現実とは思えないものの、即イメージできる情景描写がおかしな場面を想像できた。
解説が福岡伸一さんでした。生物と無生物のあいだ は難しいけど、理解できる説明でわかりやすかった。今回の解説の中でも「内側の内側は外側になる」は、細胞の動きの説明でクリアに理解できた。
話の内容に戻る。明らかに動力がなくて戸建の少し上くらいの高さを飛んでる人から電話がくるとは、起きてることもその先もなかなか予想出来ず、先が気になった。更に別の角度には撃ち落とそうとしている人が居るなんて。まだ書いている途中のようで、叶わぬ願望ですが結末まで読んでみたい。
Posted by ブクログ
ある夏の朝。時速2、3キロで滑空する《飛ぶ男》が現れる。ある中学教師と接触していた《飛ぶ男》は、男性不信の女に空気銃で撃たれた。女は《飛ぶ男》を確認する為に中学教師の部屋へ。 不思議な雰囲気の話。しっかり完成していたら、なんだかとても良い物語になっていた気がする。
Posted by ブクログ
安部公房というと昭和30年代の印象が強いが、これは1990年代の作品なので、少し現代風なテイストが入っている。
とは言え、やはり氏の作品は常識外の出来事が次々に起こり、あっという間に現実の外へ連れて行かれる。
空飛ぶ男を見かけた女性が空気銃で撃ってしまったのは百歩譲って理解できるとしても、その女性が、撃った男の怪我を気にして、男の部屋を訪ねて捜索しだして、頭の中は?だらけになった。まあ、空中を移動している時点で現実の外の世界なんだけど。
途中で文章が欠けているので、誤植かと思いきや、未完の作品とのこと。だから尻切れ感はあるけど、ストーリー云々ではなく、この世界観、空気感が好きな人には良いのでは。
もう一つの短編「さまざまな父」も、透明人間になった父親が兎の生血を吸う場面を始めとして、相当不気味だ。「飛ぶ男」の中に組み込むつもりだったのだろうか?
Posted by ブクログ
面白くなってきたーというところで終わっているのがとても残念。飛ぶ男の不思議さよりも他の人々の奇妙な生活がじわじわ滲み出て終わっているのでどうなるのだろうと頭をフル回転。読者ごとにいろんな世界に広がっていくのだろう。
Posted by ブクログ
んー、やっぱり研究者でもない単なる一読者が未完成の作品を読むというのは作家に対して失礼なのではないだろうかと思った。
もっとも、完成品を読んでも著者の描きたかったテーマを読み取れないモブ読者だから関係ないと言われればその通りではありますが。
「面白くなりそう! 続きを読みたい!」が感想です。
Posted by ブクログ
本日1月22日は、安部公房のご命日
1924年3月7日が誕生日で 昨年は生誕100年
それを記念して刊行された“飛ぶ男”
亡くなったあと 愛用のワープロのフロッピーの中から発見された未完の絶筆
遺作未満ですよね
昨年安部公房展で安部公房の仕事部屋が再現されており、愛用ワープロ(初期の学習机ほど大きい)
も展示されていたので、一度は読んでおこうと
「飛ぶ男」は、おそらくかなり長編にする予定だったのではと思う
つまり、ここまででは私にはさっぱり何だかわからないのです
その昔最後の作品と言われた「笑う月」と
なんとなく重なる部分はあるようにも思う
安部公房って新し物好きで
シンセサイザーも早い段階で使っていて
ワープロで小説書き始めた一人
NECの「文豪」の開発に参加していたとか
だから遺作も文豪のフロッピーなんて
安部公房は初期の小説の方が理解できるかな
記念読書、感想はあまりないです
Posted by ブクログ
「飛ぶ男」
腹違いの弟であると主張する男が
夜空を飛んでやってくる
しかし何者かに空気銃で撃ち落とされる
飛ぶ男はプレシャスな存在だから
誰もがこれを欲しがったり
その存在に嫉妬したりするのだ
それは例えば
有力な会員権などよりはるかに価値があって
また入手困難なのかもしれない
未完の絶筆である
初期作品「天使」や「題未定」のエッセンスを混ぜ合わせ
発展させようとしたものではないだろうか
であれば
おそらく続きは「白い蛾」の船長が予見したところに
近づくのだと思われる
「さまざまな父」
科学的に説明のつかないことはオカルトである
ミステリ小説ではオカルトのインチキを論理によって暴く
一方、前衛小説においては
オカルト的状況をあるがまま受けいれなくてはならない
つまり前衛とは反近代であった
反近代にあっては大量死・大量生のなかに個人が埋没していく
すなわち反近代とは、真に孤独死の時代なのである
そして孤独の観念…妄想に論理は無用だった
インチキを用いてでも
問答無用のロマンを実現しようとするところに
前衛の味がある
しかし、孤独を恐れる人の弱さが
それを遺産として
…というより物語として継承することを望んだとき
はたして世の中はどうなっていくのでしょうね
Posted by ブクログ
【2024年169冊目】
飛ぶ男は3人の人間によって目撃された。トラウマを抱えた女性、暴力団員の男性、そして飛ぶ男が目的としていた男性――である。窓ガラスから飛び込んできた飛ぶ男は言った。「スプーン曲げができるんだ」と。
初の安部公房作品でした。あらすじをまとめようとしたら、とっちらかってしまった感じですが、間違ってはいないというのが恐ろしいです。文章自体、難しいものではないのですが、内容が難しいと言えば難しい。じっくり噛むように読まないと理解できないかもしれない。
飛ぶ男のほか、「さまざまな父」も収録されていますが、二つの話が繋がっているのかどうかも不透明。ずっと不透明な物語、これが安部公房の魅力と言われたら、「そ、そうなのか」と思う感じ。確かにつまらないわけではない。
またほかの作品も読んでみようかなあと思いつつ、次作に何を選ぶかはなかなかの難題です。
と、ここまで書いた後に解説を読んでみました。流し読みですが。そうか、未完なのか。完成してても理解できるかはちょっと未知数ですが、次作として読むのなら「方舟さくら丸」が良いかもしれない。
Posted by ブクログ
遺作で未完とされる本作。
「さまざまな父」を含めて完結で良いのではと感じる。
解説によると「内部の内部に外部との絡路を探し求めた作家」とある。
彼の作品群はベルリンの壁崩壊前の東欧圏で特に受け入れられていたという。
興味深い。
他作品も体験したい。