安部公房のレビュー一覧

  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    描写が生き生きしていてすごくよかった。舞台やキャラクター設定、SF要素なども、安部さんらしさ満載。雪にまどろむ寂れた町、診療所を与えられない医者、の組み合わせがカフカの「城」を思い出させる。

    しかし、花井さんは骨の髄までしゃぶられっぱなしだったなぁ。同盟が空中分解くらいで済むのかなーと思ったら、予想以上にひどい結末だった。うーん。主人公二人の身の上が自分と重なってしまって、結構堪えた。

    どんな思想があっても、どんな努力をしても、現実は壁だらけでどう行っても回り道だらけで、結局目的地にはたどり着かないまま歩かされ続けるんだよなぁ。
    春が来て、窪地に落ちた小鳥の死骸が一瞬見せた可能性が切ない。

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    2012年06月03日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    閉ざされ沈む小地方都市の町花園。
    それ自体がまるで一つの巨大な病棟のような町の中で
    "ひもじい"と呼ばれ疎外されたよそ者たちが結成した飢餓同盟。
    地熱発電に託した若い彼らの野望は
    町に渦巻き、飲み込まれ、やがて崩れ去っていく。

    安部公房の著作にしては珍しく、登場人物・主人公に名前があってびっくり。
    「夢」を生け捕りにした様な
    シュールにシュールを塗り重ねた彼の多くの作品とは
    ちょっと趣向が違う作品でした。

    「医者」と「党」の、安部公房。
    こんなに現実に寄った作品は初めて。
    革命の思想から遠ざかって久しい世代の私には
    少し入りづらい読みかかりでした。

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    2012年05月09日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    おすすめされて読んだ本。
    どれも不気味で、不条理で、それが面白くもあり。
    全5篇の戯曲形式のお話。
    表題作の「友達」は侵入してくる家族の理不尽な親切心が
    とても不気味。彼らが話す言葉は一見正論。
    だからこそ反論する余地がなく、受け入れさせられてしまう。
    それは「棒になった男」内の「鞄」も同様。
    登場人物たちのココロの有り様、揺れ動きの様が
    いつかどこかで見たような、感じたようなことがあるのだろう。
    それが不快感に繋がっているのかな?

    「棒になった男」も何故突然に棒に??と疑問が付きまとう。
    推測するしかないのだけれども、だからこそ地獄の男の
    最後の台詞にゾクッとさせられた。

    「友達」「棒に

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    2012年02月18日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    隙間ない権力を打倒しようと文字通りあがき苦しむ男たち。全体的にどんよりと息苦しい霧が舞うような花園の町は、これからもあがく人間を踏みつぶし肥やしにし、しかし大きくもならずに存在していくように思う。変えられない場所の陰鬱さ。しかしどこか滑稽で、それがさらに歪みを感じさせる。

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    2012年01月20日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    古い読書記録より。

    象徴性が全面に出ている作品。中学時代、「モチーフを読みとく」ことの快感を教えてくれた一作。この作品をするする読みといたとき、物語をばらばらにしてふわけできた痺れのようなものが背筋をかけていったことをいまも覚えている。
    別話戯曲のほうも読んでみたけれど、劇場での展開が目に浮かぶようだった。普段戯曲を読むことがないのでいい体験だった。

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    2011年12月28日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    普段、形而上的なタッチの多い安部作品ではシュールさが強いが、精神性や狂気の観点では通底する著者のテーマだろう。世界観は違うが「石の眼」をパワーアップさせた感じの日常にある変質。内容においては、結びの一行を言いたかったのだろう。現実に潜む、奇妙な物語。

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    2011年05月16日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    あと一歩なのにっ。自身の満州体験を活かした、大陸を渡る冒険の旅。男たちの無骨さと間抜けさをジリジリくる表現で描き、ラストまで気を許させない。ニュアンスでいう国籍の本質に迫った、絶版の佳作。

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    2011年05月12日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    読んでいて登場人物たちの策略に嫌悪感がしてくるが、考えてみれば現実的な小説だと思う。
    織木が唯一、真面目な青年として最後まで描かれていたのは、読者として救いだった。

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    2011年03月22日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    安部の作品は、いくつも読んでおり、これも大昔に読んだことがあるのを、今回再読。
    顔如何によって個体が不安定になりうることがよくわかるが、小説としては長すぎるような感じ。解説で大江も書いているが。。

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    2018年10月14日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    『友達』『棒になった男』『榎本武揚』の三部作からなる、安部公房の戯曲集。

    安部公房の戯曲集を読んだのは初めてですが、安部公房の地の文が好きな自分としては、いまひとつ物足りない。
    おそらく、セリフと簡単な舞台指定しかなされていない分、想像力が必要とされてくるからなんでしょうね。
    あらすじを読んで、『友達』にかなり期待をしていたのですが、ぱっと読んだ時点では理解が追いつきませんでした。
    もちろん、安部公房作品を読んだ時に理解できるなんてことは普段無いんですが、字を追うだけで終わってしまう、という点で。

    舞台で観たら観たで、きっと全く違う印象で面白かったんでしょうが、想像力の足りない自分に残念で

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    2010年09月12日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    まさに破滅へのゆるゆるとした苦しい道程・・・
    真綿で首をしめつけられる感触・・・・
    閉鎖感・・・・
    空気を殴る・・・・
    いきつく先は狂気しかないのか・・・・
    ほんと欝だー
    どこか滑稽なんじゃなく、全体的に滑稽なのにものすごく重たい。
    共産主義・・・・
    こういった問題は現代こそもっと見つめなおすべき問題。

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    2010年07月18日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    安部公房の作品にしては登場人物が多くその点がゴチャゴチャしている印象。話の筋は読み取りやすいが、ただ現実の主義問題とてらすだけでなくなにかもうひとつ深いテーマを探すことが出来る作品だと思う。もう一回読む。相変わらず名前には拘りがあり名前はもじりになっているらしい。わからないけど。安部公房は意味のない名前はつけない作家だとおもう。

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    2010年03月11日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三作の戯曲が収録されています。

    表題作である「友達」は、『水中都市・デンドロカカリヤ』の「闖入者」が原型であり、「棒になった男」は『R62号の発明・鉛の卵』の「棒」が原型のようです。
    いずれも以前に読んでいるので、比較しながら読みました。
    戯曲のために登場人物の数などを一部変えてありますが、大筋は同じです。
    やっぱり、「友達」は理不尽で好きです。
    いや、嫌いなんだけど、好きです。

    「榎本武揚」はそんなに面白くなかった・・・というのが私の印象です。実際に劇で見たら全然違うと思います。
    読み手の問題ですが、登場人物が多すぎて、途中から混乱してしまいましたw

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    2010年05月14日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    山間の花園町で、「ひもじい」と阻碍されたよそものたちが、革命のための秘密結社「飢餓同盟」を結成し、権力への夢を地熱発電に託して動き始めるのですが、革命を起こすどころか崩壊していく物語です。

    読んだ印象を一言で言うと、「怖い話だなー」でした。


    最初、花井についてなんとも思わなかったのですが、次第に彼が嫌いになりました。話すことが夢想的すぎる上に、人に対しての態度がイライラしました。
    さすがに、途中から、アレ・・・おかしいな・・・?と思ったんだけれど、やっぱり壊れてしまいました。それがとても怖かったです。
    織木さんも可哀相だな、気の毒だな・・・と思っているうちに。


    私の読解力の問題かもし

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    2010年05月14日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    途中経過:いちいち考察が鋭くておもしろい、「閉塞感」というものをいやというほど実感できる

    読んだあと:
    「人間は本質的に頭が悪いこと」「進歩という神話に踊らされる滑稽な姿」を直感的に感じ取った。

    手段と目的の転倒、意地っ張り、無駄なプライド、無益なことに必死になる(かえって害になることも多い)、これが本質的な人間の「頭の悪さ」なのだと思う。
    「進歩」という幻想もその一つ。
    いくら科学技術が発展し、頑張って生活を「改善」したところで、結局何も変わらない。
    くだらないことにいちいち腹を立て、心配という名の妄想で体を壊したり、自殺したりする。人間は依然としてどうしようもなくアホなままである。

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    2011年04月06日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    戯曲3編集。相変わらず不思議な世界が繰り広げられている。「友達」に登場する謎の一家にはイライラしか感じられなかったが、もうそれは惹き込まれてしまった後の話。人間が理想として求める孤独とは何か?人間が美しいとする隣人愛とは何か?果たして、人間は1人では本当に生きていけないのか?社会の中での人間生活における「個」と「集団」という概念を、まったく斬新な視点から強く訴えかける作品。「棒になった男」は高校の現代文の授業で読んで意味不明だったので再チャレンジしてみたが、やっぱり難しい。でも戯曲化された文章だったので少し読みやすかった。これは是非、舞台を観てみたい!ありえない現実。非常識な常識。もっともっと

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    2009年10月04日