安部公房のレビュー一覧
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『友達』『棒になった男』『榎本武揚』の三部作からなる、安部公房の戯曲集。
安部公房の戯曲集を読んだのは初めてですが、安部公房の地の文が好きな自分としては、いまひとつ物足りない。
おそらく、セリフと簡単な舞台指定しかなされていない分、想像力が必要とされてくるからなんでしょうね。
あらすじを読んで、『友達』にかなり期待をしていたのですが、ぱっと読んだ時点では理解が追いつきませんでした。
もちろん、安部公房作品を読んだ時に理解できるなんてことは普段無いんですが、字を追うだけで終わってしまう、という点で。
舞台で観たら観たで、きっと全く違う印象で面白かったんでしょうが、想像力の足りない自分に残念で -
Posted by ブクログ
「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三作の戯曲が収録されています。
表題作である「友達」は、『水中都市・デンドロカカリヤ』の「闖入者」が原型であり、「棒になった男」は『R62号の発明・鉛の卵』の「棒」が原型のようです。
いずれも以前に読んでいるので、比較しながら読みました。
戯曲のために登場人物の数などを一部変えてありますが、大筋は同じです。
やっぱり、「友達」は理不尽で好きです。
いや、嫌いなんだけど、好きです。
「榎本武揚」はそんなに面白くなかった・・・というのが私の印象です。実際に劇で見たら全然違うと思います。
読み手の問題ですが、登場人物が多すぎて、途中から混乱してしまいましたw -
Posted by ブクログ
山間の花園町で、「ひもじい」と阻碍されたよそものたちが、革命のための秘密結社「飢餓同盟」を結成し、権力への夢を地熱発電に託して動き始めるのですが、革命を起こすどころか崩壊していく物語です。
読んだ印象を一言で言うと、「怖い話だなー」でした。
最初、花井についてなんとも思わなかったのですが、次第に彼が嫌いになりました。話すことが夢想的すぎる上に、人に対しての態度がイライラしました。
さすがに、途中から、アレ・・・おかしいな・・・?と思ったんだけれど、やっぱり壊れてしまいました。それがとても怖かったです。
織木さんも可哀相だな、気の毒だな・・・と思っているうちに。
私の読解力の問題かもし -
Posted by ブクログ
途中経過:いちいち考察が鋭くておもしろい、「閉塞感」というものをいやというほど実感できる
読んだあと:
「人間は本質的に頭が悪いこと」「進歩という神話に踊らされる滑稽な姿」を直感的に感じ取った。
手段と目的の転倒、意地っ張り、無駄なプライド、無益なことに必死になる(かえって害になることも多い)、これが本質的な人間の「頭の悪さ」なのだと思う。
「進歩」という幻想もその一つ。
いくら科学技術が発展し、頑張って生活を「改善」したところで、結局何も変わらない。
くだらないことにいちいち腹を立て、心配という名の妄想で体を壊したり、自殺したりする。人間は依然としてどうしようもなくアホなままである。 -
Posted by ブクログ
戯曲3編集。相変わらず不思議な世界が繰り広げられている。「友達」に登場する謎の一家にはイライラしか感じられなかったが、もうそれは惹き込まれてしまった後の話。人間が理想として求める孤独とは何か?人間が美しいとする隣人愛とは何か?果たして、人間は1人では本当に生きていけないのか?社会の中での人間生活における「個」と「集団」という概念を、まったく斬新な視点から強く訴えかける作品。「棒になった男」は高校の現代文の授業で読んで意味不明だったので再チャレンジしてみたが、やっぱり難しい。でも戯曲化された文章だったので少し読みやすかった。これは是非、舞台を観てみたい!ありえない現実。非常識な常識。もっともっと